【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しております。詳細は、「第4 経理の状況1 四半期連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
(1)経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間(2022年3月1日から2022年11月30日まで)の世界経済は、世界的なモノ不足が続いていたなか、ロシアのウクライナ侵攻に対する大規模な経済制裁によって、部品・資材・エネルギー不足と物価高に拍車がかかりました。歴史的なインフレと物価安定を企図した欧米各国での急速な利上げは、企業活動にも消費活動にもマイナスの影響を与えるとともに、為替相場の急変を招いており、先行きはより不透明な状況が継続しております。
このような環境下にあっても、衣食住の「住」に深く関わり、社会インフラを支えるエッセンシャル事業に必要不可欠な当社製品の需要は、今後も安定拡大が見込めると考えており、当社グループでは生産能力の増強に取り組んでおります。2022年4月に取得した米国サウスカロライナ州の工場におきまして、2022年9月からクローラーローダーの生産を開始しました。同製品の全数を本社工場(長野県埴科郡坂城町)で生産し、その9割以上を米国で販売しておりました。今後は同製品の世界最大の市場である米国で生産することにより、リードタイムを短縮し、より機動的な供給体制を構築することで、販売台数と市場シェアの拡大を図ります。
また、当社グループの製品需要は欧米ともに好調を維持しており、当第3四半期連結累計期間の受注高は1,778億8千1百万円(前年同期比0.6%増)となりました。一方、新型コロナウイルス感染拡大の影響長期化、慢性的な部品不足、及び不安定な海外情勢等の複合的な要因により、部品入荷や物流に遅延が生じております。これに伴い、当社グループの生産台数は前年同期を下回っており、当第3四半期連結会計期間末の受注残高は1,788億4百万円(同55.9%増)となりました。
以上により、2022年9月に市場投入したミニショベル「TB335R」の新製品効果もあり、当第3四半期連結累計期間の販売台数は増加し、売上高は1,329億2千6百万円(同24.3%増)となりました。利益面につきましては、販売台数の増加に伴う売上高の増加、製品価格の値上げ、及び円安影響等の増益要因はあったものの、原材料価格及び運搬費の増加等により、営業利益は139億5千2百万円(同1.5%減)となり、経常利益は為替差益を9億4千8百万円計上したこと等により、147億7千万円(同2.6%増)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、税金費用を38億3千8百万円計上したことにより、109億3千1百万円(同3.0%増)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(日本)
日本セグメントは、売上高のほとんどが欧州ディストリビューター向けの販売で占められております。欧州では、ウクライナ危機や世界的な原材料価格の高騰等を背景とした物価上昇から、政策金利が引き上げられるなど先行きは引き続き不透明な状況にありましたが、製品販売は引き続き好調に推移しました。欧州ディストリビューター向けのミニショベル及び油圧ショベルの販売台数は大きく増加し、売上高は443億4千7百万円(前年同期比19.5%増)となりました。セグメント利益は、売上高の増加、製品価格の値上げ、及び円安影響等の増益要因はあったものの、原材料価格及び運搬費の増加等により、75億3千8百万円(同19.6%減)となりました。
(米国)
米国セグメントでは、住宅市場において金利上昇と木材等の材料不足が懸案事項ではあるものの、製品販売は引き続き好調に推移しました。米国ではミニショベル、油圧ショベル及びクローラーローダーの販売台数が大きく増加し、製品価格の値上げ、及び円安影響等により、売上高は736億2千5百万円(前年同期比44.7%増)となり、セグメント利益は76億1千3百万円(同59.3%増)となりました。
(英国)
英国セグメントでは、製品需要は好調を維持したものの、現地での製品在庫の不足により、販売台数は前年同期に比べて減少しました。製品価格の値上げや円安影響はあったものの、売上高は93億4千7百万円(前年同期比18.6%減)となり、セグメント利益は8億5千9百万円(同20.2%減)となりました。
(フランス)
フランスセグメントでは、製品需要は好調を維持したものの、現地での製品在庫の不足により、販売台数は前年同期に比べて減少しました。製品価格の値上げや円安影響はあったものの、売上高は54億7千7百万円(前年同期比25.6%減)となり、セグメント利益は5億3百万円(同0.2%増)となりました。
(中国)
中国セグメントでは、東南アジア向けに製品を販売したこと等により、売上高は1億2千8百万円(前年同期比135.8%増)となりましたが、原材料価格の高騰により、セグメント利益は1百万円(同98.3%減)となりました。
(2)財政状態の分析
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ196億4千4百万円増加し、1,568億4千6百万円となりました。これは主に、現金及び預金が16億8百万円減少しましたが、売上高の増加により受取手形及び売掛金が64億2千8百万円、棚卸資産が43億6百万円、米国工場の取得及び青木工場の建設等により有形固定資産が83億6千1百万円増加したこと等によるものです。棚卸資産のうち、仕掛品は112億8千6百万円増加し、173億9千5百万円となりました。これは主に、電子部品の入荷状況が流動的であり、その対策として現地で電子部品を後付けすべく、未装着の仕掛品を先行出荷したことにより現地在庫が増加したこと、及び米国工場の稼働開始に合わせて、米国工場で完成品となるクローラーローダーが本社工場から仕掛品として出荷開始されたこと等によるものです。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ29億9千2百万円増加し、361億1千万円となりました。これは主に、未払法人税等が18億4千8百万円減少しましたが、流動負債のその他が23億2千9百万円、買掛金が19億9千4百万円、製品保証引当金が5億3千7百万円増加したこと等によるものです。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ166億5千2百万円増加し、1,207億3千6百万円となりました。これは主に、利益剰余金が配当金の支払により32億4千6百万円減少しましたが、親会社株主に帰属する四半期純利益により109億3千1百万円増加したこと、及び為替換算調整勘定が90億1千万円増加したこと等によるものです。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(6)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、11億8千5百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要の主なものは、製品製造のための材料の購入、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資資金需要の主なものは、設備投資や新製品や要素技術の研究開発投資です。
運転資金需要及び投資資金需要の財源につきましては、現在保有する現預金に加え、営業キャッシュ・フローを源泉として資金を充当することを基本としております。なお、当第3四半期連結会計期間末時点において有利子負債はありません。
資金の流動性に関しましては、当第3四半期連結会計期間末時点の流動比率は356.8%であります。