【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
① 経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響緩和による社会・経済活動の正常化やインバウンド消費の復活が進んだ一方で、ウクライナ情勢等に起因する資源価格の上昇、円安の加速や物価の上昇などにより、先行き不透明な状況が続いております。当社の属するコンタクトセンター・BPO業界は、経済活動の正常化や新型コロナウイルス環境下における非対面接客の需要の高まりを背景に、旺盛な需要が続き、堅調に推移しております。このような経営環境の下、当社グループは2023年5月期までを対象期間とする「中期経営計画2022」において、「根元から新芽まで健康に成長し続ける会社」をビジョンとし、既存(根元)事業である「コンタクトセンター・BPOサービス」と、新規(新芽)事業である「クラウドPBX(注) Omnia LINK(オムニアリンク)をはじめとするシステム開発・販売」の両面での成長を掲げてまいりました。(注)PBX:Private Branch eXchangeの略・構内交換機
(コンタクトセンター・BPOサービス)コンタクトセンター・BPOサービスにおいては、「ライフライン」「金融」「流通」「情報通信」業界を重点戦略グループとし、各顧客業界に対する専門性を高め、高機能であるOmnia LINKとの組み合わせにより、業界に必要とされるサービスの企画・提案や、付加価値向上、品質の向上を図ることで受託数を拡大いたしました。その他、コロナワクチンに関する予約・問い合わせ窓口や全国旅行支援に関する窓口業務なども一定の業務量に対応したものの、上半期においては感染拡大の状況変化による受託業務量変化の影響も受けることとなりました。増加する業務量への対応として、2022年7月には、横浜エリアで4拠点目となる「横浜第四センター」を開設しており、同センターはすでに高い稼働率に至っております。当連結会計年度末におけるオペレーションブース数は、全国16拠点、6,764ブースとなり、コンタクトセンター・BPOサービスにおけるOmnia LINK利用占有率(コンタクトセンター・BPOサービスでの利用PBXのうち、Omnia LINKが占める割合)は80.4%となりました。また、従前からの採用強化策の一環としての取り組みを継続し、在宅コンタクトセンターサービスである「Bewith Digital Work Place(ビーウィズデジタルワークプレイス)」の提供規模を拡大してまいりました。Bewith Digital Work Placeでは、場所の制限がなく自宅で勤務が可能であり、全国から応募が可能となります。応募者や従業員の多様な働き方へのニーズへ応えることによって、応募数の増加や退職率の低下などの効果も大きいことから、引き続き、取り組みを一層推進してまいります。
(クラウドPBX Omnia LINKをはじめとするシステム開発・販売)在宅コンタクトセンターニーズや、システムコストの削減、先進機能の活用などのニーズの高まりを受け、クラウドサービスとしてOmnia LINKを自社で利用したいという引き合いも大きく増加しております。その結果、当連結会計年度末のライセンス販売数は、期初に設定した目標数を上回り、前年同期比で2倍以上となる2,371ライセンスに達しました。また、音声認識の精度向上や生成AIの台頭なども背景に、Omnia LINKの高付加価値機能である音声のリアルタイムテキスト化や、テキスト化した音声を活用したオペレーター支援機能などのオプション販売数も順調に推移しております。上記に伴い、Omnia LINK外販のARR(年間経常収益:毎月継続して生じる収益×12か月で算出)は6.0億円(前年同期比137.1%増)となりました。2022年10月には、長崎県長崎市のシステム開発会社である、株式会社ドゥアイネットの株式を取得し、連結子会社化しております。同社は、当社が以前から参画する「長崎デジタルコンソーシアム」における中核企業の1つであり、同社の開発力や人材を活かし、当社グループにおけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速するとともに、当社のデジタル開発拠点である「デジタルラボ長崎」とのシナジー創出を進めております。2023年2月には、本人確認や契約書の署名もワンストップで対応可能なオンライン接客・契約システム「UnisonConnect」の提供を開始いたしました。新型コロナウイルス感染拡大防止を機に、オンラインを活用した接客や商談方法を取り入れる企業が増加しているものの、本人確認や申込書類などの契約行為においては、書面の郵送や対面での説明などが必要なケースも多く残っています。UnisonConnectは、接客・商談から、本人確認、契約書の署名、契約締結までを一元化できるシステムであり、システムのみの提供にとどまらず、UnisonConnectでの接客対応そのものを受託し、当社グループで対応することも可能であることから、コンタクトセンター・BPOサービスとの相乗効果も期待できます。
