【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度 (2022年5月16日~2023年5月15日)における経済情勢は、ウイズコロナのなか人流は回復傾向にあり、景気は緩やかな持ち直しの動きがみられました。しかしながら、実質賃金の低下、物価上昇に伴う先行きの不安感や消費の二極化が継続し、購入頻度の高い日用品・生活必需品に対する低価格志向が根強く続いております。
ドラッグストア業界においては、コロナ禍拡大時における関連商材の押し上げ、値ごろ感のある食品やプライベートブランド商品への志向の高まりに加え、インバウンド需要においても回復の兆しがみられるものの、競合各社の出店継続などにより依然として厳しい経営環境が続いております。
このような状況のもと、当社グループでは新中期経営計画の達成に向け、店舗戦略では出店精度の向上・改装推進、調剤戦略では併設店の拡大・薬局機能の強化、プライベートブランド戦略では商品開発・売上構成比のアップ、DX戦略では顧客データの販促活用・自社決済サービス開発・ITシステム開発に取り組んでまいりました。
また、業績管理体制を整備し収益性改善・販売管理費の低減に取り組んでまいりました。
店舗展開につきましては、既存エリアの更なるドミナント強化を図るとともに競争力強化のため不採算店舗の改廃を進め、期首より140店舗の新規出店と1店舗の事業譲受、74店舗の閉店を実施いたしました。この結果、当期末のグループ店舗数は直営店で2,589店舗となりました。なお、タイ国内の当社グループ店舗につきましては、2店舗の新規出店と1店舗の閉店を実施し、同国内における店舗数は2023年5月15日現在で18店舗となりました。
当社グループの出店・閉店の状況は次のとおり (単位:店舗)
前期末
店舗数
出店
子会社化
等
閉店
純増
期末店舗数
うち
調剤薬局
北海道
422
17
–
14
3
425
121
東 北
570
38
1
16
23
593
143
関東甲信越
520
24
–
15
9
529
214
中部・関西
247
14
–
5
9
256
147
中 国
326
22
–
2
20
346
123
四 国
220
11
–
4
7
227
67
九州・沖縄
217
14
–
18
△4
213
35
国内店舗計
2,522
140
1
74
67
2,589
850
上記のほか、海外店舗18店舗、FC加盟店舗7店舗を展開しております。
これらの結果、当連結会計年度における業績は、売上高9,700億79百万円(前年同期比5.9%増)、営業利益455億72百万円(同12.3%増)、経常利益456億89百万円(同14.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益252億58百万円(同18.1%増)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末が金融機関の休業日であった影響により、前連結会計年度末に比べて479億76百万円減少し、789億16百万円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、8億4百万円(前年同期比97.8%減)となりました。これはおもに、税金等調整前当期純利益が434億55百万円となったことと、減価償却費122億44百万円、前連結会計年度末が金融機関の休業日であった影響による売上債権の減少52億21百万円等のプラス要因に対し、前連結会計年度末が金融機関の休業日であった影響による仕入債務の減少474億82百万円、棚卸資産の増加83億6百万円、法人税等の支払額109億7百万円等のマイナス要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、297億74百万円(前年同期比4.8%増)となりました。これはおもに、有形固定資産の取得による支出247億1百万円、新規出店に伴う差入保証金の支出66億69百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、190億5百万円(前年同期は30億67百万円の収入)となりました。これはおもに、配当金の支払額97億16百万円と長期借入金の返済による支出72億円等によるものであります。
仕入及び販売の実績
当社グループは小売業を主たる事業としているため、生産実績および受注実績は記載しておりません。
(1)仕入実績
品目
当連結会計年度
(自 2022年5月16日
至 2023年5月15日)
金額
(百万円)
構成比
(%)
前期比
(%)
商
品
医薬品
130,876
19.1
109.5
化粧品
92,902
13.6
105.0
雑貨
183,040
26.7
102.1
食品
