【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の対策としての行動制限が緩和された結果、経済活動の正常化と回復の兆しが見られました。
しかしながら、地政学的リスクの高まりによる原材料価格の高騰、世界的な金融引締めに伴う影響による景気の下振れリスク、物価上昇の家計や企業への影響など、依然として先行き不透明な状況が続きました。
当社グループの主要顧客である飲食店や宿泊施設は、コロナ禍から平時への移行が進展する中、イベント需要の回復やインバウンド客の増加により、客数が回復している一方で、深刻な人手不足、原材料価格、光熱費の高騰など、厳しい経営環境が続きました。
このような状況下、当社グループは、中期経営計画「NX2025」に基づき、感染対策用製品の開発及び拡販、人手不足に対応する製品の拡販、新規チャネルの拡大に注力いたしました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、洗剤洗浄剤及び固形燃料などの伸長により、195億4百万円(前期比 9.6%増)となりました。
利益につきましては、製品価格の適正化やコスト削減の取り組みを強化しましたが、原材料価格の高騰や物流費上昇の影響を大きく受け、営業利益8億5千5百万円(同 53.2%減)、経常利益8億8千6百万円(同 52.2%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、5億6千1百万円(同 54.4%減)となりました。
当社グループは、業務用の化成品事業を行っており、単一セグメントであるため、セグメント別の情報はありません。当社グループ製造品及び仕入商品等の売上高は、次のとおりであります。
<当社グループ製造品>(業務用洗剤・洗浄剤・除菌剤・漂白剤・固形燃料等)
アルコール製剤は、新型コロナウイルス感染症流行前と比較し、一定の伸びで推移いたしましたが、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけ変更以降、急速に需要が落ち着きつつあります。そのような中、新製品である洗浄・除菌・ウイルス対応アルコール製剤「ノロスターセキュアフォーム」の投入や官公庁やレジャー施設などへの新規チャネル開拓に注力いたしました。
洗剤洗浄剤は、トイレ用洗剤「ノロスタートイレクリーナー」、医薬部外品手洗い液「Nスター薬用ハンドウォッシュVA」など感染対策用新製品を中心に顧客のニーズに沿った製品・サービスの提案を行ったこと、また人手不足に対応した厨房用洗浄剤「ケミファインクイックすすぎ」など製品の提案を行った結果、売上は増加いたしました。
固形燃料は、旅館やリゾートホテルなどの宿泊者数が増加したことで、売上は増加いたしました。
その結果、当連結会計年度の当社グループ製造品売上高は、150億7千4百万円(前期比 5.8%増)となりました。
<仕入商品等>
当連結会計年度の売上高は、44億2千9百万円(同 24.9%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、資金といいます。)の期末残高は、前年同期より6億8千8百万円増加し、67億4千5百万円となりました。主な内訳は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、10億8千万円(前期比31.9%減)となりました。主には税金等調整前当期純利益が8億9千8百万円、減価償却費が5億7千3百万円あった一方で、法人税等の支払額が5億6百万円あったことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、6億8千9百万円(前期比12.1%増)となりました。主には子会社株式の取得による支出が5億8千万円あったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、9千1百万円(前期比88.4%減)となりました。主には長期借入れによる収入が10億円あった一方、長期借入金の返済による支出が8億1千6百万円、配当金の支払額が2億7千1百万円あったことなどによるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、業務用の化成品事業を行っており、単一セグメントであるため、セグメント区分に変えて品目別で記載しております。
イ.生産実績
当連結会計年度における品目別生産実績は次のとおりであります。
品目
当連結会計年度
(自 2022年6月1日
至 2023年5月31日)
前年同期比(%)
自社製造品(千円)
13,777,805
107.3
(注)金額は販売価格によっております。
ロ.受注実績
該当事項はありません。
ハ.商品仕入実績
当連結会計年度における品目別商品仕入実績は次のとおりであります。
品目
当連結会計年度
(自 2022年6月1日
至 2023年5月31日)
前年同期比(%)
仕入商品等(千円)
3,546,944
124.3
ニ.販売実績
当連結会計年度における品目別販売実績は次のとおりであります。
品目
当連結会計年度
(自 2022年6月1日
至 2023年5月31日)
前年同期比(%)
自社製造品(千円)
15,074,619
105.8
仕入商品等(千円)
4,429,570
124.9
