【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動の収縮から段階的に回復しているものの、ウクライナ問題の地政学的リスクの影響、半導体部品の不足による生産活動の停滞、多岐にわたる急速な物価の上昇、グローバルな金融政策の引き締め、外国為替相場の急速な変動など景気に対する様々な悪影響が顕在化し、先行きが不透明なまま推移しました。
このような状況の下、当社グループは「お客様視点のものづくり」を基本原点に、新製品開発の促進、提案営業の展開、保守サービスの充実、付加価値の改善等に取り組みましたが、鋼材価格の高騰による収益の縮小や製造部品の不足から製造納期の長期化が常態化するなど、予断を許さない事業環境が継続しております。これらに対して収益を改善しようと、製造部品の先行手配や内製化、在庫の適正化、販売価格の見直しなどを展開しました。このほか、当社は太陽光発電設備の導入(2022年10月28日稼働)を決定し、社会が求める自然環境への対応と企業活動の共存を図り、持続可能な成長を可能とする企業活動にも取り組みました。当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高は4,689百万円(前年同期比5.5%増)、営業利益は383百万円(前年同期比2.8%増)、経常利益は416百万円(前年同期比1.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は316百万円(前年同期比21.5%増)となりました。
① 品目別売上高の概況1) 形鋼加工機シリーズ鋼材等の原材料価格の高騰や人手不足の影響により延期又は中止となっていた中小物件の建設が回復していないものの、都市部を中心とした鋼構造物プロジェクトや物流倉庫、データセンター等の建設は堅調に推移したことから、売上高は3,239百万円(前年同期比10.6%増)となりました。
2) 丸鋸切断機シリーズ鋼材加工業界は生産活動を持ち直しているものの、自動車関連業界は半導体部品の不足による生産調整を受けて設備投資が低調に推移し、売上高は125百万円(前年同期比63.1%減)となりました。
3) 金型シリーズ形鋼加工機に付帯する金型の出荷の増加やお客様の機械稼働の改善による金型単体の需要増加を受け、売上高は452百万円(前年同期比12.9%増)となりました。
4) 受託事業・その他工作機械の生産環境が回復したことに加え、設備を増強したことが功を奏し、子会社のタケダ精機株式会社の売上高が240百万円(前年同期比34.6%増)となったことから、売上高は243百万円(前年同期比32.6%増)となりました。
5) 部品・サービスお客様の機械稼働が改善したことに加え、迅速な対応で「お客様満足度の向上」を図るようサービス活動を展開し、売上高は628百万円(前年同期比5.9%増)となりました。なお、部品の売上高は530百万円(前年同期比5.0%増)、サービスの売上高は98百万円(前年同期比11.2%増)となっております。
② 当連結会計年度の課題における活動の概況当連結会計年度に掲げる経営課題に対する活動の概況は、以下のとおりであります。
1) 新製品の開発形鋼加工機 自動測長付孔あけ切断複合機「CBF-4020Ⅱ-M」の販売を開始しました。その特長は従前の既存機にはない長孔や大径孔の加工を可能とするミーリング加工機能が追加され、新たな販路を広げることが可能となりました。当連結会計年度は、1機種の新製品を市場に供給することができました。
2) ブランディング活動の継続国際見本市である国際ウェルディングショーに向け、形鋼加工機 自動測長付孔あけ切断複合機「CBF-3015Ⅱ-M」を出展し、タケダブランドのPR活動を行いました。また、新製品の開発において製品の安全性や操作性を高めつつ外観デザインの刷新を進めるほか、本社ショールームのリニューアルを図るなど、幅広くブランディング活動を展開しました。
3) 付加価値の向上IoT技術を活用した生産活動に対する改善活動のほか、新たにRPA技術の活用による業務の改善活動にも取り組みました。
4) 海外販売戦略の再構築マレーシア駐在所を閉鎖し、海外の現地販売店の再調査と国内の機械・鋼材商社、貿易会社の再開拓を展開しました。
5) 人材育成の強化役員研修、新任管理職研修、技能検定などの受講や資格の取得を推進するほか、自己啓発を目的にeラーニングや通信教育を積極的に活用するなど、継続して人材育成の強化に取り組みました。
6) 企業価値の向上持続可能な成長を可能とする企業活動への取組みは、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。
③ 当連結会計年度の目標とする経営指標と実績数値との分析当連結会計年度における事業計画数値と実績数値との分析は、次のとおりであります。
区 分
2023年5月期計画(百万円)
2023年5月期実績(百万円)
増減比(%)
売 上 高
4,800
4,689
△2.3
経常利益
330
416
26.2
2023年5月期における当社グループの事業計画は都市部を中心とする鋼構造物プロジェクトや国土強靭化基本計画などの継続する内需によって底堅く推移するとしているものの、当連結会計年度における事業状況は(1)項に記載する経営成績のとおりとなりました。事業計画数値と実績数値との分析として、売上高は翌年度に納期がずれ込む影響を受けて減少しつつも、経常利益は翌年度の売上案件に向けて操業が確保され増加する結果となりました。
④ 各段階利益の概況1) 売上総利益及び営業利益当連結会計年度における当社グループの取組みとして、(1)項に記載する製造コストの上昇を抑えるよう付加価値の改善等に努め、売上高は前年同期に対して244百万円増加(前年同期比5.5%増)の4,689百万円、売上総利益は前年同期に対して67百万円増加(前年同期比5.1%増)の1,372百万円、売上総利益率は前年同期に対して0.1%減少の29.3%(前年同期は29.4%)、営業利益は前年同期に対して10百万円増加(前年同期比2.8%増)の383百万円となりました。なお、販売費及び一般管理費は、前年同期に対して56百万円増加(前年同期比6.1%増)の989百万円となりました。これは、主に株主優待引当金繰入額が18百万円、運賃及び荷造費が15百万円、従業員給料及び賞与が13百万円増加したこと等によるものであります。
2) 経常利益経常利益は、前年同期に対して7百万円増加(前年同期比1.8%増)の416百万円となりました。これは、主に営業利益が10百万円増加したこと等によるものであります。
3) 親会社株主に帰属する当期純利益親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期に対して55百万円増加(前年同期比21.5%増)の316百万円となりました。これは、主に経常利益が7百万円増加したことに加え、特別利益として補助金収入が49百万円発生したこと等によるものであります。
⑤ 生産、受注及び販売の状況
1) 生産実績当連結会計年度における品目別生産実績を示すと、次のとおりであります。
品 目
生産高(千円)
