【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)
経営成績の概要当連結会計年度は、投資銀行事業において事業承継等のニーズに対応したプライベートエクイティ投資強化の方針のもと、案件の組成を推進しました。エンタテインメント・サービス事業では、ライセンス関連についてはブランディング強化によりムーミンの国内市場が拡大基調で推移したものの、メッツァについては新型コロナウイルス感染症の再拡大により2021年1月の2回目の緊急事態宣言以降、来園者数は低水準で留まったため、費用を抑制した収支均衡策を継続しました。当連結会計年度の経営成績は、メッツァが低調であったものの、プライベートエクイティ投資案件の組成及び投資回収が順調に推移し、航空機アセットマネジメントも好調に推移した結果、売上高は8,107百万円(前連結会計年度比18.5%増)となり、売上総利益は原価率の低い投資銀行事業の業務受託等の売上高が伸長したことにより3,370百万円(前連結会計年度比45.7%増)となりました。販売費及び一般管理費は、メッツァにおける費用削減によって前連結会計年度比3.4%減の3,192百万円となった結果、営業利益は178百万円(前連結会計年度は992百万円の損失)、経常利益は115百万円(前連結会計年度は1,135百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は130百万円(前連結会計年度は1,186百万円の損失)となりました。
(単位:百万円)
2020年9月期(前連結会計年度)
2021年9月期(当連結会計年度)
増減額
売上高
6,841
8,107
1,266
投資銀行事業
2,525
4,061
1,536
公共コンサルティング事業
253
242
△11
エンタテインメント・サービス事業
4,304
4,106
△197
消去
△242
△303
△60
売上総利益
2,313
3,370
1,057
投資銀行事業
1,482
2,725
1,243
公共コンサルティング事業
151
148
△2
エンタテインメント・サービス事業
797
632
△165
消去
△118
△136
△18
営業利益又は営業損失(△)(セグメント利益又は損失(△))
△992
178
1,171
投資銀行事業
109
1,303
1,193
公共コンサルティング事業
△15
△3
11
エンタテインメント・サービス事業
△515
△501
14
消去又は全社費用
△571
△619
△48
経常利益又は経常損失(△)
△1,135
115
1,251
税金等調整前当期純利益又は税金等調整前当期純損失(△)
△1,444
118
1,562
親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)
△1,186
130
1,316
セグメント別の業績は以下のとおりであり、売上高についてはセグメント間の内部売上高又は振替高を含めた売上高で表示しております。
① 投資銀行事業投資銀行事業では、事業承継などに関連する複数の業務を受託し、これらの案件へのプライベートエクイティ投資が回収に至りました。また、航空機アセットマネジメントにおいて、コロナ禍の影響により金融機関や所有者(レッサー)から機体検査や機体返還などの技術サービス提供依頼が増加しました。以上の結果、投資銀行事業の売上高は4,061百万円(前連結会計年度比60.8%増)、セグメント利益は1,303百万円(前連結会計年度比1,087.0%増)となりました。
② 公共コンサルティング事業公共コンサルティング事業では、公会計事業として地方公共団体に対する統一的な基準による財務書類作成のコンサルティング業務に加え、財務分析レポート作成や公営企業会計導入、経営戦略策定等の受託業務について、大規模自治体を軸に営業活動を推進しました。このような中で、2021年1月に総務省から地方公共団体に対して個別施設計画等を踏まえた公共施設等総合管理計画の見直しを2022年3月までに行うことが求められたことから、見直し支援業務に関しても、積極的に営業活動を推進しました。また、地方創生事業として市場拡大が見込まれるPPP/PFI手法の導入検討等の受託業務を推進しました。 以上の結果、公共コンサルティング事業の売上高は242百万円(前連結会計年度比4.5%減)、セグメント損失は3百万円(前連結会計年度は15百万円の損失)となりました。
③ エンタテインメント・サービス事業エンタテインメント・サービス事業では、㈱ムーミン物語のムーミンバレーパークと㈱ライツ・アンド・ブランズのムーミンのライセンス事業を両輪として、ムーミンのブランディングを通じた国内市場拡大によるライセンス収入の拡大を基本戦略として事業を推進しました。ムーミンバレーパークを含むメッツァでは、㈱ムーミン物語が万全の感染拡大防止策をとったうえで、各種イベント開催や環境演出の強化、アクセス方法の拡充などによって集客に努めました。メッツァの来園者数は、第1四半期に前期の第4四半期比で37.2%増の24万人と増加基調になったものの、第2四半期以降は緊急事態宣言等により低水準で推移して通算では前連結会計年度比で4.0%減の74万人となった結果、メッツァ関連の売上高は前連結会計年度比18.4%減の2,346百万円となりました。ライセンス関連においては、日本国内におけるムーミンのライセンスを一括管理(翻訳出版権、テーマパーク、舞台芸術を除く)している㈱ライツ・アンド・ブランズが、コロナ禍でもライセンシーの総売上高を増加基調で推移させました。ムーミンのブランド価値向上のためのPR活動や、ライセンシーと協力した様々な企画を投入した結果、コロナ禍での日用品やカジュアルウェアなどの「巣ごもり」需要の取り込みへつながり、ライセンス収入が増加しました。この結果、ライセンス関連の売上高は前連結会計年度比23.3%増の1,759百万円となりました。以上の結果、エンタテインメント・サービス事業の売上高は4,106百万円(前連結会計年度比4.6%減)、セグメント損失は501百万円(前連結会計年度は515百万円の損失)となりました。
