【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社および連結子会社)が判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(2023年3月1日~2023年5月31日)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が、2022年末の感染第8波のピークから大きく鎮静化、収束の傾向が続く中、感染症法上の分類引き下げやマスク着用の緩和といった対策も打ち出され、先行き不透明感は残るものの回復の動きが続いております。海外各国でも、ウィズ/アフター・コロナの生活様式が定着し、新型コロナウイルス感染症の生活・経済への影響は大きく軽減しております。一方で、2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻は長期化しており、特に欧州を中心に資源・エネルギー価格の上昇や物流の遅延等を引き起こし、世界的なインフレや金利上昇に波及するなど、経済活動への影響と先行き不透明感が継続しております。
化粧品業界におきましては、メイクアップ製品を中心に、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を受けておりますが、改善の傾向が続いております。国内では、マスク着用が習慣として常態化しており、個人消費はメイクアップ製品を中心に新型コロナウイルスの感染拡大前を下回っておりますが、足元では化粧機会は増加、マスク着用も徐々に減り、消費マインドも大きく改善してきているものと思われます。海外においても、新型コロナウイルスの感染は収束の動きを見せており、化粧品需要は回復の傾向にあるものと思われます。
当社グループにおきましては、国内・海外化粧品メーカーからの受注は、回復しつつありますが、引き続き新型コロナウイルスの感染拡大前を下回っており、つくば工場第3期拡張等の設備投資によって実現した生産能力を活用しきれない状況が続いております。しかしながら、足元の受注回復を受けて工場の稼働も着実に改善しており、厳しい環境下ながらも業績は回復、前連結会計年度は3期ぶりの営業黒字計上を果たしております。
今後も、社会がウィズ/アフター・コロナに移行、正常化していく中で、化粧品需要は回復していくと思われますが、ロシアのウクライナ侵攻等を引き金にした諸物価やエネルギー価格、人件費等の上昇は継続しており、引き続き経済全般の先行き不透明感は残ります。そのような経営環境下、黒字の継続と、新型コロナウイルスの感染拡大以前の業績水準への早期回復に向けて、事業基盤の再構築を最優先の課題に掲げた「中期事業戦略ビジョン(2022-2026)」の諸施策を着実に実行してまいります。当面は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた化粧動向を反映した処方や生産技術の開発でお客様の要請に応え、中長期的には化粧品へのクリーン・ビューティー、SDGs等の要請に対応するなど、新しい環境での強みを伸ばして業績の速やかな回復を図るべく更なる努力を重ねてまいります。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間における財政状態および経営成績は次のとおりとなりました。
a.経営成績
受注水準は、依然として新型コロナウイルスの感染拡大前を下回るものの、国内・海外の化粧品需要の動向を反映して回復しつつあり、売上高は前年同期比48.3%増の3,679百万円となりました。
利益面では、引き続きつくば工場第3期拡張等により諸費用が増加している中で、原材料や光熱費、各種経費等の価格上昇の影響も受けておりますが、売上高の増収と各種コスト圧縮努力により、営業利益は170百万円(前年同期は営業損失83百万円)、経常利益は159百万円(前年同期は経常損失82百万円)、親会社株主に帰属する四半期純利益は139百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失27百万円)となりました。
b.財政状態
当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ、473百万円増加し、16,522百万円となりました。総資産の増加は、流動資産が439百万円、固定資産が33百万円増加したことによるものであります。流動資産の主な増加要因は、電子記録債権が380百万円、棚卸資産が255百万円増加し、現金及び預金が123百万円、受取手形及び売掛金が77百万円減少したことによるものであります。固定資産の主な増加要因は、建設仮勘定が87百万円、有形固定資産のその他が27百万円増加し、建物及び構築物が56百万円、機械装置及び運搬具が21百万円減少したことによるものであります。
一方、負債合計は、前連結会計年度末に比べ、293百万円増加し、13,331百万円となりました。負債合計の増加は、流動負債が622百万円増加し、固定負債が329百万円減少したことによるものであります。流動負債の増加要因は、電子記録債務が207百万円、支払手形及び買掛金が113百万円、賞与引当金が47百万円、流動負債のその他が357百万円増加し、短期借入金が103百万円減少したことによるものであります。固定負債の主な減少要因は、長期借入金が311百万円、固定負債のその他が23百万円減少したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ、179百万円増加し、3,190百万円となりました。増加要因は、株主資本が親会社株主に帰属する四半期純利益により139百万円、その他の包括利益累計額合計が39百万円増加したことによるものであります。
当第1四半期連結累計期間における所在地別セグメントの業績の概況は、次のとおりです。
(日本)
新型コロナウイルス感染症の影響が大きく軽減している中で、国内外の化粧品需要に回復の動きがみられ、国内・海外化粧品メーカー各社からの受注が回復してきていることから、売上高は前年同期比31.5%増の2,500百万円となりました。利益面では、引き続きつくば工場第3期拡張等により諸費用が増加、加えて原材料費や各種経費等もインフレで上昇している中ではありますが、増収と各種コスト圧縮努力によって、営業利益は前年同期比743.9%増の51百万円となりました。
(仏国)
子会社THEPENIER PHARMA & COSMETICS S.A.S.と子会社Nippon Shikizai France S.A.S.の所在する欧州は、当第1四半期連結累計期間(1~3月)において、引き続きロシアのウクライナ侵攻の影響を受けていますが、新型コロナウイルス感染症の影響が軽減したことから化粧品および医薬品の受注に改善の動きがあり、売上高は前年同期比105.5%増の1,213百万円となりました。利益面では、設備投資に伴う諸費用の増加等に加えてウクライナ侵攻によるエネルギー価格等の諸物価高騰の影響を受けましたが、大幅な増収もあって営業利益は118百万円(前年同期は営業損失85百万円)となりました。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、175百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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