前年同期比(%)
形 鋼 加 工 機
3,023,963
39.2
丸 鋸 切 断 機
181,806
△8.3
そ の 他
1,784,542
10.5
合 計
4,990,311
25.2
(注) 金額は、販売価格によっております。
2) 受注実績当社グループは見込生産のため、受注実績の記載を省略しております。
3) 販売実績当連結会計年度における品目別販売実績を示すと、次のとおりであります。
品 目
販売高(千円)
前年同期比(%)
形 鋼 加 工 機
3,239,187
10.6
製
丸 鋸 切 断 機
125,123
△63.1
金 型
452,719
12.9
品
受
託
事
業・その他
243,018
32.6
小
計
4,060,049
5.4
部
品
530,179
5.0
サ
ー
ビ
ス
98,791
11.2
合 計
4,689,021
5.5
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相
手
先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
株式会社山善
716,373
16.1
664,964
14.2
(2) 財政状態当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況は、以下のとおりであります。
① 総資産当連結会計年度末における総資産の残高は7,290百万円となり、前連結会計年度末に比べ551百万円増加しております。これは、主に棚卸資産が372百万円、売上債権が301百万円、有形固定資産のリース資産が102百万円増加したこと、現金及び預金が236百万円減少したこと等によるものであります。
② 負債当連結会計年度末における負債の残高は2,698百万円となり、前連結会計年度末に比べ277百万円増加しております。
これは、主に支払手形及び買掛金が178百万円、短期借入金が100百万円、リース債務(流動負債のリース債務を含む。)が98百万円増加したこと、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む。)が78百万円、未払法人税等が69百万円減少したこと等によるものであります。
③ 純資産当連結会計年度末における純資産の残高は4,592百万円となり、前連結会計年度末に比べ274百万円増加しております。これは、主に利益剰余金が270百万円、その他有価証券評価差額金が3百万円増加したこと等によるものであります。
(3) キャッシュ・フロー当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は601百万円となり、前連結会計年度末に比べ271百万円減少しております。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度における営業活動の結果、支出した資金は82百万円となりました(前年同期は991百万円の獲得)。これは、主に減価償却費が225百万円(前年同期は214百万円)、仕入債務が161百万円の増加(前年同期は107百万円の増加)、売上債権が301百万円の増加(前年同期は113百万円の減少)、棚卸資産が372百万円の増加(前年同期は7百万円の減少)、賞与引当金が15百万円の増加(前年同期は32百万円の増加)、税金等調整前当期純利益が467百万円(前年同期は408百万円)、法人税等の支払額が220百万円(前年同期は12百万円)等によるものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度における投資活動の結果、支出した資金は71百万円となりました(前年同期は63百万円の支出)。これは、主に有形固定資産の取得による支出が34百万円(前年同期は105百万円)、無形固定資産の取得による支出が16百万円(前年同期は25百万円)、定期預金の支出入が34百万円の支出(前年同期は59百万円の収入)、補助金の受取額が49百万円(前年同期は該当無し)等によるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度における財務活動の結果、支出した資金は116百万円となりました(前年同期は321百万円の支出)。これは、主に短期借入金の支出入が100百万円の収入(前年同期は400百万円の支出)、長期借入金の支出入が78百万円の支出(前年同期は200百万円の収入)、リース債務の返済による支出が91百万円(前年同期は94百万円)、配当金の支払額が45百万円(前年同期は27百万円)等によるものであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性の状況当社グループは、資金の流動性を高めるフリー・キャッシュ・フロー(注)を創出し、株主様に対する利益還元の原資の確保を図り、手許資金を将来の成長投資に充当してまいります。将来の成長投資として、短期には製品開発、販売用ソフトウェア、老朽化設備の更新、生産設備の増強等に、中長期には大型の生産設備、建物の更新等に投資するよう考えております。資金調達については、「第1 企業の概況、3 事業の内容」に記載する事業の運転資金として、銀行借入を基本方針としておりますが、設備投資には利便性やコスト等を勘案してリースによる資金調達を行うほか、大型の生産設備、建物の更新等に投資する場合には増資、社債の発行を検討することもあります。資金調達に係る流動性リスクの管理については、適時に資金繰計画を作成、更新するとともに、手許資金の流動性の維持等によって流動性リスクを管理しております。また、資金運用については、短期的な預金等に限定しております。当連結会計年度末の現金及び預金は1,098百万円であり、短期借入金、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む。)及びリース債務(流動負債のリース債務を含む。)の総額は1,566百万円であります。当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フローは154百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ1,082百万円減少となりました(前連結会計年度は927百万円の獲得)。
(注) フリー・キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算して算出したものであります。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するに当たって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なもの及び新型コロナウイルス感染症の影響に伴う会計上の見積りは、「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、(1) 連結財務諸表、注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。