【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。(1) 経営成績の分析当第2四半期連結累計期間におけるわが国の経済は、ウクライナ情勢長期化による資源や原料供給網の弱体化、為替の円安進行などで、原材料価格や光熱費をはじめとした各種コストのかつてない高騰が発生し、収益性の改善においては厳しい状況となりました。当社をとりまく環境といたしましては、依然として続く世界的な半導体部品の供給不足、円安による原材料・物流コストの急激な上昇の影響を受け、急激な物価上昇による家計や企業への影響などが重なり、AV関連事業は、売上高、利益が減少となりました。 また、当社は、これまで、テレビチューナー関連製品を中心に製品展開をしてまいりました。しかしながら近年、消費者の需要はテレビからYoutubeやその他インターネット上のストリーミングサービスへ移行し、テレビ市場の縮小が顕著になり、当社のコア技術であるテレビチューナー周辺ソフトウェアの技術ニーズが大きく低下している状況がありました。需要の減少による業績の悪化をリカバリーすべく、製品ラインナップの整理、製品の魅力を伝えるコミュニケーション戦略や製品デザイン、Webサイトの充実などありとあらゆる対応策を検討・実施してきました。しかし、当社の事業を取り巻く環境は日々悪化しており、テレビチューナー関連製品のニーズ減少の流れが回復することは見込めないと判断し、当社のコア技術であるテレビチューナー周辺技術開発の大幅なコスト削減及び縮小を実施することが当社の事業継続のために不可欠であるとの結論に至り、構造改革の実施を決定しました。当第2四半期連結会計期間においては「事業の選択と集中」、「取締役の交代」、「大阪本社の返却」の実施を順次進めております。構造改革の実施によって、月々の固定費を大幅に削減し、収益構造や事業構造を転換することによって、黒字構造への転換を図ってまいります。AV関連事業においては、新規の大手家電メーカー向け4K衛星放送対応スマートテレビプラットフォーム、ベンチャー企業向けTVプラットフォームは開発段階を終了、回収フェーズに移行しております。業務用ブランドBIZmode、pipicoの顧客拡大のため新機能の開発を継続し、ChatGPTに代表されるAI技術のAV関連事業への活用へ向けた研究開発を開始しました。また、家電事業においては、調理家電分野、季節家電分野、理美容家電分野の新規開発を積極的に行い、SNSを通じて製品ブランドのマーケティングを推進するとともに、マーケットのニーズに応じた新製品のマーケティング、企画、開発及び販売と大手EC事業者向けOEM製品の販売にも注力してまいりました。以上の結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は8億56百万円(前年同期比18.0%減)、営業損失6億59百万円(前年同期は営業損失6億35百万円)、経常損失6億59百万円(前年同期は経常損失6億43百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は8億7百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失6億50百万円)となりました。
セグメント別の業績の概況は次のとおりであります。
〔AV関連事業〕ホームAV関連製品に関しましては、新SoC用新4K衛星放送対応TVスタックソフトウェアのターンキーソリューションの家電メーカーでの採用が継続し、そのロイヤリティの売上高が17百万円(前年同期比234.0%増)となりました。Xit-AirBox/Xit-Stickは、新生活シーズンでの需要拡大を期待しましたが、売上高はそれぞれ1億41百万円(前年同期比51.4%減)、29百万円(前年同期比40.1%減)となりました。EWBS対応の海外向けSTBは少量の受注があり、売上高は1百万円(前年同期比93.1%増)となりました。一方、業務ブランド「BIZmode」と「BIZmode」を元に開発したサイネージ事業ブランド「pipico」でのAndroid TV搭載の4Kスマートチューナー、4K衛星放送対応スマートテレビの受注およびソフトウェアロイヤリティは好調に推移し、28百万円(前年同期比176.7%増)となりました。その他として発売済みSTBの追加販売およびソフトウェアの有償保守費用等で12百万円(前年同期比112.0%増)の売上高があり、その結果、売上高は2億31百万円(前年同期比38.7%減)となりました。IoT関連製品に関しましては、LTEドングルMT100シリーズは、半導体部品不足の影響から、売上高が47百万円(前年同期比48.8%減)となった一方、新たに4G LTEルーターを投入し、売上高は29百万円(前年同期ゼロ)となりました。その他、修理費などで売上高は13百万円(前年同期比3.1%増)となりました。その結果、売上高は91百万円(前年同期比14.5%減)となりました。パソコン向けテレビキャプチャーをはじめとするテレビキャプチャー関連製品に関しましては、一部OEM向け提供は増加したものの、全体的には低調な状態が継続しており、全体で売上高は97百万円(前年同期比37.0%減)となりました。そのほかに、カメラバンドルソフトの保守売上高が8百万円(前年同期比66.6%減)となりました。これらの結果、売上高は4億28百万円(前年同期比34.3%減)、セグメント損失(営業損失)は1億10百万円(前年同期はセグメント損失1億36百万円)となりました。
