【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度末(2023年5月31日現在)における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する各種制限緩和により、社会経済活動の正常化が進み、景気は緩やかな持ち直しの傾向が続きました。しかし国内外において、ウクライナ情勢の長期化などの地政学的リスクによる原材料・エネルギー価格の高騰や、世界的な金融引き締めに伴う急激な為替変動などにより、依然として先行き不透明な状況が継続しました。 当社グループ事業に関連のあるインテリア業界において、国内の新設住宅着工戸数は前期比1.2%減、非住宅分野では着工床面積が同4.5%減となりました。また、自動車業界において、国内市場の生産台数は前期比15.8%増となりました。海外市場は生産・販売が増加し、前期を上回りました。
このような状況のもと当連結会計年度における連結業績は、以下のとおりとなりました。
売上高は、自動車・車両内装事業において、日系自動車メーカーの国内生産台数増加および為替の影響が寄与するとともに、インテリア事業の業務用カーペットで大型案件を受注したことなどから、前期比16.0%増の948億28百万円、営業利益は12億94百万円(前期 営業利益1億10百万円)となりました。経常利益は、前期の補助金収入が剥落したものの、為替差益が増加し、同65.7%増の15億75百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失として固定資産の譲渡に伴う有形固定資産の減損損失等を計上し、同14.0%増の3億20百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
セグメント
売上高
セグメント利益
金額(百万円)
前期比(%)
金額(百万円)
前期比(%)
インテリア事業
36,598
+11.5
977
+7.3
自動車・車両内装事業
54,314
+20.7
2,230
+97.8
機能資材事業
3,550
+0.1
90
-
その他
365
+4.7
60
△4.8
小計
94,828
+16.0
3,359
+75.9
調整額
-
-
△2,064
-
合計
94,828
+16.0
1,294
-
(インテリア事業)
家庭用カーペットが低迷したものの、業務用カーペットで大型物件を受注し、また、壁装関連において価格改定効果があったことなどから、売上高は前期比11.5%増の365億98百万円、セグメント利益は同7.3%増の9億77百万円となりました。 業務用カーペットでは、水平循環型リサイクルタイルカーペット「ECOS(エコス)」が大型のオフィスビル物件に採用されたことなどから、前期比18.4%増となりました。 家庭用カーペットの売上高は、ハイグレードなラグマットや新たな販路向け製品の開発・拡販を進めているものの、コロナ禍での巣ごもり需要の反動影響が依然として残り、同13.6%減となりました。 カーテンは、2022年7月に発売した一般家庭向け「mode S(モードエス)カーテン Vol. 10」および「U Life(ユーライフ)カーテン Vol. 10」がともに着実に売上を伸ばし、カーテン全体の売上高は同2.3%増となりました。 壁装関連では、2023年2月に襖紙見本帳「景勝 第32集」を新発売し、また一部商材の原材料価格高騰による価格改定の効果から、売上高は同8.2%増となりました。 スペース デザイン ビジネスでは、大型店舗で内装材や造作家具などのトータル提案が採用されたことなどから、株式会社シーピーオーおよび2022年1月より連結対象となった株式会社プレテリアテキスタイルの売上が堅調に推移しました。
(自動車・車両内装事業)
国内の自動車関連売上が堅調に推移するとともに、海外の自動車関連売上は、東南アジアでの販売の伸長や為替の影響等により海外の自動車関連売上も増加したことから、自動車・車両内装事業全体の売上高は前期比20.7%増の543億14百万円となりました。セグメント利益は、原材料やエネルギー価格の高騰などが影響したものの、メキシコ子会社との連携による北米の収支改善などから同97.8%増の22億30百万円となりました。 自動車関連では、半導体や部品供給不足の状況緩和により国内生産が回復基調となり、国内の売上高は前期比15.2%増となりました。海外においては、中国拠点における新型コロナウイルス感染症に対する行動制限措置の状況変化や受注車種立ち上がり時の生産に影響を受けた一方で、為替の押し上げ効果があったほか、東南アジアでは、コロナ禍からの回復により自動車販売が堅調に推移したことなどから、海外の売上高は同24.6%増となりました。 車両関連では、新型コロナウイルス感染症に対する各種制限緩和により鉄道やバスの利用者数が増加し、鉄道向けはリニューアル工事が復調傾向となったことから、売上高は前期を上回りました。また、バス向けも内装材需要の回復基調が続いていることなどから、車両関連全体での売上高は前期を上回りました。
(機能資材事業)
主力製品であるホットカーペットなどの繊維系暖房商材の売上は、2022年納入分の新規受注数は減少しましたが、原材料価格高騰による価格改定効果から前期を上回りました。消臭・フィルター関連の売上は、空気清浄機向け消臭フィルターのコロナ禍における需要反動減により前期を下回りました。一方、浴室床材が客先の好調な販売に伴い受注が伸長したことなどから、機能資材事業全体の売上高は 前期比0.1%増の35億50百万円となりました。利益面では、中国およびベトナムの工場再編が前期で完了し、また、為替も寄与したことなどから、セグメント利益は90百万円(前期 セグメント損失1億92百万円)となりました。
② 財政状態の状況 当連結会計年度末の総資産は、売上債権の増加等により、前連結会計年度末に比べ33億49百万円増加し、881億51百万円となりました。 負債につきましては、借入金の増加等により、前連結会計年度末に比べ26億85百万円増加し、540億37百万円となりました。 純資産につきましては、その他有価証券評価差額金の増加等により、前連結会計年度末に比べ6億64百万円増加し、341億13百万円となりました。 以上の結果、自己資本比率は32.7%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ10億40百万円減少し、69億29百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加や法人税等の支払等を計上した一方で、減価償却費および税金等調整前当期純利益等により、18億3百万円の収入(前期3億75百万円の収入)となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、28億34百万円の支出(前期11億91百万円の支出)となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入があったもののリース債務の返済による支出等により、52百万円の支出(前期20億74百万円の支出)となりました。