203,906
29.8
109.1
その他
72,417
10.6
98.8
小計
683,143
99.7
105.5
不動産賃貸料原価
390
0.1
126.3
手数料収入等
1,517
0.2
97.1
合計
685,050
100.0
105.5
(注)1.金額は、実際仕入価格によっております。
2.その他のおもな内容は、育児用品・健康食品・医療用具等であります。
(2)販売実績
① 品目別売上高
品目
当連結会計年度
(自 2022年5月16日
至 2023年5月15日)
金額
(百万円)
構成比
(%)
前期比
(%)
商
品
医薬品
222,813
23.0
110.8
化粧品
133,560
13.8
102.1
雑貨
255,575
26.3
102.6
食品
240,956
24.8
109.5
その他
112,737
11.6
102.0
小計
965,644
99.5
105.9
不動産賃貸料
1,367
0.1
115.5
手数料収入等
3,066
0.3
104.8
合計
970,079
100.0
105.9
(注)その他のおもな内容は、育児用品・健康食品・医療用具等であります。
② 地域別売上高
区分
地域
売上高
店舗数
金額(百万円)
前年同期比(%)
数
前年同期比(+)
商品売上
北海道
160,085
103.7
425店舗
3店舗
青森県
21,354
107.5
67店舗
7店舗
岩手県
24,177
107.5
78店舗
2店舗
宮城県
53,581
107.5
153店舗
7店舗
秋田県
24,642
105.4
81店舗
3店舗
山形県
29,202
104.9
98店舗
5店舗
福島県
36,461
101.8
116店舗
△1店舗
茨城県
16,429
110.6
52店舗
1店舗
栃木県
9,712
113.5
36店舗
2店舗
埼玉県
1,700
100.8
7店舗
△1店舗
千葉県
58,555
104.2
149店舗
5店舗
東京都
39,679
102.1
159店舗
―店舗
神奈川県
13,086
105.4
41店舗
△1店舗
新潟県
8,733
120.1
36店舗
1店舗
山梨県
9,355
104.8
32店舗
1店舗
長野県
5,079
121.3
17店舗
1店舗
静岡県
125,620
107.2
95店舗
3店舗
愛知県
30,869
101.2
84店舗
3店舗
滋賀県
1,703
102.0
7店舗
―店舗
京都府
1,019
95.5
5店舗
△2店舗
大阪府
7,271
141.8
26店舗
2店舗
兵庫県
6,423
110.0
19店舗
3店舗
和歌山県
4,769
112.5
20店舗
―店舗
鳥取県
17,362
106.5
40店舗
1店舗
島根県
27,875
104.8
54店舗
2店舗
岡山県
3,666
94.9
12店舗
1店舗
広島県
78,814
107.6
191店舗
13店舗
山口県
16,514
113.3
49店舗
3店舗
徳島県
7,580
108.5
24店舗
1店舗
香川県
16,702
100.5
50店舗
―店舗
愛媛県
42,841
107.0
120店舗
5店舗
高知県
10,232
104.7
33店舗
1店舗
福岡県
26,323
108.1
93店舗
△2店舗
佐賀県
1,330
164.8
6店舗
―店舗
長崎県
860
94.8
4店舗
△1店舗
熊本県
1,952
93.2
11店舗
―店舗
大分県
1,515
94.9
8店舗
―店舗
宮崎県
1,280
94.1
11店舗
―店舗
鹿児島県
7,694
97.3
40店舗
△2店舗
沖縄県
13,580
109.4
40店舗
1店舗
小計
965,644
105.9
2,589店舗
67店舗
不動産賃貸料
1,367
115.5
手数料収入等
3,066
104.8
合計
970,079
105.9
2,589店舗
67店舗
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況」 連結財務諸表および財務諸表の注記事項「(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(2)財政状態の分析
①総資産
当連結会計年度末における総資産につきましては、おもに前連結会計年度末が金融機関の休業日であった影響による現金及び預金と売掛金の減少等により、5,398億30百万円と前連結会計年度末に比べて225億33百万円減少となりました。
②流動資産
流動資産につきましては、おもに現金及び預金の減少等により、2,852億89百万円と前連結会計年度末に比べ432億25百万円の減少となりました。
③固定資産