〔家電事業〕家電事業におきましては、地上波のTV放送、雑誌等各種メディアで大きく取り上げられ、Re・Deブランドは、認知を拡大し人気商品となりました。また、Re・Deブランド第三弾の新製品Re・DeHairdryを2022年12月より販売を開始し、Re・De Kettle、Re・De Potと共に販売開始からSNSを中心に順調に認知を拡大し、売上高、利益とも前年同期より大幅に増加となりました。Re・Deブランドの製品群につきましては、家電事業全体の売上高に対し、売上構成比は35.5%(前年同期は33.4%)となりました。ヘアドライヤーの売上高は27百万円(前年同期ゼロ)、電気ケトルの売上高は27百万円(前年同期比6.7%増)となりました。A-Stageブランドの製品群につきましては、調理家電において2023年1月より販売を開始した炊飯器(ヘルシーマルチライスポット)の売上高が大幅に増加しました。生活家電では洗濯機及びスティッククリーナー、白物家電では冷凍庫の売上高が大幅に増加しました。一方、テレビ製品等の黒物家電の売上高は大幅に減少となりました。カテゴリ別の売上高としては、冷蔵庫や冷凍庫等の白物家電は売上高1億64百万円(前年同期比0.4%増)、Re・Deブランド、A-Stageブランドを合わせた調理家電は売上高1億56百万円(前年同期比2.3%減)、4K関連製品や液晶TV、ポータブルDVDプレーヤー等の黒物家電は売上高24百万円(前年同期比42.0%減)、生活家電等は売上高49百万円(前年同期比87.5%増)、理美容家電等その他売上高33百万円(前年同期比17,258.0%増)となりました。これらの結果、売上高は4億28百万円(前年同期比9.0%増)、セグメント損失(営業損失)は1億74百万円(前年同期はセグメント損失2億円)となりました。今後、継続的な効率化を実施することにより、当社グループ全体での利益率の向上を目指してまいります。
(注)各セグメントのセグメント損失(営業損失)は、「セグメント情報」に記載のとおり、各セグメントに配分していない全社費用3億74百万円(前年同期比25.9%増)を配分する前の金額であります。
(2) 財政状態の分析(総資産) 当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ2億58百万円減少し、14億84百万円となりました。 これは主に、売掛金が43百万円、その他流動資産が23百万円、ソフトウェア仮勘定が20百万円増加したものの、現金及び預金が2億22百万円、前渡金が97百万円、商品及び製品が19百万円、それぞれ減少したことなどによるものであります。(負債) 当第2四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べ2億円増加し、6億34百万円となりました。 これは主に、支払手形及び買掛金が84百万円減少したものの、1年内償還予定の社債が2億50百万円、その他流動負債が48百万円それぞれ増加したことなどによるものであります。(純資産) 当第2四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べ4億58百万円減少し、8億49百万円となりました。これは転換社債型新株予約権付社債の転換及び新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ1億75百万円増加したものの、親会社株主に帰属する四半期純損失を8億7百万円計上したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況 当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2億22百万円減少し、1億45百万円となりました。 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー) 当第2四半期連結累計期間において営業活動の結果使用した資金は、7億64百万円(前年同期は6億51百万円の使用)となりました。これは主に、減損損失10百万円、構造改革費用54百万円、棚卸資産評価損20百万円の計上があったものの、売上債権の増加36百万円、仕入債務の減少83百万円、税金等調整前四半期純損失8億3百万円があったことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー) 当第2四半期連結累計期間において投資活動の結果使用した資金は、35百万円(前年同期は44百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が14百万円、無形固定資産の取得による支出が20百万円あったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー) 当第2四半期連結累計期間において財務活動の結果獲得した資金は、5億77百万円(前年同期は54百万円の獲得)となりました。これは、社債の償還による支出50百万円、新株予約権の発行による支出13百万円があったものの、社債の発行による収入2億99百万円、新株予約権付社債の発行による収入2億45百万円があったことなどによるものであります。
(4) 経営方針・経営戦略等と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社は、これまで、テレビチューナー関連製品を中心に製品展開をしてまいりました。しかしながら近年、消費者の需要はテレビからYoutubeやその他インターネット上のストリーミングサービスへ移行し、テレビ市場の縮小が顕著になり、当社のコア技術であるテレビチューナー周辺ソフトウェアの技術ニーズが大きく低下している状況がありました。需要の減少による業績の悪化をリカバリーすべく、製品ラインナップの整理、製品の魅力を伝えるコミュニケーション戦略や製品デザイン、Webサイトの充実などありとあらゆる対応策を検討・実施するとともに、その時点で最善と考える資金調達を実施してきました。