【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度(2022年6月1日~2023年5月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続いたものの、行動制限・水際対策の緩和などにより、経済活動正常化の動きが見られました。しかしながら、原材料価格・エネルギー価格の高騰による物価上昇等、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。ドラッグストア業界におきましては、行動規制緩和によりインバウンド需要には回復の兆しが見られる一方、新型コロナウイルス感染対策商材の需要縮小や、物価上昇に伴う節約志向の高まりに加え、競合他社の出店や価格競争の激化、他業種からの参入や企業の統合・再編の動きが強まっており、厳しい環境が続いております。このような状況の中、当社グループは「生活・予防・医療・介護」の各領域において地域に貢献する総合ヘルスケアサポートを推進しております。<ドラッグストア事業> ドラッグストア事業につきましては、EDLP(エブリデイ・ロープライス)を推進しつつ、日常生活に必要なものが一ヶ所で揃うワンストップショッピングや健康生活に関する日常的な相談拠点のニーズに対応するため、生鮮食品・冷凍食品の品揃え拡充、調剤薬局の併設推進に取り組み、小商圏における利便性及び専門性の向上に注力してまいりました。当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染対策商材の需要に加えて、生活必需品を始めとしたEDLP施策が奏功した結果、売上高は前年同期・計画を上回りました。調剤部門においては、報酬改定の影響があったものの、調剤薬局の併設推進に取り組んだ結果、処方箋応需枚数は堅調に推移しました。経費面につきましても、エネルギー価格高騰により水道光熱費は大幅に増加しましたが、可能な範囲での節電施策の徹底や、現場での人時適正化等に取り組み、計画内に収めました。ドラッグストアの新規出店につきましては、34店舗の出店を行いました。一方で契約期間満了により3店舗の閉鎖を行いました。調剤薬局の新規出店につきましては、ドラッグストアへの併設調剤薬局を59店舗、調剤専門薬局を1店舗開局した一方で、契約期間満了により調剤専門薬局1店舗の閉鎖を行いました。<スーパーマーケット事業>個店競争力の強化・ドラッグストア事業とのシナジー創出に向けて、既存の食品スーパー「ゆりストア」をドラッグストアと生鮮食品専門店の複合業態へ順次改装転換しております。当連結会計年度におきましては、前期に引き続き既存の食品スーパー1店舗を複合業態における生鮮食品専門店へ改装転換したことに加え、神奈川県茅ケ崎市においてはドラッグストア複合の生鮮食品専門店を新規出店いたしました。一方、経営効率化の観点から食品スーパー1店舗の閉鎖を行いました。<介護事業>高齢化が進む中、介護スタッフのもと安心・安全に生活したいという高齢者の方のために、美味しい食事が特徴の介護付有料老人ホームを、またできるだけご自宅で暮らしたいという方のために、筋力などの機能維持・向上訓練を特徴とする半日型のデイサービスセンターを運営しております。有料老人ホーム、デイサービスとも、当社グループの特徴である接遇に力を入れ、ご利用者様の満足度アップ及び稼働率の向上を図ってまいりました。当期におきましては、経営効率化の観点からデイサービスセンター2施設の閉鎖を行いました。以上により、当連結会計年度末の当社グループの店舗数はドラッグストア717店舗、調剤薬局は調剤専門薬局36店舗、ドラッグストアへの併設調剤薬局334店舗の合計370店舗となり、スーパーマーケット事業は食品スーパー2店舗、ドラッグストア複合の生鮮食品専門店3店舗、介護事業では介護付有料老人ホーム2施設、半日型デイサービスセンター37施設となりました。これらの結果、当連結会計年度における業績は、売上高380,963百万円(前年同期比8.6%増)、営業利益は18,912百万円(前年同期比4.1%増)、経常利益は19,428百万円(前年同期比4.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は12,925百万円(前年同期比2.6%増)となりました。
資産合計は194,941百万円となり、前連結会計年度末に比べて18,030百万円増加いたしました。主な要因は、売掛金が2,154百万円、商品が2,881百万円、新店及び出店準備物件の増加等に伴い固定資産が16,514百万円増加したことなどによるものです。負債合計は78,532百万円となり、前連結会計年度末に比べて7,944百万円増加いたしました。主な要因は、買掛金が6,256百万円、未払法人税等が316百万円、退職給付に係る負債が159百万円、長期資産除去債務が161百万円増加したことなどによるものです。純資産は116,409百万円となり、前連結会計年度末に比べて10,086百万円増加いたしました。主な要因は、配当金支払により3,034百万円減少、親会社株主に帰属する当期純利益12,925百万円を計上したことなどによるものです。
②キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は37,126百万円となり、前連結会計年度末に比べて4,541百万円減少いたしました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は18,985百万円(前年同期比2,884百万円の収入増)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益18,661百万円、減価償却費4,351百万円、法人税等の還付798百万円であり、支出の主な内訳は売上債権の増加2,154百万円、棚卸資産の増加2,878百万円及び法人税等の支払額が6,684百万円等の結果であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は20,491百万円(前年同期比9,683百万円の支出増)となりました。これは主に出店に伴う有形固定資産の取得による支出15,959百万円、貸付けによる支出559百万円、出店仮勘定による支出4,426百万円等の結果であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は3,034百万円(前年同期比126百万円の支出増)となりました。これは配当金の支払額3,034百万円等の結果であります。
