【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況当第3四半期連結累計期間(2022年10月1日~2023年6月30日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の行動制限が緩和され持ち直しの動きが見られたものの、資源価格の高止まりや円安の進行により、先行きは依然として不透明な状況が続いております。当社グループを取り巻く事業環境といたしましては、主要分野であるヘルスケア領域において、政府・総務省が推進する医療ICT政策にて「ネットワーク化による情報の共有・活用」「医療等データの利活用」が挙げられており、また、2021年9月に新設されたデジタル庁の医療分野構想においても「オンライン診療の原則解禁」等も発表されております。これらの実現の為には当社主要販売商品である医療用画像管理システムは必須アイテムとなっております。一方、新型コロナウイルスの感染症法上の分類は5月から季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられたことにより、抗原検査キット等の受注活動は縮小傾向にあります。地球環境領域においては、2021年4月現在、125カ国・1地域が、2050年までにカーボンニュートラルを実現することを表明しており、日本国内でも2050年までに温暖化ガスの排出量を全体として実質ゼロにする政府目標が示されております。こうした環境下において、当社が手掛けるGEOソリューション事業、ESG事業への重要性は増しており、当社では、地域および地球に優しい持続可能な環境配慮型事業創出に注力しております。原子力関連分野においては、東京電力ホールディングス株式会社(以下、「東京電力」)が2022年3月10日に公開した「ALPS処理水等からトリチウムを分離する技術の公募に係る第1回募集の二次評価と第2回募集の一次評価について」(p.3)に当社は参加しておりますが、東京電力から「フィージビリティスタディ」を当社と開始する連絡を受けたため、今後は「フィージビリティスタディ」が本格的に進んでいくことが想定されます。国際原子力機関(IAEA)からの提言を受けて、日本政府は福島第一原子力発電所で貯蔵されているALPS処理水の海洋放出を今夏にも始める予定ですが、廃炉作業は事故から30~40年の長期にわたる見通しとされております。そのため、当社も東京電力が進めている本案件に引き続き参画してまいります。当第3四半期連結累計期間における当社グループの業績は、売上高2,813,133千円(前年同期比51.2%増)、営業損失248,874千円(前年同期は223,718千円の損失)、経常損失265,758千円(同246,771千円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失155,266千円(同270,259千円の損失)となりました。 セグメント別の概況は以下のとおりです。
ヘルスケアソリューション事業ヘルスケアソリューション事業の当第3四半期連結累計期間は、売上高1,157,253千円(前年同期比10.8%減)、セグメント損失30,514千円(前年同期は52,962千円の利益)となりました。当セグメントの業況といたしましては、メディカルサプライ事業が引き続き当社グループ売上全体に占める割合が大きい傾向にあります。ただし、抗原検査キット、PCR検出試薬等の受注活動は、新型コロナウイルス感染症の改善と感染対策の緩和に伴い需要が縮小しており、当初の受注予測を下回りましたが、一定の売上高と利益は確保することはできております。メディカルシステム事業においては、PACS(医療用画像管理システム)及び電子カルテに関して、一定の売上計上を行うことができました。今後も収益性を重視した電子カルテ事業を継続していくため、当社は株式会社ヴェリタス(以下、「ヴェリタス」)に『i-HIS』事業資産の一部(開発・設置作業等)を譲渡し、当社自身は販売活動に更に注力する方針で、案件成約時にヴェリタスから顧客紹介料として受注額の一部を受領する商流に変更しております。一方、医療機関のDX化が注目を集める中、当社主力商品であるRIS(放射線科情報システム)、統合viewer・医用文書スキャンシステムについては継続販売しております。統合viewerは一画面で患者様の情報が俯瞰できるため情報を探す手間が省け、業務の効率が上がり、医療従事者の働き方改革にも役立つシステムになります。院内に紙媒体で散見する医用文書をファイリングできる医用文書スキャンシステムは、患者様の同意書や各種検査の検査結果用紙等の医用文書にタイムスタンプを付与し原本としてデジタル保存することで膨大な紙文書の保管から解放(ペーパーレス化)を実現いたします。