(2)
財政状態の概要財政状態の概要は、「(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 Ⅲ 財政状態の分析」において、分析・検討内容と一体的に記載しております。
(3)
キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、2,379百万円(前連結会計年度末比237百万円増加)となりました。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー営業活動による資金の増加は747百万円(前連結会計年度は680百万円の増加)となりました。これは主に、売上債権の増加により164百万円、法人税等の支払額又は還付額により203百万円減少したものの、税金等調整前当期純利益により118百万円、減価償却費により619百万円、営業投資有価証券の減少により97百万円増加したことによるものです。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー投資活動による資金の減少は173百万円(前連結会計年度は282百万円の減少)となりました。これは主に、固定資産の取得による支出により189百万円減少したことによるものです。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー財務活動による資金の減少は360百万円(前連結会計年度は767百万円の減少)となりました。これは主に、長期借入れによる収入により100百万円、非支配株主からの払込みによる収入により202百万円増加したものの、長期借入金の返済による支出により406百万円、リース債務の返済による支出により222百万円減少したことによるものです。
(4) 生産、受注及び販売の状況
① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
内 訳
生産高(千円)
前期比(%)
投資銀行事業
不動産開発等
38,478
△72.9
(注)1 生産高は、評価損等による減少を除く販売用不動産及び仕掛販売用不動産の増減額に売上原価を加えた金額により表示しております。
2 前連結会計年度はメッツァビレッジの改良工事等がありましたが、当連結会計年度は一部店舗施設の改装などに留まったため、前連結会計年度に比べて、生産高は減少しました。
② 受注実績当社グループは受注生産を行っていないため、該当事項はありません。
③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前期比(%)
投資銀行事業
3,848,098
+65.0
公共コンサルティング事業
228,844
△4.7
エンタテインメント・サービス事業
4,030,425
△5.6
合計
8,107,368
+18.5
(注) 1
セグメント間取引については、相殺消去しております。
2
主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、前連結会計年度の下記の相手先への販売実績は、総販売実績の100分の10未満のため、記載を省略しております。
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
東京湾建物ホールディングス合同会社
-
-
965,251
11.9
3
投資銀行事業の販売実績が増加した主な要因は、プライベートエクイティ投資関連の業務受託及び投資回収、並びに航空機アセットマネジメントによる売上高が増加したことによるものであります。4
上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(5)
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容当連結会計年度の経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、以下の通りであります。文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年12月22日)現在において当社グループが判断したものであります。
Ⅰ
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されておりますが、その作成にあたっては、経営者の主観的な判断を伴う見積りが必要になる項目があります。経営者はその見積りが合理的であると判断していますが、市況の変化等により将来の結果が異なるものとなり、連結財務諸表に影響を与える可能性があります。当社グループの重要な会計方針のうち、特に重要性の高い会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
