【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間においては、新型コロナウイルス感染症について3月には新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針が変更されマスク着用が個人の主体的な判断に委ねられるとともに、5月には感染症法上の位置づけが5類感染症に変更となり、社会経済活動の正常化が進み消費行動が活発になりました。しかしながら、引き続き不安定な国際情勢による原材料やエネルギー価格の高騰、円安による物価上昇の長期化が消費行動に影響し景気は先行き不透明な状況が続いております。このような環境において、当社グループは、“私たちは、「おいしさ」と「便利さ」で、笑顔あふれる社会を実現します。”というミッションのもと、お客さまの生活スタイルの変化に応じた「おいしさ」と「便利さ」をご提供するために、2023年度方針を「個店モデルの競争力向上(モデル確立)と戦略的成長の推進」と定め、デジタルシフト・アジアシフトに向けた事業再設計を推し進めております。国内事業では、店舗事業について店内加工ファストフード商品とコンビニエンスストア商品の両方の価値を磨き上げ個店競争力を高める「Newコンボストアモデル」確立を推し進めたことにより、既存店日販および売上総利益率が伸長しました。また「Newコンボストアモデル」確立に向けた既存店改装を進める一方で、3月には今年度計画していた不採算店舗の整理を完了しました。新たな成長事業として投資を進めるデジタル事業については、デリバリーサービス・Eコマースを拡充し売上高が伸長したほか、職域事業については拠点数が拡大するとともに拠点当たり収益が増加し事業として安定した利益を創出する段階となりました。これらにより国内事業の営業損失は前年同期より縮小しました。海外事業では、市場成長が続くベトナム事業について直営多店舗化事業として成長させるべく、お客さまニーズに積極的に応える品揃えの新フォーマットで新規出店と既存店改装を推し進めたことにより、営業損失は前年同期より縮小しました。これらの取り組みで国内および海外事業の質的改善が進み、当第1四半期連結累計期間において営業損失は前年同期より2億4百万円縮小しました。前年同期においては、経営資源を集中し強固な経営基盤の確立を図るために韓国ミニストップ株式会社の全株式の譲渡により関係会社株式売却益238億31百万円を計上したことに対し、今期は事業の集中と選択による効果を創出するステージと位置づけ、国内および海外事業の成長を推し進めております。この結果、当第1四半期連結累計期間の営業総収入は195億16百万円(前年同期比95.0%)、営業損失5億24百万円(前年同期実績 営業損失7億29百万円)、経常損失4億円(前年同期実績 経常損失5億46百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失3億12百万円(前年同期実績 親会社株主に帰属する四半期純利益142億53百万円)となりました。
各セグメント別の業績は以下のとおりです。[国内事業]ミニストップ単体のチェーン全店売上高は前年同期比97.4%となりました。また売上総利益率は前期比1.0ポイント改善し30.5%となりました。ミニストップ店舗の既存店1店1日あたりの売上高の前年比は100.9%、既存店平均客数は同98.5%、既存店平均客単価は同102.4%となりました。コンビニエンスストア商品の既存店日販は同98.4%、店内加工ファストフード商品の既存店日販は同117.6%となりました。お客さまの生活防衛意識の高まりにお応えするお値打ち価格の品揃えやお買い得商品の訴求および販売促進企画では、ソフトドリンクやRTD・洋酒でイオングループのスケールメリットを活かしたトップバリュベストプライスをはじめとしたイオングループ限定商品の品揃えを拡充したことにより、売上を押し上げました。また、菓子やスナックではオリジナル商品を中心にお買い得価格の品揃えを拡充するとともに、ジャンブル陳列什器を2023年5月末時点で783店舗に導入し買い合わせを訴求したことにより売上を押し上げました。お買い得商品の販売促進企画では、菓子・惣菜パンと食卓パンで、ご購入数量が増えるほどお買い得になる「買うほどおトク」キャンペーンを毎月実施したほか、4月には人気商品を価格据え置きで増量した「増量フェア」を開催しボリュームを増やした定番商品が好調な販売となり売上を押し上げました。「増量フェア」では店内加工ファストフード商品の「十勝ハッシュドポテト」や「クリスピーポテト」も増量しお買い得を訴求したことでポテトの売上を押し上げました。
