【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、本四半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の状況①当第3四半期の経営成績当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、世界的な金融引締めや物価上昇等による国内景気の下押しリスクがあるものの、景気は緩やかに持ち直しの動きが継続しました。こうした中、当社グループにおいては、BPOサービス及びアウトソーシングの需要が伸長したほか、人材需要も引き続き堅調に推移し、キャリアソリューションの人材紹介サービスは前年同期を上回って推移しました。海外(グローバルソーシング)においても人材需要は回復しており、為替影響による押し上げ効果を除いても、前年同期から利益拡大しています。また、新型コロナウイルス感染症の収束により、国内観光が回復する中、地方創生ソリューションでは新規施設の寄与もあって着実に観光客が増加しており、一部子会社の決算期変更もあいまって、売上が大きく伸長しました。これらの結果、当第3四半期連結累計期間の連結売上高は277,280百万円(前年同期比2.4%増)となり、売上総利益は67,813百万円(前年同期比2.7%増)となりました。販管費は57,148百万円(前年同期比17.4%増)と前年同期から増加しましたが、これらは主にアウトソーシングの外部成長コストや大型プロモーションに係る費用、加えて第1四半期に実施した東京オフィスの移転に伴う一時費用が影響しています。結果、営業利益は10,664百万円(前年同期比38.5%減)、経常利益は11,445百万円(前年同期比35.6%減)となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は3,948百万円(前年同期比46.0%減)となりました。
■連結業績
2022年5月期第3四半期(累計)
2023年5月期第3四半期(累計)
増減率
売上高
270,875
百万円
277,280
百万円
+2.4
%
営業利益
17,348
百万円
10,664
百万円
△38.5
%
経常利益
17,760
百万円
11,445
百万円
△35.6
%
親会社株主に帰属する四半期純利益
7,314
百万円
3,948
百万円
△46.0
%
②事業別の状況(セグメント間取引消去前)
HRソリューションエキスパートサービス(人材派遣)、BPOサービス(委託・請負)他売上高 229,463百万円 営業利益 11,409百万円〔エキスパートサービス〕 売上高 110,876百万円当該事業では、オフィスワークを中心に事務職から高度な専門スキルを備えた人材やエンジニア、営業・販売職、また新卒からシニアまで幅広い世代、職種のエキスパートサービス(人材派遣)を展開しています。人材派遣の需要は回復基調が継続し、主に金融業界やIT、メーカーなど幅広い業界から受注が回復しました。しかしながら、足元の当四半期では売上高は前年同期を上回っているものの、前年度の特需分を埋めるには至らず、売上高は110,876百万円(前年同期比2.8%減)となりました。なお、2023年1月5日付で子会社化した株式会社かんでんジョイナス(4月1日に「株式会社パソナジョイナス」に商号変更)については、当第4四半期より業績寄与することとなります。
〔BPOサービス〕 売上高 104,718百万円当該事業では、総務・庶務、経理・財務、受付、営業事務・受発注、人事・労務・給与計算などの業務を当社グループが受託しBPOサービスを提供しているほか、連結子会社であるビーウィズ株式会社が自社開発のデジタル技術を活用したコンタクトセンター・BPOサービスを提供しています。BPOサービスの需要は引き続き強く、前年の特需影響を新規案件の積み上げや既存取引のサービス領域拡大によってカバーし、売上高は前年同期を上回りました。前期に続いてwithコロナへと社会環境が移行する中で、パブリックセクターからは就職支援、人材育成などに伴う事業を新たに獲得しているほか、民間企業からは組織の構造改革やローコード開発によるシステム内製化支援などDX推進に関連した需要が継続しています。これらの結果、売上高は104,718百万円(前年同期比2.1%増)となりました。
