【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、世界経済の悪化とともに、厳しい状況下で推移いたしました。
小売業界におきましては、新型コロナウイルス感染への懸念、家計収入減少の中、生活防衛意識の急激な高まりにより、業種・業態によって需要動向が明確に分かれました。特に食品小売業におきましては、マスクをはじめとする感染予防関連商品および学校休校による内食需要の高まりを受けた生鮮食品の伸長、まとめ買い傾向による客単価の上昇により、業績は良好に推移いたしました。しかしながら、今後の感染動向、内外経済動向の見通しが難しく、取り巻く環境は依然として不透明な状況が続いております。
このような環境の中、当社グループにおきましては、「毎日の生活に必要な商品を新鮮で美味しく、安く提供する事により、食生活を豊かにし地域社会に貢献する」という経営理念のもと、お客様と従業員の安全を最優先に、新型コロナウイルス感染拡大防止策として、従業員の体調管理体制強化、消毒・清掃の強化、身体的距離の確保、営業時間の短縮等の対策を講じながら、地域のお客様の生活を支える商品の供給、提供に努めてまいりました。そのうえで、「地域のお客様に繰り返しご来店していただける店づくり」に向け、『令和の時代に求められる店づくり』を本年度のスローガンに掲げ、全社一丸となって各施策の実行及び検証を行ってまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ6億18百万円増加し、509億2百万円となりました。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ49百万円増加し、221億70百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ5億69百万円増加し、287億32百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の売上高は1,129億38百万円(前年同期比2.9%増)、営業利益は24億59百万円(同292.1%増)、経常利益は24億9百万円(同245.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は8億78百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失が2億20百万円)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
スーパーマーケット事業におきましては、販売企画として、引き続き「生活応援セール」や「水曜均一祭」を実施しました。両企画では食料品を中心にお買い得商品を多数揃え、販売を強化してまいりました。また、当社が加盟するニチリウグループ(日本流通産業株式会社)のプライベートブランド商品である「くらしモア」や、連結子会社の「株式会社サンコー食品」による当社グループオリジナルの惣菜及び日配商品の拡販を積極的に行ってまいりました。
営業面では、集客強化及び店舗活性化のため、売場づくりの改革と、販促イベントの多様化に取り組みました。売場づくりの改革といたしましては、「今週の一品」と銘打ち、バイヤーこだわりの商品を週ごとに設定、全店で販売を徹底し、よりお客様にご支持いただけるよう努めました。また、2020年3月より加工食品や日用品を中心に商品を厳選した「期間限定スペシャルプライス」商品を販売し、買上点数増を図りました。販促イベントの多様化といたしましては、日曜日のポイント10倍セールに加え、平日のポイント10倍セールの実施、また、青果部門では月初めに「大青果市」を開催し、野菜・果物をお値打ちな価格で販売いたしました。さらに、当社グループ独自の電子マネー機能付きポイントカード「にこかカード」の利用拡大のため、チャージ機利用による特典付与等の販促活動を継続的に実施いたしました。
また、株式会社ヤマザワにおきましては、2020年6月より、移動スーパー「とくし丸」事業を開始いたしました。移動スーパー「とくし丸」は、店舗へのご来店が困難なお客様の利便性向上を目的とし、販売パートナー(個人事業主)が商品を車に積み込み、依頼された方のご自宅まで伺い、お買物をいただくサービスです。取扱品目は500品程度で、加工食品や日用品の他、チルド商品やアイスクリーム等も取り扱っております。2020年6月に山形県山形市に第1号車、9月に山形県東置賜郡高畠町に第2号車、11月に山形県鶴岡市に第3号車の運行を開始いたしました。いずれの運行エリアにおきましても、近隣に店舗がなく、スーパーの出店が望まれている地域でもありました。特に高齢者の方よりご好評を得ており、第3号車の運行エリアでは初めて老人ホームへのサービスも行いました。今後も他エリアにての運行を随時増やしていく予定です。
設備投資といたしましては、よねや商事株式会社におきまして、2020年3月に「大曲中央店」(秋田県大仙市)を新規開店いたしました。また、株式会社ヤマザワにおきまして、同年5月に「鶴岡茅原店」(山形県鶴岡市)を、既存店舗の「鶴岡宝田店」(山形県鶴岡市)を閉店して、近隣地へ新設移転いたしました。旧店舗である「鶴岡宝田店」と比較して拡充した売場面積を活用し、売上規模も拡大しております。具体的な取組みとしては、ストックキッチン・フレッシュサラダゾーンの展開強化、地元鶴岡市でなじみの商品の豊富な取り扱いや地場野菜コーナー等の販売強化、インストアベーカリー及びイートインコーナーの新設等を実施し、地域のお客様からより一層ご支持をいただける店づくりに努めました。また、同年12月に「谷地店」(山形県西村山郡河北町)を、既存店舗を閉店して、近隣地へ新設移転いたしました。『多様化するライフスタイルに対応した売場・商品の提供』をコンセプトに、レイアウト・品揃えの更なる刷新を行いました。一ヵ所に集約した出入り口の先頭に、購買頻度の高い青果・惣菜売場を配置し、売上の最大化とオペレーションの効率化を図りました。また、上質品の訴求を兼ねた新規取組みといたしまして、旬の鮮魚による、切り立てのネタを使用した「魚屋の鮨(すし)」を初導入し、更なる鮮度・付加価値の向上を図りました。さらに、地元商品の拡充を図り、同店が所在する、河北町の品質の高いイタリア野菜も数多く取りそろえました。
