【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断するものです。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)および「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日)を第1四半期連結会計期間の期首より適用しています。また、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (追加情報) (表示方法の変更)」に記載のとおり、第1四半期連結会計期間より表示方法の変更を行っており、経営成績については当該表示方法の変更を反映した組替え後の前第3四半期連結累計期間の四半期連結財務諸表の数値を用いて比較しています。
(1)経営成績に関する説明当第3四半期連結累計期間(2021年3月1日から2021年11月30日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況が継続する中、2021年の夏場以降、ワクチン接種率の向上とともに感染者数が減少し、同年9月末に緊急事態宣言が解除されたことで、緩やかな回復基調がみられ始めました。しかしながら、新たな変異ウイルスの発生など感染再拡大の懸念は解消されず、依然として先行きは不透明な状況が続いています。このような状況の中、当社グループは仕入の抑制や固定費の削減等を徹底するとともに、2019年の秋から取り組んできたグローバル事業構造改革を着実に実行しました。また、当社グループのデジタル戦略を担う株式会社オンワードデジタルラボでは、日本のモノづくりを支援する新規事業『CRAHUG(クラハグ)』を開始し、実店舗とオンラインのメリットを融合した新業態であるOMO型店舗の出店を拡大する等、新たなビジネスモデルの改革を推進しています。中核事業会社の株式会社オンワード樫山では、米国N.Y.ファッションブランド『TOCCA(トッカ)』のコンセプトストアを表参道にオープンし、チャコット株式会社では、『Chacott COSMETICS(チャコット・コスメティクス)』において新国立劇場バレエ団との協働によるバレエメイクの開発や、カラーメイク「マルチカラーバリエーション」のリニューアル等、前年度はコロナ禍で控えていた新規出店や商品のリニューアル等を行うなど、収益拡大にも積極的に取り組みました。また、商品企画・生産・物流プラットフォーム構築の一環として、デジタルトランスフォーメーション(DX)をサポートする米Centric Software(セントリックソフトウェア)社とのパートナーシップにより、製品ライフサイクル管理(PLM)ソリューションの導入を決定しました。これにより企画・調達・生産から物流、販売へと繋がる商品のライフサイクル全体を通じた情報共有・データ連携を実施し、コスト・生産進捗が可視化され、最適な商品の提供が可能となります。今後のモノづくりプロセス全体におけるデジタル化を推し進め、生産リードタイムの短縮、調達コスト最適化をはかっていきます。
以上の結果、連結売上高は1,243億55百万円(前年同期比6.0%減)、連結営業損失は9億48百万円(前年同期は営業損失102億62百万円)、連結経常損失は7億59百万円(前年同期は経常損失102億45百万円)、親会社株主に帰属する四半期純利益は80億82百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失145億96百万円)となりました。また、当社グループでは新規事業の創出やM&A等を活用した事業基盤の強化・拡大による成長を加速していく中で、会計基準の差異にとらわれることなく企業比較を容易にすることを目的とし、EBITDA(営業利益+減価償却費およびのれん償却費)を経営指標としています。なお、当第3四半期連結累計期間のEBITDAは28億32百万円(前年同期は△57億86百万円)となりました。
セグメント別の状況は、次のとおりです。
〔アパレル関連事業〕国内事業は、中核事業会社である株式会社オンワード樫山において不採算事業・店舗の撤退を行い大幅に営業損益を改善し黒字化、『グレースコンチネンタル』を展開する株式会社アイランドで営業損益を改善しました。海外事業は、グローバル事業構造改革による不採算事業からの撤退効果が現れ、収益性が改善し、営業損失が大幅に縮小しました。以上の結果、アパレル事業全体では減収ながらも営業損失は大幅に改善しました。
〔ライフスタイル関連事業〕ウェルネス事業を展開するチャコット株式会社において、主力のバレエ用品に加え、新たなライフスタイルに対応した『Chacott COSMETICS(チャコット・コスメティクス)』『Chacott BALANCE(チャコット・バランス)』が好調に推移し、増収・黒字転換した他、カタログギフト事業を行う株式会社大和、ペット・ホームライフ事業を行う株式会社クリエイティブヨーコで増収増益となりました。一方、グアムにおいてリゾート事業を行うオンワードビーチリゾートグアムINC.等では来島者数の激減により減収減益となりました。以上の結果、ライフスタイル関連事業全体では増収増益となりました。
(2)財政状態に関する説明(資産、負債、純資産の状況)当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ286億30百万円減少し1,674億22百万円となりました。これは主に、現金及び預金が36億62百万円、土地が119億31百万円、繰延税金資産が33億24百万円減少したことによるものです。負債は、前連結会計年度末に比べ347億78百万円減少し1,017億65百万円となりました。これは主に、短期借入金が240億35百万円、支払手形及び買掛金が55億5百万円、長期借入金が30億95百万円減少したことによるものです。純資産は、前連結会計年度末に比べ61億47百万円増加し656億56百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益80億82百万円、剰余金の配当16億27百万円、会計方針の変更による期首剰余金の増加2億72百万円によるものです。この結果、自己資本比率は39.0%となりました。
(3)事業上および財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上および財務上の対処すべき課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動記載すべき重要な研究開発活動はありません。