【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況(経営成績の概況)
当第1四半期連結累計期間におけるわが国の経済は、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類へ移行され、社会経済活動の正常化が進み、景気に改善の動きがみられる一方で、海外景気の下振れリスクや物価上昇の影響などにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような情勢下にあって当社グループでは、2022年4月に策定した「中期経営計画 2025」の各事業戦略の推進と数値目標達成に向けて2年目をスタートいたしました。当第1四半期連結累計期間における経営成績は、営業収入は741億5千3百万円(前年同四半期比19.9%増)、営業利益は183億2千4百万円(同28.4%増)、経常利益は188億2百万円(同18.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は122億9千1百万円(同6.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は以下のとおりです。
映画事業
映画営業事業では、東宝㈱において、共同製作や配給した作品のうち、「名探偵コナン 黒鉄の魚影」が「名探偵コナン」シリーズ作品で初めて興行収入100億円を突破する大ヒット、「映画ドラえもん のび太と空の理想郷」「劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』」「わたしの幸せな結婚」もヒットいたしました。また、東宝東和㈱が配給した「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」が大ヒット、「ワイルド・スピード/ファイヤーブースト」もヒットいたしました。これらの結果、映画営業事業の営業収入は13,859百万円(前年同四半期比18.2%増)、営業利益は5,798百万円(同20.8%増)となりました。なお、上記営業収入の主な内訳として、映画館への配給が11,381百万円(前年同四半期比34.3%増)、劇場用映画の国内配信が290百万円(同58.9%減)となりました。
映画興行事業では、TOHOシネマズ㈱等において、上記配給作品等を上映いたしました。当第1四半期連結累計期間における映画館入場者数は12,397千人と前年同四半期比25.2%の増加となりました。なお、TOHOシネマズ㈱では、ゴールデンウィーク期間(4月29日~5月7日)において、興行収入の歴代最高記録を達成いたしました。これらの結果、映画興行事業の営業収入は23,207百万円(前年同四半期比33.8%増)、営業利益は4,668百万円(同123.5%増)となりました。当第1四半期連結累計期間中の劇場の異動につきましては、TOHOシネマズ㈱が2023年4月17日に大阪府門真市「TOHOシネマズ ららぽーと門真」(9スクリーン)をオープンいたしました。これにより、当企業集団の経営するスクリーン数は全国で9スクリーン増の730スクリーン(共同経営56スクリーンを含む)となっております。
映像事業では、東宝㈱において、「僕のヒーローアカデミア」「呪術廻戦」「SPY×FAMILY」「BLUE GIANT」「Dr.STONE」「ちびゴジラ」等、製作出資いたしましたTOHO animation作品の国内外の配信・商品化権収入に加え、各種配分金収入がありました。パッケージ事業では「シン・ウルトラマン」に加え、TOHO animation作品の「お兄ちゃんはおしまい!」「お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件」の販売が伸長いたしました。出版・商品事業では、劇場用パンフレット、キャラクターグッズにおいて「名探偵コナン 黒鉄の魚影」「映画ドラえもん のび太と空の理想郷」「わたしの幸せな結婚」をはじめとする当社配給作品や、「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」の販売が好調に推移いたしました。TOHOスタジオ㈱では、制作及びスタジオ事業の一体運営を図り、堅調に稼働いたしました。㈱東宝映像美術及び東宝舞台㈱では、映画やTV・CM等での舞台製作・美術製作やテーマパークにおける展示物の製作業務に関して受注持ち直しの動きに加え、原価低減に努めました。これらの結果、映像事業の営業収入は13,859百万円(前年同四半期比32.5%増)、営業利益は2,688百万円(同14.8%増)となりました。なお、上記営業収入の主な内訳として、アニメコンテンツの利用が5,245百万円(前年同四半期比35.4%増)、パッケージの販売が1,246百万円(同14.7%増)、映像作品等に係る美術製作が1,960百万円(同19.1%増)となりました。以上の結果、映画事業全体では、営業収入は50,925百万円(前年同四半期比28.8%増)、営業利益は13,155百万円(同42.5%増)となりました。
演劇事業
演劇事業では、大人気コミック「SPY×FAMILY」初のミュージカル化を帝国劇場にて実現し全席完売となりました。帝国劇場におきまして、「Endless SHOCK(Endless SHOCK/ Endless SHOCK Eternal)」を上演し盛況に推移いたしました。シアタークリエにおきましては「RENT」「She Loves Me」等を上演し、よこすか芸術劇場ではファイナル公演として話題となった松本白鸚の「ラ・マンチャの男」が大入りとなりました。また、「キングダム」を梅田芸術劇場や博多座など全国で上演いたしました。東宝芸能㈱では、所属俳優がCM出演等で好調に推移いたしました。