固定資産につきましては、おもに新規出店に伴う有形固定資産取得と差入保証金の増加等により、2,545億41百万円と前連結会計年度末に比べ206億92百万円の増加となりました。
なお、のれんの残高を会社別に示すと以下のとおりです。
会社名
金額(百万円)
㈱杏林堂グループ・ホールディングス
9,917
㈱ドラッグイレブン
8,852
㈱ビー・アンド・ディー
7,551
㈱くすりの福太郎
2,087
㈱ツルハグループドラッグ&ファーマシー西日本
756
その他
904
計
30,069
④流動負債
流動負債につきましては、おもに前連結会計年度末が金融機関の休業日であった影響による買掛金の減少等により、1,743億16百万円と前連結会計年度末に比べ392億97百万円の減少となりました。
⑤固定負債
固定負債につきましては、おもに借入金の返済等により、613億69百万円と前連結会計年度末に比べ33億34百万円の減少となりました。
⑥純資産
純資産につきましては、おもに利益剰余金の増加等により、3,041億44百万円と前連結会計年度末に比べ200億98百万円の増加となりました。自己資本比率は51.2%と前連結会計年度末に比べ5.3ポイントの増加となっており、1株当たり純資産額は5,690.49円と前連結会計年度末に比べ376.01円の増加となりました。
(3)経営成績の分析
①売上高 売上高は9,700億79百万円で前年同期比5.9%の増加となりました。
商品部門別の状況は、次のとおりであります。医薬品
かぜ薬、抗原検査キット等の販売が好調であったことに加え、調剤薬局102店舗の新規開設による調剤報酬額の伸長により、売上高は前年同期比10.8%増加の2,228億13百万円となりました。
化粧品
新型コロナウイルスの感染拡大の影響が継続したものの、第4四半期から人流が回復傾向となったことにより、売上高は前年同期比2.1%増加の1,335億60百万円となりました。
雑貨
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う需要増に一服感が見られたものの、PB商品が順調に推移したことから、売上高は前年同期比2.6%増加の2,555億75百万円となりました。
食品
コロナ禍に伴う消費行動の変化によりドラッグストアが食品の買い場として認知され、また物価上昇で消費者の価格志向が強まったことにより、売上高は前年同期比9.5%増加の2,409億56百万円となりました。
その他
介護用品、ベビー用品、機能性飲料などが好調に推移したことにより、売上高は前年同期比2.0%増加の1,127億37百万円となりました。
②売上総利益 プライベートブランドの商品開発・販売体制の強化による粗利率の向上に加え、新型コロナウイルス感染症の断続的な拡大に伴う抗原検査キット・総合感冒薬等の需要増などにより、売上総利益は前年同期比8.1%増加の2,933億61百万円となり、売上総利益率においても30.2%を確保いたしました。
③販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は2,477億89百万円で前年同期比7.3%の増加となりました。おもな要因といたしましては、原油高騰に伴い水道光熱費が増加したこと等によるものであります。
④営業利益・経常利益 上記の結果、営業利益は455億72百万円で前年同期比12.3%の増加となり、経常利益は456億89百万円と前年同期比14.1%の増加となりました。
⑤親会社株主に帰属する当期純利益 上記の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は252億58百万円で前年同期比18.1%の増加となりました。
(4)資金の流動性についての分析
第一部 企業情報 の「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」における記載内容と同一であるため、記載を省略しております。
(5)今後の方針について
当社グループは、創業以来「お客様第一主義」を基本的な経営方針とし、「お客様の生活に豊かさと余裕を提供する」という経営理念のもとに利便性と専門性を追求し、お客様の健康で快適な生活に貢献するため、身近で買物しやすい店舗づくりに取り組んでおります。当社を中核とする持株会社体制によりグループの戦略機能を当社に集約し、迅速かつ機動的な意思決定を行い、各子会社は経営理念実践のため、事業活動に専念できる体制をとっております。
今後も中期経営計画の達成に向け、ドラッグストア業界最大の店舗網を背景としたID-POSデータを活用したマーケティング施策の推進、ドラッグストア併設型を中心とした調剤薬局の積極的な新規開局の推進、プライベートブランド商品の新規開発加速と販売促進を進め、また、従業員教育の強化を図り、信頼されるドラッグストアチェーンの構築を目指してまいりたいと考えております。