〔HRコンサルティング、教育・研修、その他〕 売上高 6,580百万円当該事業では、フリーランスや上場企業の元役員などのプロフェッショナル人材による経営支援のほか、企業やパブリックセクターから受託している教育・研修事業、タレントマネジメントなどのHRテック導入支援事業を行っています。教育・研修事業では、女性活躍推進に関する研修が前年よりも増加したほか、2022年10月からは「人的資本経営の可視化支援サービス」を開始するなど、上場企業を中心に関心が高まっている人的資本経営に関する事業を強化しました。顧問コンサルティング事業においては、人材会社のノウハウを強みとした採用コンサルティングが拡大しました。これらの結果、売上高は6,580百万円(前年同期比5.2%増)となりました。
〔グローバルソーシング〕 売上高 7,288百万円 営業利益 456百万円当該事業では、海外において、人材紹介、人材派遣・請負、給与計算、教育・研修などのフルラインの人材関連サービスを提供しています。北米地域では、人材紹介手数料の単価上昇やエグゼクティブ層の成約が拡大し、BPOではペイロール関連の業務受託が伸長しました。アジア地域では、台湾で主に半導体製造業の人材需要が継続し、人材紹介・人材派遣が増収となりました。さらにインドやタイ、マレーシアでも業績が回復しています。また当期は、当社グループ各拠点の事業特性を活かしたクロスボーダー取引にも注力しており、ベトナムでのIT開発業務など各国で横展開できるよう事業連携を進めています。これらの結果、円安進行による為替影響もあり、売上高は7,288百万円(前年同期比18.6%増)、営業利益は456百万円(前年同期比77.4%増)となりました。
以上の事業から構成されるセグメントの売上高は229,463百万円(前年同期比0.2%増)となりました。利益面では、主にエキスパートサービスにおいて、稼働スタッフの有給休暇取得や社会保険料の増加に伴い、粗利率が低下したことや、人件費などの販管費が増加したことから営業利益は11,409百万円(前年同期比18.9%減)となりました。
キャリアソリューション(人材紹介、再就職支援) 売上高 10,305百万円 営業利益 2,969百万円当該事業は、企業の中途採用活動を支援し、転職希望者とのマッチングを行う人材紹介事業と、企業の人事戦略に基づいて転身を支援する再就職支援事業を提供しています。人材紹介事業では、当社が注力しているハイキャリアや専門職種領域での企業の採用意欲は高い状態が続いており、成約数の増加と合わせて成約単価も上昇しました。また、女性管理職の採用ニーズも引き続き強く、事業が拡大しています。再就職支援事業では、企業の事業構造の見直しが落ち着いたことにより再就職支援の需要は減少しています。一方、改正高齢者雇用安定法の施行や人的資本経営への関心の高まりから、従業員の将来のキャリア形成を支援する「セーフプレースメント・トータルサービス」の需要は順調に拡大しています。 これらの結果、人材紹介事業は拡大しているものの、再就職支援事業の減少を補うまでには至らず、売上高は10,305百万円(前年同期比6.5%減)、営業利益は2,969百万円(前年同期比11.6%減)となりました。
アウトソーシング 売上高 31,022百万円 営業利益 7,838百万円当該事業では、当社連結子会社である株式会社ベネフィット・ワンが、企業や官公庁・自治体の福利厚生業務の代行を中心にサービス提供を行っています。福利厚生事業では、M&Aによる外部成長に加え、期中における公務員共済組合の非常勤職員の加入拡大などにより増収となりました。また福利厚生会員のサービス利用及びこれに係る補助金支出については、前期比で増加ながら、想定をやや下回る状況が続いています。ヘルスケア事業においては、新型コロナワクチン接種支援事業が堅調で当初予想を上回る一方、保健指導事業ではコロナ禍影響が残り実施進捗に遅れが生じていることから、保健指導対象者への受診勧奨に努めています。また、当第3四半期連結累計期間においてはCM等のプロモーション投資を実施しているほか、本社移転に伴う一時費用を販管費で計上しています。これらの結果、売上高は31,022百万円(前年同期比14.6%増)、営業利益は7,838百万円(前年同期比17.8%減)となりました。
