【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。(1) 経営成績の分析当第3四半期連結累計期間におけるわが国の経済は、引き続きウクライナ情勢長期化による資源や原料供給網の弱体化、為替の円安進行などで、原材料価格や光熱費をはじめとした各種コストのかつてない高騰が発生し、収益性の改善においては厳しい状況となりました。 当社をとりまく環境といたしましては、依然として続く世界的な半導体部品の供給不足、円安による原材料・物流コストの急激な上昇の影響を受けました。また急激な物価上昇による家計や企業への影響で、AV、家電製品の民生機器需要の減退が重なり、AV関連事業、家電事業の売上高が減少となりました。 また、当社は、これまで、テレビチューナー関連製品を中心に製品展開をしてまいりました。しかしながら近年、消費者の需要はテレビからYoutubeやその他インターネット上のストリーミングサービスへ移行し、テレビ市場の縮小が顕著になり、当社のコア技術であるテレビチューナー周辺ソフトウェアの技術ニーズが大きく低下している状況がありました。需要の減少による業績の悪化をリカバリーすべく、製品ラインナップの整理、製品の魅力を伝えるコミュニケーション戦略や製品デザイン、Webサイトの充実などありとあらゆる対応策を検討・実施してきました。 しかし、当社の事業を取り巻く環境は日々悪化しており、テレビチューナー関連製品のニーズ減少の流れが回復することは見込めないと判断し、当社のコア技術であるテレビチューナー周辺技術開発の大幅なコスト削減及び縮小を実施することが当社の事業継続のために不可欠であるとの結論に至り、構造改革の実施を決定しました。 当第3四半期連結累計期間においては「事業の選択と集中」、「取締役の交代」、「大阪本社の返却」の実施を順次進めて参りました。2023年6月12日には、大阪本社の移転が完了いたしました。 構造改革の着実な実施を進めており、月々の固定費を大幅に削減し、収益構造や事業構造を転換することによって、黒字構造への転換を図ってまいります。AV関連事業においては、ChatGPTに代表されるAI技術のAV関連事業への活用へ向けた研究の成果を順次リリース開始し、研究開発と並行して事業化に向けた取り組みを開始いたしました。業務用ブランドBIZmode、 pipicoの顧客拡大のため新機能の開発を引き続き継続し、加えて、TV以外の新たなAV事業分野の製品開発に着手いたしました。また、家電事業においては、調理家電分野、季節家電分野、理美容家電分野の新規開発を積極的に行い、SNSを通じて製品ブランドのマーケティングを推進するとともに、マーケットのニーズに応じた新製品のマーケティング、企画、開発及び販売と大手EC事業者向けOEM製品の販売にも注力してまいりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は11億86百万円(前年同期比22.8%減)、営業損失9億93百万円(前年同期は営業損失9億10百万円)、経常損失9億98百万円(前年同期は経常損失9億25百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失11億59百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失9億46百万円)となりました。
セグメント別の業績の概況は以下のとおりであります。
〔AV関連事業〕ホームAV関連製品に関しましては、新SoC用新4K衛星放送対応TVスタックソフトウェアのターンキーソリューションの家電メーカーでの採用が継続し、そのロイヤリティの売上高が33百万円(前年同期比37.2%減)となりました。Xit-AirBox/Xit-Stickは、前期より引き続き低調に推移し、売上高はそれぞれ1億67百万円 (前年同期比54.1%減)、38百万円(前年同期比40.1%減)となりました。EWBS対応の海外向けSTBは新規引き合いは継続的にあるものの受注前の段階であり、売上高は1百万円(前年同期比86.1%減)となりました。一方、業務ブランド「BIZmode」と「BIZmode」 を元に開発したサイネージ事業ブランド「pipico」でのAndroid TV搭載の4Kスマートチューナー、4K衛星放送対応 スマートテレビの受注およびソフトウェアロイヤリティは引き続き好調に推移し、33百万円(前年同期比112.9 %増)となりました。その他として発売済みSTBの追加販売およびソフトウェアの有償保守費用等で22百万円(前年同期比 42.9%減)の売上高があり、その結果、売上高は2億97百万円(前年同期比47.3%減)となりました。 IoT関連製品に関しましては、LTEドングルMT100シリーズは、半導体部品不足は解消しましたが、売上高が75百万円(前年同期比36.5%減)となった一方、4GLTEルーターの売上高は46百万円(前年同期ゼロ)となりました。その他、修理費などで売上高は19百万円(前年同期比2.0%減)となりました。その結果、売上高は1億41百万円(前年同期比2.4%増)となりました。 パソコン向けテレビキャプチャーをはじめとするテレビキャプチャー関連製品に関しましては、一部OEM向け提供は増加したものの、全体的には低調な状態が継続しており、全体で売上高は1億58百万円(前年同期比23.4%減)となりました。 そのほかに、カメラバンドルソフトの保守等のその他売上高が、10百万円(前年同期比48.2%増)となりました。
