【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、本四半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
①当第1四半期の経営成績当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、個人消費の持ち直しや雇用情勢の改善により、景気は緩やかに回復しました。一方、世界的な金融引締めや物価上昇等によって景気の先行きは不透明な状態が継続しました。また、新型コロナウイルス感染症が5類に移行したことで国内の人流が活発化したほか、インバウンドも増加しました。こうした中、当社グループは、需要が拡大するBPO領域においては「①X-TECH BPOへの進化」、働き方が多様化する労働市場においては「②多様な働き方とキャリア形成支援の拡充」、またアフターコロナで活性化する観光領域においては「③淡路島を中心とした地方創生事業の収益拡大」を当期の重点戦略に掲げ、事業活動を通じて様々な社会課題の解決に取り組んでおります。当第1四半期連結累計期間においては、堅調な需要拡大を背景にBPOサービスが前年同期から伸長した一方で、前年同期に生じた主に新型コロナウイルス感染症の対策に係る需要が減少したことから、エキスパートサービス及びアウトソーシングは前年同期から減収となりました。これらの結果、当第1四半期連結累計期間の連結売上高は89,881百万円(前年同期比2.4%減)となり、売上総利益は21,226百万円(前年同期比4.7%減)となりました。販管費は、前年同期に実施した東京・南青山「PASONA SQUARE」へのオフィス移転に伴う二重家賃がなくなった一方で、BPOサービスの事業成長に伴って主に人件費が増加したことから18,997百万円(前年同期比0.3%増)と前年同水準となり、営業利益は2,228百万円(前年同期比33.1%減)、経常利益は2,197百万円(前年同期比39.2%減)となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純利益は187百万円(前年同期比85.5%減)となり、前年同期に持分法適用子会社の株式上場に伴う持分変動利益などがあったことから減少幅が大きく見えておりますが、当期の計画においては概ね計画どおりに推移しております。
■連結業績
2023年5月期第1四半期
2024年5月期第1四半期
増減率
売上高
92,066百万円
89,881百万円
△2.4%
営業利益
3,330百万円
2,228百万円
△33.1%
経常利益
3,610百万円
2,197百万円
△39.2%
親会社株主に帰属する四半期純利益
1,293百万円
187百万円
△85.5%
②事業別の状況(セグメント間取引消去前)
HRソリューションエキスパートサービス(人材派遣)、BPOサービス(委託・請負)他売上高 75,122百万円 営業利益 3,100百万円〔エキスパートサービス〕 売上高 34,551百万円当該事業では、オフィスワークを中心に事務職から高度な専門スキルを備えた人材やエンジニア、営業・販売職、また若年層からシニアまで幅広い世代、職種のエキスパートサービス(人材派遣)を展開しています。当第1四半期連結累計期間は、緩やかな景気回復が継続する中で人材派遣の需要は堅調に推移しましたが、前期に拡大していた全国対応の新型コロナウイルス感染症に係る業務が概ね終了したことから、売上高は34,551百万円(前年同期比8.7%減)と減収となりました。当期においては、事務職の中でも専門知識や経験が求められる高度事務職を中心に受注拡大に取り組むとともに、派遣スタッフのリスキリングにも注力しています。
〔BPOサービス〕 売上高 35,840百万円当該事業では、顧客から煩雑な事務作業を集約し効率化する総務・庶務や繁閑に応じた経費精算等に対応する経理・財務をはじめ、受付、営業事務・受発注、人事・労務・給与計算などの業務を当社グループが受託しBPOサービスを提供しているほか、連結子会社であるビーウィズ株式会社が自社開発のデジタル技術を活用したコンタクトセンター・BPOサービスを提供しています。新型コロナウイルス感染症に係る業務など前年までの特需案件が減少したものの、民間企業及びパブリックセクターともに新たな需要を取り込むことで、売上高は前年同期を上回って推移しました。民間企業からは、経理や受付などの業務領域において、社員のコア業務集中や生産性向上に向けたBPOサービスのニーズや、消費者からの問い合わせに対応するコンタクトセンター業務、またX-TECH BPOに係る需要などが拡大したほか、パブリックセクターからはリカレント教育や就労支援事業が拡大しました。 これらの結果、売上高は35,840百万円(前年同期比6.0%増)となりました。