Ⅱ 経営成績の分析①売上高、売上原価、売上総利益、販売費及び一般管理費並びに営業利益当連結会計年度における売上高は8,107百万円となり、前連結会計年度の6,841百万円より1,266百万円増加(18.5%増)しました。売上原価は4,736百万円となり、前連結会計年度の4,528百万円より208百万円増加(4.6%増)しました。売上総利益は3,370百万円となり、前連結会計年度の2,313百万円より1,057百万円増加(45.7%増)しました。販売費及び一般管理費は3,192百万円となり、前連結会計年度の3,306百万円より113百万円減少(3.4%減)しました。営業利益は178百万円となり、前連結会計年度の992百万円の損失と比べて損益は1,171百万円改善しました。
投資銀行事業及びエンタテインメント・サービス事業の分析は以下のとおりとなります。なお、上記のグラフ及び下記のセグメント別の数値は、いずれもセグメント間の取引を相殺消去しない数値を使用しております。(投資銀行事業)投資銀行事業の業務別の売上高、及び売上総利益は、以下の通りです。
業務受託及び企業投資については、複数の事業承継に関連するプライベートエクイティ投資案件の業務受託や投資回収により売上高が増加しました。また、航空機アセットマネジメンもコロナ禍の影響で技術サービス提供依頼が増加し、メッツァビレッジについては前連結会計年度の臨時休園による駐車場売上高減少やテナント賃料の一部減免の影響がなくなったことにより、売上高が増加しました。しかしながら、アセット投資は前連結会計年度に不動産開発案件でエグジットがあった反動で売上高が減少しました。以上の結果、投資銀行事業の売上高は前連結会計年度比60.8%増の4,061百万円となりました。 売上原価は、メッツァビレッジの賃貸について前連結会計年度の第3四半期より当社から子会社㈱ムーミン物語にマスターリースし同社が各テナントにサブリースする方法から、当社が各テナントに直接賃貸する方法に変更したことによって、運営コストを売上原価に計上することとしたことや、航空機アセットマネジメントの売上増加に伴う外部委託費の増加により、前連結会計年度比28.0%増の1,335百万円となりました。これらの結果、売上総利益は、前連結会計年度比83.9%増の2,725百万円となりました。
販売費及び一般管理費については、人的投資の増加等により、前連結会計年度比3.7%増の1,422百万円となりました。 これらの結果、セグメント利益は、1,303百万円(前連結会計年度比1,087.0%増)となりました。
(エンタテイメント・サービス事業)ムーミンバレーパークを含むメッツァでは、メッツァの来園者数が第1四半期に前期の第4四半期比で37.2%増の24万人と増加基調になったものの、第2四半期以降は緊急事態宣言等により低水準で推移して通算では前連結会計年度比で4.0%減の74万人となった結果、メッツァ関連の売上高は前連結会計年度比で減少しました。ライセンス関連においては、ムーミンのブランド価値向上のためのPR活動や、ライセンシーと協力した様々な企画を投入した結果、コロナ禍での日用品やカジュアルウェアなどの「巣ごもり」需要の取り込みへつながり、ライセンス関連の売上高は前連結会計年度比で増加しました。販売費及び一般管理費は、メッツァにおけるコスト削減により、前連結会計年度比で、減少しました。セグメント損益は、前連結会計年度に比べ14百万円の改善に留まりしましたが、前連結会計年度はムーミンバレーパークの臨時休園期間中の固定費(人件費、減価償却費等)等292百万円を特別損失に振り替えていることを考慮すると、306百万円の改善となりました。
(単位:百万円)
科目・内訳
2020年9月期
2021年9月期
増減額
売上高
4,304
4,106
△197
メッツァ関連
2,877
2,346
△530
ライセンス事業
1,427
1,759
332
売上原価
3,506
3,474
△32
売上総利益
797
632
△165
販売費及び一般管理費
1,313
1,134
△179
セグメント損失(△)
△515
△501
14
償却前セグメント利益 (注)2
151
79
△71
(注)1 他のセグメントとの取引を消去しない数値を使用しております。2 償却前セグメント利益は、セグメント損失に売上原価、販売費及び一般管理費に含まれる減価償却費及びのれん償却費を足し戻して算出しております。
メッツァ関連の四半期毎の売上高、及びメッツァ来園者数の推移は、以下のとおりです。
②
経常損益営業外収益は、埼玉県飯能市よりメッツァに係る企業立地奨励金等による助成金収入55百万円があったことなどにより72百万円となり、前連結会計年度の38百万円より33百万円増加(87.5%増加)しました。営業外費用は、ムーミンバレーパーク開発のための金融機関借入やリース等による支払利息124百万円があったものの、㈱アダコテックを持分法適用の対象から除外して持分法による投資損失がなくなった(前連結会計年度は27百万円の損失)ことにより134百万円となり、前連結会計年度の180百万円より46百万円減少しました。この結果、経常利益は115百万円となり、前連結会計年度の1,135百万円の損失と比べて1,251百万円改善しました。
③