これらの結果、AV関連事業の売上高は6億7百万円(前年同期比33.7%減)、セグメント損失(営業損失)は2億32百万円(前年同期はセグメント損失1億81百万円)となりました。
〔家電事業〕家電事業におきましては、地上波のTV放送、雑誌等各種メディアで大きく取り上げられ、Re・Deブランド、A-Stageブランド共に認知を拡大し人気商品となりました。また、Re・Deブランド第三弾の新製品Re・De Hairdryを2022年12月より販売を開始し、Re・De Kettle、Re・De Potと共に販売開始からSNSを中心に順調に認知を拡大し、前年同期より利益が増加となった一方で売上は減少となりました。Re・Deブランドの製品群につきましては、家電事業全体の売上高に対し、売上構成比は36.2%(前年同期は28.3%)となりました。ヘアドライヤーの売上高は45百万円(前年同期ゼロ)、電気ケトルの売上高は34百万円(前年同期比2.5%減)となりました。A-Stageブランドの製品群につきましては、調理家電において2023年1月より販売を開始した炊飯器(マルチライスポット)の売上高が大幅に増加しました。生活家電では洗濯機及びスティッククリーナー、白物家電の冷凍庫の売上高が大幅に増加しました。一方、テレビ製品等の黒物家電の売上高は大幅に減少となりました。カテゴリ別の売上高としては、冷蔵庫や冷凍庫等の白物家電は売上高2億33百万円(前年同期比14.5%減)、Re・Deブランド、A-Stageブランドを合わせた調理家電は売上高2億1百万円(前年同期比8.8%減)、4K関連製品や液晶TV、ポータブルDVDプレーヤー等の黒物家電は売上高32百万円(前年同期比51.7%減)、生活家電等は売上高57百万円(前年同期比3.7%増)、理美容家電等その他売上高52百万円(前年同期比3,037.1%増)となりました。
これらの結果、家電事業の売上高は5億78百万円(前年同期比6.7%減)、セグメント損失(営業損失)は2億71百万円(前年同期はセグメント損失2億91百万円)となりました。今後、継続的な効率化を実施することにより、当社グループ全体での利益率の向上を目指してまいります。
(注)各セグメントのセグメント損失(営業損失)は、「セグメント情報」に記載のとおり、各セグメントに配分していない全社費用4億89百万円(前年同期比11.7%増)を配分する前の金額であります。
(2) 財政状態の分析(総資産)当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ6億49百万円減少し、10億93百万円となりました。これは主に、その他流動資産が58百万円増加したものの、現金及び預金が2億88百万円、商品及び製品が1億10百万円、前渡金が1億2百万円、売掛金が95百万円、敷金が62百万円、ソフトウエア仮勘定が50百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。(負債)当第3四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べ11百万円増加し、4億45百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が50百万円、資産除去債務が56百万円、その他流動負債が27百万円がそれぞれ減少したものの、1年内償還予定の社債が1億50百万円増加したこと等によるものであります。(純資産)当第3四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べ6億60百万円減少し、6億47百万円となりました。これは転換社債型新株予約権付社債の転換及び新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ2億50百万円増加したものの、親会社株主に帰属する四半期純損失を11億59百万円計上したことによるものであります。
(3) 経営方針・経営戦略等と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社は、これまで、テレビチューナー関連製品を中心に製品展開をしてまいりました。しかしながら近年、消費者の需要はテレビからYoutubeやその他インターネット上のストリーミングサービスへ移行し、テレビ市場の縮小が顕著になり、当社のコア技術であるテレビチューナー周辺ソフトウェアの技術ニーズが大きく低下している状況がありました。需要の減少による業績の悪化をリカバリーすべく、製品ラインナップの整理、製品の魅力を伝えるコミュニケーション戦略や製品デザイン、Webサイトの充実などありとあらゆる対応策を検討・実施するとともに、その時点で最善と考える資金調達を実施してきました。2022年9月期の下半期において、さらにテレビチューナーのニーズの減少がより顕著になったことにより、テレビチューナー関連自社製品の売上の低下、OEM製品の売上の低下がより鮮明になりましたが、半導体の供給状況の改善や新ブランドの成長など、業績改善への兆しもあったことから、2022年10月に、AV関連事業、家電事業それぞれの事業を成長させるための資金調達を実施いたしました。 しかし、株価・出来高の低迷により前回資金調達において発行した第15回新株予約権の行使による調達が全く進んでいない状況が続いており、一方において当社の事業を取り巻く環境は日々悪化しております。このような状況を受けて、2022年11月上旬ごろから、当社取締役会において、当社の事業構造の抜本的な改革の必要性も含めた議論を本格化させました。繰り返し議論を行った結果、テレビチューナー関連製品のニーズ減少の流れが回復することは見込めないと判断し、当社のコア技術であるテレビチューナー周辺技術開発の大幅なコスト削減及び縮小を実施することが当社の事業継続のために不可欠であるとの結論に至りました。 このような環境の中、今後の当社グループの連結収益の改善並びに経営基盤の強化を図るために対処すべき課題とその対処方針は以下の通りであります。