〔HRコンサルティング、教育・研修、その他〕 売上高 2,183百万円当該事業では、フリーランスや上場企業の元役員などのプロフェッショナル人材によるコンサルティングや経営支援を行う顧問コンサルティング事業のほか、企業やパブリックセクターから受託している教育・研修事業、タレントマネジメントなどのHRテック導入支援事業を行っています。顧問コンサルティング事業では、経営戦略に直結する営業支援人材のニーズが増加しました。リクルーティング事業では、企業の人手不足に対応した採用コンサルティングが引き続き拡大し、サービスメニューの拡充を図りました。また、教育・研修事業では、アフターコロナで人流が活発になったことから接客業務研修等の需要が高まりました。これらの結果、売上高は2,183百万円(前年同期比8.0%増)となりました。
〔グローバルソーシング〕 売上高 2,545百万円 営業利益 49百万円当該事業では、海外において、人材紹介、人材派遣・請負、給与計算、教育・研修などのフルラインの人材関連サービスを提供しています。米国では、労働市場の人手不足感の高まりから、人材派遣及び人材紹介ともに伸長し前年同期比で増収となりました。アジア地域では、引き続き半導体産業を中心に人材需要が堅調に推移した台湾をはじめとして、ベトナムやタイ、インドネシアでも人材需要が高まり増収となりました。一方、事業活動の拡大に伴い、人材採用や研修などの販管費が先行的に増加したことから、利益は減益となりました。当期は引き続き経済成長を続けるASEAN地域を中心にBPOサービスの拡充、IT人材のクロスボーダー取引などに注力してまいります。これらの結果、円安進行による為替影響もあり、売上高は2,545百万円(前年同期比6.3%増)、営業利益は49百万円(前年同期比54.2%減)となりました。
以上の事業から構成されるセグメントの売上高は75,122百万円(前年同期比1.2%減)となりました。利益面では、主にエキスパートサービスにおいて社会保険料の負担が増加したほか、新型コロナウイルス感染症の収束に伴い医療専門職種の派遣が縮少したことから粗利率も低下しました。また、2023年1月に株式会社かんでんジョイナス(現 株式会社パソナジョイナス)を子会社化したことや、BPOサービスの事業成長に伴って主に人件費が増加したことから前年同期から販管費が増加しており、結果、営業利益は3,100百万円(前年同期比11.6%減)となりました。
キャリアソリューション(人材紹介、再就職支援) 売上高 3,341百万円 営業利益 1,025百万円当該事業は、企業の中途採用活動を支援し、転職希望者とのマッチングを行う人材紹介事業と、企業の人事戦略にもとづいて転身を支援する再就職支援事業を提供しています。人材紹介事業では、戦略的に注力しているハイキャリア領域を中心に事業が拡大しました。また、多様性の確保やダイバーシティの推進に取り組む企業が増えていることから、女性管理職の採用ニーズが高まっており、当社グループの実績とコーポレートブランドを活かすことで同分野での事業を拡大しました。再就職支援事業では、企業の事業構造の見直しが前年度同様に落ち着いていることから、需要の減少が続きました。一方で、人的資本経営への意識の高まりから、従業員に対してキャリアカウンセリングやリスキリングを実施する企業が増加しており、従業員の自律的なキャリア形成を支援する「セーフプレースメント・トータルサービス」の需要が順調に拡大しました。しかしながら、人材紹介事業の拡大が再就職支援事業の減少を補うまでには至らず、売上高は3,341百万円(前年同期比2.7%減)となりましたが、需要の高い事業への人員異動も進め、販管費の抑制に努めたことで、営業利益は1,025百万円(前年同期比11.5%増)となりました。
アウトソーシング 売上高 9,571百万円 営業利益 1,934百万円当該事業では、当社連結子会社である株式会社ベネフィット・ワンが、企業や官公庁・自治体の福利厚生業務の代行を中心にサービス提供を行っています。福利厚生事業では、売上高の大半を占めるストックの会費収入は前年同期比で増加する一方、会費収入以外の売上高が減少しました。前年同期比減収の要因は、旧JTBベネフィット特有の取引減少などによるものです。経費面では、会員のサービス利用に伴う補助金計上が前年同期比で増加、中長期成長に向けた人件費やシステム関連費用も増加しましたが、旧JTBベネフィットのサービス統合による重複コスト削減効果などもあり、概ね想定内の支出となりました。ヘルスケア事業においては、当初より見込んでいた新型コロナウイルスワクチン接種支援事業の取引縮小により減収となりました。また、健診・保健指導事業においては、収益が下期偏重となる季節性があるため当四半期の利益貢献は少額にとどまっております。これらの結果、売上高は9,571百万円(前年同期比9.6%減)、営業利益は1,934百万円(前年同期比33.2%減)となりました。