既存店の活性化といたしましては、株式会社ヤマザワにおきまして2020年4月に「鶴岡店」(山形県鶴岡市)、8月に「成沢店」(山形県山形市)、10月に「村山店」(山形県村山市)の改装を実施いたしました。なお、株式会社ヤマザワにおきまして、2020年6月に「泉ケ丘店」(宮城県仙台市)、7月に「高砂店」(宮城県仙台市)、8月に「(旧)谷地店」(山形県西村山郡河北町)、「愛島店」(宮城県名取市)、9月に「長町南店」(宮城県仙台市)を閉店いたしております。
以上によりまして、株式会社ヤマザワの店舗が山形県内42店舗、宮城県内18店舗、よねや商事株式会社の店舗が秋田県内10店舗となり、スーパーマーケット事業の合計店舗数は70店舗となりました。
この結果、スーパーマーケット事業の売上高は992億44百万円(同3.3%増)となりました。
ドラッグストア事業におきましては、地域のお客様の「生活の質」の向上に貢献し、快適な生活をサポートするべく、販促活動の強化に取り組むとともに、トータルコストリダクションを推進し、全社一丸となって経費削減活動に取り組みました。
設備投資といたしましては、2020年5月に「ドラッグ鶴岡茅原店」(山形県鶴岡市)を、既存店舗の「ドラッグ鶴岡宝田店」(山形県鶴岡市)を閉店して、近隣地へ新設移転いたしました。ドラッグストアの強みを活かし、医薬品の買回り向上および販売強化、介護・衛生用品の品揃え拡大、接客・カウンセリング力強化等、幅広い世代に対応できる魅力的なお店づくりに取り組みました。また、同年7月には「調剤薬局吉成店」(宮城県仙台市)を開店、12月には「ドラッグ谷地店」(山形県西村山郡河北町)を、既存店舗を閉店して、近隣地へ新設移転いたしました。なお、2020年4月に「ドラッグ山形済生病院前店」(山形県山形市)、2020年7月に「ドラッグ鶴岡店」(山形県鶴岡市)、「ドラッグ愛島店」(宮城県名取市)、8月に「ドラッグ(旧)谷地店」(山形県西村山郡河北町)、2021年1月に「調剤薬局城南店」(山形県山形市)を閉店いたしております。
この結果、ドラッグストア事業の売上高は136億87百万円(同0.6%増)となりました。
その他事業におきましては、惣菜及び日配商品を開発製造して当社グループへ納品しており、スーパーマーケット事業との連携を密にし、安全・安心で美味しいオリジナル商品の開発を行ってまいりました。
この結果、その他事業の売上高は5百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ5億38百万円増加し、当連結会計年度末は72億80百万円(前連結会計年度比8.0%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は56億88百万円となり、前連結会計年度に比べ23億5百万円増加しました。これは主に、税金等調整前当期純利益が17億91百万円となり、前連結会計年度と比べて17億22百万円増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は35億99百万円となり、前連結会計年度に比べ11億66百万円増加しました。これは主に、新店舗・設備改修に伴い有形固定資産の取得による支出が42億78百万円となり、前連結会計年度と比べて14億66百万円増加したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は15億50百万円となり、前連結会計年度に比べ14億14百万円増加しました。これは主に、短期借入金の純増減額が11億50百万円の減少となったこと(前連結会計年度は6億30百万円の増加)によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は、スーパーマーケット事業及びドラッグストア事業を主な事業としており、当社グループにおける食品の製造は当社グループへの商品の納入となっておりますので、生産及び受注については記載しておりません。
販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前年同期比増減(%)
スーパーマーケット事業
99,244
3.3
ドラッグストア事業
13,687
0.6
報告セグメント計
112,932
2.9
その他事業
5
△49.0
合計
112,938
2.9
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度の経営者による財政状態及び経営成績の分析は、以下のとおりであります。
なお、記載事項につきましては、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。従いまして、将来に関する事項には不確実性を内在しておりますので、将来生じる実際の結果とは異なる可能性もあります。
① 財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は140億8百万円(前連結会計年度末136億15百万円)となり、前連結会計年度末と比べ3億92百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が5億38百万円増加したことによるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は368億94百万円(同366億68百万円)となり、前連結会計年度末と比べ2億25百万円増加しました。これは主に、建物及び構築物(純額)が16億4百万円増加したことによるものです。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は182億65百万円(同184億25百万円)となり、前連結会計年度末と比べ1億60百万円減少しました。これは主に、短期借入金が11億50百万円減少したことによるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は39億5百万円(同36億96百万円)となり、前連結会計年度末と比べ2億9百万円増加しました。これは主に、長期借入金が2億85百万円増加したことによるものです。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産合計は287億32百万円(同281億62百万円)となり、前連結会計年度末と比べ5億69百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加によるものです。自己資本比率は56.4%となりました。
