【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、ウィズコロナの下で、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直しております。また、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、今後緩やかな回復が続くことが期待されます。一方で、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある等、依然として先行き不透明な状況が続いております。このような環境のもと、当社グループは、「ゲームをより楽しめる世界を創る」を企業理念に掲げ、多くのユーザーから支持を集めるゲーム情報メディア「GameWith」の運営を中心に、今後も市場規模の拡大が見込めるeスポーツ、現在急速に注目を集めているNFT領域や新規で開始した光回線事業等、ゲームに関する様々な事業に経営資源を投下し、当社グループの事業成長に注力してまいりました。以上の結果、当連結会計年度の売上高は3,512百万円(前期比12.5%増)、営業利益は337百万円(同68.4%増)、経常利益は313百万円(同40.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は179百万円(同51.0%増)となりました。
このような状況のもと、2023年5月期より、中期事業戦略の遂行にあたり、特に今後成長が見込まれるeスポーツやその他新規事業の損益状況及び成長性をより明確にし、今後収益の柱となるよう注力することを目的に、従来の「メディア」単一セグメントから、セグメント区分の変更をいたしました。セグメント別の業績は以下の通りでございます。
1)メディアメディア事業においては、主に多くのユーザーから支持を集めるゲーム情報メディア「GameWith」等の企画・運営を行っております。ゲームを有利に進めるための攻略情報やゲームを見つけるための紹介情報等のコンテンツを、主にWebサイトの利用者に提供し、そこに表示される広告枠を販売すること等により収益を得ております。コンテンツ作成においては、コンテンツ作成に特化した組織の運営や、全国どこでもリモートライターとしてゲームを仕事にできる「ゲームプレイワーカー」の活用等を行うことで、より質の高い記事を迅速に提供できる仕組みを構築しております。PV(ページビュー)数が見込めるヒットタイトルについては攻略サイト運営によりトラフィックを生み出すことで、複数の広告主が入札を行い、広告枠を獲得するモデルであるネットワーク広告収入を得ると同時に、主にゲーム会社向けに有料攻略サイト運営やゲーム紹介記事作成等の多様な商材を直接提供することで、メディア価値を活かしたタイアップ広告収入を得ております。当連結会計年度においては、モバイルゲームの市場成長が以前と比較して鈍化している中、家庭用ゲームにおける大型タイトルが数多く発売されたこと等により、PV数が伸びた結果、ネットワーク広告収入が増加しました。タイアップ広告については、後半にかけて新作タイトルのリリース減少や中国における新型コロナウイルス感染症の拡大が生じた結果、売上高にも影響を与えた一方で、有料攻略記事の拡販に注力し、直近で上昇傾向にあります。また、既存領域であるメディア事業においては、コスト効率化プロジェクトを並行して行いました。これが功を奏し、コストに関しては、前年と比較して全体的に減少いたしました。以上の結果、当セグメントの売上高は2,440百万円(前期比1.7%増)、営業利益は1,059百万円(同35.2%増)となりました。
2)eスポーツ・エンタメeスポーツ・エンタメ事業においては、主にゲーム実況動画配信者等のクリエイターマネジメントとeスポーツチームの運営を行っております。クリエイターマネジメントについては、動画制作・編集サポートや企業タイアップ案件の獲得、コラボレーションイベントの企画、ユーザーへのリーチ等、クリエイター単独では難しい分野について組織としてサポートサービスを提供し、主に動画配信収益をクリエイターと分配することで収益を得ております。eスポーツについては、有力な選手をスカウトし固定報酬や練習環境、チームマネジメント等を提供することで、世界で戦えるかつ人気のあるeスポーツチームを運営することに注力しております。こういった点に経営資源を投下することでチームの価値を上げ、スポンサーや大会賞金、ファンビジネス等、多様な方法で収益を得ております。また、eスポーツチーム「DetonatioN FocusMe(以下、「DetonatioN」という)」のVALORANT部門において、Riot Games, Inc.(米国)(以下、「ライアットゲームズ」という)との長期的パートナーシップの締結を2022年9月に発表いたしました。このパートナーシップ締結により、厳正な審査の上選ばれた世界屈指の強豪30チームが集結するリーグへの参加が決定し、日本からはわずか2チームのみが選ばれております。リーグ参加のみならず、ライアットゲームズからの1年単位の経済的支援や独自の限定インゲームコンテンツ/プロダクトのコラボレーション機会の提供、世界中のVALORANT月間アクティブプレイヤー1,500万人に向けてブランドコンテンツを提供可能になるなど、大きなメリットがございます。