以上の結果、演劇事業の営業収入は5,385百万円(前年同四半期比18.1%増)、営業利益は1,212百万円(同64.4%増)となりました。
不動産事業
不動産賃貸事業では、オフィス市況の変化など引き続き厳しい状況下にありましたが、保有物件の有効活用に努めつつ、テナントに対するきめ細かな対応により、賃貸用不動産の空室率は、当第1四半期連結会計期間末において0.8%となりました。これらの結果、不動産賃貸事業の営業収入は7,269百万円(前年同四半期比4.7%増)、営業利益は3,302百万円(同9.1%増)となりました。道路事業では、公共投資が底堅く推移しましたが、慢性的な人手不足や労務費・資機材価格の上昇が継続する等、依然として予断を許さない状況が続きました。このような状況の中、スバル興業㈱と同社の連結子会社は、積極的な営業活動に努めましたが、発注や完工時期が翌四半期以降へずれ込む工事が一部ありました。その結果、道路事業の営業収入は7,768百万円(前年同四半期比3.5%減)、営業利益は1,632百万円(同16.0%減)となりました。なお、営業収入の主な内訳は、道路の維持管理・清掃等7,140百万円(前年同四半期比4.3%減)であり、またその他の収益209百万円(同7.0%増)が含まれております。不動産保守・管理事業では、東宝ビル管理㈱及び東宝ファシリティーズ㈱において、人手不足や人件費・原材料費の増加が継続する一方、延期になっていた工事の実施等がありました。その結果、営業収入は2,498百万円(前年同四半期比0.3%増)、営業利益は225百万円(同1.1%増)となりました。
以上の結果、不動産事業全体では、営業収入は17,535百万円(前年同四半期比0.3%増)、営業利益は5,160百万円(同0.6%減)となりました。
その他事業
東宝共榮企業㈱の「東宝調布スポーツパーク」やTOHOリテール㈱の劇場売店等において、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う行動制限の緩和により、消費行動に変化が見られる中、積極的な営業活動に努めました。その結果、その他事業の営業収入は305百万円(前年同四半期比2.7%増)、営業利益は51百万円(同10.5%減)となりました。
(財政状態の概況)
当第1四半期連結会計期間末における財政状態は、前連結会計年度末と比較して、総資産は13,385百万円増加し、547,482百万円となりました。これは現先短期貸付金で11,999百万円の減少がありましたが、現金及び預金で3,677百万円、受取手形、売掛金及び契約資産で4,949百万円、有価証券で4,007百万円、投資有価証券で6,972百万円の増加があったこと等によるものです。
負債では前連結会計年度末から1,754百万円増加し、112,159百万円となりました。
純資産は前連結会計年度末と比較して11,631百万円増加し、435,322百万円となりました。これは利益剰余金で5,295百万円の増加、その他有価証券評価差額金で5,939百万円の増加があったこと等によるものです。
(2) キャッシュ・フローの状況 当第1四半期連結累計期間における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ8,321百万円減少し、103,800百万円となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 当第1四半期連結累計期間における営業活動による資金は、税金等調整前四半期純利益が18,695百万円、減価償却費が2,429百万円、仕入債務の増加が1,402百万円ありましたが、売上債権及び契約資産の増加が4,948百万円、法人税等の支払額が10,512百万円あったこと等により、10,685百万円の資金の増加(前年同四半期比1,187百万円の増加)となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 当第1四半期連結累計期間における投資活動による資金は、有価証券の売却による収入が12,800百万円ありましたが、有価証券の取得による支出が14,199百万円、有形固定資産の取得による支出が7,434百万円、投資有価証券の取得による支出が1,001百万円あったこと等により、12,082百万円の資金の減少(前年同四半期比10,115百万円の減少)となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 当第1四半期連結累計期間における財務活動による資金は、配当金の支払額が6,822百万円、非支配株主への配当金の支払額が199百万円あったこと等により、7,100百万円の資金の減少(前年同四半期比2,146百万円の減少)となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等 当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当第1四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動 該当事項はありません。
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