【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び当社の関係会社)が判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況①経営成績の分析 当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、6月に発表された日銀短観における大企業の業況判断DI(最近)によると、非製造業では5四半期連続の改善となっており、新型コロナウイルス禍前の2019年6月調査と同じ水準まで回復しており、新型コロナウイルス禍での経済活動に対する制約が徐々に解消される中において、観光需要の回復が進む中で、特に宿泊・飲食サービスの業況感が大きく改善しております。一方、先行きに関しましては、原油価格の下落や電気料金の値上げがプラスに働く電気・ガスでは大幅改善が見込まれるものの、物価上昇によるコストの増加や需要の減少、人手不足の深刻化等への懸念から、非製造業全体では慎重な見方になっています。 このように依然として厳しい状況下のもと、当社グループにおきましては業績回復に向けて、各セグメントそれぞれの営業スタイル特性に合わせた施策を積極的に推進しており、2023年1月13日に「株式会社iiyの株式取得及び簡易株式交換による完全子会社化に関するお知らせ」にて公表いたしましたとおり、独自の市場リサーチ手法を活かした自社オリジナル商品の開発・販売を行っております株式会社iiyが当社グループの傘下となり、同日をもって当社グループの連結会計に組み込まれることとなりました。 しかしながら、卸売事業はインバウンド需要の回復等により計画以上の結果は出してはいるものの、新規顧客獲得のためのプロモーションを控えたことによる社内コールセンター売上高の低迷、収益性の低い店舗のスクラップや客数の回復が予測以上に時間を費やしているリテール事業、M&Aのアドバイザリー費用や臨時株主総会開催のための費用計上等の影響もあり、当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高1,563,484千円(前年同四半期比12.1%減)となり、営業損失154,389千円(前年同四半期は営業損失108,971千円)、経常損失156,172千円(前年同四半期は経常損失107,176千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失157,011千円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純損失103,154千円)となりました。 なお、セグメントにつきましては、2022年11月11日に「事業セグメント変更に関するお知らせ」にて公表させていただいたとおり、前年度までのブランド毎のセグメントから販売スタイル別のセグメントとして「通販事業」「卸売事業」「リテール事業」「衛生コンサルティング事業」へ変更し、上場維持費を含むどのセグメントにも配賦不可能な管理コストにつきましては調整欄にて反映いたします。したがって、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、当第3四半期連結累計期間の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。 各セグメントに共通する商品開発部門を含めた管理部門としましては、コンセプトにマッチした商品開発のスピード化や原価の低いOEM商品の開発、当グループの文化となっているコスト削減プロジェクトを推進しております。 参考までに、当第3四半期連結会計期間におけるブランド別の商品開発実績は以下のとおりです。特に原価率を改善するためにAromaBloomブランドのOEM商品の開発に注力しており、開発された商品は「通販事業」「卸売事業」「リテール事業」それぞれのセグメントにおいて展開されております。 ■フェヴリナ・約71%が美容液成分の「CCクリーム」 ■ファインビジュアル・肌の“くすみ”や“ハリ不足”にアプローチする化粧下地「UV プロテクト メイクアップベースa」 ■AromaBloom・3種のハーブをブレンドした夏向きのティーバッグ「ハーブティー クールリフレッシュ」・植物由来成分「CBD(カンナビジオール)」を1粒に20ミリグラム配合した食品「CBDグミ」 ■その他・販売代理店として、韓国の化粧品会社「ザイエルコスメティック」が手掛けるスキンケア商品美容液「ザイエル ザ コラーゲン クリームインセラム」とミスト「ザイエル ザ コラーゲン エッセンシャルミスト」 の国内販売を開始しました。同社商品を日本で販売するのは、国内企業として当社が初めてとなります。
また、この度2023年1月1日付で株式会社フォーシーズHDは、株式会社Cureを吸収合併いたしました。今後は各ブランドのシナジー効果をさらに図り、新たな施策展開にも取組んでまいります。さらに、今後も当社グループの企業価値をさらに高めるため、既存事業の黒字化を実現するための施策の推進と同時に、新規事業に向けたM&Aを積極的に進めてまいります。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