これにより、今後はさらにグローバルで認知されるチームになっていくことが期待でき、今まで国内規模だった露出が世界規模に広がることになります。DetonatioNにはすでに多くのスポンサーがついており、今後の収益の拡大が期待できます。2023年1月には、当社グループとして初となる海外法人を韓国に設立しており、拠点として活用しております。長期的かつ安定的にeスポーツシーンを成長させていくことが今回のパートナーシップの目的であり、日本を代表するチームとして、今後のeスポーツの発展と普及にも貢献してまいります。当連結会計年度においては、上記のパートナーシップによる支援金の計上だけでなく、スポンサー収入の増加やファン向けのグッズ販売の拡大等が売上高増加に貢献いたしました。以上の結果、当セグメントの売上高は870百万円(前期比42.2%増)、営業損失は200百万円(前期は営業損失189百万円)となりました。
3)その他その他においては、新規事業として、企業理念である「ゲームをより楽しめる世界を創る」を実現するため、ゲームに関する様々な事業を行っております。現状は、NFT事業とeスポーツに特化した光回線事業の主に2つに注力しております。NFT事業については、投資先の株式会社Kyuzanよりプロモーション等の受託をしているNFTゲーム「EGGRYPTO」が大きく成長しており、今後拡大が予想されるNFTゲーム市場におけるさらなる拡大のための基盤構築を行ってまいりました。また、2022年7月には初心者でもNFTゲームを楽しむことができる情報を提供するNFTゲーム専門メディア「GameWith NFT」をオープンしております。メディア運用で培ったノウハウやブランドを活かし、NFTゲームの発展と普及に貢献することを目指しております。光回線事業については、eスポーツを楽しむユーザーが拡大している中、eスポーツで勝つために必要となる高速で低遅延のインターネット回線の需要を見込み、ゲームを知り尽くしたGameWithによる、信頼性のある光回線を提供しております。資本業務提携先であるアルテリア・ネットワークス株式会社のインターネット接続サービス、ノウハウを利用して運用することで、最大限のパフォーマンスを実現しております。当連結会計年度においては、NFTゲーム「EGGRYPTO」についてはリリース3周年を迎え、アプリの累計ダウンロード数が150万を突破し、売上高も前年比で大きく成長しております。光回線事業については、2022年3月のサービス開始後、プロモーションを積極的に実施してきた効果もあり、順調に申込者数を獲得しております。また、2023年2月には、新たに上り下り最大10Gbpsの高速プランと専用回線を提供するシリーズ最高峰プランの提供を開始いたしました。以上の結果、当セグメントの売上高は200百万円(前期比85.3%増)、営業損失は207百万円(前期は営業損失42百万円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ366百万円減少し、3,191百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は188百万円(前連結会計年度は675百万円の収入)となりました。これは主に、増加要因として税金等調整前当期純利益321百万円、のれん償却費97百万円が、減少要因として売上債権の増加60百万円、法人税等の支払額129百万円が発生したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果支出した資金は132百万円(前連結会計年度は269百万円の支出)となりました。これは主に、減少要因として投資有価証券の取得による支出35百万円、子会社株式の取得による支出56百万円、敷金の差入による支出55百万円が発生したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果支出した資金は423百万円(前連結会計年度は377百万円の支出)となりました。これは主に、減少要因として長期借入金の返済による支出328百万円、自己株式の取得による支出100百万円が発生したことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績a.生産実績当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績当社グループの販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年6月1日至 2023年5月31日)
販売高(百万円)
前期比(%)
メディア事業
2,440
101.7
eスポーツ・エンタメ事業
870
142.2
その他
200
185.3
合計
3,512
112.5
(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度(自 2021年6月1日至 2022年5月31日)
当連結会計年度(自 2022年6月1日至 2023年5月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
Google Asia Pacific Pte. Ltd.