(資本の財源及び資金の流動性)当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主に営業活動により得られた資金を新規出店に係る設備投資に充当しております。
③生産、受注及び販売の状況
a.売上実績当連結会計年度の売上実績を商品部門別に示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度(自 2022年6月1日至 2023年5月31日)
商品部門の名称
金額(百万円)
前年同期比(%)
ドラッグストア事業
医薬品
104,590
111.1
OTC
61,110
106.6
調剤薬局
43,479
118.1
化粧品
44,519
105.8
食料品
151,719
111.2
日用雑貨品
57,172
104.3
その他
17,999
107.4
小 計
376,000
109.2
スーパーマーケット事業
2,774
65.0
介護事業
有料老人ホーム
689
93.0
デイサービス
1,385
100.8
小 計
2,075
98.0
顧客との契約から生じる収益
380,850
108.6
その他の収益(注)1
113
96.4
合 計
380,963
108.6
(注)1.その他の収益には、「リース取引に関する会計基準」(企業会計基準第13号)に基づく賃貸収入が含まれております。
b.地区別売上実績当連結会計年度における売上実績を地区ごとに示すと、次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2021年6月1日至 2022年5月31日)
当連結会計年度(自 2022年6月1日至 2023年5月31日)
金額(百万円)
構成比(%)
金額(百万円)
構成比(%)
神奈川県
218,549
62.3
235,809
61.9
東京都
49,885
14.2
55,224
14.5
静岡県
39,460
11.3
41,903
11.0
千葉県
24,847
7.1
28,586
7.5
その他
18,000
5.1
19,439
5.1
合 計
350,744
100.0
380,963
100.0
c.仕入実績当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度(自 2022年6月1日至 2023年5月31日)
商品部門の名称
金額(百万円)
前年同期比(%)
ドラッグストア事業
医薬品
61,507
110.3
OTC
35,779
107.1
調剤薬局
25,727
115.2
化粧品
28,552
106.8
食料品
131,156
111.9
日用雑貨品
41,367
105.2
その他
14,201
109.2
小 計
276,785
109.8
スーパーマーケット事業
2,080
64.2
介護事業
有料老人ホーム
―
―
デイサービス
―
―
小 計
―
―
顧客との契約から生じる収益に対する仕入
278,866
109.3
その他の収益に対応する仕入
―
―
合 計
278,866
109.3
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容a.売上高売上高は、マスク等の感染予防対策商品の反動減があった一方、新規出店による店舗数の増加や、生活必需品を中心としたEDLP施策が奏功したことに加え、調剤薬局売上は堅調に推移し、380,963百万円(前年同期比8.6%増)となりました。b.売上総利益売上総利益は、調剤売上構成比の伸長による押上げや、抗原検査キットや総合感冒薬等の需要増による押上げが見られ、102,987百万円(前年同期比7.8%増)となりました。c.販売費及び一般管理費販売費及び一般管理費は、調剤薬局の出店加速に伴う薬剤師採用強化や、燃料高騰による水道光熱費の増加、キャッシュレス決済の伸長に伴う支払手数料の増加等が見られた中、可能な範囲での節電施策の徹底や、現場での人時適正化に取り組んだことで、84,075百万円(前年同期比8.6%増)となりました。d.営業利益上記の結果、営業利益は、18,912百万円(前年同期比4.1%増)となりました。e.経常利益経常利益は、営業外収益により19,428百万円(前年同期比4.1%増)となりました。f.親会社株主に帰属する当期純利益親会社株主に帰属する当期純利益は、減損損失の計上があったものの、12,925百万円(前年同期比2.6%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループは、持続的企業価値向上に向けた投資、株主への利益還元及び将来の更なる成長のための内部留保など総合的に最適なバランスを考え、財務の健全性維持と資本の効率的運用を基本としております。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金で賄うことを基本とし、資金調達を行う場合には、経済情勢や金融環境を踏まえ、あらゆる選択肢の中から当社グループにとっての最良の方法で行いたいと考えております。なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの詳細につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
③重要な会計上の見積り及び当該見積もりに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(3)経営者の問題認識と今後の方針についてドラッグストア業界におきましては、上位企業による積極的な出店や大型M&Aなどによる再編の動きに加え、インターネット販売を含めた業態の垣根を越えた競合激化、少子高齢化や商圏人口の減少などにより、更に厳しい経営環境になるものと予想されます。このような状況のもと、当社グループは、経営戦略に沿った専門性・利便性・サービスの拡充と、出店による地域シェアの拡大に注力するとともに、生産性の向上によるオペレーション負担の軽減とローコスト化を進め、高い資本効率による持続的な成長と安定的かつ継続的な増配をベースとした配当水準を維持しながら企業価値を高めてまいります。
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