(通販事業) 通販事業は社内コールセンターでの電話オペレーターによる販売とEC販売にて構成されております。通販事業におきましては、売上高635,176千円(前年同四半期比7.18%増)、セグメント利益は148,559千円(前年同四半期比3.2%減)となりました。 通販事業の今期の施策としては、電話オペレーター販売においては、定期顧客の解約阻止率の改善、休眠顧客の引き上げ率の向上、オペレータースキルを活かした架電代行業務の新規発足、EC販売においては、広告とインフルエンサーへのサンプリングによる新規獲得による収益拡大を目指しております。 電話オペレーター販売につきましては、Webプロモーションによる新規獲得はコスト効率の観点から投資を抑えたため、既存顧客の掘り起こしと定期顧客の解約の阻止を最優先にしており、さらに当社の電話オペレーターの強力な営業力を最大限に活用するために、2022年12月より架電代行業務をスタートいたしました。EC販売については、既存ブランドにおいて、まずはブランド認知向上とリテール事業との顧客リストの共有化や施策の連携を図っておりますが、新しい施策が売上に反映できるまでには当初計画よりも時間がかかっております。しかしながら、EC販売において実績のある株式会社iiyが当グループに加わったことにより、売上高においては前年同四半期よりも上回る結果となりました。
(卸売事業) 卸売事業は国内卸売事業と海外卸売事業にて構成されております。卸売事業におきましては、売上高340,407千円(前年同四半期比0.37%増)、セグメント利益111,318千円(前年同四半期比96.4%増)となりました。 卸売事業の今期の施策としては、既存商品の育成と新規商品の開発により取扱いアイテムを拡大することと海外への販路拡大を目指しております。すでに実績のあるCureブランドについては、国内卸売事業では、引き続き人気ユーチューバーによるプロモーション活動及びインバウンド顧客の回復により、売上は大きく改善されております。また、主力商品であるピーリング商品だけでなく、スペシャルパウダーソープにおきましても一定の効果をあげることができ、新商品として、毎日の洗顔で毛穴ケアができる酵素洗顔「アミノネ クリアウォッシュ」を3月22日よりオンラインショップ、ドラッグストア、バラエティーショップにて販売を開始しました。 海外卸売事業においては、2022年6月28日に公表させていただいた「子会社に対する仮処分命令申立てに関する和解成立のお知らせ」のとおり、主力商品である「ナチュラルアクアジェル」を中華人民共和国、中華人民共和国香港特別行政区及びアメリカ合衆国において2023年7月31日までの期間において、製造及び販売を行わないこととなっておりましたが、8月1日より本条件が解除となりましたため、今後は販売を再開することとしております。引き続き、医薬部外品の薬用ピーリングの「ホワイトクリアジェル」、酵素配合の「エクストラオイルクレンジング」「スペシャルパウダーソープ」の東南アジアを中心としたアジア市場への拡大は進んでおります。一方、通販事業で実績のある「フェヴリナ」と「ファインビジュアル」ブランド、リテール事業で展開しております「AromaBloom」ブランドにつきましては、卸売事業に参入したばかりですので、現在は、国内卸売事業・海外卸売事業とも、認知拡大を目的としたプロモーション活動を継続しております。国内卸売事業においては、ドラッグストアやバラエティストアへの店舗展開及び直接企業に向けた販売促進の強化をすると同時に、インバウンド顧客の回復が急速な勢いで回復してくると予測しております。さらに、SDGs経営の一環として、「コスメロスや廃棄ロスをなくそう!」をテーマにシェア買いアプリ「カウシェ」や株式会社ネットプライスが運営している「Otameshi」への参画、各自治体の「ふるさと納税」事業への参画等、新たな事業への拡販に努めております。また、海外卸売事業におきましては、引き続き東南アジアを中心とした海外販路の拡大を積極的に推進し、通期での黒字化を目指してまいります。
(リテール事業) リテール事業はAromaBloomの店舗運営事業にて構成されております。リテール事業におきましては、売上高544,080千円(前年同四半期比31.24%減)、セグメント損失66,361千円(前年同四半期はセグメント損失15,721千円)となりました。 今期の施策としては、店舗のスクラップ&ビルドによる運営の効率化と、新コンセプト店舗のテストマーケティングによる新たな顧客層の拡大を目指しております。現在は首都圏に21店舗(2023年6月30日時点)を運営しておりますが、「お悩み解決型アロマ専門店」という新しいコンセプトのもと、2022年3月には新百合ヶ丘、11月には海老名に2店舗出店いたしました。また、原価率を改善するためにOEM商品を開発し、OEM商品を中心とした販売強化を推進しております。