【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況
当社グループは著作物を公正利用のもと、出来るだけ広く頒布し著作者に収益を還元するという「著作物の健全なる創造サイクルの実現」をミッション、「ひとつでも多くのコンテンツを、ひとりでも多くの人へ」をビジョンに掲げ、日本における文化の発展及び豊かな社会づくりに貢献するため、積極的な業容の拡大と企業価値の向上に取り組んでおります。
日本国著作権法第一章 総則の第一条に謳われる『著作物は文化の発展に寄与』、『著作物の利用と保護の調和』を第一義に、デジタル化された数多くの著作物をより多くの人に届け、その利用における適正な対価を著作者に還元し、また新たな著作物が創造されるよう“著作物の健全なる創造サイクル”の一翼を担うことを目的に事業を行っております。
① 経営成績
当社グループの当第2四半期連結累計期間における経営環境は、第1四半期連結累計期間同様に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の収束に伴い、全国的に都心部や観光地への人出が増加し、余暇時間の使い方に変化が起こる中、電子書店の多くがこれまでの大幅な割引や高いポイント還元などのキャンペーン施策を変更した影響もあり、前年対比成長率が鈍化する書店が多くなりました。また、当第2四半期連結累計期間までは、前年度において電子書籍流通事業での主要取引先であったLINE Digital Frontier株式会社が運営する「LINEマンガ」向けのバックエンド業務が株式会社イーブックイニシアティブジャパンへ移管されたことによる減収影響を大きく受けております。
その結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は46,397百万円(前年同期比14.4%減)、営業利益は993百万円(前年同期比25.6%減)、経常利益は937百万円(前年同期比27.2%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は509百万円(前年同期比18.9%減)となりました。
当第2四半期連結累計期間のセグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(電子書籍流通事業)
電子書籍流通事業については、引き続き「コミックシーモア」「Amazon Kindle」などの電子書店への取次や電子書籍配信ソリューションの提供を行いました。2023年2月末時点で、取引先としての出版社は2,200社以上、電子書店は150店以上、取扱稼働コンテンツ数は200万点以上、出版社や電子書店とのキャンペーンは1.6万件以上展開しており、当社グループは国内最大の電子書籍取次事業者として出版業界の発展に貢献しております。
また、2022年4月に公表した新たな中期経営計画で掲げた目標の実現に向けて、出版社や電子書店の業務効率化や次世代システムの構築といったオペレーショナルエクセレンスを追求し、流通カロリーを一層抑制するための諸活動に引き続き取り組んでおります。
当第2四半期連結累計期間においては、巣ごもり需要が一巡し、屋外でのエンタテインメント需要などが増え人流が変化したことで、一部電子書店においてキャンペーン施策の見直しがなされるなど、成長率が鈍化する電子書店が多くなりました。電子書籍市場全体を見ても、2017年度以降20%を超える高い成長率で市場規模が拡大していましたが、直近においては2023年度予想6,481億円、2025年度予想7,344億円、2027年度予想8,066億円と市場規模の拡大に伴い成長率は1桁台となる見込みです。(※)
このような市場環境を踏まえ、引き続き電子書籍市場成長への寄与と、当社の流通シェアを高めるべく、各書店のキャンペーン施策の強化支援や、商流切替の提案など、各出版社・各書店との更なる関係深耕を図るだけでなく、業務プロセスの効率化・高度化を推進しております。
その結果、売上高は42,802百万円(前年同期比15.6%減)、セグメント利益は2,510百万円(前年同期比8.8%減)となりました。
※インプレス総合研究所「電子書籍ビジネス調査報告書2023」より
(戦略投資事業)
戦略投資事業については、引き続き電子書籍流通事業に比肩する第二の収益の柱を確立すべく、FanTop事業や縦スクロールコミック事業を含むIP・ソリューション事業の成長に向けた事業推進に注力しました。
かかる中、当第2四半期連結累計期間においては、事業ポートフォリオ見直しの一環として2023年2月期以降に実施した株式会社Nagisa及び株式会社Jコミックテラスの譲渡が減収要因となりました。加えて、インプリント事業に含まれる株式会社日本文芸社においては、昨今の資材価格及び物流費の高騰が利益の押し下げ要因となりました。一方、FanTop事業における投資の適正化や、国際事業におけるSaaS型のビジネスモデルでリカーリング収益を着実に積み上げたこと、またIP・ソリューション事業内の株式会社フライヤー、アルトラエンタテインメント株式会社の成長により、赤字抑制・黒字転換に向けた着実な事業進捗が見られています。
その結果、売上高は3,586百万円(前年同期比2.7%増)となり、セグメント損失は737百万円(前年同期はセグメント損失762百万円)となりました。
② 財政状態
当第2四半期連結会計期間末における資産合計は、現金及び預金が528百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が1,040百万円それぞれ増加した一方、未収消費税等などの流動資産「その他」が482百万円減少したことなどにより、前期末と比べ1,020百万円増加し、51,902百万円となりました。
負債合計は、支払手形及び買掛金が867百万円、未払法人税等が442百万円それぞれ増加した一方、長期借入金が651百万円減少したことなどにより、前期末と比べ645百万円増加し、34,754百万円となりました。
純資産合計は、利益剰余金が509百万円、為替換算調整勘定などのその他の包括利益累計額が287百万円それぞれ増加した一方、自己株式の消却などにより資本剰余金が422百万円減少したことなどにより、前期末と比べ375百万円増加し、17,148百万円となりました。
③ キャッシュ・フロー
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、10,655百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,857百万円(前年同期比6.9%減)となりました。
これは、税金等調整前四半期純利益929百万円、減価償却費289百万円、のれん償却額351百万円、仕入債務の増加額864百万円、未収消費税等の減少額409百万円などが増加要因となった一方、売上債権の増加額1,024百万円、未払金の減少額135百万円などが減少要因となったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は363百万円(前年同期は1,901百万円の支出)となりました。
これは、無形固定資産の取得による支出311百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1,021百万円(前年同期は290百万円の支出)となりました。
これは、長期借入金の返済による支出651百万円、自己株式の取得による支出499百万円などによるものであります。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針、経営戦略及び対処すべき課題等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針、経営戦略及び対処すべき課題等について重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における研究開発費は軽微であるため、記載を省略しております。
#C3678JP #メディアドゥ #情報通信業セクター