上記の取り組みの結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は前期に続き過去最高となる35,158,816千円(前年同期比8.5%増)、営業利益は横浜第四センターの新設等による一時費用増、研究開発費の計上、ならびに上場に伴う租税公課の増等を主たる要因として、2,225,126千円(同13.3%減)、経常利益は2,269,326千円(同12.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,678,180千円(同5.6%減)となりました。また、当社グループは、コンタクトセンター・BPO事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
② 財政状態の状況(資産)当連結会計年度末における総資産額は、12,207,044千円となり、前連結会計年度末比1,716,352千円増加となりました。これは主に、現金及び預金の増加483,994千円、売掛金の増加649,541千円、投資有価証券の増加168,000千円等によるものであります。
(負債)当連結会計年度末における総負債額は、4,365,150千円となり、前連結会計年度末比480,232千円の増加となりました。これは主に、未払費用の増加282,805千円、未払法人税等の増加101,400千円等によるものです。
(純資産)当連結会計年度末における純資産額は、7,841,894千円となり、前連結会計年度末比1,236,121千円の増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益1,678,180千円を計上した一方で、剰余金の配当643,900千円により利益剰余金が減少したためです。
③ キャッシュ・フローの状況(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は、1,533,497千円(前年同期は1,586,673千円の資金の獲得)となりました。主な増加要因として税金等調整前当期純利益2,268,893千円(前年同期2,590,056千円)があった一方で、減少要因として売上債権の増加629,905千円(前年同期43,738千円)等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果支出した資金は、611,999千円(前年同期は366,266千円の支出)となりました。主な減少要因としてコンタクトセンター拠点の新設及び増床に伴う有形固定資産の取得による支出218,757千円(前年同期184,843千円)、無形固定資産の取得による支出218,710千円(前年同期87,977千円)、投資有価証券の取得による支出168,000千円(前年同期なし)等があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果支出した資金は、438,205千円(前年同期は580,693千円の獲得)となりました。主な増加要因として新株予約権の行使による株式の発行による収入201,894千円(前年同期なし)があった一方で、減少要因として配当金の支払額643,077千円(前年同期569,600千円)等があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績当社グループは、生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。
b 受注実績当社グループは、受注生産をしておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。
c 販売実績当社グループは、コンタクトセンター・BPO事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載をしておりません。
セグメントの名称
金額(千円)
前年同期比(%)
コンタクトセンター・BPO事業
35,158,816
8.5
(注)なお、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりです。
相手先
第23期連結会計年度(自 2021年6月1日至 2022年5月31日)
第24期連結会計年度(自 2022年6月1日至 2023年5月31日)
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
東京電力エナジーパートナー㈱
5,633,692
17.4
6,198,280
17.6
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
① 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容a.売上高当連結会計年度における売上高は35,158,816千円、売上高成長率は、8.5%となりました。特定のコロナウイルス関連案件の縮小はあったものの、重点戦略グループ(ライフライン・金融・小売流通・情報通信)の需要拡大に対し、営業とオペレーションの一体組織による専門性の高い提案を行い、当該業界からの受注を重ねました。その他業界においても自社開発のクラウドPBX Omnia LINKの活用等によって、需要を逃さずに柔軟な対応を実現しております。上記の取り組みの結果、新規案件の獲得及び既存顧客の案件拡大を実現したことにより、コンタクトセンター・BPOサービスの売上高が増加しました。