さらに、子育てに役立つ香り12種を発表し親子で学ぶ「香育ワークショップ」やお好みの精油でアロマ雑貨を手作りする「ワークショップ」の開催や、“春の睡眠の日”に合わせて「おやすみ~リセットから始まる『眠活』~」キャンペーンなど、店舗でのイベントも積極的に進めており、原価率及び客単価につきましては改善されております。しかしながら、新型コロナウイルス禍による消費者のライフスタイルの変化によりリテール店舗への消費者の戻りは未だ鈍く、収益性の低い店舗をスクラップしたことにより、売上高及びセグメント損失とも予想を大幅に下回っております。今後は、赤字体質の脱却を図るため、地域特性に合わせたMD(ブランド、店舗、顧客)コンセプトを見直しすることによる店舗スタイルの見直し、仕入れ価格の交渉及びOEM製品開発による原価率の改善により、既存店舗の活性化を推進することと、引き続き収益性の低い店舗のスクラップは進めてまいりますが、立地や出店条件等をトータルに判断し、収益の見込めるエリアへの出店を積極的に進めていくことにより、早期に業績の拡大と黒字化を目指してまいります。
(衛生コンサルティング事業) 衛生コンサルティング事業におきましては、売上高45,376千円(前年同四半期比10.64%減)、セグメント損失19,431千円(前年同四半期はセグメント損失30,654千円)となりました。 今期の施策としては、食品業界に浸透しつつある食品衛生法上のHACCP管理への指導、JFSM(食品安全マネジメント協会)規格の認証コンサルに注力します。飲食店業界においては顧客によって明暗が分かれているのが実情で、業容拡大となっている顧客の工場新設案件や、増設案件などに上記コンサルを提案することで、さらなる受注を拡大してまいります。また、2022年12月6日に公表しました「IT導入支援事業者に採択」以降も「IT導入支援事業者」として採択され、既にHACCP管理ソフト「HACCP DO」を補助金対象としてサービス提供が可能な体制を取っており、こちらも実績を積んでおります。 しかしながら、飲食店を含めた食品関連企業における新型コロナウイルス禍によるダメージや物価上昇によるコストの増加による影響は想定以上に大きく、いまだ厳しい経済環境が続いておりますが、大手企業や外部の営業代行業者との協業によって営業活動の強化等を行うことにより業績の回復を実現してまいります。 また、新型コロナウイルスを始めとする感染症対策として販売を行っている空間除菌デバイスDevirusACを、同じく感染症対策に悩む畜産業界に転用する施策を進めております。特に、鳥インフルエンザにおいては近年世界的な流行によって卵の価格高騰や流通量不足を招いております。さらに、世界保健機構(WHO)より7月12日に警告が出されたように、鳥インフルエンザによる哺乳類への感染が急増していることで、ヒトに感染しやすく適応する恐れがあり人体への被害も心配されることから、今冬前には拡販を行うことができるよう対応を進めております。
②財政状態の分析
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における資産の残高は1,689,267千円(前連結会計年度末1,454,083千円)、その内訳は流動資産1,262,786千円、固定資産426,480千円となり、前連結会計年度末に比べ235,184千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金の減少42,053千円、売掛金の減少21,519千円、商品及び製品の増加122,966千円、有形固定資産の取得による増加10,758千円、株式会社iiyを完全子会社とする株式取得及び株式交換に伴うのれんの発生による増加182,780千円等によるものであります。
(負債)当第3四半期連結会計期間末における負債の残高は1,055,776千円(前連結会計年度末999,966千円)、その内訳は流動負債633,073千円、固定負債422,703千円となり、前連結会計年度末に比べ55,810千円増加いたしました。これは主に、買掛金の減少19,259千円、1年内返済予定を含む長期借入金の減少56,566千円、株主優待引当金の減少21,708千円、社債発行による増加200,000千円、繰延税金負債の減少13,821千円等によるものであります。
(純資産)当第3四半期連結会計期間末における純資産の残高は633,490千円(前連結会計年度末454,116千円)となり、179,373千円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純損失157,011千円の計上による利益剰余金の減少、新株予約権の行使により資本金、資本剰余金がそれぞれ130,375千円増加、株式会社iiyを完全子会社とする株式取得及び株式交換による資本剰余金の増加21,738千円及び自己株式の減少56,127千円等によるものであります。
(2)事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。