523
16.8
-
-
株式会社サイバーエージェント
351
11.3
370
10.6
※ 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成には、資産及び負債、収益及び費用に影響を与える見積りを必要とする箇所がございます。これらの見積りにつきましては、経営者が過去の実績や取引状況等を勘案し、会計基準の範囲内でかつ合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる可能性があることにご留意下さい。なお、当社グループの連結財務諸表に影響を及ぼす可能性がある主な見積りとして、以下の会計処理があります。(のれん)当社グループは、のれんについてその効果の発現する期間を見積り、その期間で均等償却しております。また、その資産性について子会社の業績や事業計画を基に毎期検討しており、将来において当初想定した収益が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、当該連結会計年度においてのれんの減損処理を行う可能性があります。
(繰延税金資産)当社グループは、連結貸借対照表上の資産・負債の計上額と課税所得の計算上の資産・負債との一時差異に関して法定実効税率を用いて繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。また、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際しては、将来の課税所得を十分に検討し、合理的に見積っておりますが、将来の課税所得が予想を下回った場合は、繰延税金資産の修正が必要となる可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等1) 財政状態(資産)当連結会計年度末における総資産は4,581百万円となり、前連結会計年度末に比べ301百万円減少しました。これは主に、売掛金及び契約資産60百万円、敷金52百万円、投資有価証券19百万円が増加したものの、現金及び預金366百万円、のれん41百万円、繰延税金資産17百万円が減少したことによるものであります。
(負債)当連結会計年度末における負債は1,222百万円となり、前連結会計年度末に比べ385百万円減少しました。これは主に、長期借入金が294百万円、1年内返済予定の長期借入金が33百万円、契約負債26百万円、未払金23百万円が減少したことによるものであります。
(純資産)当連結会計年度末における純資産は3,359百万円となり、前連結会計年度末に比べ84百万円増加しました。これは主に、自己株式の取得により99百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が179百万円増加したことによるものであります。
2) 経営成績(売上高)売上高は、3,512百万円(前期比12.5%増)となりました。詳細は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(売上原価)売上原価は、1,850百万円(前期比10.7%増)となりました。その主な内訳は、ゲーム攻略記事のライターに係る人件費等であります。この結果、売上総利益は1,662百万円(前期比14.7%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)販売費及び一般管理費は、1,324百万円(前期比6.1%増)となりました。その主な内訳は、広告宣伝費、管理部門に係る人件費及びオフィス地代家賃等であります。この結果、営業利益は337百万円(前期比68.4%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)営業外収益は0百万円、営業外費用は23百万円となりました。この結果、経常利益は313百万円(前期比40.1%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)特別利益は8百万円となりました。また、法人税等(法人税等調整額を含む)は142百万円となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は179百万円(前期比51.0%増)となりました。
3) キャッシュ・フローの分析キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、人件費、地代家賃、サーバ利用料等であり、財源については自己資金によっております。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大と長期化に備えて、金融機関からの借入を行っております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための指標として、売上高及び営業利益を使用しております。また、より事業の実態を表した指標であるEBITDAを、翌連結会計年度においては重視してまいります。それぞれの指標の当連結会計年度における達成度は以下のとおりであります。
指標
2023年5月期目標
2023年5月期実績
2023年5月期達成度
売上高
3,573百万円
3,512百万円
98%
営業利益
300百万円
337百万円
112%
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