①事業の選択と集中 AV関連事業においては、これまでTVチューナー周辺のソフトウェア開発を中心に事業を展開してまいりました。 ただし、昨今の「TV離れ」やTVコンテンツのインターネットにおける再配信により、当社のコア技術であるTVチューナー周辺のソフトウェア開発のニーズが大幅に減少しました。これに対し、製品ラインナップの整理、製品の魅力を伝えるコミュニケーション戦略や製品デザイン、Webサイトの充実など様々な策を実施し、考えうる全ての手段を講じましたが、市場ニーズの減少には抗えず、TVチューナー周辺のソフトウェア開発プロジェクトの選択と集中を実施し、今後大きな成長性が見込まれるchatGPTをはじめとする生成系AIに関連する開発及びウェルネスやヘルスケアに関連する製品やサービスの開発に大きくシフトすることといたしました。 また、その他の短期的に売上を見込むことができない製品については、原則として開発・保守を停止致します。 コスト削減後の売上や収益については、現状で見込みを立てることは非常に難しいものの、収益性の優れないプロ ジェクトを廃止することで、効率化を進め、収益構造を改善してまいります。 家電事業においては、「心地をリデザインする」をコンセプトにウェルネスブランドとしてリブランディングを 行ったRe・Deとミニマリスト向けジェネリック家電として展開しているA-Stageの2ブランドを中心に事業を展開してきました。そのような状況の中、今年で4年目を迎えるRe・Deがさらに成長を目指して、生活家電分野、空調 関連分野に進出を予定しております。以上の取り組みにより、安定的に売上及び利益を上げていくような仕組みづくりを推進してまいります。
②自社製品ブランドの確立 「AV関連事業」及び「家電事業」のそれぞれについて、ブランドコンセプトや製品の認知を目的としたブランディング及びマーケティングに注力してまいります。具体的な施策としましては、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネージメント)を活用したカスタマーエクイティーの向上やメディア、SNSを通じたプロモーション、オウンドメディアの育成、グループブランディングの確立等の施策を行ってまいります。
③経営戦略資金の確保 第1四半期連結会計期間においてEVO FUNDを割当先とする第4回無担保転換社債型新株予約権付社債(行使価額修正条項付)を発行し、第2四半期連結会計期間においてEVO FUNDを割当先とする第16回新株予約権及び第17回新株予約権を発行しました。 第4回無担保転換社債型新株予約権付社債(行使価額修正条項付)につきましては、第2四半期連結会計期間末までに全ての新株予約権の行使が行われ、2億50百万円全額が資本金及び資本準備金に振り替えられました。 第17回新株予約権につきましては、当第3四半期連結会計期間末までに行われた権利行使により2億50百万円の資金調達が行われました。さらに、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおり、第17回新株予約権につきましては、2023年7月1日から2023年8月14日までに行われた権利行使により、50百万円の資金調達が行われました。 残りの第16回新株予約権及び第17回新株予約権が権利行使された場合には、6億55百万円の資金調達が可能であります。 また、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおり、第5回無担保普通社債50百万円を発行しました。 引き続き、必要に応じて事業資金の確保を図ってまいります。
④固定費削減と原価低減コスト削減による収益体質への構造改革 当社のテレビチューナー関連の開発を大幅に縮小し、当社取扱製品を売上が見込める製品に絞る施策の実施に伴い、対象人員の退職勧奨を実施いたしました。2023年3月末時点において、製品事業本部の約60%の人員の削減を実施いたしました。また、2023年6月12日には、大きな固定費用の発生源となっている大阪本社オフィスから退去いたしました。月々の固定費を大幅に削減し、収益構造や事業構造を転換することによって、黒字構造への転換を図ってまいります。
(4) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、89百万円であります。
(5) 従業員数当社は、当第3四半期累計期間において、経営の効率化のため組織の見直し及びこれに伴う退職勧奨による人員削減を行いました。これにより、当社従業員数は33名減少いたしました。
(6) 生産、受注及び販売の実績当第3四半期連結累計期間において、販売の実績が著しく減少しております。詳細につきましては、「第2 事業の状況 2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績の分析」に記載のとおりであります。