【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(2022年10月1日から2022年12月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための行動規制が緩和され、経済活動は徐々に正常化に向かう動きが見られましたが、一方で、ロシア・ウクライナ情勢に起因する資源価格の高騰や、急激な円安進行を背景としたインフレ懸念が高まるなど、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループの属する情報サービス産業におきましては、コロナ禍で加速したDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進により、アナログな事務作業のデジタル化や、オンプレミスで運用されているレガシーシステムのクラウド化など、業務効率化・企業競争力強化のためのIT投資は旺盛な状況です。また、経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査(2022年11月分速報)」によりますと、情報サービス産業の2022年11月売上高は前年同月比で6.9%増の1兆1,829億円となっており、引き続き市場全体としましては拡大傾向に進むと思われます。
このような環境の中、当社グループにおきましては、2023年9月期を最終年度とする中期経営計画(2023年9月期:売上高64.0億円、営業利益3.3億円)の達成に向けて、「人材の確保及び育成」、「キーワード(巣ごもり需要、脱ハンコ、リモートワーク等)に応じたIT技術の提供」、「内部管理体制の強化」等を経営方針とした、ポストコロナを見据えた市場ニーズを享受できる体制づくりを積極的に行ってまいりました。さらに、当社グループが提供している教育サービス業務で蓄積した研修ノウハウの活用や、社内での技術共有を進めることで、より規模の大きな案件や難易度の高い案件を確保するために必要な技術力の強化、プロジェクトマネージャー(注)の強化・育成を進めてまいりました。
また、金融機関向けに強みを持つウイーズ・システムズ株式会社の子会社化(2022年7月~)により、当社グループの既存自社製品「Cornelius LMS」(eラーニングシステム)、「Cornelius SCS」(ストレスチェックシステム)に加え、新たにセキュリティ製品「WEEDS TRACE」が加わりました。自社サービスや自社製品を増やすことで、ライセンス販売や保守業務の売上増加を図ることを強化してまいります。
営業活動におきましては、Web会議システムを活用した商談や、オンラインマーケティングを積極的に活用し、コロナ禍における新たな働き方へ順応してまいりました。
この結果、当第1四半期連結累計期間における売上高は1,459百万円(対前年同期比20.8%増)、営業利益112百万円(同242.1%増)、経常利益112百万円(同242.7%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は74百万円(同244.0%増)となりました。
(注)プロジェクトマネージャーとは、プロジェクトの計画、遂行に責任を負うプロジェクトの管理者のことをいいます。
セグメント別の経営成績は、次のとおりです。
なお、当社グループは2022年7月1日付のウイーズ・システムズ株式会社の連結子会社化に伴い、前連結会計年度より、報告セグメントのうち「教育サービス事業」について、名称を「教育サービス・セキュリティソリューション事業」に変更しております。
また、各セグメントの業績数値には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。
(システムインテグレーション事業)
業務用システムの設計、開発及び構築、運用保守の各工程を、当社グループにて提供できる体制(ワンストップ体制)を構築しており、顧客の要望に応じて、全工程の業務サービス、または、工程別の業務サービス提供を行っております。IT通信業・金融業・流通業・医療・官公庁等の幅広い業種に対応しており、業務用アプリケーションの設計開発業務、インフラシステムの設計構築業務、業務用アプリケーション・インフラシステムの運用保守業務等を行っております。
当第1四半期連結累計期間においては、働き方の変化や企業のDX化により、ネットワーク構築やサーバリプレイス、ITシステム基盤のデータ移行案件に加え、標的型メール訓練サービスなどのセキュリティ案件についても引き合いが増加傾向となりました。なお、前連結会計年度から引き続き、一部のIT機器につきましては未だ納期遅延が発生している状況ですが、対策を講じながらソリューション提供を遂行しており、現時点では業績に対する大きな影響はないものと見込んでおります。