④ 生産、受注および販売の実績
(a) 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自
2022年6月1日至
2023年5月31日)
金額(百万円)
前期比(%)
インテリア事業
4,638
+16.1
自動車・車両内装事業
34,085
+13.7
機能資材事業
3,366
+8.3
その他
-
-
合計
42,089
+13.5
(注) 1
セグメント間取引については相殺消去しております。2
金額は、製造原価によっております。
(b) 受注実績当社グループは販売形態が多岐にわたっており、受注の把握が困難でありますので記載を省略しております。
(c) 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自
2022年6月1日至
2023年5月31日)
金額(百万円)
前期比(%)
インテリア事業
36,598
+11.5
自動車・車両内装事業
54,314
+20.7
機能資材事業
3,550
+0.1
その他
365
+4.7
合計
94,828
+16.0
(注) 1
セグメント間取引については相殺消去しております。2
総販売実績の10%以上の割合を占める主要な取引先はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年5月31日現在)において判断したものであります。
① 財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容
(a) 財政状態の分析「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
(b) 経営成績の分析当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する各種制限緩和により、社会経済活動の正常化が進み、景気は緩やかな持ち直しの傾向が続きました。しかし国内外において、ウクライナ情勢の長期化などの地政学的リスクによる原材料・エネルギー価格の高騰や、世界的な金融引き締めに伴う急激な為替変動などにより、依然として先行き不透明な状況が継続しました。当社グループ事業に関連のあるインテリア業界において、国内の新設住宅着工戸数は前期比1.2%減、非住宅分野では着工床面積が同4.5%減となりました。また、自動車業界において、国内市場の生産台数は前期比15.8%増となりました。海外市場は生産・販売が増加し、前期を上回りました。当連結会計年度の売上高は、インテリア事業、自動車・車両内装事業および機能資材事業において増収となったため、前連結会計年度に比べ131億14百万円増加し、948億28百万円となりました。その結果、売上総利益は194億28百万円となりました。営業利益は、売上高が増加したこと等により、前連結会計年度に比べ11億84百万円増加し、12億94百万円となりました。経常利益は、営業利益や為替差益が増加したこと等により、前連結会計年度に比べ6億24百万円増加し15億75百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、減損損失3億42百万円を計上したものの、経常利益が増加したこと等により、前連結会計年度に比べ39百万円増加し3億20百万円となりました。その結果、ROE(自己資本当期純利益率)は1.1%となりました。今後も資本効率を高め、ROE向上に向けて尽力してまいります。
(c) セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識および分析当連結会計年度の事業セグメント別の経営成績については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報(a) キャッシュ・フローの分析「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(b) 資本の財源および資金の流動性当社グループは「K(健康)K(環境)R(リサイクル)+A(アメニティ:快適さ)」を開発の基本理念とし、よい製品を生産し、販売することで社会の向上に貢献すべく、多角的な事業活動を行っております。当社グループは、事業活動に必要な資金の安定的な確保について、重要な経営課題のひとつと認識しており、営業活動による現金収入、内部資金の活用のほか、取引先金融機関と良好な関係を維持しながら借入および社債の発行等によって資金を調達しております。事業活動における資金需要の主なものは、運転資金需要と投資資金需要であります。運転資金需要のうち主なものは、生産・販売活動における原材料および商品仕入れ、製造費や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資資金需要の主なものは、製品の品質改善、製造現場の安全性確保、生産効率性の向上、環境負荷の改善等のために必要な設備投資、また海外展開を強化するために必要な投資、その他事業戦略遂行に必要な投資があります。今後は営業活動による現金収入の拡大とともに、適正在庫の維持に取り組む事でDEレシオを0.5倍程度に改善して財務健全性を保ちつつ、期間や国内外の金利動向等を鑑みながら取引先金融機関からの機動的な資金調達を実施し資金の流動性を確保してまいります。
③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって、経営者による会計基準の選択および適用、資産および負債ならびに収益および費用の見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や状況を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性により、これらの見積りと差異が生じる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。