合計(千円)
19,504,189
109.6
(注)最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績については、総販売実績に対する割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載したとおりであります。
連結財務諸表の作成にあたっては、貸倒引当金、繰延税金資産の計上、減損損失、のれんの評価等の重要な会計方針に関する見積り及び判断を行なっております。これらの見積りは、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる方法に基づき行っていますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
② 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.財政状態及び経営成績
a.財政状態
前連結会計年度末と比較して総資産は27億7千1百万円増加し、純資産は4億4千3百万円増加しました。この結果、自己資本比率は5.6ポイント減少し54.6%となりました。増減の主なものは次のとおりであります。
流動資産では、現金及び預金が6億8千8百万円、受取手形及び売掛金が4億3百万円それぞれ増加しております。
固定資産では、建物及び構築物が4億8千2百万円、のれんが2億8百万円それぞれ増加し、投資その他の資産その他が2億2千9百万円減少しております。
流動負債では、支払手形及び買掛金が1億8千8百万円、電子記録債務が6億7千4百万円、未払金が10億2千万円それぞれ増加し、未払法人税等が1億7千1百万円減少しております。
固定負債では、長期借入金が4億7千1百万円増加しております。
b.経営成績
(売上高)
アルコール製剤においては、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけ変更以降、急速に需要が落ち着きつつありますが、洗剤洗浄剤においては、感染対策用新製品を中心に顧客のニーズに沿った製品・サービスの提案を行ったこと、また人手不足に対応した製品の提案を行ったこと、固形燃料においては、旅館やリゾートホテルなどの宿泊者数が回復したことで、売上は増加いたしました。これにより売上高は、前連結会計年度より17億1千1百万円増加し、195億4百万円となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、引き続き原材料価格高騰の影響を大きく受け、前連結会計年度より23億1千8百万円増加し、128億1千8百万円となりました。また、販売費及び一般管理費は、売上伸長に伴う営業関連費用の増加及び企業結合による株式取得費用の発生等により、前連結会計年度より3億6千3百万円増加し、58億3千万円となりました。
(営業外損益)
営業外収益は、受取配当金の増加等により、前連結会計年度より3百万円増加し、8千8百万円となりました。営業外費用は、創立60周年関連費用等により、前連結会計年度より2百万円増加し、5千6百万円となりました。
(特別損益)
特別利益は、補助金収入等により、前連結会計年度より4千2百万円増加し、5千1百万円となりました。特別損失は、子会社株式評価損が発生しなかったこと等により、前連結会計年度より1千6百万円減少し、3千9百万円となりました。
ロ.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、経営指標として、売上高、営業利益、ROEを重視しております。競争力の強化と経営の効率化を図ることにより、営業利益率の向上に努めるとともに、株主資本の運用効率を示す指標であるROEの維持向上に努めてまいります。当連結会計年度におけるROEは4.4%で前期比5.9ポイント減となりましたが、今後も安定的に10%以上とすることを目標としてまいります。
2022年5月期
2023年5月期
増減
売上高
17,792百万円
19,504百万円
1,711百万円
営業利益
1,825百万円
855百万円
△970百万円
営業利益率
10.3%
4.4%
△5.9pt
ROE
10.3%
4.4%
△5.9pt
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
イ.キャッシュ・フローの状況
「(1)経営成績等の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
ロ.資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、主に営業活動から得られる自己資金及び金融機関からの借入を資金の源泉としております。設備投資等の長期資金需要につきましては、金融機関からの長期借入を基本としており、他方、短期の運転資金需要につきましては、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における社債、借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は34億8千3百万円であります。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は67億4千5百万円となっております。