【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
なお、当連結会計年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)(収益認識に関する会計基準等の適用)」に記載のとおりであります。
経営成績等の概要
(1)経営成績
当連結会計年度のわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限が緩和され、感染防止と社会経済活動の両立が進んだことで、実質GDPは2022年通年で前年比1.0%増と2年連続のプラス成長となりました。
一方、世界経済では、アメリカやユーロ圏でロシア・ウクライナ戦争の長期化に伴う消費者物価の大幅な上昇が続き、中国も過度なゼロコロナ政策によりGDP成長率が鈍化するなど、各国で景気後退リスクが上昇しました。
1)当連結会計年度の消費環境の概要
①当連結会計年度の国内消費環境は、上半期はまん延防止等重点措置が解除され、旅行や帰省のお出掛け需要が回復
した一方で、原材料やエネルギーコストの高騰により食料品や電気代の価格上昇が続きました。下半期は政府の旅
行支援策により各地で人流が増加し消費支出が増加したものの、物価高で実質賃金は前年同月比でマイナスとな
り、新型コロナ感染者数も再び増加するなど、衣料品販売にとっては厳しい消費環境が続きました。
②天候については、上半期の3~6月は高気温と低気温の日が周期的に繰り返されました。6月下旬の実質的な梅雨
明けで気温が急上昇し、7~8月は猛暑により夏物の販売が好調でした。下半期は9月が残暑でしたが、10月は朝
晩の冷え込みが強まりました。11~2月は平年並みの寒さが続いたことで冬物の販売は順調でした。
2)当社グループの状況
このような状況下で、当社グループは2022年度のグループ統一テーマを“リ・ボーン2ndステージ『進化と応用
』”とし、再生し、進化した、見て触れて、楽しく選んで、気軽にお買い物が出来る店で、お客様に“ワクワク”
と“ウォンツ”をお届けするため、商品力と販売力の強化を推し進めました。事業の基礎と基盤の強化にあたり、
EC事業は事業展開の拡大とサービス拡充を進め、ディバロ事業は新モデル店舗をオープンしました。
3)主力のしまむら事業
当連結会計年度は3店舗を開設、6店舗を閉店し、店舗数は1,418店舗となりました。
また売上高は前期比4.9%増の4,616億55百万円となりました。
4)アベイル事業
当連結会計年度は2店舗を開設、3店舗を閉店し、店舗数は313店舗となりました。
また売上高は前期比10.2%増の600億5百万円となりました。
5)バースデイ事業
当連結会計年度は5店舗を開設、2店舗を閉店し、店舗数は313店舗となりました。
また売上高は前期比4.0%増の723億13百万円となりました。
6)シャンブル事業
当連結会計年度は12店舗を開設、1店舗を閉店し、店舗数は113店舗となりました。
また売上高は前期比10.4%増の146億49百万円となりました。
7)ディバロ事業
当連結会計年度は1店舗を開設し、店舗数は16店舗となりました。
また売上高は前期比15.8%増の7億51百万円となりました。
8)以上の結果、当連結会計年度の日本国内の業績は、売上高6,093億76百万円(前期比5.4%増)、営業利益531億83
百万円(同7.5%増)、経常利益539億12百万円(同7.0%増)、当期純利益は378億41百万円(同7.2%増)となり
ました。
9)思夢樂事業
当連結会計年度は2店舗を閉店し、店舗数は40店舗となりました。
また売上高は前期比11.8%増の15億23百万NT$(67億49百万円)となりました。
10)以上の結果、当連結会計年度の連結業績は、売上高6,161億25百万円(前期比5.6%増)、営業利益533億2百万円
(同7.9%増)、経常利益543億83百万円(同7.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は380億21百万円(同
7.3%増)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動及び新規出店等に
よる投資活動、ならびに財務活動を行った結果、当連結会計年度末の資金残高が、前連結会計年度末に比べ347億
29百万円増加し、2,171億57百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、前連結会計年度と比べ43億38百万円増加し、415億52百万円となりました。
