【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
1.経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当社グループは、「Empower Data, Innovate the Business, Shape the Future.情報に価値を、企業に変革を、社会に未来を。」というビジョンを掲げており、社会に存在する様々なデータを活用することで、多くの企業にイノベーションをもたらし、その結果として、より良い社会を実現することを目指しております。
当社グループは、「データエンパワーメント事業」を単一の報告セグメントとしておりますが、提供しているソフトウェア及びサービスの性質により、企業の基幹業務を支える「帳票・文書管理ソリューション」と、様々なデータを活用し、今までにない新たな価値を生み出す「データエンパワーメントソリューション」の2つに売上収益を区分しております。
(1)経営成績の状況
当連結会計年度(2022年3月1日~2023年2月28日)における我が国の経済環境は、ウィズコロナのもと経済の正常化が進み、新型コロナウイルス感染症による影響を最も大きく受けていたサービス業が回復、個人消費も堅調な推移を見せており、全体として緩やかな持ち直しを継続しています。一方、不透明なウクライナ情勢に伴うエネルギー・原材料の高騰や世界的な金利引き上げによる景気後退のリスクは大きく、海外経済が回復を続ける国内経済に影響を及ぼす可能性が高まっております。
当社グループが属する企業向けIT市場は、コロナ禍の影響による非接触型の活動やサービスの拡大及び企業の生産性の向上や競争力強化のためのデジタルトランスフォーメーション(DX)への投資の強化により、クラウドサービスを中心に拡大しております。2022年1月に改正電子帳簿保存法の施行、2023年10月にはインボイス制度の導入等企業活動のデジタル化に関して政策的な後押しがあり、さらにこれらに加えて企業向けIT市場自体が企業システムのクラウド化やサブスクリプションモデルの浸透といった外部環境の影響を受けにくい産業構造へ変化しており、2023年は前年比5.6%増と堅調に成長することが見込まれております(注1)。特にクラウド市場は、パブリッククラウドの拡大に加え、DXやクラウドマイグレーションといった企業自身のクラウドシステムへの投資がより一層進展する影響により、2023年は前年比24.7%増と大幅に成長することが見込まれております(注2)。
一方、パブリッククラウドやプライベートクラウドの利用に加えて、主に移行の困難さや移行コスト、セキュリティ面から従来型のオンプレミスも引き続き運用されており、システムをすべてクラウドへ移行するのではなく、オンプレミスを含む様々なシステムを統合的に管理するハイブリッドクラウドが大企業を中心に主流となりつつあります。今後、市場はクラウドを中心に拡大していくものと思われますが、オンプレミスの需要も一定程度継続するものと想定しております。
(注)1 インターナショナルデーターコーポレイションジャパン株式会社「国内IT市場 産業分野別/従業員規模別/年商規模別予測アップデート、2022年~2026年(JPJ49207722)」TABLE2 国内IT市場 産業分野別 支出額予測、2020年~2026年、企業分野小計
2 インターナショナルデーターコーポレイションジャパン株式会社「国内クラウド市場予測、2022年~2026年(JPJ47872322)」TABLE 1 国内クラウド市場配備モデル別売上額予測、2021年~2026年
このような事業環境のもと、当社グループは、帳票・文書管理ソリューション(BDS)、データエンパワーメントソリューション(DE)それぞれにおいて、積極的に投資を進めてまいりました。
◇帳票・文書管理ソリューション(BDS)
上述したように2022年1月に各種要件が緩和された改正電子帳簿保存法の施行、2023年10月にはインボイス制度の導入が予定されており、企業は帳票の電子化をはじめ、電子的に受領した帳票の確認や保管等関連システムの整備が求められております。当社はこれらの法的要件を満たすサービスである、企業間でやり取りされる帳票をクラウド上でセキュアに流通・保管できるプラットフォーム「invoiceAgent」の機能拡充を進めてまいりました。「invoiceAgent」は、契約書や請求書だけでなく、発注書や納品書等企業間取引に関するあらゆる文書を取引単位で管理することが可能で、当社のソフトウェアである「SVF」で培った帳票の作成・運用に関する技術力がこれらを支えています。今後、「SVF」の顧客基盤を活用し、大企業を中心に「invoiceAgent」のユーザーの獲得を目指してまいります。
