【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
①
経営成績の状況
当期のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が徐々に緩和され、社会経済活動が正常化に向かい、景気が持ち直していくことが期待された一方で、感染再拡大や物価上昇、世界的な金融引締めなどにより、先行き不透明な状況が続きました。百貨店業界におきましては、緊急事態宣言下における店舗休業の反動と、行動制限の緩和等による外出機会の増加があり、消費マインドの回復がみられ、全国百貨店売上高は大都市を中心に好調に推移いたしました。
このような状況の下、当社グループは、「中期経営計画(2021-2024年度)」において長期ビジョンとして掲げた「くらしを豊かにするプラットフォーマー」を目指し、あべの・天王寺エリアの魅力最大化など4つの基本方針に基づく諸施策を強力に推進するとともに、各事業における収益力向上に懸命の努力を払いました。
この結果、当社グループの業績につきましては、売上高は107,848百万円(前期比9.9%増)、営業利益1,566百万円(前期 営業損失1,399百万円)となり、雇用調整助成金などを営業外収益に計上したことにより経常利益は1,945百万円(前期 経常損失572百万円)となりました。これに法人税等を加減した結果、親会社株主に帰属する当期純利益1,893百万円(前期 親会社株主に帰属する当期純損失775百万円)となりました。
事業のセグメント別業績は、次のとおりであります。なお、前連結会計年度まで「その他事業」に含まれていた「不動産業」について、量的な重要性が増したことから、当連結会計年度より、セグメントを「百貨店業」「卸・小売業」「内装業」「不動産業」「その他事業」の5セグメント(従来は「百貨店業」「卸・小売業」「内装業」「その他事業」の4セグメント)に変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。また、前連結会計年度との比較については、セグメント変更後の数値に組み替えて比較を行っております。
<百貨店業>
百貨店業におきましては、お客様の安全確保を第一とし、全店において感染症拡大防止の対策を徹底しながら営業を継続するとともに、収益力及び集客力の強化に注力いたしました。まず、あべのハルカス近鉄本店については、特選ブランドの強化を図るため、タワー館1階特選洋品売場に「セリーヌ」を導入するとともに、「ロエベ」のリニューアルを実施いたしました。また、ウイング館5階婦人服売場に、衣・食・住・サービスを混在させた売場である「スクランブルMD」の第二弾として、食のセレクトショップを含む「いろどりマルシェ」を導入したほか、当社フランチャイズ事業として、タワー館12階レストランフロアに、新業態のフルーツカフェ「フルフルール」の第一号店を導入し収益源の確保に努めてまいりました。さらには、百貨店の強みである食料品売場の魅力向上のため、タワー館地下1階洋菓子売場に西日本初となる「ザ・マスターbyバターバトラー」や「あげもちcocoro」など5店舗を導入したほか、新型コロナウイルス感染症の影響により開催することができなかった集客催事を再開し、3年ぶりの開催となった秋の「大北海道展」では、連日多くのお客様にご来店いただきました。
次に、地域中核店・郊外店においては、地域生活に「なくてはならない存在」を目指し、生活機能、商業機能、コミュニティ機能を融合した「タウンセンター化」への変革を推進するとともに、フランチャイズ事業を積極的に拡充するなど、地域特性に応じた改装を実施したほか、大型専門店を導入するなど収益力の安定及びローコスト運営への転換を図ってまいりました。奈良店では、2階ファッションフロアに本店で好評を博している「北海道どさんこプラザ」やフランチャイズ事業の新業態であるライフスタイル雑貨を取り扱う「ハンプティーダンプティー」などの新ショップを組合せ、フロア全体で「スクランブルMD」を取り入れた改装を実施したほか、四日市店においては、ハンズとの協業による「Plugs Market(プラグスマーケット)」を導入し、地域共創に取り組みました。
これらの諸施策を推進した結果、前年の緊急事態宣言下での店舗臨時休業の反動増と、外商売上やインバウンド売上が好調に推移したことにより、売上高は89,476百万円(前期比11.8%増)、営業利益594百万円(前期 営業損失2,214百万円)となりました。
<卸・小売業>
卸・小売業におきましては、株式会社ジャパンフーズクリエイトにおいてサーモンなど水産物の価格上昇等により減収となったため、売上高は12,732百万円(前期比4.3%減)、営業利益は446百万円(同8.4%減)となりました。
<内装業>
内装業におきましては、株式会社近創で工事受注が順調に推移するとともにコスト削減に努めた結果、売上高は1,913百万円(前期比26.2%増)、営業利益は223百万円(同376.9%増)となりました。
<不動産業>
不動産業におきましては、賃貸収入により、売上高は287百万円(前期比1.0%減)、営業利益207百万円(同5.3%減)となりました。
<その他事業>
その他事業におきましては、売上高は3,438百万円(前期比13.3%増)、営業利益は175百万円(同58.9%増)となりました。
②
財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は、受取手形、売掛金及び契約資産が増加したものの、現金及び預金、建物及び構築物の減少などにより、前期末に比べ1,041百万円減少し118,343百万円となりました。