これは、税金等調整前当期純利益536億38百万円、減価償却費58億91百万円、その他の流動資産の減少額20億40 百万円、その他の流動負債の増加額14億10百万円等に対し、法人税等の支払額152億14百万円、仕入債務の減少額41億53百万円、売上債権の増加額17億6百万円、棚卸資産の増加額16億29百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により得られた資金は、前連結会計年度と比べ1,408億11百万円減少し、23億25百万円となりました。
これは有価証券の償還による収入1,640億円、定期預金の払戻による収入160億円、建設立替金・差入保証金の回収による収入27億80百万円等に対し、有価証券の取得による支出1,660億円、定期預金の預入による支出80億円、有形固定資産の取得による支出43億84百万円、建設立替金・差入保証金の増加による支出19億33百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は、前連結会計年度と比べ7億37百万円増加し、91億98百万円となりました。
これは、配当金の支払額91億82百万円等によるものです。
生産、受注及び販売の実績
(1)仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
事業部門の名称
当連結会計年度
(自 2022年2月21日
至 2023年2月20日)
仕入高(百万円)
前年同期比(%)
婦人衣料
98,925
104.2
肌着
68,488
105.0
寝装品
29,503
102.3
紳士衣料
28,448
107.8
洋品小物
25,507
110.9
ベビー・子供服
24,934
102.3
インテリア
20,148
102.8
靴
12,764
107.9
しまむら
308,720
104.9
レディースウエア
14,901
107.7
シューズ・服飾
9,970
120.5
メンズウエア
8,300
109.6
アンダーウエア・インテリア
4,024
116.8
アベイル
37,196
112.2
雑貨・マタニティ
23,100
100.2
キッズ衣料・肌着
13,462
104.8
ベビー衣料・肌着
11,312
101.6
バースデイ
47,875
101.8
シャンブル
9,379
112.3
ディバロ
524
129.2
日本計
403,696
105.4
思夢樂
4,055
117.9
海外計
4,055
117.9
合計
407,752
105.5
(2)売上の実績
当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
事業部門の名称
当連結会計年度
(自 2022年2月21日
至 2023年2月20日)
売上高(百万円)
前年同期比(%)
婦人衣料
146,146
105.0
肌着
107,323
105.4
寝装品
43,815
101.3
紳士衣料
41,437
106.7
洋品小物
38,076
111.9
ベビー・子供服
35,294
101.3
インテリア
30,602
101.6
靴
18,957
105.6
しまむら
461,655
104.9
レディースウェア
24,108
108.1
メンズウェア
13,288
104.6
シューズ・服飾
12,665
113.8
アンダーウェア・インテリア
9,942
119.7
アベイル
60,005
110.2
雑貨・マタニティ
33,900
102.4
キッズ衣料・肌着
20,646
106.6
ベビー衣料・肌着
17,766
104.4
バースデイ
72,313
104.0
シャンブル
14,649
110.4
ディバロ
751
115.8
日本計
609,376
105.4
思夢樂
6,749
119.9
海外計
6,749
119.9
合計
616,125
105.6
(3)都道府県別売上実績
当連結会計年度の都道府県別の売上実績を示すと次のとおりです。
都道府県名
当連結会計年度(自 2022年2月21日 至 2023年2月20日)
売上高(百万円)
前年同期比(%)
構成比(%)
期末店舗数 (店)
北海道
30,448
105.1
4.9
118
青森県
9,775
104.1
1.6
39
岩手県
8,436
103.5
1.4
34
宮城県
14,049
103.7
2.3
57
秋田県
6,972
102.9
1.1
31
山形県
7,810
104.8
1.3
32
福島県
15,345
103.7
2.5
59
茨城県
20,841
104.5
3.4
87
栃木県
15,122
102.9
2.5
63
群馬県
14,164
104.6
2.3
63
埼玉県
48,654
107.1
7.9
153
千葉県
31,560
104.2
5.1
115
東京都
30,737
106.3
5.0
86
神奈川県
29,748
105.9
4.8
86
新潟県
13,638
104.1
2.2
56
富山県
6,576
105.3
1.1
30
石川県
5,779
107.0
0.9
24
福井県
4,702
