【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 連結経営成績に関する定性的情報
当第1四半期連結累計期間におけるわが国の経済は、約3年間にわたり大きな影響をあたえてきた新型コロナウイルス感染症の重症化リスクが制御され、社会経済活動の正常化に向かいつつあるものの、エネルギー価格をはじめとする物価高騰の影響等により、本格的な景気回復には道半ばのまま推移いたしました。また、欧州での紛争に端を発する地政学的リスク等、社会や経済環境は依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような環境の中、当社グループは「プロフェッショナルの能力により豊かな社会を創出し、持続可能な世界を実現する」ことを理念として掲げ、事業を運営してまいりました。当社グループがネットワークするクリエイター、医師、ITエンジニア、弁護士、会計士、建築士、ファッションデザイナー、シェフ、研究者等、替えの利かない専門的な能力を有するプロフェッショナルへのニーズは底堅く、四半期として過去最高の売上高となりました。一方で、旺盛なニーズに対応すべく、クリエイティブ分野(日本)を中心に新卒等の人員採用の強化により人件費、研修費等が増加したことに加え、医療分野における新型コロナウイルスに関するワクチン接種のスポット案件が減少したこと、また新規グループ会社の設立等による積極的な事業投資により、各利益項目が前年実績を下回ったものの、計画通りに推移いたしました。
これらの結果、当社グループの当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高12,745百万円(前年同期比112.1%)、営業利益1,580百万円(前年同期比93.6%)、経常利益1,595百万円(前年同期比94.1%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,045百万円(前年同期比84.0%)となりました。
報告セグメントごとの業績は次のとおりであります。
①
クリエイティブ分野(日本)
クリエイティブ分野(日本)は、グループの中核となる当社が映像、ゲーム、Web、広告・出版等のクリエイティブ領域で活躍するクリエイターを対象としたプロデュース、ライツマネジメント、エージェンシー事業を展開している他、連結子会社株式会社クレイテックワークスがゲーム分野でのプロデュース事業を、連結子会社株式会社ウイングがTV・映像分野でのエージェンシー事業を、連結子会社株式会社シオングループ、連結子会社株式会社シオン及び連結子会社株式会社シオンステージがTV・映像分野でのプロデュース事業及びエージェンシー事業を展開しております。
映像・TV・映像技術関連分野は、TV局各局の番組制作需要を的確に捉え成長いたしました。当社が企画制作するTV番組『家事ヤロウ!!!』(テレビ朝日系列)は、番組公式Instagramのフォロワー数が国内のテレビ番組公式アカウントとしてトップを維持し、好評を得ております。また、NHK出身者により設立された株式会社ウイングは、NHK及び関連会社の番組制作・編集部門へのスタッフ派遣、気象キャスターの派遣等を展開しており、当社の持つ幅広いネットワークとの融合により業容拡大をはかっております。さらに、TV番組の企画・制作を行なう株式会社シオンは、特にバラエティ番組の企画・制作プロデュース力に強みを持ち、2023年4月には、当社が企画プロデュースを担当し、株式会社シオンが制作を行なった『辛口クリエイター塾』の放送を開始いたしました。今後も、当社のプロデュース事業とグループ各社とのシナジーの創出を加速してまいります。
動画配信サービスへの取り組みに関しては、YouTubeクリエイターをサポートするMCN「The Online Creators(OC)」が、500チャンネル(2023年5月時点)をネットワークしており、企業やTV番組のYouTubeチャンネルの企画・開発・運用の受託が増加しております。
ゲーム分野においては、当社及び株式会社クレイテックワークスにおいて、開発スタジオでの制作受託や、IP(知的財産)を活用した自社開発を推進しております。また、開発スタジオと連動した業界未経験者の育成機関「C&Rクリエイティブアカデミー」や外国籍人材の積極的な登用を通じて、人手不足と言われるゲーム業界のニーズに着実に対応しております。
XR(VR/AR/MR)への取り組みに関しては、顧客自身がVR教材を短時間で制作・研修できる当社開発の「ファストVR」の販売や、企業と共同で行なう危険体感教育ツールの開発、DXプロジェクトにおけるXR導入支援や施策に関するコンサルティング等を行ない、ハードからコンテンツまで一貫したソリューションの開発・販売実績を積み重ねております。
