【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。当社は当連結会計年度より決算期を9月期から3月期に変更いたしました。それにより、当連結会計年度は6カ月の変則決算となるため、前連結会計年度との比較については記載しておりません。
① 経営成績の状況当連結会計年度(2022年10月1日~2023年3月31日)における当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和により「ウィズコロナ」の生活様式が浸透する中、インバウンド需要の回復など社会経済活動の正常化が進みました。一方で、世界的なインフレ、ウクライナ危機による原油、天然ガス等のエネルギー、穀物などのコモディティ価格の上昇、米中摩擦の悪化など世界経済の先引きについては、依然として不透明な状況が続いております。このような環境下の下、当社グループの属するプロモーション市場の広告・販促の市場規模は、7兆1,021億円(前年比約104.4%)となり、コロナ禍前の2019年を超え、過去最高となるなど、好調に推移しております。媒体別では、プロモーションメディア広告市場では、ダイレクトメール等のアナログ系媒体が同約98.1%と微減しているものの、コロナ禍からの回復に伴う行動制限の緩和や国、自治体による全国旅行支援施策の実施や各種イベントや従来型の広告販促キャンペーンの再開や屋外広告、交通広告、折込広告の回復が見られました。また、インターネット広告は、順調に推移(114.3%)し、広告市場全体の支えとなりました。特に、デジタルプロモーションの拡大は広告市場の成長に寄与しております。(株式会社電通「2022年日本の広告費」より当社グループ調べ)また、採用市場では、有効求人倍率は1.35倍(2023年3月)となり安定的に推移しています。当社グループの主たるマーケットとなる新卒採用市場では、2023年度は前年度比6.8%の1,401億円と予測されており、順調な回復を見せております。(矢野経済研究所「新卒採用市場の現状と展望2023年版」より当社グループ調べ)また、教育機関市場では、大学・短大への進学率は59.5%と依然として高い水準にある状況となっています。(文部科学省「令和4年度学校基本調査」)
このような状況の中、当社グループのプロモーション支援事業では、販促キャンペーンや官公庁関連の事務局運営代行の受託に注力し、好調に推移しました。採用支援事業では、新卒採用に係る対面型採用のニーズの復調に加え、引き合いの多い採用業務代行関連や新卒向けの人材紹介も継続して注力し、早期化、複雑化する新卒採用ニーズを取り込みました。教育機関支援事業では、外国人の新規入国制限の緩和措置を受け、高等教育機関での外国人留学生の募集ニーズが回復し、外国人留学生募集関連の企画を中心にして拡販を進めました。なお、教育機関支援事業は、主たる取引先である大学の予算執行時期が4月から7月頃に集中するため、6ヵ月の変則決算となる当連結会計年度では、期初よりセグメント損失を想定しています。
その結果、プロモーション支援事業と採用支援事業のセグメント利益が伸長し、当連結会計年度でセグメント損失を想定していた教育機関支援事業の損失を上回り、連結ベースでも各段階利益を確保しました。当連結会計年度における売上高は1,906百万円、営業利益は57百万円、経常利益は45百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は43百万円となりました。
当連結会計年度における、事業セグメント別の業績は、以下のとおりです。
(プロモーション支援事業)当連結会計年度(2022年10月1日~2023年3月31日)のプロモーション支援事業におきましては、キャンペーン事務局を中心とした事務局代行などアウトソーシング業務が堅調に推移したほか、官公庁関連の受託事業も順調に進んだことから、自治体・公的機関・共済分野を中心に伸長いたしました。デジタル関連商材も概ね想定どおり推移した結果、売上・利益面ともに前年同期を大きく上回りました。その結果、売上高は843百万円、セグメント利益は19百万円となりました。
(採用支援事業)当連結会計年度(2022年10月1日~2023年3月31日)の採用支援事業におきましては、官公庁からの受託を含む雇用関連イベント運営関連が堅調に推移したほか、採用業務アウトソーシング関連、ダイレクトリクルーティング関連、新卒向け人材紹介が想定を上回って推移しました。また、対面型採用ニーズが復調したことから、2024年度入社を対象にしたマッチング企画が伸長しました。販売費及び一般管理費の削減も奏功して想定以上に推移しました。その結果、売上高は796百万円、セグメント利益は126百万円となりました。
(教育機関支援事業)当連結会計年度(2022年10月1日~2023年3月31日)の教育機関支援事業におきましては、日本国内向けの入試広報関連、及び寄付・募金プロモーションの案件が概ね想定通りに推移したことに加え、外国人の入国制限が緩和されたことに伴い、外国人留学生募集関連の連合企画が伸長しました。当事業では、従前より売上が4月頃から7月頃に集中する傾向にある季節変動要因があることに加え、前期受託した職域接種運営代行業務の失注を見込んでいたことから、期初よりセグメント損失を想定しています。
その結果、売上高は266百万円、セグメント損失は105百万円となり、概ね想定通りとなりました。
② 財政状態の分析
(流動資産)当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末と比べ33百万円減少し、2,033百万円となりました。これは主に、現金及び預金の減少138百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の増加145百万円、電子記録債権の減少20百万円、仕掛品の減少53百万円、その他の増加34百万円によるものであります。
(固定資産)当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末と比べ99百万円減少し、175百万円となりました。これは主に、有形固定資産の増加0百万円、無形固定資産の減少1百万円、差入保証金の減少97百万円によるものであります。