また、当社ホームページへの問い合わせ件数は増加傾向にあり、元請け案件の獲得にも繋がっております。特に、楽々Workflow(電子承認・電子決裁システム)や楽々Framework(ローコード開発プラットフォーム)、COMPANY(統合人事システム)などの問い合わせが増加傾向となりました。
これらの結果、システムインテグレーション事業の売上高は1,375百万円(前年同期比14.8%増)、セグメント利益につきましては307百万円(同36.8%増)となりました。
(教育サービス・セキュリティソリューション事業)
当該事業は、自社で開発した商材を基に、IT研修の企画及びコンサルティング、研修プログラムの開発、研修業務を行う教育サービス分野と、セキュリティ製品の開発、販売、導入、保守を行うセキュリティソリューション分野をサービス領域として提供しております。
教育サービス分野については、IT研修の企画及びコンサルティング、研修プログラムの開発、研修実施の各工程を当社グループにて提供できる体制を構築しており、顧客の要望に応じて、全工程の業務サービス、または、工程別の業務サービス提供を行っております。
当第1四半期連結累計期間においては、メタバース関連研修のブラッシュアップ及び新規研修の研究開発を行うとともに、新入社員向け研修の提供により繁忙期となる4月~6月に向けた講師の採用及び育成強化を図りました。2022年8月から新たに提供を開始した「メタバース体験研修」は、引き続き好評をいただいております。2022年12月には、メタバース空間を構築する「メタバース技術研修Hubs&Spoke」をリリースいたしました。さらに、2023年2月からは「デジタルツイン研修」の提供を予定しております。これらの研修に関する当社ホームページへの問い合わせは増加傾向となっております。メタバースやデジタルツインの市場はさらに拡大することが予想されていることから、教育サービス分野にとどまらず、システムインテグレーション事業へ波及する可能性もあり、新しい付加価値を生み出すイノベーションが期待されます。
また、顧客企業においては、DX化のためのIT人材の確保や育成が重要となってきており、当社グループが提供するIT教育サービスの需要は、今後ますます増加していくものと見込んでおります。
セキュリティソリューション分野については、主に、金融機関やクレジットカード会社、保険会社など、監査やセキュリティ基準の厳しい業界を対象に、サーバやデータベースを操作したログを取得するセキュリティ製品の開発、販売、導入、保守を行っております。
2022年7月に子会社化したウイーズ・システムズ株式会社が当該分野を担っており、2022年7月から、同社の売上及び利益が、教育サービス・セキュリティソリューション事業セグメントに反映されております。
自社製品として、重要システムからの情報漏洩リスクを防ぐIT運用統制ソフトウェアツール群「WEEDS TRACE」を販売しており、さまざまな情報システムのログを収集する主要製品をベースに、顧客の目的に応じて、必要な機能やライセンスの提供を行っております。当第1四半期連結累計期間につきましては、公共法人向け及び地方銀行向けのライセンス販売が好調となりました。
これらの結果、教育サービス・セキュリティソリューション事業の売上高は86,940百万円(前年同期比583.7%増)、セグメント利益につきましては36百万円(同645.9%増)となりました。
(2)財政状態の分析
①流動資産
当第1四半期連結会計期間末における流動資産は1,855百万円となり、前連結会計年度末に比べ154百万円増加いたしました。これは、主に現金及び預金が149百万円、流動資産のその他が14百万円増加したこと等によるものであります。
②固定資産
当第1四半期連結会計期間末における固定資産は707百万円となり、前連結会計年度末に比べ49百万円減少いたしました。これは、主に繰延税金資産が37百万円減少したこと等によるものであります。
③流動負債
当第1四半期連結会計期間末における流動負債は1,146百万円となり、前連結会計年度末に比べ80百万円増加いたしました。これは、主に未払法人税等が67百万円、賞与引当金が131百万円減少した一方、短期借入金が180百万円、契約負債が17百万円、流動負債のその他が60百万円増加したこと等によるものであります。
④固定負債
当第1四半期連結会計期間末における固定負債は329百万円となり、前連結会計年度末に比べ7百万円減少いたしました。これは、主に長期借入金が16百万円減少した一方、退職給付に係る負債が9百万円増加したこと等によるものであります。
⑤純資産
当第1四半期連結会計期間末における純資産は1,087百万円となり、前連結会計年度末に比べ31百万円増加いたしました。これは、主に利益剰余金が30百万円増加したことによるものであります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。
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