ライフソリューション 売上高 1,923百万円 営業利益 △5百万円当該事業では、認可・認証保育所、企業内保育施設、学童保育の運営などを行う保育事業、デイサービス、訪問介護などを行う介護事業、家事代行などのライフサポート事業を行っています。新型コロナウイルス感染症の収束に伴い、家事代行などのライフサポート事業において、病院や宿泊施設で実施していた除菌消毒サービスの需要が大幅に減少しました。一方で、自治体から受託している子育て家庭への家事代行サービスが広がり、新規の自治体からの案件獲得も進みました。保育事業では、認可保育園や学童クラブの新規開設により受入れ児童数が前年同期から増加しました。費用面では、保育施設の新規開設に伴う人件費や運営費用の増加がありました。これらの結果、売上高は1,923百万円(前年同期比2.0%減)、営業利益は△5百万円(前年同期は55百万円)となりました。
地方創生ソリューション 売上高 1,526百万円 営業利益 △648百万円当該事業では、地域住民や地域企業、地方自治体と協力、連携しながら、地方に新たな産業と雇用を創出する地方創生事業に取り組んでいます。新型コロナウイルス感染症の5類への移行に伴い、国内行動制限が緩和されたことから観光地への人流が回復しました。兵庫県淡路島では、全長100mのウッドデッキで“禅”や“ヨガ”などのアクティビティと健康的な食事を提供する「禅坊靖寧」や、地域の食材を使った地産地消の料理を提供する畑の中のレストラン「陽・燦燦(はる・さんさん)」は、大自然の魅力を存分に楽しむことができる施設として観光客が増加しました。また、兵庫県立淡路島公園アニメパーク「ニジゲンノモリ」では、特に欧米を中心に人気が高い「NARUTO & BORUTO 忍里」や「ゴジラ迎撃作戦~国立ゴジラ淡路島研究センター~」のアトラクションでインバウンドが増加しました。今後も関西圏の宿泊施設や交通機関でのプロモーションを行うほか、国別にマーケティング活動を実施することでインバウンドの獲得に取り組んでまいります。今夏においては記録的な猛暑が続いたことや台風等による天候不良が生じたこともあり、売上高は1,526百万円(前年同期比0.2%減)となり、営業利益はテレビCMなどの販管費を抑制したことから△648百万円(前年同期は△667百万円)となりました。なお、同セグメントは前期において一部子会社の決算期変更を実施しています。
消去又は全社 売上高 △1,604百万円 営業利益 △3,177百万円グループ間取引消去とグループシナジーの最大化のためのコストや新規事業のインキュベーションコスト、持株会社としての管理コストが含まれています。当第1四半期連結累計期間においては、人件費やDXを推進するIT関連費用が増加しましたが、前年同期に実施した東京・南青山「PASONA SQUARE」へのオフィス移転に伴う二重家賃がなくなり、グループ間取引消去の売上高は△1,604百万円(前期は△1,515百万円)、営業利益は△3,177百万円(前年同期は△3,381百万円)となりました。
■セグメント別業績
売上高
2023年5月期第1四半期
2024年5月期第1四半期
増減率
HRソリューション
90,089百万円
88,035百万円
△2.3%
エキスパートサービス(人材派遣)BPOサービス(委託・請負)他
76,071百万円
75,122百万円
△1.2%
エキスパートサービス(人材派遣)
37,837百万円
34,551百万円
△8.7%
BPOサービス(委託・請負)
33,817百万円
35,840百万円
+6.0%
HRコンサルティング、教育・研修、その他
2,021百万円
2,183百万円
+8.0%
グローバルソーシング(海外人材サービス)
2,395百万円
2,545百万円
+6.3%
キャリアソリューション(人材紹介、再就職支援)
3,434百万円
3,341百万円
△2.7%
アウトソーシング
10,583百万円
9,571百万円
△9.6%
ライフソリューション
1,963百万円
1,923百万円
△2.0%