b.売上原価、売上総利益当連結会計年度の売上原価は29,763,041千円(前期比110.0%)となりました。売上原価については、2022年5月期までの業績を下支えした、特定のコロナウイルス関連案件の縮小による利益の反動減の影響が大きく、売上原価率を低減させるための人材派遣の起用を縮小させる取り組みや、デジタル技術を活用した生産性向上に取り組んだものの、当連結会計年度における売上原価率は84.7%となり、前連結会計年度から増加となりました。以上の結果、当連結会計年度における売上総利益は5,395,775千円(前期比100.7%)となりました。
c.販売費及び一般管理費、営業利益当連結会計年度の販売費及び一般管理費は3,170,649千円(前期比113.6%)となりました。増加の主な要因は上場に伴い発生した外形標準課税の増加及び研究開発費の増加となります。他、事業拡大による人件費の増加の一方で、コーポレート部門の業務効率化やデジタル化に取り組みましたが、販管費率は前連携会計年度から増加となりました。結果、当連結会計年度における営業利益は2,225,126千円(前期比86.7%)となりました。
d.営業外損益、経常利益当連結会計年度において主に新型コロナウイルス感染症に関する補助金収入42,684千円等により営業外収益は61,832千円(前期比100.9%)、リース解約損17,136千円等により営業外費用は17,632千円(前期比50.3%)となりました。結果、経常利益は2,269,326千円(前期比87.6%)となりました。
e.特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益当連結会計年度において固定資産除却損433千円、法人税等合計は590,713千円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,678,180千円(前期比94.4%)となりました。
② 財政状態に関する認識及び分析・検討内容財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に含めて記載しております。
③経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について当社グループは堅実で持続的な成長の実現を通じて新たな事業創出を図り、豊かな社会づくりへの貢献を目指しており、売上高成長率及び営業利益成長率を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標としております。当連結会計年度における売上高は35,158,816千円となり前年同期比からの成長率は8.5%となっております。当社の売上高の成長には、新規案件の獲得や既存案件の拡大が必要なことはもちろんですが、その実現を支える要素として、人材、オフィス等のファシリティ、システムの3つの要素が重要でありますが、人材やファシリティについては事業拡大に備えた事前の対応が、当社のキャパシティを左右することになるため、適切な備えを継続して実施しております。システムについては、特にコンタクトセンターサービスに必須となるPBXについて、自社開発のOmnia LINKにより、事業拡大に柔軟に対応できる環境を実現しております。これらの取り組みを引き続き進めることで、さらなる新規案件の獲得に取り組み、成長率の維持・向上を図ります。営業利益は2,225,126千円で前年同期比の成長率は13.3%減となっております。2022年5月期までの業績を下支えした、特定のコロナウイルス関連案件の縮小による利益の反動減や、上場に伴い発生した外形標準課税の増が大きく影響しております。売上高の増加や、売上原価率を低減させるための人材派遣の起用を縮小させる取り組み、営業、コーポレート部門の業務の効率化及びデジタル化や人件費以外の費用低減を通じた販売費及び一般管理費の抑制にも取り組みましたが、減益の結果となりました。
④ キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る内容
a.キャッシュ・フローの状況分析 キャッシュ・フローの状況の詳細は「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び流動性に係る内容 当社グループの主な資金需要は運転資金と設備投資資金になります。運転資金は、「営業活動によるキャッシュ・フロー」および銀行借入金にて賄う方針であります。具体的には、手元流動性資金、国内金融機関2行と締結している特殊当座貸越枠のフレキシブルな資金調達手段を確保し、流動性リスクを適切にコントロールしてまいります。また、設備投資資金に関しては、内部留保及び資金計画に基づき、長期借入による調達を行い、財務の安定性を確保してまいります。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっての会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。また、この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りや判断を行う必要があります。過去の実績や現在の状況に応じ、合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
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