お客さまにご満足いただける「おいしさ」をお届けする高付加価値の商品開発および価値を訴求する販売促進企画では、店内調理でできたてをお届けするホットスナックについて、5月に人気惣菜のから揚げのリニューアルを行い、味や食感にこだわるとともに製造工程を効率化した「薄衣から揚げ」を発売し売上を押し上げました。また店内で炊き上げたごはんと店内加工の惣菜を組み合わせてできたてのおいしさを提供する店内手づくり弁当では、この「薄衣から揚げ」を使用した「から揚げ弁当」を発売し好調な販売となったことで売上を押し上げました。コールドスイーツでは、定番商品として毎年ご好評いただいているハロハロについて、気温上昇に合わせて例年よりも早い販売計画を実行するとともに高付加価値の商品開発を推し進めました。3月には人気ブランド監修商品の「ハロハロ贅沢ショコラいちご」、外出機会が増加する4月には「ハロハロパチパチクリームソーダ」、5月には「ハロハロ果実氷いちご」を発売し行楽シーズンの需要を取り込んだことで販売が好調に推移しました。また、5月には北海道生乳や北海道産食材を使用しおいしさにこだわった商品を発売した「北海道フェア」を実施しました。当社の看板商品であるソフトクリームは「牧場で食べるソフトクリームよりおいしい!」を目指して、多くのお客さまにミルクの濃厚さとコクを味わっていただくために原材料にこだわり、高品質で豊富な生産量の北海道産生乳を使用してきました。今回の北海道フェアでも北海道産の原材料にこだわって「おいしさ」の価値を追求した19商品を発売しフェアの趣旨を開催発表会でお伝えしながら大々的に展開しました。ソフトクリームでは、北海道フェアの中心商品として訴求したソフトクリームバニラを中心に好調な販売となり売上を押し上げました。また店内セルフコーヒーでは北海道産特選牛乳を使用した「こだわりミルクのカフェラテ(ホット・アイス)」をはじめ好調な販売となり売上を押し上げました。コンビニエンスストア商品のスイーツでは北海道産牛乳を使用した「北海道ミルクもちとろシュー」を発売し袋スイーツの売上を押し上げました。5月のフェア終了後も北海道産の原材料を使用した商品を継続してリリースしております。今後も当社のミッションである「おいしさ」の実現にこだわり続け、ミニストップブランドの想起につながる高付加価値の商品開発を拡大してまいります。コンビニエンスストア商品と店内加工ファストフード商品の両方を磨き上げる「Newコンボストアモデル」を確立し個店競争力を高めるため、先行モデル店舗(以下、ラボ店舗)にて業態を超えた競争各社と当社店舗の売場展開を比較評価しお客さまニーズに沿った品揃えの見直しおよび商品開発を進める商品改革を推し進めました。また、ラボ店舗で確立した売場展開や取り組みの成功事例の蓄積である成功カセットを一括して水平展開し個店競争力を高めるための既存店改装を2023年5月末時点で計画通り75店舗にて実施しました。「Newコンボストアモデル」確立に向けラボ店舗で実証した53の成功カセットを実現するための設備改装に加えて、オペレーション改革をはじめとした新たな心構えでお客さまをお迎えするためのソフト面での一新を進めました。設備改装では市場が伸長している冷凍食品では売場を拡大し主食やおかずの品揃えを拡充したことにより改装後前年比30%以上伸長したほか、コンビニエンスストア商品の弁当類と店内手づくり米飯ではお客さまの買い合わせを促進するために売場を隣接する什器を導入し店内手づくり米飯の売上は前年比40%以上伸長しました。また、お買い得商品を訴求するジャンブル陳列什器のほか、買い合わせを促すサイドネットの展開、ゴンドラの売場を拡張し品揃えを拡充するためのジョイント什器の導入を進めたことによりスナックやラーメン、雑貨の売上は改装前の前年比を上回りました。加えて、店内でご注文いただいた後、製造や再調理を行うコールドスイーツやポテト、チキンについて、お客さまが気軽にご注文できるようセルフレジでの注文システムとお呼び出しモニターを整備するとともにデジタルコルトンを活用した商品訴求を進めました。これにより改装後のコールドスイーツやポテト、チキンの売上高は改装前の前年比を上回りました。設備改装が不要なソフト面の改装についてはオペレーション改革の成功カセット導入を全店で推進しております。お客さまに常にご満足いただける売場づくりを実現するオペレーション改革では、店舗作業の効率化と時間帯別の作業割り当てを再設計し店舗の全ての作業を完全作業するため、ワークスケジュールの全店導入を推進しております。