地方創生ソリューション
1,529百万円
1,526百万円
△0.2%
消去又は全社
△1,515百万円
△1,604百万円
-
合計
92,066百万円
89,881百万円
△2.4%
営業利益
2023年5月期第1四半期
2024年5月期第1四半期
増減率
HRソリューション
7,323百万円
6,060百万円
△17.2%
エキスパートサービス(人材派遣)BPOサービス(委託・請負)他
3,506百万円
3,100百万円
△11.6%
エキスパートサービス(人材派遣)
3,398百万円
3,050百万円
△10.2%
BPOサービス(委託・請負)
HRコンサルティング、教育・研修、その他
グローバルソーシング(海外人材サービス)
108百万円
49百万円
△54.2%
キャリアソリューション(人材紹介、再就職支援)
919百万円
1,025百万円
+11.5%
アウトソーシング
2,897百万円
1,934百万円
△33.2%
ライフソリューション
55百万円
△5百万円
-
地方創生ソリューション
△667百万円
△648百万円
-
消去又は全社
△3,381百万円
△3,177百万円
-
合計
3,330百万円
2,228百万円
△33.1%
(2) 財政状態の分析
資産、負債及び純資産の状況当第1四半期連結会計期間末の資産及び負債には、当社グループによる使用が制限されている受託案件に係る顧客からの一時的な「預り金」とそれに見合う「現金及び預金」が65,297百万円(前連結会計年度末74,869百万円)計上されております。当第1四半期連結会計期間末の資産は、前連結会計年度末に比べて17,436百万円減少(6.3%減)し、258,068百万円となりました。受託案件の増加に伴い受取手形、売掛金及び契約資産が1,426百万円増加したことや、地方創生事業等の有形固定資産が1,476百万円増加した一方で、上記の「預り金」の減少や、配当金や法人税等の支払いにより現金及び預金が21,364百万円減少したことなどによるものであります。当第1四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べて14,038百万円減少(6.9%減)し、189,842百万円となりました。上記の受託案件等による「預り金」が9,525百万円減少、支払いが進んだことにより買掛金が2,575百万円減少、納税により未払法人税等が1,823百万円減少したことなどによるものであります。当第1四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べて、3,398百万円減少(4.7%減)し、68,225百万円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益が187百万円となった一方で、配当金の支払いが1,396百万円あったことにより利益剰余金が1,208百万円減少、子会社の配当などにより非支配株主持分が2,337百万円減少したことなどによるものであります。以上の結果、当第1四半期連結会計期間末の自己資本比率は、20.5%(前連結会計年度末19.6%)となりました。なお、受託案件に係る「預り金」に伴う「現金及び預金」を控除した総資産は、192,770百万円(同200,634百万円)であり、自己資本比率は27.5%(同26.9%)となります。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定についての重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間において、特記すべき重要な事項はありません。
(6) 主要な設備
当第1四半期連結会計期間末において、建設中の主要な設備は以下のとおりであります。
会社名
所在地
セグメントの名称
設備の内容
投資予定額(百万円)
資金調達方法
総額
既支払額
株式会社パソナグループ
兵庫県淡路市
地方創生ソリューション
商業用設備
13,000~14,000
585
借入金及び自己資金(予定)
株式会社パソナグループ
兵庫県淡路市
全社
護岸/土地整備
4,200
3,237
自己資金
株式会社パソナグループ
兵庫県淡路市
地方創生ソリューション
商業用設備
2,300
91
自己資金
(注) 1 上記金額には消費税等は含まれておりません。
2 上記の投資予定額は一部、資産計上されず費用処理される可能性のある部分を含んでおります。
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