ライフソリューション 売上高 6,114百万円 営業利益 314百万円当該事業では、認可・認証保育所、企業内保育施設、学童保育の運営などを行う保育事業、デイサービス、訪問介護などを行う介護事業、家事代行などのライフサポート事業を行っています。介護事業では、引き続き、新型コロナウイルス感染症の宿泊療養施設への介護派遣が増加しました。家事代行などのライフサポート事業では、一般家庭の新規顧客や、自治体から受託している子育て家庭支援サービスが成長しました。保育事業では、在宅ワークの広がりにより、企業内保育所は縮小傾向にあるものの、学童クラブの運営施設数が増加したほか、認可保育施設では受入児童数が順調に増加しました。これらの結果、売上高は6,114百万円(前年同期比16.2%増)、営業利益は314百万円(前年同期比76.9%増)となりました。
地方創生ソリューション 売上高 5,247百万円 営業利益 △2,119百万円当該事業では、地域住民や地域企業、地方自治体と協力、連携しながら、地方に新たな産業と雇用を創出する地方創生事業に取り組んでいます。兵庫県淡路島では、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限が緩和されたことで、観光地への人流が回復しました。当第3四半期連結累計期間においては、期初から新たなアトラクションや施設が人気を集めたほか、昨年10月には島内でウェルビーイングをテーマにした料理大会や国際フォーラム、ビジネスコンテスト、運動会等、様々なイベントを開催し、地域の持続的な発展に向けて国内外から幅広い層の交流人口の獲得にも取り組みました。また当第3四半期連結会計期間に、一部子会社の決算期を3月から5月に変更したことを受けて、2ヶ月分の業績を上乗せして反映させたこともあり、売上高は5,247百万円(前年同期比59.4%増)と増加しましたが、1月及び2月の冬の閑散期を取り込んだため赤字幅が拡大し、営業利益は△2,119百万円(前年同期は△1,702百万円)となりました。
消去又は全社 売上高 △4,872百万円 営業利益 △9,748百万円グループ間取引消去とグループシナジーの最大化のためのコストや新規事業のインキュベーションコスト、持株会社としての管理コストが含まれています。当第3四半期連結累計期間においては、第1四半期に実施した東京・南青山「PASONA SQUARE」へのオフィス移転に伴う一時的な費用及び移転期間の二重家賃が生じているほか、段階的に進めている兵庫県淡路島への本社機能の一部移転に係る費用が増加しました。
これらの結果、グループ間取引消去の売上高は△4,872百万円(前年同期は△4,788百万円)、営業利益は△9,748百万円(前年同期は△8,094百万円)となりました。
■セグメント別業績
売上高
2022年5月期第3四半期(累計)
2023年5月期第3四半期(累計)
増減率
HRソリューション
267,109百万円
270,791百万円
+1.4%
エキスパートサービス(人材派遣)BPOサービス(委託・請負)他
229,022百万円
229,463百万円
+0.2%
エキスパートサービス(人材派遣)
114,102百万円
110,876百万円
△2.8%
BPOサービス(委託・請負)
102,518百万円
104,718百万円
+2.1%
HRコンサルティング、教育・研修、その他
6,256百万円
6,580百万円
+5.2%
グローバルソーシング(海外人材サービス)
6,145百万円
7,288百万円
+18.6%
キャリアソリューション(人材紹介、再就職支援)
11,021百万円
10,305百万円
△6.5%
アウトソーシング
27,065百万円
31,022百万円
+14.6%
ライフソリューション
5,262百万円
6,114百万円
+16.2%
地方創生ソリューション
3,291百万円
5,247百万円
+59.4%
消去又は全社
△4,788百万円
△4,872百万円
-
合計
270,875百万円
277,280百万円
+2.4%
営業利益
2022年5月期第3四半期(累計)
2023年5月期第3四半期(累計)
増減率
HRソリューション
26,967百万円
22,218百万円
△17.6%
エキスパートサービス(人材派遣)BPOサービス(委託・請負)他
14,075百万円
11,409百万円
△18.9%
エキスパートサービス(人材派遣)
13,818百万円
10,953百万円
△20.7%
BPOサービス(委託・請負)
HRコンサルティング、教育・研修、その他
グローバルソーシング(海外人材サービス)
257百万円
456百万円