2022年9月期の下半期において、さらにテレビチューナーのニーズの減少がより顕著になったことにより、テレビチューナー関連自社製品の売上の低下、OEM製品の売上の低下がより鮮明になりましたが、半導体の供給状況の改善や新ブランドの成長など、業績改善への兆しもあったことから、2022年10月に、AV関連事業、家電事業それぞれの事業を成長させるための資金調達を実施いたしました。 しかし、株価・出来高の低迷により前回資金調達において発行した第15回新株予約権の行使による調達が全く進んでいない状況が続いており、一方において当社の事業を取り巻く環境は日々悪化しております。このような状況を受けて、2022年11月上旬ごろから、当社取締役会において、当社の事業構造の抜本的な改革の必要性も含めた議論を本格化させました。繰り返し議論を行った結果、テレビチューナー関連製品のニーズ減少の流れが回復することは見込めないと判断し、当社のコア技術であるテレビチューナー周辺技術開発の大幅なコスト削減及び縮小を実施することが当社の事業継続のために不可欠であるとの結論に至りました。 このような環境の中、今後の当社グループの連結収益の改善並びに経営基盤の強化を図るために対処すべき課題とその対処方針は以下の通りであります。
①事業の選択と集中 AV関連事業においては、これまでTVチューナー周辺のソフトウェア開発を中心に事業を展開してまいりました。ただし、昨今の「TV離れ」やTVコンテンツのインターネットにおける再配信により、当社のコア技術であるTVチューナー周辺のソフトウェア開発のニーズが大幅に減少しました。これに対し、製品ラインナップの整理、製品の魅力を伝えるコミュニケーション戦略や製品デザイン、Webサイトの充実など様々な策を実施し、考えうる全ての手段を講じましたが、市場ニーズの減少には抗えず、TVチューナー周辺のソフトウェア開発プロジェクトの選択と集中を実施し、TVチューナー周辺のソフトウェア開発の中でも、大手家電メーカーから既に採用済みかつ今後多数の大手家電メーカーからの採用の見込みがあるターンキープロジェクトや売れ筋製品に絞った製品プロジェクトにのみ人員を配置することにより大幅なコスト削減を実施する予定であります。 また、その他の短期的に売上を見込むことができない製品については、原則として開発・保守を停止致します。コスト削減後の売上や収益については、現状で見込みを立てることは非常に難しいものの、収益性の優れないプロジェクトを廃止することで、効率化を進め、収益構造を改善してまいります。 家電事業においては、「心地をリデザインする」をコンセプトにウェルネスブランドとしてリブランディングを行ったRe・Deとミニマリスト向けジェネリック家電として展開しているA-Stageの2ブランドを中心に事業を展開してきました。そのような状況の中、今年で4年目を迎えるRe・Deがさらに成長を目指して、生活家電分野、空調関連分野に進出を予定しております。以上の取り組みにより、安定的に売上及び利益を上げていくような仕組みづくりを推進してまいります。
②自社製品ブランドの確立 「AV関連事業」及び「家電事業」のそれぞれについて、ブランドコンセプトや製品の認知を目的としたブランディング及びマーケティングに注力してまいります。具体的な施策としましては、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネージメント)を活用したカスタマーエクイティーの向上やメディア、SNSを通じたプロモーション、オウンドメディアの育成、グループブランディングの確立等の施策を行ってまいります。
③経営戦略資金の確保 第1四半期連結会計期間においてEVO FUNDを割当先とする第4回無担保転換社債型新株予約権付社債(行使価額修正条項付)を発行し、当第2四半期連結会計期間においてEVO FUNDを割当先とする第16回新株予約権及び第17回新株予約権を発行しました。 第4回無担保転換社債型新株予約権付社債(行使価額修正条項付)につきましては、当第2四半期連結会計期間末までに250百万円全ての新株予約権の行使が行われました。 第17回新株予約権につきましては、当第2四半期連結会計期間末までに1億円の新株予約権の行使が行われました。さらに、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおり、第17回新株予約権につきましては、100百万円の新株予約権の行使が行われました。 残りの第16回新株予約権及び第17回新株予約権が権利行使された場合には、7億55百万円の資金調達が可能であります。引き続き、必要に応じて事業資金の確保を図ってまいります。
④固定費削減と原価低減コスト削減による収益体質への構造改革 当社のテレビチューナー関連の開発を大幅に縮小し、当社取扱製品を売上が見込める製品に絞る施策の実施に伴い、対象人員の退職勧奨を実施いたしました。2023年3月末時点において、製品事業本部の約60%の人員の削減を実施いたしました。また、2023年6月には、大きな固定費用の発生源となっている大阪本社オフィスから退去する予定です。月々の固定費を大幅に削減し、収益構造や事業構造を転換することによって、黒字構造への転換を図ってまいります。
(5) 研究開発活動 当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、54百万円であります。
(6) 従業員数 当社は、当第2四半期累計期間において、経営の効率化のため組織の見直し及びこれに伴う退職勧奨による人員削減を行いました。これにより、当社従業員数は33名減少いたしました。
(7) 生産、受注及び販売の実績当第2四半期連結累計期間において、販売の実績が著しく減少しております。詳細につきましては、「第2 事業の状況 2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績の分析」に記載のとおりであります。
(8) 主要な設備 当第2四半期連結累計期間において、主要な設備に著しい変動はありません。