Web分野においては、Webクリエイティブやデジタルマーケティング、さらにDXにおけるプロフェッショナルのネットワーク拡充をはかっております。コロナ禍で一層高まった企業のデジタルマーケティングやデジタル化による業務改革の需要を捉え、企業のWeb開発からプロモーション案件の受託やクリエイターの紹介が拡大した他、全国の拠点と連携した事業活動が進展しております。
出版分野では、Amazon Kindle等の電子書店に取次を行なう電子書籍取次が引き続き順調に増加した他、発掘した漫画家や作家の作品を企画開発・収益化する「漫画LABO」は、累計235タイトルを配信するまでに業容を拡大し、収益モデルの多様化を進めております。2023年5月には、オリジナルタイトルの配信を台湾で開始し、今夏には中国で配信を開始する予定で、今後は海外での配信も強化してまいります。
建築分野では、一級建築士やBIMエンジニアの紹介等のエージェンシー事業や設計・建築の受託案件が堅調に拡大しております。その他、特徴的な賃貸物件プロデュースの「CREATIVE RESIDENCE® SERIES」、VR空間で建築家やハウスメーカー、工務店が顧客に住宅をプレゼンテーション・販売できるサービスVR建築展示場「XR EXPO®」に加え、2022年11月より一級建築士が実際の建築データを基に設計開発したメタバース空間での住宅展示場プラットフォーム「超建築メタバース」を提供しております。「超建築メタバース」は、住宅設計事務所や広告代理店など、多数の企業より引き合いがあり、現在、事業化に向けて注力中です。
新たな分野として、AI等コンピュータサイエンスの技術者や博士号取得者、ライフサイエンスの研究開発者や研究開発補助者、料理人、企業における業務や機能の最高責任者であるCXOのエージェンシー事業等を展開し、今後の成長に繋がる取り組みを積極的に展開しております。
映像やゲーム、Webコンテンツ開発など、年々分野と規模を拡大してきたスタジオを包括し、日本最大級のクリエイティブ開発スタジオとなった「C&R Creative Studios」では、企画開発や受託開発の他、日本初となるクリエイター専用の仕事・交流特化型メタバースを独自開発いたしました。作品展示や交流、クライアントとのプロジェクトを通じて世界を革新するサービスの創出をめざしております。今後も日本から世界を席巻するようなコンテンツ開発を行なうとともにブランディング化をはかり、世界中の優秀なクリエイターの獲得を目指してまいります。
これらの結果、クリエイティブ分野(日本)は、売上高8,631百万円(前年同期比115.6%)、セグメント利益(営業利益)820百万円(前年同期比92.9%)となりました。
②
クリエイティブ分野(韓国)
クリエイティブ分野(韓国)は、連結子会社CREEK & RIVER ENTERTAINMENT Co., Ltd.及び連結子会社CREEK & RIVER KOREA Co., Ltd.が、クリエイティブ分野(日本)と同様のビジネスモデルを韓国にて展開しております。
韓国のTV業界で多くの映像プロフェッショナルの派遣実績を積み重ねておりますが、新型コロナウイルスの感染拡大以降、韓国TV各局の業績不振等に伴い、派遣稼働者数が減少傾向にあります。事業の再構築を進める一方で、出版分野等において当社との連携を高め、映像分野以外への進出やライツマネジメント事業を強化し、収益の多様化を進めております。コンテンツ事業では、デジタルコミック(Webtoon)や動画の独自開発を行ない、収益向上へ繋がる新たな仕組み作りに取り組んでおります。2022年6月に韓国で配信を開始し人気となったオリジナル電子コミック『ビギナーなのに強すぎる!』(原作:一等宝くじ)は、中国・日本・北米・台湾・タイ・インドネシアで配信を行ない好評を博す等、オリジナル作品を多数輩出しグローバル展開のビジネスモデルを確立しつつあります。
これらの結果、クリエイティブ分野(韓国)は売上高876百万円(前年同期比97.0%)、セグメント損失(営業損失)8百万円(前年同期はセグメント利益2百万円)となりました。
③
医療分野
医療分野は、連結子会社株式会社メディカル・プリンシプル社が「民間医局」のブランドのもと、ドクター・エージェンシーを中心とした事業を展開しております。
医療機関や自治体、医師の多様なニーズに応えるべく、医師の紹介事業を中心に、研修医・医学生を対象として全国各地で開催する研修病院合同説明会「レジナビFair」やオンライン開催の「レジナビFairオンライン」、臨床研修情報サイト「レジナビ」、若手医師向け情報収集サイト「民間医局コネクト」等のサービスを展開しております。主軸の医師紹介事業は、前年同時期に受注した新型コロナウイルスに関するワクチン接種のスポット案件が減少いたしましたが、全国各地での慢性的な人材不足、地域的偏在を背景に医師へのニーズは高く、全国17拠点を通じて医療機関、自治体、企業への医師紹介を行なう他、スポット及び定期非常勤医師のマッチングシステム「民間医局ポータル」の開発と提供により業務の効率化を進める等、長年培った医療業界での経験と信頼を活かし、順調に事業を成長させております。なお「レジナビFair」は、大規模会場でのリアル開催がコロナ禍以前の状況に回復しつつあり、オンライン開催と合わせて順調に推移しております。また、地域医療周辺サービス事業を行なう連結子会社株式会社コミュニティ・メディカル・イノベーションは、最新のITやAIのテクノロジーも活用し、介護事業を含む効果的な地域医療周辺サービス事業の提供により、地域医療における高齢化、医師の偏在といった課題の解決に取り組んでまいります。