負債は、支払手形及び買掛金が増加したものの、借入金の減少などにより、前期末に比べ2,315百万円減少し83,756百万円となりました。
純資産は、自己株式が増加したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前期末に比べ1,274百万円増加し34,586百万円となりました。この結果、自己資本比率は29.2%となりました。
③
キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ861百万円減少し3,243百万円となりました。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、売上債権の増加はありましたが、減価償却費及び仕入債務の増加などにより、7,564百万円の収入(前期 2,505百万円の収入)となりました。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、有形固定資産の取得による支出などにより、3,022百万円の支出(前期 3,304百万円の支出)となりました。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、短期借入金の返済による支出などにより5,403百万円の支出(前期 715百万円の支出)となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績は、当社グループ全体の事業活動に占める比重が極めて低いため、記載を省略しております。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年3月1日
至 2023年2月28日)
品名
売上高(百万円)
前年同期比(%)
百貨店業
衣料品
15,695
108.8
身回品
6,833
118.3
家庭用品
1,942
100.9
食料品
29,699
108.8
食堂・喫茶
551
118.3
雑貨
25,499
115.1
サービス
1,090
118.8
その他
8,235
116.2
消去
△71
120.3
計
89,476
111.8
卸・小売業
食料品
3,734
88.2
自動車関連
9,783
98.3
消去
△785
89.3
計
12,732
95.7
内装業
内装
4,188
132.3
消去
△2,274
137.9
計
1,913
126.2
不動産業
賃貸
345
99.2
消去
△57
100.0
計
287
99.0
その他事業
運送
4,360
101.1
その他
2,893
113.0
消去
△3,815
99.4
計
3,438
113.3
合計
107,848
109.9
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しておりますが、この作成にあたり、当連結会計年度末の資産及び負債並びに当連結会計年度に係る収益及び費用の報告金額に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況等に応じた合理的な判断に基づき見積りを行っております。これらのうち主なものは以下のとおりでありますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
a.繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断するに際して将来の課税所得を合理的に見積もっております。従って、将来の課税所得の見積額に変更が生じた場合、繰延税金資産が増額又は減額され、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
b.退職給付債務及び費用の計算
当社グループの退職給付債務及び費用は、割引率や年金資産の長期期待運用収益率等の数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。従って、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合は、退職給付債務及び費用の計算に影響を及ぼす可能性があります。
c.固定資産の減損
当社グループは、多数の店舗を有しており、固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づいて算出しております。従って、地価が大幅に下落した場合や、競争の激化等により店舗のキャッシュ・フローが著しく悪化した場合には、新たに減損損失が発生する可能性があります。
d.資産除去債務の計上
当社グループは、店舗及び事務所等の不動産賃借契約に基づき、退去時の原状回復に係る債務等を有しておりますが、賃借資産の使用期間が明確でなく、現時点において将来退去する予定がないものについては、資産除去債務を合理的に見積もることができないため計上しておりません。そのため、資産除去債務を計上していない資産について、今後店舗閉鎖や事業転換等の意思決定を行った場合、資産除去債務を追加計上する可能性があります。
②
当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載しております。
このうち、当連結会計年度において特に留意すべき要因については次のとおりであります。