102.8
0.8
18
山梨県
5,804
103.8
0.9
21
長野県
14,999
107.4
2.4
61
岐阜県
9,447
106.2
1.5
35
静岡県
20,447
104.6
3.3
65
愛知県
28,380
106.5
4.6
80
三重県
8,640
108.5
1.4
34
滋賀県
7,329
106.2
1.2
29
京都府
9,898
107.6
1.6
34
大阪府
29,587
104.9
4.8
87
兵庫県
20,909
108.1
3.4
74
奈良県
6,637
104.7
1.1
29
和歌山県
5,433
103.1
0.9
19
鳥取県
4,189
109.0
0.7
15
島根県
3,704
104.1
0.6
17
岡山県
9,725
105.0
1.6
33
広島県
10,031
105.8
1.6
32
山口県
7,897
106.9
1.3
30
徳島県
4,049
109.6
0.7
15
香川県
5,079
104.7
0.8
20
愛媛県
7,643
105.8
1.2
28
高知県
4,333
104.9
0.7
15
福岡県
23,514
104.2
3.8
79
佐賀県
4,802
104.6
0.8
18
長崎県
6,863
103.3
1.1
24
熊本県
8,611
107.3
1.4
31
大分県
6,234
106.5
1.0
22
宮崎県
6,765
105.5
1.1
22
鹿児島県
8,629
105.1
1.4
32
沖縄県
5,418
106.6
0.9
21
日本計
609,376
105.4
98.9
2,173
思夢樂(台湾)
6,749
119.9
1.1
40
海外計
6,749
119.9
1.1
40
合計
616,125
105.6
100.0
2,213
(4)単位当たりの売上実績
項目
前連結会計年度
(自 2021年2月21日
至 2022年2月20日)
当連結会計年度
(自 2022年2月21日
至 2023年2月20日)
売上高(百万円)
583,618
616,125
従業員数(平均)(人)
15,145.5
15,063.0
1人当たり期間売上高(千円)
38,534
40,903
売場面積(平均)(㎡)
2,222,720
2,231,128
1㎡当たり期間売上高(千円)
262
276
(注)1.売場面積(平均)は営業店舗の稼働月数を基礎として算出しております。
2.従業員数(平均)は定時社員(パートタイマー)を正社員換算して算出しております。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。連結財務諸表の作成においては、過去の実績やその時点で合理的と考えられる情報に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、見積りには不確実性が伴い実際の結果は異なる場合があります。
(2)財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産残高は、前連結会計年度末に比較して297億90百万円増加して3,324億16百万円となりました。これは、主として、有価証券の増加280億円、売掛金の増加17億8百万円、商品の増加16億66百万円、流動資産のその他の減少23億14百万円によるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産残高は、前連結会計年度末に比較して20億49百万円減少して1,701億35百万円となりました。これは、主として、貸倒引当金の減少11億2百万円、建物及び構築物の減少19億44百万円、投資その他の資産のその他の減少13億59百万円によるものです。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債残高は、前連結会計年度末に比較して19億35百万円減少して524億98百万円となりました。これは、主として、流動負債のその他の増加14億4百万円、買掛金の減少41億39百万円によるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債残高は、前連結会計年度末に比較して6億22百万円増加して100億5百万円となりました。これは主として、退職給付に係る負債の増加3億31百万円、資産除去債務の増加2億8百万円によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産残高は、前連結会計年度末に比べ290億53百万円増加し、4,400億48百万円となりました。これは主として、利益剰余金の増加288億33百万円によるものです。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析については、「経営成績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」をご覧下さい。