② 経営成績の分析
(営業収益)
売上高は1,129億38百万円となりました。
スーパーマーケット事業におきましては、992億44百万円となりました。これは、新型コロナウイルス感染拡大による、内食需要の高まりを受けた生鮮食品の伸長、まとめ買い傾向による客単価の上昇等によるものです。ドラッグストア事業におきましては、136億87百万円となりました。これは、新型コロナウイルス感染拡大による、マスクをはじめとする感染予防関連商品の伸長等によるものです。
(売上総利益)
売上総利益は324億80百万円、売上総利益率は28.7%と前連結会計年度と比較し1.2ポイント増となりました。これは、スーパーマーケット事業での、売上高増加に伴う、値下・廃棄の大幅な削減等によるものです。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は300億20百万円となりました。
販売費及び一般管理費を要約すると下記のとおりです。
区分
金額(百万円)
前年同期比増減(%)
販売費
3,342
△1.9
人件費
14,137
0.4
設備費
10,660
3.3
管理費
1,880
6.3
合計
30,020
1.5
販売費は33億42百万円となりました。これは、ポイント費用及び広告宣伝費等によるものです。
人件費は141億37百万円となりました。当社グループにおきましては、従業員数が1,239名、1日8時間換算による臨時従業員数が3,420名となっております。
設備費は106億60百万円となりました。これは光熱費、地代家賃、減価償却費、店舗管理費等によるものです。
(営業利益及び経常利益)
営業利益は24億59百万円、経常利益は24億9百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は8億78百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の見積りの判断が当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(固定資産の減損)
当社グループは、主としてスーパーマーケット事業を営んでおり、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、キャッシュ・フローを生み出す最小単位として店舗を基本単位とし、また、賃貸不動産及び遊休資産及び売却予定資産については物件単位毎にグルーピングしており、収益性が著しく低下した資産又は資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。当資産グループの回収可能価額は正味売却価額により測定しており、土地及び建物については、原則として不動産鑑定評価額から処分費用見込額を控除し評価しております。回収可能価額の評価にあたっては、資産グループの時価や、将来キャッシュフロー等様々な仮定を用いて合理的に見積りを行っておりますが、今後、時価等の大幅な下落や店舗を取り巻く競争環境の激化等、想定を上回る変化が生じた場合には、新たに減損損失が発生する可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産の計上にあたっては、回収可能性を考慮して、繰延税金資産総額から評価性引当額を減額しております。繰延税金資産の回収可能性については、当社グループの業績の推移などから将来の課税所得を合理的に見積り判断しておりますが、今後、課税所得の予測に影響を与える変化が生じた場合には、繰延税金資産の回収可能性が変動する可能性があります。
(退職給付費用及び退職給付債務)
退職給付費用及び債務は、割引率、死亡率、退職率等の数理計算上の前提条件に基づき算出しております。今後、実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件が変更された場合には、将来の退職給付費用及び債務が変動する可能性があります。
(資産除去債務の計上)
当社グループは、主に店舗用に賃借した土地建物において、不動産賃借契約に基づき返還時に必要とされる原状回復義務等に備えるため、資産除去債務を計上しております。計上にあたっては、過去の実績を基に算定した原状回復費用の見込み額を現在価値に割り引いて算出しているため、今後、過去の実績と実際の原状回復費用が異なる場合や見積りに影響する新たな事実等が発生した場合には、資産除去債務の見積り額が変動する可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要のうち主なものは運転資金及び店舗に係る設備投資によるものであります。その資金源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー及び借入金による資金調達によっております。
当連結会計年度では、新規出店を中心に48億79百万円の投資を行なっており、これらは銀行借入金及び自己資金で賄っております。
また、翌連結会計年度の資金需要については、引き続き店舗の新設及び活性化による設備投資を30億円予定しており、これらに必要な資金は自己資金及び借入金で賄う予定です。
⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について
「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。