税金等調整前当期純損益税金等調整前当期純利益は118百万円となり、前連結会計年度の1,444百万円の損失と比べて損益は1,562百万円改善しました。
④
法人税等、非支配株主に帰属する当期純損益、親会社株主に帰属する当期純損益法人税等は94百万円となり、前連結会計年度の69百万円と比べて24百万円増加しました。非支配株主に帰属する当期純損失は、非支配株主に按分する㈱ムーミン物語及び飯能地域資源利活用合同会社の当期純損失が前連結会計年度と比べて減少し、非支配株主に按分するSGI-Group B.V.及び㈱ライツ・アンド・ブランズの当期純利益が増加したことにより106百万円となり、前連結会計年度の327百万円と比べて221百万円改善しました。親会社株主に帰属する当期純利益は130百万円となり、前連結会計年度の1,186百万円の損失と比べて損益は1,316百万円改善しました。
Ⅲ 財政状態の分析① 流動資産流動資産は、前連結会計年度末より4.1%増加し、9,167百万円となりました。これは主として、成長企業への新規投資の実行があったものの既存投資案件の分配及び不動産信託受益権の販売が進んだことにより営業投資有価証券が85百万円、営業貸付金が59百万円減少したものの、現金及び預金が217百万円、受取手形及び売掛金が189百万円増加したことによるものです。
② 固定資産固定資産は、前連結会計年度末より6.3%減少し、7,290百万円となりました。これは主として、ムーミンバレーパークの建物、内外装等の減価償却等により建物及び構築物(純額)が186百万円、工具、器具及び備品(純額)が273百万円減少したことによるものです。
③ 流動負債流動負債は、前連結会計年度末より2.5%増加し、2,391百万円となりました。これは主として、1年内返済予定の長期借入金が221百万円減少したものの、支払手形及び買掛金が21百万円、短期借入金が55百万円、リース債務が24百万円、その他に含まれる未払金が112百万円増加したことによるものです。
④ 固定負債 固定負債は、前連結会計年度末より4.6%減少し、6,626百万円となりました。これは主として、長期借入金が84百万円、ムーミンバレーパークの内外装に係るリース債務が193百万円減少したことによるものです。
⑤ 純資産 純資産は前連結会計年度末より1.8%増加し、7,439百万円となりました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純利益等により利益剰余金が63百万円、非支配株主持分が49百万円増加したことによるものです。
以上の結果、総資産は前連結会計年度末より0.8%減少し16,457百万円、負債は前連結会計年度末より2.8%減少し9,018百万円、純資産は前連結会計年度末より1.8%増加し7,439百万円となり、自己資本比率は38.5%となりました。
セグメントごとの分析は、次の通りです。
① 投資銀行事業当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の6,610百万円に対して80百万円増加し、6,691百万円となりました。これは主として、不動産信託受益権の販売が進んだことにより営業投資有価証券が純減となったものの、スタートアップ企業やプライベートエクイティ投資案件等への新規投資による営業投資有価証券の増加があったことや、航空機アセットマネジメントの好調によって現金及び預金や売掛金などが増加したことによるものです。
② 公共コンサルティング事業当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の149百万円に対して7百万円減少し、141百万円となりました。
③ エンタテインメント・サービス事業当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の8,341百万円に対して392百万円減少し、7,948百万円となりました。これは主として、ライセンス関連が好調に推移したことにより現金及び預金が増加したものの、ムーミンバレーパークについて建物、内外装等の減価償却により建物及び構築物、並びに工具、器具及び備品が減少したことによるものです。
Ⅳ 経営成績に重要な影響を与える要因「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、当該事業リスクが発生した場合、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
(6)
資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① 資金調達当社グループは、投資銀行事業の投融資をはじめとする事業活動に必要な資金の確保と財務の健全性・安定性維持を資金調達の基本方針としており、主に金融機関借入、不動産証券化、エクイティファイナンス、ファイナンス・リース等で資金調達し、適切な手元流動性を確保しています。 短期資金需要に対しては、営業活動から得られたキャッシュ・フローを主として充当し、必要に応じ銀行借入等で賄っています。例えば、不動産開発案件へのアセット投資では銀行借入により調達しております。また、不動産アセットマネジメント案件などの不動産取得やプライベートエクイティ投資案件においては、個別案件毎にノンリコースローンなどを利用しております。ただし、成長を加速させると判断した場合、当社は投資銀行事業における投融資資金を確保するため、エクイティファイナンスによる調達も行っております。