・新型コロナウイルス感染症による影響
・経営環境
b.経営成績の分析・検討内容
経営成績に重要な影響を与える要因を踏まえた当連結会計年度の経営成績の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
新型コロナウイルス感染症による行動制限が徐々に緩和され、社会経済活動の正常化により消費マインドの回復がみられたことで、当社グループの売上高は107,848百万円(前期比9.9%増)、営業利益は1,566百万円(前期 営業損失1,399百万円)となりました。
百貨店業では、前年の緊急事態宣言下での店舗臨時休業の反動増と、収益力及び集客力の強化に注力し外商売上やインバウンド売上が好調に推移したことにより、百貨店業全体の売上高は89,476百万円(前期比11.8%増)となりました。また、エネルギーコストの高騰により水道光熱費の増加がありましたが、引き続きローコスト運営を継続し、営業利益は594百万円(前期 営業損失2,214百万円)となりました。
卸・小売業では、株式会社シュテルン近鉄で、タイムリーな新車の乗り換え提案に努めたことで、フルモデルチェンジとなった新型「Cクラス」の販売が好調に推移しました。また、利益率の高い中古車在庫を確保するため新車乗り換え時の下取りを強化いたしました。さらに、車点検等のアフターセールスに丁寧に取り組んだことで、部品売上や修理といったアフターサービスも堅調に推移しました。株式会社ジャパンフーズクリエイトでは、大型物産展が好調に推移しましたが、主力商品であるノルウェーサーモンの価格高騰により商品価格が高止まりし、主力販売先の量販店への卸売りが減少しましたため、卸・小売業全体の売上高は12,732百万円(前期比4.3%減)、営業利益は446百万円(同8.4%減)となりました。
内装業では、株式会社近創で、ホテルや商業施設などの内装工事及びサイン工事が好調に推移するとともに、新規仕入先の開拓やコスト削減に努めた結果、内装業全体の売上高は1,913百万円(前期比26.2%増)、営業利益は223百万円(同376.9%増)となりました。
不動産業では、賃貸収入により、不動産業全体の売上高は287百万円(前期比1.0%減)、営業利益は207百万円(同5.3%減)となりました。
当社グループの経常利益は、雇用調整助成金などを営業外収益に計上したことにより1,945百万円(前期 経常損失572百万円)となりました。これに、特別利益で投資有価証券売却益、特別損失で固定資産除却損等を計上し、法人税等を加減した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,893百万円(前期 親会社株主に帰属する当期純損失775百万円)となりました。
c.経営判断のために採用している経営指標とその達成状況及びその理由
当社グループは、当連結会計年度を開始年度とする「中期経営計画(2021-2024年度)」に基づき、百貨店事業の収益力を強化しつつ、さらなる成長に向けての新たな収益の柱になる事業モデルの強化期間と位置づけて、様々な施策を実行してきました。
「中期経営計画(2021-2024年度)」において、当社グループは、「営業利益」、「親会社株主に帰属する当期純利益」、「ROE」、「ROA(営業利益ベース)」を重要な指標と位置付けております。
2022年2月期
2023年2月期
経営数値目標
(2025年2月期)
営業利益
△13億円
15億円
65億円
親会社株主に帰属する当期純利益
△7億円
18億円
40億円
自己資本当期純利益率(ROE)
△2.3%
5.6%
10.0%以上
総資産営業利益率
(ROA)
△1.2%
1.3%
5.0%以上
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
主な内容は「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要の主なものは、商品の仕入や営業費用などの運転資金に加え、店舗物件の改装や修繕などに伴う設備資金であります。
これらの資金需要に対応すべく、主に自己資金及び金融機関からの借入金により必要な資金を調達しております。
なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。
2019年2月期
2020年2月期
2021年2月期
2022年2月期
2023年2月期
自己資本比率(%)
28.4
29.8
27.3
27.9
29.2
時価ベースの自己資本比率
(%)
106.5
78.0
108.0
85.4
80.3
キャッシュ・フロー対
借入金比率(年)
1.7
1.5
4.0
6.7
1.7
インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)
78.7
100.8
41.9
27.0
93.6
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対借入金比率:借入金/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利息の支払額
※ 各指標の算出は、連結ベースの財務数値によっております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
なお、期末発行済株式数より控除する自己株式に、株式需給緩衝信託Ⓡが保有する当社株式291,200株が含まれております。