これらの結果、医療分野は売上高1,832百万円(前年同期比101.3%)、セグメント利益(営業利益)787百万円(前年同期比93.6%)となりました。
④
会計・法曹分野
会計・法曹分野は、連結子会社ジャスネットコミュニケーションズ株式会社及び連結子会社株式会社C&Rリーガル・エージェンシー社が、会計士や弁護士を対象としたエージェンシー事業を中心に展開しております。
各種関連団体との関係強化、クライアント企業・事務所との共同セミナーの積極的な開催等を通じ、業界内における認知度向上をはかり、エージェンシー事業のさらなる拡大に努めております。また、これまで培ってきたネットワークを活かし、会計事務所・法律事務所やその顧問先の事業承継ニーズに対応すべく、「事業承継・M&A支援サービス」を展開している他、在宅で活躍する経理・法務人材の紹介事業を行なう等、サービスの拡充をはかっております。
また、法曹分野では、ビジネスローヤーのブランディングと営業を支援する「Business Lawyer’s Marketing Service」等、次につながる新たな施策を展開しております。
当第1四半期連結累計期間における業績は、人材紹介事業において登録者及びクライアント双方に対するきめ細やかな対応を徹底することで、前年同期を上回って推移いたしました。
これらの結果、会計・法曹分野は売上高617百万円(前年同期比112.4%)、セグメント利益(営業利益)37百万円(前年同期比126.9%)となりました。
⑤
その他の事業
IT分野のエージェンシー事業を展開する連結子会社株式会社リーディング・エッジ社では、ロボット・AI等、市場ニーズに合わせたエンジニア等のネットワークを構築しております。エンジニアに対する旺盛なニーズに対応するため、営業戦略や組織体制の変更、新卒育成を積極的に進めております。育成したITエンジニアの就業が進んだことから、前第3四半期以降黒字転換し、業績は順調に推移しております。
ファッション分野のエージェンシー事業を展開する連結子会社株式会社インター・ベルは、販売職の派遣及び店舗の運営代行業務等を展開しております。百貨店や商業施設ではインバウンド需要が回復傾向にあり、独自ノウハウを活かした販売代行事業が成果を上げている他、オンラインを活用した接客やライブコマースを導入する等、新たな収益機会を捉えた取り組みも進展しております。
人材メディア事業を展開する連結子会社株式会社プロフェッショナルメディアは、Web・IT・AI業界の総合求人サイト「DXキャリア」の業容拡大に取り組んでおります。
中国IDEALENS社及びSKYWORTH社のVRゴーグルの日本国内での販売・運用・保守を行なう連結子会社株式会社VR Japanは、医療機関との「AR胸腔ドレナージ」の共同研究開発を推進する他、教育研修に関するハードの販売や保守運用サービス等において事業基盤を確立しつつあります。
AIを用いたシステムの企画・開発・販売・運用・保守事業を行なう連結子会社株式会社Idrasysでは、需要予測やスコアリング等を可能にする独自のAIクラウドプラットフォーム「Forecasting Experience」を通じて、企業のデータ活用支援を展開しております。また、生成AIのChatGPTと連携したドキュメント検索システム「ChatGPT+SmartKMS」及びチャットボット「ChatGPT+SmartRobot」の開発も進めております。
米国にて法曹分野のSNSプラットフォーム「JURISTERRA」の開発・運営を行なう連結子会社CREEK & RIVER Global,Inc.は、米国と日本を結んだ法務コンサルティングサービスを展開しております。
連結子会社きづきアーキテクト株式会社は、当社と連携し当社グループが取り組む新規事業の加速化に貢献しております。
ブランドマーケティング事業を展開する連結子会社株式会社forGIFTは、当社の開発スタジオ「C&R Creative Studios」でのゲーム3DCG制作技術とファッション分野での知見を活かした、アパレル3DCGサンプル制作サービス「sture(ストゥーラ)」のマーケティングを展開している他、イベント運営協力やプロモーションの企画開発等、C&Rグループと連携した事業やサービスを積極的に進めております。