(資本の財源及び資金の流動性について)
当社グループの事業活動における運転資金については、日々回収される売上金と自己資金を主な財源としており、
設備投資に関しましても、当連結会計年度では、新規出店を中心に63億円の投資を行っており、これらは全て自
己資金で賄っております。投資は営業キャッシュ・フローの範囲内であるため財務面の安全度は増しております。
(4)経営成績の分析
1)しまむら事業
①主力のしまむら事業は、ブランド力の強化として自社開発ブランド(Private Brand、以下PB)とサプライヤーと
の共同開発ブランド(Joint Development Brand、以下JB)の展開を拡大し、売場・販促との連動で売上を伸ばし
ました。高価格帯のPB「CLOSSHI PREMIUM」も機能性を強化して好調でした。トレンド商品やインフルエンサー企
画、キャラクター商品は、品揃えを拡充してコーディネート提案も強化し、客数増加に繋がりました。
②在庫管理では、適時適量な在庫内容とするため、売筋商品を約40日で追加生産して再投入するなど、サプライヤー
と連携した短期生産サイクルを活用しました。また、都市部と郊外、寒冷地域と温暖地域など店舗立地に応じた商
品管理を強化し、PBやJBはブランド別の売場作りと在庫管理を徹底して、値下の抑制に繋げました。
③広告宣伝では、動画CMのWEB配信などデジタル広告を拡大し、天候や売上に応じて機動的に配信する時期や広告
量、配信メディアを見直しました。SNS販促では新規媒体を導入し、ホームページやアプリをリニューアルしまし
た。また、都市部限定や地域限定の販促を強化したことで、該当店舗や該当地域の売上が伸長しました。
2)アベイル事業
アベイル事業は、JBとキャラクター商品の取扱いを拡大し、売場も変更したことで、商品力と販売力が向上し好調
でした。JBは、レディースとメンズのアウター衣料と服飾雑貨をトータル展開し、コーディネート提案したことで
売上を伸ばしました。インテリア・生活雑貨は、キャラクター商品を中心に品揃えと売場を拡大して好調でした。
販促ではデジタル広告を拡大し、都市部店舗ではWEB広告で限定商品を展開したことも効果的でした。
3)バースデイ事業
バースデイ事業は、JBの展開を拡充し、販促手法を多様化したことで売上を伸ばしました。主力JBの「futafuta
(フタフタ)」と「tete a tete(テータテート)」は品揃えを拡充し、新生児向け新規JB「Cottoli(コトリ)」は
ギフト提案を、ジュニア向け新規JB「rabyraby(ラビラビ)」はトレンド商品を強化して好調でした。販促では、
新規販促媒体の拡大やインフルエンサーの活用など、デジタル販促の多様化が集客力強化に効果的でした。
4)シャンブル事業
シャンブル事業は、アウター衣料の主力JBのブランディングを強化し、雑貨ではギフト対応の商品とサービスを拡充したことで売上を伸ばしました。また、外出需要の高まりで、バッグや帽子などの服飾雑貨とコスメやフレグランスなどの雑貨が売上を伸ばしました。品揃えを強化したギフト向け商品では、母の日やクリスマスのギフトに加えて、お客様が自分で商品や装飾材を選べる「ギフトマルシェ」が新たな売上に繋がりました。
5)ディバロ事業
ディバロ事業は、シューズでは、外出需要やオケージョン需要の回復に加えて、ヤング向け商品の拡充や接客とギ
フト対応の強化によりレディースとメンズ、キッズのシューズがそれぞれ好調でした。「靴&ファッション」の新
モデル店舗を想定し、取扱いを拡大したアウター衣料と服飾雑貨は、トレンド商品の強化や新規サプライヤーの開
拓で売上を伸ばしました。販促では、SNS販促の活用で会員数が伸長し、客数増加に繋がりました。
6)思夢樂事業
台湾で事業展開する思夢樂事業は、総合衣料の専門店として、台湾のお客様にとって適時、適品、適量、適価な品
揃えとするために事業の再構築を進めています。上半期は第1四半期に低気温と新型コロナの感染拡大で客数が大
幅に減少しましたが、その後は外出自粛ムードも緩和され、売上高が急回復しました。下半期は第3四半期に台風
による大雨と高気温で秋冬物の販売が伸び悩みましたが、その後は取扱いを拡大したPBやJBが好調に推移し、SNS
販促の活用が集客力の向上に繋がったことで、客数と客単価をそれぞれ伸ばすことが出来ました。
(5)経営上の目標の達成状況について
当社グループは、安定的な企業の成長を続けるため、中長期的な経営上の目標として連結営業利益率は10%が適切と認識しております。
当連結会計年度における当社グループの連結営業利益率は、8.7%と目標水準を下回りましたが、今後につきましても、適正な粗利益確保と販売費及び一般管理費の抑制を図り、当該目標の達成に努めて参ります。