地球環境ソリューション事業地球環境ソリューション事業の当第3四半期連結累計期間は、売上高1,655,879千円(前年同期比194.0%増)、セグメント利益105,032千円(前年同期は24,799千円の損失)となりました。当セグメントの業況といたしましては、エネルギー事業においては、引き続き再生可能エネルギー市場の動向に注視しつつ、太陽光発電所等のセカンダリーマーケットにおいて売買活動を行っている他、太陽光発電関連の製品の販売も開始いたしました。GEOソリューション事業においては、当社が販売するPix4D社製の三次元画像処理ソフトウェア『PIX4Dmapper』『PIX4Dmatic』、ならびにスマートフォンやタブレット端末を用いた計測ツール『viDoc RTK rover』の受注が堅調に推移し、一定の利益も確保できている状況にあります。また、地理空間情報や三次元画像に高付加価値を与える新たなソリューションサービス事業に関しては、従来の取引先である測量・建築業界以外からも多種多様な業界から要望がきており、今後も成長が期待できるマーケットになります。ESG事業は、EVマーケットの中から派生した再生バッテリーを事業用ポータルバッテリーとしてリユースレンタルする環境配慮型の事業内容となり、毎月堅調に売上計上の積み上げができております。事業活動は引き続き順調に開始できていることから、当期も堅調に寄与していくものと期待されます。原子力関連分野では、トリチウム分離技術においては創イノベーション株式会社及び慶應義塾大学理工学部大村研究室と共同でプレパイロット装置を使った実験により東京電力の技術公募の次のステップとなる原発構外での小規模実証試験に用いる実装装置の開発を進めております。この技術は、福島原発のALPS処理水だけでなく、世界の重水炉等で大量に発生するトリチウムの回収と再利用を目指しております。また、ALPS処理水の安心・安全を確保するためには、トリチウムの連続計測器が必要であると考えておりましたが、この度トリチウム等の連続計測器の開発に成功した新生福島先端技術振興機構と独占販売代理店契約を締結し、同社が持つ先端技術を国内外に提供することといたしました。さらに、国際原子力機関(IAEA)からは、高い耐放射線性能と小型・軽量・省エネの特長を持つマッハコーポレーション株式会社製の耐放射線カメラ2台を耐久テストサンプルとして受注を受け、2023年7月7日にIAEAラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長を迎え、受注セレモニーを開催しました。トリチウム分離技術、耐放射線カメラ、トリチウム計測器等の原子力関連技術製品の販売を推進し、原子力関連および海外事業の拡大を今後も目指してまいります。
(2) 財政状態の分析(資産)当第3四半期連結会計期間末における流動資産は、2,420,592千円(前連結会計年度末比36.0%増)となりました。これは、現金及び預金が1,056,455千円増加し、受取手形及び売掛金が162,566千円、仕掛品が102,424千円、仕掛販売用不動産が131,701千円減少したこと等によります。固定資産は、668,903千円(同53.6%減)となりました。これは、投資その他の資産のその他が214,002千円増加し、機械装置が703,933千円、その他関係会社有価証券が117,343千円、差入保証金が148,172千円減少したこと等によります。この結果、当第3四半期連結会計期間末における総資産は、3,089,496千円(同4.1%減)となりました。 (負債)当第3四半期連結会計期間末における流動負債は、588,900千円(前連結会計年度末比6.3%増)となりました。これは、未払金が219,732千円増加し、買掛金が187,277千円減少したこと等によります。固定負債は、22,747千円(同35.3%減)となりました。これは、長期借入金が10,555千円減少したこと等によります。この結果、当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、611,648千円(同3.8%増)であります。 (純資産)当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は、2,477,848千円(前連結会計年度末比5.9%減)となりました。これは、親会社株主に帰属する四半期純損失155,266千円を計上したことによります。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4) 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。 (5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。 (6) 研究開発活動該当事項はありません。
(7) 経営成績に重要な影響を与える要因当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因に重要な変更はありません。
(8) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した当社の資本の財源及び資金の流動性について重要な変更はありません。