+77.4%
キャリアソリューション(人材紹介、再就職支援)
3,358百万円
2,969百万円
△11.6%
アウトソーシング
9,533百万円
7,838百万円
△17.8%
ライフソリューション
177百万円
314百万円
+76.9%
地方創生ソリューション
△1,702百万円
△2,119百万円
-
消去又は全社
△8,094百万円
△9,748百万円
-
合計
17,348百万円
10,664百万円
△38.5%
(2) 財政状態の分析資産、負債及び純資産の状況当第3四半期連結会計期間末の資産及び負債には、当社グループによる使用が制限されている受託案件に係る顧客からの一時的な「預り金」とそれに見合う「現金及び預金」が65,085百万円(前連結会計年度末10,123百万円)計上されております。当第3四半期連結会計期間末の資産は、前連結会計年度末に比べて53,688百万円増加(26.4%増)し、257,434百万円となりました。上記の「預り金」影響もあり、現金及び預金が34,750百万円増加、受託案件の増加に伴い受取手形、売掛金及び契約資産が10,280百万円増加、地方創生事業等の有形固定資産が4,455百万円増加したことなどによるものです。当第3四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べて53,050百万円増加(38.8%増)し、189,650百万円となりました。上記の受託案件等により預り金が54,619百万円増加、資金調達により長期借入金が5,798百万円増加した一方で、支払いが進んだことにより買掛金が3,179百万円減少、法人税等の支払いなどにより未払法人税等が4,819百万円減少したことなどによるものです。当第3四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べて637百万円増加(0.9%増)し、67,784百万円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益が3,948百万円となった一方で、配当金の支払いが1,396百万円あったことにより利益剰余金が2,551百万円増加、当社の連結子会社である株式会社ベネフィット・ワンが自己株式の取得を行ったことなどにより資本剰余金が683百万円減少、子会社の配当などにより非支配株主持分が928百万円減少したことなどによるものです。以上の結果、当第3四半期連結会計期間末の自己資本比率は、20.0%(前連結会計年度末24.5%)となりました。なお、受託案件に係る「預り金」に伴う「現金及び預金」を控除した総資産は、192,348百万円(同193,622百万円)であり、自己資本比率は26.8%(同25.8%)となります。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当第3四半期連結累計期間において、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定についての重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間において、特記すべき重要な事項はありません。
(6) 主要な設備 当第3四半期連結累計期間において、前連結会計年度より建設に着手しておりました商業用設備及び事業所設備 が竣工いたしました。 当第3四半期連結会計期間末において、新たに計画及び建設中の主要な設備は以下のとおりであります。
会社名
所在地
セグメントの名称
設備の内容
投資予定額(百万円)
資金調達方法
総額
既支払額
㈱パソナグループ
兵庫県淡路市
地方創生ソリューション
商業用設備
13,000~14,000
551
借入金及び自己資金(予定)
㈱パソナグループ
兵庫県淡路市
全社
護岸/土地整備
3,400
1,766
自己資金
㈱パソナグループ
兵庫県淡路市
地方創生ソリューション
商業用設備
2,300
100
自己資金
㈱パソナグループ
兵庫県淡路市
地方創生ソリューション
商業用設備
700
380
自己資金
(注) 1 上記金額には消費税等は含まれておりません。
2 上記の投資予定額は一部、資産計上されず費用処理される可能性のある部分を含んでおります。
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