高付加価値の店内加工ファストフード商品の品揃えを常に充実させ、お客さまのご注文に速やかにお応えしご提供するために、ワークスケジュールで店内加工ファストフード商品の提供に携わる従業員の役割分担を他の従業員と明確に区分しご注文へ速やかに対応できる体制を推進したことにより、店内加工ファストフード商品について売上を押し上げるといった側面から効果が現れ始めております。設備改装およびソフト面での改装いずれについても、成功事例を蓄積し次の改装に向けた事例共有を進めることで、改装を重ねるにつれて初期段階から最大の成果を発揮できるよう取り組んでおります。引き続き2023年度計画に従って設備改装が必要な既存店改装を進めるとともに、ワークスケジュール導入や従業員教育といったお客さまをお迎えする姿勢を一新する全店でのソフト面の改装を「心装」と呼び、加盟店の皆さまとこの「心装」を進めてまいります。
加盟店との新たな関係を築き、共に継続的な成長を目指すミニストップパートナーシップ契約店舗は2023年5月末において428店舗となりました。パートナーシップ契約店舗の拡大に伴い加盟店と本部が共に成長するために、発注指導や効果的な稼働計画の設計をはじめ、従来の経営指導体制では未着手となっていた人材確保や教育などといった領域に踏み込み本質的な経営指導を行う経営指導体制改革・本部改革を推進しております。従来の経営指導からの質的転換を進め、当第1四半期連結累計期間におけるパートナーシップ契約店舗の1店1日当たり売上高の前年比は全店の実績を上回りました。また店舗の経営効率を向上させるため、AIを活用した発注提案システムの導入を直営店で進めております。引き続き、加盟店と本部が共働し本部の経営指導に加えて加盟店の適正な投資とお客さまニーズにお応えする売場づくりによって売上を向上させ、共に繁栄する事業の共同体を目指して加盟店と一丸となって取り組んでまいります。店舗開発は、1店舗を出店、55店舗を期首の3月時点で計画的に閉店しました。当第1四半期連結累計期間末店舗数は1,853店舗となりました。お客さまの商品購入手段や購入場所の多様化に対応し需要に的確にお応えするために、デジタル事業のデリバリーサービスやEコマース、職域事業について新たな成長事業として投資を進め販売チャネルの拡充に取り組んでおります。また個店競争力を高めた「Newコンボストアモデル」の次のステップとして、リアル店舗とオンラインを融合し新たなお買い物体験を提供するためのインターフェースとなるミニストップアプリの進化を推し進めております。デリバリーサービスでは、複数のデリバリーサービス事業者との連携を進め新規顧客獲得を目的とした販売促進を実施しました。また、「パーティーセット」や「3種のポテトセット」などおひとり様でも、シェアしてもお楽しみいただけるデリバリー専用商品を発売し好評を博したことにより売上高は前年同期比で13倍以上伸長しました。Eコマースでは、複数の国内大手ECモールに出店しお客さまのタッチポイントを増やしました。また、各種ギフト商品のほかオリジナル冷凍食品では人気惣菜の「ささみしそ巻き(梅風味)」や「薄衣から揚げ」、コールドスイーツの「冷凍マンゴー」を発売するなど品揃えを拡充しEコマース全体の売上高は前年同期比で9倍以上伸長しました。職域事業では、オフィスなどの施設内に設置する無人コンビニ「MINISTOP POCKET(ミニストップ・ポケット)」の拠点数が2023年5月末時点で1,015拠点となり2018年の事業開始以来5年で1,000拠点を突破しました。また、新型コロナウイルス感染症の行動制限の緩和による人流回復に伴い拠点ごとに異なるお客さまニーズを品揃えに反映することで、拠点当たり売上高は前年同期比20%以上伸長し職域事業として安定した利益を継続して創出する段階に成長しました。リアル店舗からデジタル事業への入口として進化させているミニストップアプリは、顧客購買分析に基づいてアプリ利用が集中する日や曜日を限定したクーポン配信を実施しダウンロード数は2023年5月末時点で97万件を超え、会員売上高は前年同期と比較して2.5倍以上伸長しました。引き続き6月にはペイメントサービスとの連携、7月にはモバイルオーダー機能の追加を進め、登録会員数と会員売上高を引き上げていくとともに、OMO(Online Merges with Offline、オンラインとオフラインの融合)の実現に向けリアル店舗とデジタル事業で共通の1to1マーケティングの顧客基盤を構築することで事業の相乗効果を生み出してまいります。「Newコンボストアモデル」の確立および新事業の成長を着実に推進するために、全社での業務設計を見直し成果を出すためのマネジメントシステム改革を推し進めております。意思決定プロセスと職務要件の再定義を進めるとともに、成果につなげるための週次での行動設計と進行状況評価を明確にすることでPDCAのプロセスを改善し生産性を高めてまいります。