(流動負債)当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末と比べ140百万円減少し、1,338百万円となりました。これは主に、短期借入金の減少83百万円、1年以内償還予定社債の減少40百万円、買掛金の減少21百万円によるものであります。
(固定負債)当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末と比べ36百万円減少し、373百万円となりました。これは主に、長期借入金の減少54百万円、退職給付に係る負債の増加18百万円によるものであります。
(純資産)当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末と比べ43百万円増加し、497百万円となりました。これは主に、資本金の減少204百万円、利益剰余金の増加248百万円によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比べ138百万円減少した結果、当連結会計年度末は967百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果支出した資金は69百万円(前連結会計年度に支出した資金は20百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益45百万円の計上、売上債権の増加△124百万円、棚卸資産の減少56百万円、未収入金の増加△39百万円、仕入債務の減少△21百万円、退職給付に係る負債の増加18百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果獲得した資金は108百万円(前連結会計年度に獲得した資金は269百万円)となりました。これは主に、差入保証金の回収による収入100百万円、定期預金の預け入れによる支出39百万円、定期預金の払戻による収入54百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果支出した資金は177百万円(前連結会計年度に支出した資金は831百万円)となりました。これは主に、短期借入金の返済による支出83百万円、長期借入の返済による支出54百万円、社債の償還による支出40百万円があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の状況
a 生産実績及び受注実績当社はプロモーション支援事業、採用支援事業、教育機関支援事業を行っており、提供するサービスの性質上、生産実績及び受注実績の記載になじまないため、省略しております。
b 販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
プロモーション支援事業
843,244
―
採用支援事業
796,763
―
教育機関支援事業
266,537
―
合計
1,906,544
―
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。2.前連結会計年度および当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。3.当社は当連結会計年度より決算期を9月期から3月期に変更いたしました。それにより、当連結会計年度は6カ月の変則決算となるため、前連結会計年度との比較については記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。当社グループは、貸倒引当金、固定資産の減損、投資その他の資産の評価、税効果会計などに関して、過去の実績や当該取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計上の見積りは「第5 経理の状況 2財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。なお、新型コロナウイルス感染症に関する会計上の見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当連結会計年度における売上高は1,906百万円、営業利益は57百万円、経常利益は45百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は43百万円となりました。
セグメント別の当第連結会計年度の事業成績は、以下のとおりです。①
プロモーション支援事業プロモーション支援事業におきましては、キャンペーン事務局を中心とした事務局代行などアウトソーシング業務が堅調に推移したほか、官公庁関連の受託事業も順調に進んだことから、自治体・公的機関・共済分野を中心に伸長いたしました。デジタル関連商材も概ね想定どおり推移した結果、売上・利益面ともに前年同期を大きく上回りました。その結果、売上高は843百万円、セグメント利益は19百万円となりました。
②
採用支援事業採用支援事業におきましては、官公庁からの受託を含む雇用関連イベント運営関連が堅調に推移したほか、採用業務アウトソーシング関連、ダイレクトリクルーティング関連、新卒向け人材紹介が想定を上回って推移しました。また、対面型採用ニーズが復調したことから、2024年度入社を対象にしたマッチング企画が伸長しました。販売費及び一般管理費の削減も奏功して想定以上に推移し、前年同期を上回ってセグメント利益の確保しました。その結果、売上高は796百万円、セグメント利益は126百万円となりました。
③