2018年12月4日には第19回新株予約権を発行し、その後の権利行使によって資金を調達(合計1,808百万円)しておりますが、その資金使途を「不動産小口化投資商品組成のための不動産(信託受益権を含む。)取得」などに充てております。なお、子会社に関しては、必要に応じて当社が子会社に対し運転資金や投融資のための資金の貸付を行っております。 中長期資金需要に対しては、主に金融機関借入、不動産証券化、エクイティファイナンス、ファイナンス・リース等で対応しております。メッツァ開業へ向けての資金需要に対しては、2017年7月にムーミンバレーパークの不動産証券化に係る各種契約を締結して、組成した特別目的会社である飯能地域資源利活用合同会社(当社子会社)が地元企業及び当社子会社の㈱ムーミン物語から匿名組合出資金7.5億円を受け入れ、2018年10月には地域金融機関から長期借入金56億円を調達し、調達期間を長期化しました。また、当社は2014年3月発行の第12回新株予約権、2015年4月発行の第14回新株予約権、2018年1月発行の第18回新株予約権で調達した資金のうち41億円をメッツァ建設資金等の開業準備に充当しました。子会社においては㈱ムーミン物語が第三者割当増資により2018年9月期に1,944百万円を、2019年9月期に898百万円(うち当社出資ファンドが634百万円引受)を調達しました。また2019年3月にセール・アンド・リースバックによりムーミンバレーパークの内外装工事代金として942百万円を調達しました。なお、前連結会計年度に当社子会社の㈱ムーミン物語は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響の長期化に備え、メッツァの運営資金を確保すべく、コスト削減策を策定し実行しておりますが、これと並行して、制度融資により資金調達しております。また同社は子会社の飯能地域資源利活用合同会社からムーミンバレーパークの不動産を賃貸しておりますが、この賃料支払いについて猶予を受けており、飯能地域資源利活用合同会社の外部借入については㈱ムーミン物語のコスト削減策の遂行を前提に元本据置を受けております。
② 資金需要
当社グループにおける資金需要の主なものは、投資銀行事業においては営業活動における不動産プロジェクトや企業への投融資、人件費等の販売費及び一般管理費の運転資金であります。公共コンサルティング事業における資金需要は、人件費や外注費等の運転資金です。エンタテインメント・サービス事業における資金需要は、ムーミンバレーパーク運営における商品・材料仕入れ、人件費及びその他の諸経費の運転資金であり、投資活動においては、施設・コンテンツへの投資が主な内容であります。 投資銀行事業における投融資は、不動産等へ投資するアセット投資と、潜在性・将来性豊かな上場/未上場企業・事業に対し投融資する企業投資の2つに分けられます。当社グループは、投資銀行事業においては投融資が収益拡大を促進していると考えており、今後も継続して拡大させていく予定であります。 エンタテインメント・サービス事業においては、メッツァにおいて新型コロナウイルス感染症拡大による売上減少に対応して、コスト削減により運転資金を減少させております。設備投資については、当面は施設維持・改善を中心とする方針です。また、ムーミンバレーパークについては来園者のニーズとコロナ禍の長期化を踏まえ、2021年12月に新しいテーマを“Well-being”としてリニューアルしました。このリニューアルは、運営コストの低減効果もあることから、安定的な財務運営にも寄与していく見込みです。
(7)
経営上の目標の達成状況について当社は、期首に単年度の連結業績予想を公表しております。当連結会計年度は、投資銀行事業においてプライベートエクイティ投資関連の収益が業績を牽引する一方で、エンタテインメント・サービス事業のメッツァ関連において新型コロナウイルス感染症による影響が継続するものの、事業環境は徐々に回復していくことを前提として算出しておりました。しかしながら、当連結会計年度は新型コロナウイルス感染症の再拡大により、メッツァの来園者数は2021年1月の緊急事態宣言以降に低水準となり、その後もデルタ株の急拡大などもあり影響は想定より長期に渡りました。これにより、エンタテインメント・サービス事業において、メッツァのムーミンバレーパークを運営する㈱ムーミン物語が当初見込みから大きく減収となり、当期に経常損失10億円を計上したことにより、同事業の売上高、利益は計画を大きく下回る結果となりました。一方、投資銀行事業は、プライベートエクイティ投資案件の組成が想定通り順調に推移したことに加え、航空機アセットマネジメントにおいてコロナ禍の影響により金融機関などから技術サービス提供依頼が増加したことで、計画を上回る売上高、利益となりました。このように、投資銀行事業が好調であったものの、エンタテインメント・サービス事業は想定を超える新型コロナウイルス感染症の再拡大があったことにより、連結売上高、各段階利益とも期初予想には至りませんでした。(単位:百万円)
期初計画(2020年11月10日公表)
2021年9月期実績
差異
売上高
9,000
8,107
△892
営業利益
540
178
△361
経常利益
370
115
△254
親会社株主に帰属する当期純利益
250
130
△119
#C8789JP #フィンテックグローバル #その他金融業セクター