環境・社会に向けての取り組みでは、気候変動対応として当社が算定した範囲内におけるCO2排出量の87.6%を占める店舗の電力使用量を削減することに注力しております。2030年までに店舗で排出するCO2を2013年比50%削減するという目標のもと、一部地域の使用電力源を再生可能エネルギーに切り替えるとともに、店内外の照明を蛍光灯からLEDに変更する取り組みや店舗における節電ガイドブックを活用した節電の取り組みにより、店舗あたりの平均電力使用量を前年同時期から削減しました。資源循環の促進として、食品ロス削減については2025年までに2015年比50%削減するという目標のもと、値引き販売による「発生抑制(リデュース)」を91.3%の店舗で進めており、資源循環に取り組むことにより生物多様性にも配慮した活動を行っています。また、小学校に花の苗を届ける花の輪運動募金を通年で実施するとともに、イオン ユニセフセーフウォーターキャンペーン募金を実施しカンボジア・ミャンマーの子どもたちに安全な水を提供するためにお客さまのご協力のもと1,847千円を寄付いたしました。ネットワークサービス株式会社は、国内店舗向けの共同配送事業を展開しており、定温センター13ヶ所、常温センター6ヶ所、冷凍センター10ヶ所を運営しています。配送ルートの見直しによってコストを削減するとともに環境負荷の低減に取り組んでいます。以上の結果、当第1四半期連結累計期間における国内事業の営業総収入は176億49百万円(前年同期比92.1%)、営業損失は4億61百万円(前年同期実績 営業損失6億31百万円)となりました。
[海外事業]海外事業は、直営多店舗化事業として成長投資を進めるベトナム事業について店舗数拡大と新フォーマット確立を進めたことにより、前年同期より営業総収入は4億85百万円増加し営業損失は34百万円縮小しました。ベトナムのMINISTOP VIETNAM COMPANY LIMITEDは、直営多店舗化事業として日常の買い物が1ヶ所で完結できるワンストップ型新フォーマットの新規出店と既存店改装を推し進めるとともに、生産性を向上させるための店舗運営モデルの構築を推進しチェーン全店売上高は前年同期比137.6%となりました。新フォーマットは新規出店で3店舗、既存店改装を2店舗にて実施し、当第1四半期連結累計期間末店舗数(2023年3月末)は140店舗となりました。ベトナム市場の成長が続くなか、お客さまの生活に身近な日常使いの店舗としてニーズを積極的に取り込むために、野菜や果物、冷凍食品の品揃えを充実させたほか、まとめ買い需要に対応してインスタント麺や飲料の品揃え拡充とケース展開を進めました。また、主食のおにぎりやサンドイッチのほか、カウンターフーズでは手軽に食べられるおでんや中華まんについて品揃えを充実させるとともに品質向上を進め全店日販は前年同期を上回りました。店舗運営モデルの構築では、国内事業でも推進し成功事例の知見が蓄積された店舗作業の効率化とワークスケジュールの導入を推し進めたほか、国内事業に先行したマニュアルの電子化を推進しました。また、多店舗化に向けた後方支援として店舗サポートデスクの整備を進めました。以上の結果、当第1四半期連結累計期間における海外事業の営業総収入は18億67百万円(前年同期比135.1%)、営業損失は63百万円(前年同期実績 営業損失97百万円)となりました。
[財政状態]当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ53億8百万円増加し、845億26百万円となりました。これは主に現金及び預金が53億95百万円、未収入金が29億58百万円増加し、関係会社預け金が40億円減少したことによります。負債は、前連結会計年度末に比べ58億97百万円増加し、445億5百万円となりました。これは主に預り金が56億99百万円、買掛金が9億91百万円増加し、未払法人税等が5億53百万円減少したことによります。純資産は、前連結会計年度末に比べ5億89百万円減少し、400億20百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純損失を3億12百万円計上したことによります。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(3) 研究開発活動該当事項はありません。
(4) 従業員数当第1四半期連結累計期間において、当社グループの従業員数の著しい増減はありません。
(5) 生産、受注及び販売の実績当第1四半期連結累計期間において、当社グループの生産、受注および販売実績の著しい変動はありません。