連結子会社株式会社コネクトアラウンドは、農業分野でのテクノロジーを活用したダイバーシティ&インクルージョン及び農業を基軸とした地域雇用の促進等を目指しております。栽培から2次加工品の製造・販売を行なう6次化農業ビジネス「FUN EAT MAKERS」事業を神奈川県川崎市の施設で開始した他、福島県大熊町での施設開設に向けて準備を進めております。
連結子会社株式会社One Leaf Clover(ワン リーフ クローバー)は、「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づく特例子会社の認定を取得し、障がい者が能力を最大限に発揮できる安定的な職場環境の確保及び、社会への主体的な参画を目指しており、地方自治体と連携をはかる等、事業構築を進めております。
ブロックチェーン技術を使ったプラットフォームの企画、開発、運営を行なう連結子会社株式会社ANIFTY(アニフティ)は、アニメ作家や漫画家、イラストレーター、動画制作者等の優れたコンテンツをNFT(非代替性トークン)として流通させ、グローバル市場での収益化をはかると共に、才能の発掘や新しいビジネスモデルの構築に向けて準備を行なっております。
連結子会社株式会社Chef’s value(シェフズ バリュー)は、料理人の生涯価値を高める新しい仕組みづくりを目的とした事業展開を行なっており、2022年11月には、料理人(シェフ)の独立開業を支援する直営スタートアップ1号店であるイタリアンレストラン「Cassolo(カッソーロ)」を本社がある新虎通りCOREビル2階に開店いたしました。人気ゲーム・アニメとのコラボカフェを実施する等、様々な取り組みを進めております。
連結子会社株式会社Nextrek(ネクストレック)は、日本が世界に誇るコンテンツである漫画を海賊版の脅威から守りながら、作家や出版社のグローバルにおける収益拡大、映像や音楽クリエイターの新たな創作機会の提供をはかるため、漫画を音楽と共に楽しむ動画作品としたモーションコミックを集めたアプリ「モブコミ」の提供を開始いたしました。
連結子会社株式会社C&Rインキュベーション・ラボは、C&Rグループと事業シナジーが見込める企業に対する積極的な資本参加を行なうCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)として、既存事業とのシナジーの創造及び、新規事業立上げに関わるシーズの獲得を行ない、プロフェッショナルの叡智を組み合わせた新サービス創出に繋がる事業の加速化をはかってまいります。
2023年5月に連結子会社化した株式会社ALFA PMCは、施設建築領域全般におけるマネジメント・セミナー事業等を展開しております。建築分野のプロフェッショナルの生涯価値向上とともに、グループの企業価値向上を目指してまいります。
これらの結果、その他の事業は売上高787百万円(前年同期比123.3%)、セグメント損失(営業損失)60百万円(前年同期はセグメント損失79百万円)となりました。
(2) 連結財政状態に関する定性的情報
(資産)
当第1四半期連結会計期間末の流動資産は、前連結会計年度末より1,951百万円増加し18,717百万円となりました。これは、主として業容の拡大に伴う現金及び預金、受取手形、売掛金及び契約資産の増加によるものであります。
当第1四半期連結会計期間末の固定資産は、前連結会計年度末より142百万円減少し5,845百万円となりました。これは、主としてのれん及び繰延税金資産の減少によるものであります。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末の流動負債は、前連結会計年度末より1,413百万円増加し9,330百万円となりました。これは、主として短期借入金が増加したことによるものであります。
当第1四半期連結会計期間末の固定負債は、前連結会計年度末より21百万円減少し570百万円となりました。これは、主として退職給付に係る負債が減少したことによるものであります。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末より417百万円増加し、14,661百万円となりました。これは、主として親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により利益剰余金が増加した一方で、配当の支払により利益剰余金が減少したことによるものであります。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の「重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」の記載について、重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
該当事項はありません。
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