2022年6月
文書活用ソリューション「SPA」「SPA Cloud」を電子帳票プラットフォーム「invoiceAgent」にブランド統合。企業間での帳票データ流通の利便性を高める機能「文書管理」「電子取引」「電子契約」「AI OCR」を実装し、ワンプラットフォームとして提供。
2022年6月
受発注や請求書の送受信から管理まで一括運用する「invoiceAgent 電子取引」を提供開始。自社に最適な帳票フォーマットはそのままに、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応を実現。
2022年9月
クラウド帳票サービス「SVF Cloud for SmartHR」の提供を開始。社内で使用している既存のPDFファイルや紙の帳票の固定文字や罫線を一括で取り込み、使い慣れた帳票レイアウトのままクラウド上に移行することができ、帳票運用に関わる業務効率化を実現。
2022年9月
「invoiceAgent 文書管理」とコンテンツクラウド「Box」の連携を強化した「invoiceAgent Adapter for Box」の提供を開始。メタデータの自動反映による文書の検索性向上やinvoiceAgentの文書をBoxに自動出力等Box上の文書活用を推進。
2022年10月
電子帳票プラットフォーム「invoiceAgent」と業務プロセスのデジタル化・フルオートメーション化を実現するシステム共通基盤「intra-mart」が連携し、「invoiceAgent Adapter for intra-mart」の提供を開始。
2022年10月
Peppolサービスプロバイダーとしてデジタル庁より認定。当社サービス単独でPeppol対応が可能となり、顧客が利用中の業務システムがPeppol非対応の場合においても、Peppolフォーマットへの変換、送受信が可能。
2023年2月
テラスカイと協業し、「mitoco電子帳簿保存法対応オプション」をリリース。本サービスを利用することにより、ユーザは経費精算時に領収書をはじめとする証憑書類を電子帳簿保存法の保存要件を満たした形でデータ化し、管理・運用することが可能。
◇データエンパワーメントソリューション(DE)
クラウドサービスの浸透や社会のペーパーレス化が進むにつれ、企業規模に関わらず多くの企業がデータを保有するようになっています。一方、専任者の不在やシステム運用に関する問題から、蓄積されたデータを競争向上のために活用できている企業は多くはありません。
当社グループは、企業のデータ活用を促進させるため、当社グループのソフトウェア・クラウドサービスに、各業種の業務に精通しているスペシャリストのノウハウを組み合わせ、業種特有の業務を効率化する「業種・業務ソリューション」の提供を行っております。また、昨年から取り組んでいる大企業向けのデータ分析基盤ソリューション「Dataring」は計画通り大手顧客への導入を進めており、単なるソリューションの提供ではなく、データ活用のスペシャリストとして、データに関わる業務全体を担う大掛かりなサービスとなっております。今後も顧客の課題により直接的に解決できるソリューションの提供を行ってまいります。
2022年5月
カメラ連携機能を実装した「MotionBoard Ver.6.3」の提供を開始。製造業や建設業などの現場におけるデータ収集・連携による実態把握の精緻化や数値化が難しかった人の動作分析を実現。
2022年5月
「Dr.Sum」が「Microsoft Power BI」と連携。Dr.Sumユーザーは、利用用途に応じてインターフェイスを使い分けできるようになり、Power BIユーザーは、「Dr.Sum」を選択し、ノンプログラミングで手軽にデータマートを構築することが可能。
2022年5月
「MotionBoard Cloud」 と 電子帳票ツール「i-Reporter Cloud」が連携 。「i-Reporter」のデータを「MotionBoard Cloud」で可視化することで、データに基づいた傾向把握ができ、建設や製造現場におけるデータの有効活用によって、作業工数の削減や生産性の向上を実現。
2022年7月
データ活用基盤「Dr.Sum」及び「Dr.Sum Cloud」が公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会が認証する「電子取引ソフト法的要件認証」を取得。
2022年10月
データ分析基盤「Dr.Sum」電子帳簿保存法対応モデルの提供を開始。電子帳簿保存法対応を目的とした帳簿・書類・電子取引の電子データの保存に用途を限定したモデルでデータ保存のためのデータベースエンジンとデータ検索・閲覧のためのWebユーザーインターフェイスを利用可能。
2022年10月
