【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況 ① 経営成績の状況当第3四半期連結累計期間(2022年5月21日から2023年2月20日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が徐々に緩和され、社会経済活動の正常化が進む一方、原料・エネルギー価格の高騰や円安等の為替動向の懸念等により、依然として先行きは不透明な状況となっております。このような状況の中、当社グループは、2023年5月期を「売上高の成長カーブを変える」を最大のミッションと位置付け、中期経営計画(2022年5月期~2025年5月期)に掲げた最終年度の業績目標達成に向け、取扱い商品数の拡大に加え、重要施策である「ASKUL東京DC」の物流設備や新アスクルWEBサイトの構築等、当社グループの成長に繋がる積極的な設備投資を進めております。この結果、当第3四半期連結累計期間の当社グループの業績は、売上高3,342億24百万円(前年同期比5.1%増)、営業利益103億61百万円(前年同期比2.6%減)、経常利益102億69百万円(前年同期比3.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益70億93百万円(前年同期比0.5%減)となりました。
セグメント別の経営成績につきましては、以下のとおりです。<eコマース事業>当社グループの主力分野であるBtoB事業につきましては、仕事場で働く全てのお客様のご要望にお応えすべく、飲料、日用消耗品等の生活用品商材、抗原検査キット等の新型コロナウイルス感染症関連商材、袋・梱包資材等のMRO(注)商材など、幅広く商品を取り揃えております。前年同期に特需のあった感染症関連商材の反動減の影響がありましたが、生活用品、戦略的に強化しているMRO商材が二桁伸長したことで、当第3四半期連結累計期間は大幅な増収となりました。2022年7月の新アスクルWEBサイト構築に関連する一部機能(中堅大企業向けのWEBサイトであるソロエルアリーナサイトのオープン化)の先行リリースにより、ソロエルアリーナご利用のお客様がサーチエンジンでの検索結果からソロエルアリーナサイトへ直接遷移することが可能となった結果、お客様のお買い物の利便性が向上するとともに、医療・MRO等の戦略カテゴリの売上構成比の上昇による注文単価の増加傾向があり、サーチエンジン経由での売上高が増加しました。また、インターネット広告等の更なる強化によるお客様基盤の拡大に加え、医療・介護業種および製造業を中心とする専門商材の品揃え強化と動画広告による取扱い認知度向上施策が相乗効果となり、売上高の成長にそれぞれ貢献しております。この結果、BtoB事業の売上高は、前年同期比で193億20百万円増収の2,776億7百万円(前年同期比7.5%増)となりました。BtoC事業につきましては、当連結会計年度において「LOHACO」の黒字化を目標としております。売上高については、キャンペーン変更等の影響もあり減収となりましたが、販促手法の見直しや配送バー改定の効果等により一箱あたりの売上高が増加し、売上総利益率は上昇しました。変動費比率の低下も含め収益構造は大きく改善し、当第3四半期連結会計期間(3か月)において黒字化を達成しております。BtoB事業との融合を一層進めることで、固定費の低減等の利益構造の改善を図り、当連結会計年度の「LOHACO」の黒字化を着実に進めてまいります。この結果、「LOHACO」の売上高は、前年同期比で38億27百万円減収の364億23百万円(前年同期比9.5%減)となり、BtoC事業合計で、前年同期比で31億86百万円減収の494億65百万円(前年同期比6.1%減)となりました。以上の結果、両事業を合計したeコマース事業の売上高は3,270億73百万円(前年同期比5.2%増)となりました。売上総利益は、増収により799億63百万円(前年同期比4.0%増)となりましたが、商品原価高騰の影響により売上総利益率が0.3ポイント低下しました。2022年11月21日に「ASKUL東京DC」が稼働を開始しましたが、当第3四半期連結累計期間においては準備期間中の地代家賃および立上時の費用が発生したこと、また、新アスクルWEBサイトの構築の設備投資に関連した一過性のコストの発生等により販売費及び一般管理費が694億26百万円(前年同期比4.8%増)となり、営業利益は105億36百万円(前年同期比1.2%減)となりました。
<ロジスティクス事業>ASKUL LOGIST株式会社の当社グループ外の物流業務受託の売上高が前年同期と同水準で推移したものの、生産性が低下したこと等により、減益となりました。この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は64億10百万円(前年同期比1.0%減)、営業損失は1億95百万円(前年同期は営業損失43百万円)となっております。
<その他>嬬恋銘水株式会社での飲料水の販売が好調であることに加え、2021年11月に完成した新製造ラインの生産性が改善し、増収増益となりました。この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は15億11百万円(前年同期比40.5%増)、営業利益は44百万円(前年同期比33.1%増)となっております。
(注) Maintenance, Repair and Operationsの頭文字をとった略称で、工場・建設現場・倉庫等で使用される消耗品・補修用品等の間接材全般を指します。
②財政状態の状況(資産の部)当第3四半期連結会計期間末における総資産は2,043億7百万円となり、前連結会計年度末と比べ162億82百万円増加いたしました。これは主に、「ASKUL東京DC」の稼働等に伴いリース資産が74億61百万円、増収により受取手形、売掛金及び契約資産が50億2百万円、商品及び製品が27億8百万円、新アスクルWEBサイトの一部稼働等に伴いソフトウエアが23億23百万円増加した一方、建設仮勘定が48億15百万円減少したことによるものであります。 (負債の部)当第3四半期連結会計期間末における負債は1,412億73百万円となり、前連結会計年度末と比べ105億19百万円増加いたしました。これは主に、リース債務が72億32百万円、支払手形及び買掛金が69億51百万円増加した一方、未払法人税等が13億99百万円、電子記録債務が13億85百万円、長期借入金(1年以内返済予定を含む)が12億8百万円減少したことによるものであります。(純資産の部)当第3四半期連結会計期間末における純資産は630億34百万円となり、前連結会計年度末と比べ57億62百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益70億93百万円の計上に対し、配当金の支払いが31億18百万円あったことにより、利益剰余金が39億77百万円、連結子会社の株式会社アルファパーチェスの上場に関連した公募増資等により、非支配株主持分が11億54百万円増加したことによるものであります。以上の結果、自己資本比率は30.0%(前連結会計年度末は30.2%)となりました。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動該当事項はありません。
(4)主要な設備前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設等について、当第3四半期連結累計期間に著しい変更があったものは、以下のとおりであります。
会社名
事業所名(所在地)
セグメントの名称
設備の内容
投資予定額
資金調達方法
着手年月
完了予定年月
完成後の増加能力
総額(百万円)
既支払額(百万円)
提出会社
本社(東京都江東区)
eコマース事業
新アスクルWEBサイト構築
15,100(注)2
12,045
自己資金
2020年2月
2024年5月期上期
(注)1
(注)1 完成後の増加能力についての記載は困難なため、省略しております。 2 前連結会計年度の設備の新設の計画において、投資予定額を10,504百万円としておりましたが、15,100百万円に変更しております。