【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当第1四半期連結累計期間(2023年3月1日から2023年5月31日まで)の世界経済は、ウクライナ情勢の長期化や世界的なインフレ、各国の政策金利の引き上げによる金融不安等の影響により、先行き不透明な状況が続いているものの、米国では雇用・所得環境に着実な改善がみられ、欧州では2023年成長率がほぼ全てのEU加盟国で上方修正されるなど、緩やかながらも持ち直しの動きがみられました。
このような環境のもと、当社グループの販売状況は欧米ともに好調に推移しており、特に米国でミニショベル及びクローラーローダーの販売台数が大きく伸びました。また、2023年3月にはミニショベル「TB350R」及びホイール式油圧ショベル「TB395W」を市場投入しました。これら新製品を加えた豊富な製品ラインナップで、市場シェアの拡大を図っております。
当社グループは第三次中期経営計画(2023年2月期から2025年2月期)において、最終年度となる2025年2月期の連結売上高の目標を2,400億円としており、この目標達成に向けて生産能力の増強に取り組んでおります。2022年9月からセミノックダウン方式によりクローラーローダーの生産を開始した米国サウスカロライナ州の工場に続き、2023年9月には長野県小県郡青木村で青木工場が稼働を開始し、4トンから9トンのミドルクラスのショベル生産を本社工場から移管する予定です。米国工場、青木工場のフル稼働は2025年2月期を見込んでおり、既存の本社工場と合わせた生産能力は概ね1.5倍となる見込みです。
製品需要は好調ながらも、これまでに積み上がった受注残高があるため、当第1四半期連結累計期間の受注高は476億2千3百万円(前年同期比28.5%減)となり、当第1四半期連結会計期間末の受注残高は、前連結会計年度末に比べ54億1千5百万円減少し、1,853億3千2百万円となりました。
以上により、当第1四半期連結累計期間の売上高は530億3千9百万円(前年同期比25.0%増)となりました。利益面につきましては、原材料価格の高騰や2022年9月に稼働開始した米国工場の減価償却費や労務費等の減益要因はあったものの、販売台数の増加、製品価格の値上げ、運搬費の減少、及び円安影響等により、営業利益は85億4千2百万円(同59.5%増)となり、経常利益は83億8千3百万円(同45.1%増)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、税金費用を22億8千万円計上したことにより、61億3百万円(同44.2%増)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(日本)
日本セグメントは、売上高のほとんどが欧州ディストリビューター向けの販売で占められております。欧州では、住宅ローン金利の上昇とエネルギー価格をはじめとした生活費の高騰が住宅需要を押し下げているものの、生活インフラ工事や建設投資などの非住宅関連の建設工事が堅調で、製品販売は好調に推移しました。電子部品の供給量が一時的に回復した影響により、販売台数が大きく増加した前年同期に比べて、欧州ディストリビューター向けの販売台数は減少しましたが、製品価格の値上げ及び円安影響により、売上高は191億2千8百万円(前年同期比13.2%増)となりました。セグメント利益は原材料価格の高騰等の減益要因はあったものの、製品価格の値上げ、運搬費の減少、及び円安影響等により、55億7千7百万円(同40.5%増)となりました。
(米国)
米国セグメントでは、住宅市場において住宅ローン金利と住宅価格の高止まり等により、住宅着工件数は調整局面にありましたが、住宅に対する潜在需要は根強く、一時より住宅ローン金利が安定的に推移していることを背景に、足元では回復に転じております。また、生活インフラ工事や建設投資などの非住宅関連の建設工事が旺盛で、製品販売は欧州以上に好調に推移しました。米国でのミニショベル及びクローラーローダーの販売台数が大きく増加したことに加えて、製品価格の値上げ及び円安影響等により、売上高は277億2千1百万円(前年同期比37.9%増)となりました。セグメント利益は、2022年9月に稼働開始した米国工場の減価償却費や労務費等の減益要因はあったものの、25億3百万円(同4.7%増)となりました。
(英国)
英国セグメントでは、住宅ローン金利の上昇とエネルギー価格をはじめとした生活費の高騰が住宅需要を押し下げているものの、生活インフラ工事や建設投資などの非住宅関連の建設工事が堅調で、製品販売は好調に推移しました。この結果、ミニショベルの販売台数が前年同期に比べて増加したことに加えて、製品価格の値上げ及び円安影響等により、売上高は38億1千3百万円(前年同期比8.8%増)となり、セグメント利益は5億1千4百万円(同43.6%増)となりました。
(フランス)
フランスセグメントでは、住宅ローン金利の上昇とエネルギー価格をはじめとした生活費の高騰が住宅需要を押し下げているものの、生活インフラ工事や建設投資などの非住宅関連の建設工事が堅調で、製品販売は好調に推移しました。この結果、ミニショベルの販売台数が前年同期に比べて増加したことに加えて、製品価格の値上げ及び円安影響等により、売上高は23億6千8百万円(前年同期比28.0%増)となり、セグメント利益は2億6千9百万円(同91.1%増)となりました。
(中国)
中国セグメントは、日本セグメントに向けた建設機械の部品の製造・販売が事業の大半であり、外部顧客への売上高は7百万円(前年同期比85.2%減)となり、セグメント利益は5百万円(前年同期は7百万円のセグメント損失)となりました。
(2)財政状態の分析
(資産)
当第1四半期連結会計期間末の資産は、前連結会計年度末に比べ40億9千7百万円増加し、1,628億8千3百万円となりました。これは主に、現金及び預金が35億8千2百万円減少しましたが、売上高の増加により受取手形及び売掛金が53億4千9百万円、棚卸資産が19億1千8百万円増加したこと等によるものです。棚卸資産のうち、仕掛品は36億9千1百万円減少し、116億5千5百万円となりました。これは主に、電子部品の供給量が一部で改善し、欧米地域で保管されていた仕掛品が完成品としてお客様に販売されたことによるものです。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ20億5千6百万円増加し、390億3千9百万円となりました。これは主に、買掛金が15億4千4百万円、賞与引当金が4億9千万円増加したこと等によるものです。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ20億4千万円増加し、1,238億4千3百万円となりました。これは主に、利益剰余金が配当金の支払により46億7千9百万円減少しましたが、親会社株主に帰属する四半期純利益により61億3百万円増加したこと、及び為替換算調整勘定が6億1千5百万円増加したこと等によるものです。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(6)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、3億9千4百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要の主なものは、製品製造のための材料の購入、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資資金需要の主なものは、設備投資及び新製品や要素技術の研究開発投資です。
運転資金需要及び投資資金需要の財源につきましては、現在保有する現預金に加え、営業キャッシュ・フローを源泉として資金を充当することを基本としております。なお、当第1四半期連結会計期間末時点において有利子負債はありません。
資金の流動性に関しましては、当第1四半期連結会計期間末時点の流動比率は349.5%であります。