【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染者数は増減を繰り返していますが、経済活動は徐々に正常化が進み緩やかな回復傾向となりました。一方、原材料やエネルギー価格の高騰による物価上昇で個人消費は伸び悩んでおり、また、東欧や東アジアでの地政学リスクの高まりや欧米の政策金利の上昇、為替相場の急激な変動等により、世界経済の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような事業環境のもと、当社グループはアニメーション作品の企画・制作を行う映像制作事業、コミック雑誌等の企画、製造、販売及び電子コミックスの配信を行う出版事業、作品の二次利用による印税・収益分配金等を得る版権事業に取り組んでまいりました。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は8,415,640千円(前年同期比1.6%減)、経常利益は881,958千円(前年同期比5.1%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は675,580千円(前年同期比9.0%増)となりました。
セグメントの経営成績は次のとおりであります。
① 映像制作事業
映像制作事業におきましては、テレビ用アニメーション「天国大魔境」等、配信用アニメーション「火狩りの王」「ULTRAMAN」Final Season、劇場用アニメーション「らくだい魔女 フウカと闇の魔女」等、その他ゲーム用等のアニメーションを納品しました。
一部の作品については、制作期間の長期化や外部クリエーターへの支払額が高騰しており、制作赤字となっております。
以上により、当事業の売上高は4,672,881千円(前年同期比2.2%増)、営業利益は155,000千円(前年同期は33,523千円の営業損失)となりました。
② 出版事業
出版事業におきましては、月刊誌「コミックガーデン」、コミックス「魔法使いの嫁 18巻」「リィンカーネーションの花弁 17巻」「転生貴族の異世界冒険録 9巻」等、定期月刊誌9点、並びに新刊コミックス・書籍80 点を刊行しました。また、既刊コミックスの「リィンカーネーションの花弁」「魔道具師ダリヤはうつむかない ~Dahliya Wilts No More~」は、特に販売好調でありました。電子書籍売上の成長率は鈍化しましたが、前年同期比17%増と堅調に推移し、相対的に減少している書店流通向けの売上高をカバーしております。また、欧米をはじめとする海外翻訳出版の売上は前年同期比70%増と大幅に売上を伸ばしています。
以上により、当事業の売上高は2,185,171千円(前年同期比12.1%増)、営業利益は506,407千円(前年同期比2.0%減)となりました。
③ 版権事業
版権事業におきましては、「SPY × FAMILY」「進撃の巨人」「攻殻機動隊」「ハイキュー!!」「銀河英雄伝説 Die Neue These」「アオアシ」等のシリーズタイトルを中心に、二次利用による収益分配を計上しました。
「SPY × FAMILY」は大ヒットとなり、テレビ放送後も国内外でライセンスの売上が好調に推移しております。
前年同期は当社グループが大きな出資割合を持つ作品群のライセンス収入が版権事業の収益に大きく影響を与えました。これらが落ち着いたことにより、前年同期と比較して売上高は減少し、また、出資分の減価償却費も減少しました。
以上により、当事業の売上高は1,318,462千円(前年同期比26.7%減)、営業利益は292,118千円(前年同期比48.4%減)となりました。
④ その他事業
その他事業におきましては、雑誌のイラスト描きやキャラクターの商品化、スマートフォン向けアプリ等により、当事業の売上高は239,123千円(前年同期比2.6%増)となり、営業利益は17,006千円(前年同期は23,883千円の営業損失)となりました。
財政状態は次のとおりであります。
① 資産
資産につきましては、前連結会計年度末に比べ3,498千円減少し11,411,948千円となりました。主な要因はコンテンツ資産が183,091千円、建物及び構築物(純額)が93,185千円増加し、一方、映像マスターが425,269千円、受取手形、売掛金及び契約資産が160,518千円減少したことによるものであります。
② 負債
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ665,894千円減少し5,291,372千円となりました。主な要因は賞与引当金が67,041千円増加し、一方、未払法人税等が404,280千円、受注損失引当金が176,922千円、未払金が125,339千円減少したことによるものであります。
③ 純資産
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ662,396千円増加し6,120,576千円となりました。主な要因は親会社株主に帰属する四半期純利益の計上と配当金の支払いにより利益剰余金が651,464千円増加したことによるものであります。
(2)経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、第1四半期連結累計期間において、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の見直しを行っております。
当社グループの連結数値目標として、ROE(自己資本利益率)8%以上を指標とし、中長期的な経営戦略を基に投資を進め、事業の拡大を図ってまいります。また、利益配分につきましては、経営や財政状態に加え中期的な見通しも勘案したうえで、安定的な配当を決定するという方針のもと、連結配当性向は25%程度を目安に実施する予定です。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。
#C3791JP #IGポート #情報通信業セクター