BIダッシュボード「MotionBoard」と「Google Cloud」のManufacturing Data Engineを連携した製造業向けソリューションの提供を開始。様々なデータをGoogle Cloudの分析基盤に集約、生産現場のデータと工場経営のKPIの関連付けを行い、MotionBoardによって視覚化することで、データをもとに迅速な現場アクションと経営判断を支援。
2022年10月
データ分析基盤「Dr.Sum Cloud」とセルフサービスBI「ThoughtSpot」が連携。本連携により、外部システム連携やデータセット作成・抽出といったデータベース専用のスキルが不要となり、技術者の開発工数を削減。また、ThoughtSpotによりDr.Sum Cloudで高速処理された大量のライブデータを分析し、加えてAI機能により関連するインサイトを自動で提供可能。
2023年1月
データ分析基盤「Dr.Sum Cloud」と「Fujitsu 流通EDIサービス TradeFront/6G」が連携。保存したデータの検索・参照・ダウンロードの機能を提供する電子帳簿保存法に対応した「Fujitsu EDIデータ保存・検索サービス」を提供開始。
また、2023年2月に「株式会社スマートバリュー」及び「オングリットホールディングス株式会社」と当社が出資する形で資本業務提携を行いました。
株式会社スマートバリューは、主に地方自治体向けのクラウドサービスを展開しており、当社の創業以来培ってきたデータ活用に関する専門的な知識や経験と同社が持つ地方自治体に対するチャネルや営業ノウハウを融合させ、行政デジタル化を推進する新たなサービスの構築を目的としております。
オングリットホールディングス株式会社は、構造物の点検業務に関連するロボット開発や人工知能システムを開発し、国土交通省の「有望な技術」30選(注)での選出など高い評価を得ています。当社のBIダッシュボード「MotionBoard」やデータ活用基盤「Dr.Sum」と同社のロボットを使った構造物点検のデータを連携させ、蓄積されたデータを活かした現状把握やメンテナンスに役立てる業種特化型のサービスの提供を予定しています。
(注)国土交通省:新たな道路照明に関する技術公募結果の公表について
www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_000812.html
この結果、当連結会計年度の売上収益は22,349百万円(前期比12.7%増)、営業費用(その他の営業収益を控除後)は、人員の採用による人件費や採用費、DX関連ソリューション開発に伴う外注費、販売促進費の増加などで16,403百万円(前期比18.5%増)、営業利益は5,945百万円(前期比0.7%減)、税引前利益は5,860百万円(前期比0.8%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は4,401百万円(前期比1.1%増)となりました。
また、当社グループは、通常の営業活動の結果を示していると考えられない非経常的な費用項目の影響を除外することで、投資家が当社グループの業績評価を行い、当社グループの企業価値についての純粋な成長を把握する上で有用な情報を提供することを目的として、上記のIFRSにより規定された財務指標以外に、以下のEBITDA、調整後EBITDA及び調整後親会社の所有者に帰属する当期利益を重要な経営指標と位置付けております。
[調整後EBITDA及び調整後親会社の所有者に帰属する当期利益の調整表]
(単位:百万円)
決算期
2022年2月期
2023年2月期
増減
増減率
営業利益
5,986
5,945
△40
△0.7%
減価償却費及び償却費
(注1)
1,274
1,217
△56
△4.4%
EBITDA(注2)
7,260
7,163
△96
△1.3%
(調整額)
上場関連費用
20
-
△20
△100.0%
一過性の特別退職金
33
-
△33
△100.0%
調整後EBITDA(注3)
7,314
7,163
△150
△2.1%
(単位:百万円)
決算期
2022年2月期
2023年2月期
増減
増減率
親会社の所有者に帰属する当期利益
4,352
4,401
48
1.1%
(調整額)
上場関連費用
20
-
△20
△100.0%
一過性の特別退職金
33
-
△33
△100.0%
調整項目の税効果調整
(注4)
△14
-
14
△100.0%
調整後親会社の所有者に帰属する当期利益(注5)
4,392
4,401
8
0.2%
(注)1.2020年2月期より、IFRS第16号の適用により、オフィスの賃借契約に係る使用権を使用権資産として認識しており、当該資産に係る減価償却費も併せて計上しておりますが、EBITDA算出におきましては、「減価償却費及び償却費」からは当該使用権資産に係る減価償却費を除いております。