教育機関支援事業教育機関支援事業におきましては、特に個別案件が伸長しました。引き続き、デジタル関連広告が売上を牽引したほか、教育機関の職域接種運営代行や寄付・募金関連プロモーションが結実し、前年同期を上回りました。また、外国人留学生募集関連では、外国人の新規入国制限の緩和措置により、高等教育機関における学生募集広報のニーズが回復基調となりました。当社グループの合理化による人員配置の適正化により人件費が増加し、利益面では前期比減となりましたが、売上・利益ともに想定通りに推移しました。その結果、売上高は266百万円、セグメント損失は105百万円となり、概ね想定通りとなりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析キャッシュ・フローの状況の分析は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(資本の財源及び資金の流動性について)当社グループにおける資金需要の主なものは、売上原価、販売費及び一般管理費の営業費用による運転資金及び設備投資資金であります。当社グループの資金の源泉は主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入となります。内部留保金の使途につきましては、更なる成長に向け、長期的な視点に立ったサービス開発への設備投資、事業拡大のための資金確保に活用していく方針としております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
⑤ 経営戦略と見通し我が国経済は、世界的なインフレ、ウクライナ危機による原油・天然ガス等のエネルギー、穀物などのコモディティ価格の上昇、米中摩擦の悪化や米国の金融市場不安など世界経済の先行きには、依然、不透明な状況が続いております。一方で、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行により「ウィズコロナ」の生活様式が定着、インバウンド需要が回復するなど社会経済活動の活性化が見込まれていることから、当社グループを取り巻く市場環境では、サービス消費、人材採用、インバウンド需要などを中心に回復が進んでいくものと想定しております。 このような環境のもと、当社グループは、①採用業務代行機能・事務局代行機能の更なる効率化と拡大、②回復拡大傾向にある外国人留学生募集支援の高等教育機関の募集支援の伸長、就労支援の強化、③大学との連携の更なる深化、④提携強化による官公庁取引の拡大に注力することで事業を推進してまいります。
各セグメントごとの戦略と見通しは以下のとおりです。
2022年の日本の総広告費推移は、過去最高の7兆1,021億円となっています。(電通「2022年 日本の広告費」より)。また、当社が注力するキャンペーン等の事務局代行は、SNS運用支援や分析ツールの市場規模推計で2021年の316億円から2027年には663億円に伸長する予測となっています(サイバー・バズ「デジタルインファクト調べ」より)。今後、プロモーションは一層手法が多様化し、業界を牽引するのはデジタル広告とそれを下支えするアウトソーシング業務であると見通しております。これらを背景に、当事業では伸長しているキャンペーン等の事務局代行の拡充を図ります。昨今のキャンペーンは、行動制限の緩和により対面型の復活やSNS等によるデジタルツールの普及により、SNSの選定や運用方法などは益々多様化してきているほか、対象の商品やプロモーション戦略によって業務が複雑になってきています。当事業では、最新の情報と知見によりキャンペーンプロモーションの提案を行い、その業務を内製化させることで利益効率を高めてまいります。また、デジタルとリアルを融合した総合型プロモーション提案へ注力していくとともに、官公庁との取引を足掛かりとした他分野での運営業務の受託促進にも努めてまいります。
採用支援市場では、若年者人口の減少を背景として社員の獲得競争が一層激化しています。特に、新卒採用市場においては、インターンシップが本格化し就活が早期化する一方で、通年採用が拡大し、就職活動のスケジュールは従来以上に変化をしています。これらの動きと相まって、企業の採用担当の業務の増加や複雑化により、採用業務やスカウト型メディアの運用を一部外注する動きが盛んになっているほか、費用対効果を明確にするための成果報酬型の人材紹介モデルの引き合いが増加をしています。当事業では、伸長している採用業務代行やスカウト型メディアであるダイレクトリクルーティングの運用代行に一層注力するほか、大学と連携したエージェント型の人材紹介モデルの構築等、自社の強みである「事務局代行」「大学との連携」を活かしたサービスの拡充を進めます。対面型イベントにおいても、復調傾向であることから市場ニーズに応える企画開発に取り組むとともに販売強化をしてまいります。
教育機関支援市場では、高等教育機関への進学率が83.8%(文部科学省報道発表「学校基本調査/令和4年度(確定値)参考資料)となり、アフターコロナと18歳人口の減少を据えて、各大学や専門学校とも学生確保に向けた広報を強化しています。また、当社グループの強みである外国人留学生マーケットにおいても、入国規制の緩和により入国者数が回復、2022年は外国人の新規入国者数のうち、在留資格「留学」は16万7,128人(前年比15万人5,477人増)となり1年間の新規入国者数としては過去最高となりました(法務省「出入国管理統計」)。また、大学運営において寄付・募金による収入確保も本格的な課題となってきています。当事業では、大学を中心とした教育機関の面的な取引実績を強みに「教育機関の運営・発展のための総合プロデュース企業」として、大学の入試広報以外の部門だけでなく、寄付・募金の活性化に向けたアルムナイ(卒業生)分野、スポーツ振興分野の提案を強化するとともに、入国制限が解除され活性化している外国人留学生分野にも再注力します。復調した事業環境を好機と捉え、今後も教育機関の総合支援化にリソースを投入するとともに、教育関連企業・団体や自治体の支援も見据え事業フィールドを広げてまいります。
また、グループ全般においては、事業の拡大機会を的確に捉え、事業基盤の強化につながる投資を積極的に行うことを方針とし、当社が積極的にグループ各社を牽引する形で、他社との業務提携や新規事業、M&A等の検討を引き続きおこなってまいります。
⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
#C7042JP #アクセスグループHD #サービス業セクター