2.EBITDA=営業利益+減価償却費及び償却費
3.調整後EBITDA=EBITDA+一過性の費用
4.調整項目の税効果調整は実効税率を用いて算出しております。
5.調整後親会社の所有者に帰属する当期利益=親会社の所有者に帰属する当期利益+一過性の費用-調整項目の税効果調整
EBITDAは、主に営業利益の減少により7,163百万円(前期比1.3%減)と減少しました。調整後EBITDAは、EBITDAの減少に加え、調整を要する費用の発生がなかったことから、7,163百万円(前期比2.1%減)と減少しました。調整後親会社の所有者に帰属する当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益の増加により、4,401百万円(前期比0.2%増)と増加しました。
当社グループは、「データエンパワーメント事業」を単一の報告セグメントとしておりますが、提供しているソフトウェア及びサービスの性質により、企業の基幹業務を支える「帳票・文書管理ソリューション」と、様々なデータを活用し、今までにない新たな価値を生み出す「データエンパワーメントソリューション」の2つに売上収益を区分しております。
≪ソリューション別売上収益≫ (単位:百万円)
ソリューション区分
2022年2月期
2023年2月期
増減
増減率
帳票・文書管理
ソリューション
SVF
11,244
13,086
1,841
16.4%
invoiceAgent(注)
940
1,122
182
19.4%
その他
153
145
△7
△5.0%
小計
12,337
14,354
2,016
16.3%
データエンパワーメントソリューション
Dr.Sum
2,694
2,929
234
8.7%
MotionBoard
2,874
2,982
107
3.8%
その他
1,925
2,082
156
8.1%
小計
7,495
7,994
499
6.7%
合計
19,833
22,349
2,515
12.7%
(注)2022年6月1日より、「SPA」の名称が「invoiceAgent」へ変更になったことに伴い、各種表記を変更しております。
(帳票・文書管理ソリューション)
当ソリューションは、企業の基幹業務に必須である請求書や納品書等の帳票類を設計・運用を行うソフトウェア及びサービスである「SVF」及び企業間取引の電子化を実現する「invoiceAgent」が主な構成要素となっております。
「SVF」は、コロナ後を見据えたDXに関する投資が大企業を中心に活発化し、年間を通して基幹システムへの投資が増加したことから、基幹システムとともに導入されることが多いソフトウェアライセンス版「SVF」の引き合いも前年から増加し、ライセンス/サービスの売上収益は5,434百万円(前期比30.8%増)と過去最高となりました。あわせて保守も新規契約の獲得が増加したことに加え、既存契約の更新も順調に進んだことから、前期比5.0%増と堅調に推移しました。クラウドサービスについては、クラウド市場の拡大に伴い顧客の獲得が好調に推移したことから、前期比32.4%増と前年を大きく上回りました。この結果、売上収益は13,086百万円(前期比16.4%増)となりました。
「invoiceAgent」は、企業のペーパーレス化や電子帳簿保存法、2023年10月に導入されるインボイス制度等複数の追い風を受け、大きく成長しました。企業の業務システムのクラウド化が大きく進展していることにより、「invoiceAgent」においても、クラウドサービスを選択する割合が増加しており、クラウドサービスは前期比88.7%増と前年を大きく上回りました。一方、ライセンス/サービスは、顧客のクラウド志向が強まっている影響で前期比30.6%減と前年を下回りました。保守は新規顧客を確実に取り込んだ結果、前期比36.3%増と前年を大きく上回りました。この結果、売上収益は1,122百万円(前期比19.4%増)となりました。
この結果、当ソリューションの売上収益は14,354百万円(前期比16.3%増)となりました。
(データエンパワーメントソリューション)
当ソリューションは、企業が保有するデータを統合・処理・分析・可視化することにより、業務の効率化や生産性の向上を実現するソフトウェア及びサービスである「Dr.Sum」「MotionBoard」が主な構成要素となっております。
「Dr.Sum」は、安定した需要を背景にライセンス/サービスが前期比1.2%増、保守も前期比4.7%増と堅調に推移しました。クラウドサービスは、順調に契約企業数を積み上げたことに加え、大企業を中心とした大型の案件を獲得したことにより、前期比193.8%増と前年を大きく上回りました。この結果、売上収益は2,929百万円(前期比8.7%増)となりました。
「MotionBoard」は、企業のクラウドファーストが浸透している影響で、ライセンス/サービスは前年を下回ったものの、保守はカスタマーサクセス強化の効果で継続率が高い状態を維持しており、前期比14.5%増と前年を大きく上回りました。クラウドサービスについては、契約社数が順調に増加したことに加え、大型案件の受注もあり、前期比5.2%増と前年を上回りました。この結果、売上収益は2,982百万円(前期比3.8%増)となりました。
この結果、当ソリューションの売上収益は7,994百万円(前期比6.7%増)となりました。
また、当社グループが提供するソフトウェア及びサービスについては、ソフトウェアライセンスや導入時のサービス提供等継続的な契約を前提としない取引と、ソフトウェアの保守サポート契約、サブスクリプション契約やクラウドサービスの利用契約のような継続的な契約を前提とした取引により構成されています。継続的な契約を前提とした取引は、導入企業が増加するにつれて年々売上収益が積みあがるリカーリングビジネスと呼ばれる収益モデルであり、これらのビジネスから得られる収益(リカーリングレベニュー)は、当社グループの収益の安定化と継続的な拡大に大きく貢献しております。
≪契約区分別売上収益≫ (単位:百万円)
契約区分
2022年2月期
2023年2月期
増減
増減率
ライセンス/サービス
7,657
8,884
1,226
16.0%
リカーリング
保守
9,000
9,583
582
6.5%
クラウド
2,611
3,140
529
20.3%
サブスクリプション
564
741
176
31.3%
小計
12,175
13,464
1,289
10.6%
合計
19,833
22,349
2,515
12.7%
(注)より詳細な情報につきましては、当社IRサイト(https://ir.wingarc.com/)財務情報ページ内の最新の「FACT BOOK」をご参照下さい。
(2)財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産は、62,550百万円(前期末比3,630百万円増)となりました。流動資産は13,238百万円(前期末比2,297百万円増)、非流動資産は49,311百万円(前期末比1,333百万円増)となりました。流動資産の増加の主な要因は、現金及び現金同等物2,159百万円の増加によるものです。非流動資産の減少の主な要因は、顧客関係・技術関連資産の償却に伴うその他の無形資産405百万円の減少があったものの、投資有価証券などその他の金融資産の増加1,550百万円があったことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、27,975百万円(前期末比323百万円減)となりました。流動負債は12,752百万円(前期末比1,349百万円増)、非流動負債は15,223百万円(前期末比1,673百万円減)となりました。流動負債の増加の主な要因は、営業債務及びその他の債務424百万円の増加、契約負債611百万円の増加、賞与引当金などその他の流動負債232百万円の増加があったことによるものです。非流動負債の減少の主な要因は、本社オフィス契約更新に伴うリース負債の増加によるその他の金融負債203百万円の増加があったものの、借入金返済に伴う長期借入金1,976百万円の減少があったことによるものであります。
(資本)
当連結会計年度末における資本は、34,574百万円(前期末比3,954百万円増)となりました。資本の増加の主な要因は、配当金の支払に伴う利益剰余金の減少1,479百万円があったものの、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上に伴う利益剰余金4,401百万円の増加、その他の資本の構成要素875百万円の増加によるものであります。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、11,175百万円(前期末比2,159百万円増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、6,870百万円(前年同期は6,439百万円の獲得)となりました。これは主に、法人所得税の支払額1,790百万円の計上があったものの、税引前利益5,860百万円の計上、減価償却費及び償却費1,490百万円の計上、契約負債の増減額611百万円の計上があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、1,020百万円(前年同期は532百万円の使用)となりました。これは主に、業務用パソコンや社内インフラ整備用サーバー機器の取得に伴う有形固定資産の取得による支出93百万円、社内インフラサービスID基盤構築や次期基幹システム設計などに伴う無形資産の取得による支出468百万円、投資有価証券の取得による支出414百万円を計上したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、3,730百万円(前年同期は2,084百万円の使用)となりました。これは主に、借入金の返済による支出2,000百万円、配当金の支払額1,478百万円を計上したことによるものであります。
2.生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当社グループは、ソフトウェアの販売及びサービスの提供が主体であり、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
(2)受注実績
当社グループは、ソフトウェアの販売及びサービスの提供が主体であり、受注生産を行っていないため、該当事項はありません。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
ソリューションの名称
当連結会計年度
(自 2022年3月1日
至 2023年2月28日)
金額(百万円)
前期比(%)
帳票・文書管理ソリューション
14,354
16.3
データエンパワーメントソリューション
7,994
6.7
合計
22,349
12.7
(注)1.当社グループの事業セグメントは、「データエンパワーメント事業」を単一の報告セグメントとしているため、ソリューション別の販売実績を記載しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年3月1日
至 2022年2月28日)
当連結会計年度
(自 2022年3月1日
至 2023年2月28日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
日本電気株式会社
1,747
8.81
2,132
9.54
3.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表はIFRSに基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。
(2)財政状態の分析
当連結会計年度における財政状態の分析につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (2)財政状態の状況」を参照ください。
(3)経営成績の分析
当連結会計年度における経営成績の分析につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (1)経営成績の状況」を参照下さい。
(4)キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (3)キャッシュ・フロー」に記載しております。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当社グループにおける主な資金使途は人件費、研究開発費、外注・業務委託料等の営業費用、主に社内インフラ用のソフトウェア・サーバ等の設備投資、M&Aや出資に係る投資、借入金の返済、配当の支払となっております。これらの資金需要につきましては、営業キャッシュ・フローを源泉とする自己資金で賄っております。
上述のとおり、運転資金及び設備投資資金につきましては、全て自己資金で賄っておりますが、柔軟かつ安定的な流動性の確保を目的として、総額25億円のコミットメントラインを設定しております。
(6)目標とする指標の分析
・調整後EBITDA及び調整後親会社の所有者に帰属する当期利益
(単位:百万円)
2022年2月期
2023年2月期
増減
増減率
調整後EBITDA
7,314
7,163
△150
△2.1%
調整後親会社の所有者に帰属する当期利益
4,392
4,401
8
0.2%
(参考)売上収益
19,833
22,349
2,515
12.7%
調整後EBITDAは、戦略投資に伴う費用が増加したことにより7,163百万円(前期比2.1%減)と前年を下回りました。調整後親会社の所有者に帰属する当期利益は、法人所得税費用の負担税率が前年から減少した影響により、4,401百万円(前期比0.2%増)と増加しております。
・契約継続率
2022年2月期
2023年2月期
増減
契約継続率
93.2%
95.6%
2.4ポイント
契約継続率は、専任組織の強化や契約更新活動を積極的に行った結果、昨年を大きく超える水準となりました。
#C4432JP #ウイングアーク1st #情報通信業セクター