【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当第2四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間(2022年10月1日~2023年3月31日)の世界経済は、コロナ禍前に比べて低い成長ペースが続きました。欧米経済減速の背景となった高インフレと金融引き締めに加え、2023年3月に生じた銀行の破綻・経営不安が金融システム不安につながる懸念が生じています。一方、中国では2022年12月以降にいわゆるゼロコロナ政策が緩和され、経済活動が段階的に持ち直しています。
わが国経済は、物価高と新型コロナウイルス感染が継続する中でも経済活動が持ち直しています。企業は、DX・GX(*1)関連や設備投資など、コロナ禍のもとで先送りしてきた投資を積極化し始めています。政府は、2023年2月にGX推進法案を閣議決定しました。こうした動きは企業のデジタル関連投資の追い風ともなり、当社グループのエネルギー分野の事業やDX事業などにプラスに寄与することが期待されます。また、2022年11月に公開されたChat GPTを契機に、人工知能(AI)が自動的に文章を作成する「生成AI」が、今後の大きな技術革新を感じさせるものとなりました。
このような社会情勢・事業環境を踏まえつつ、当社は経営理念「豊かで持続可能な未来の共創を使命として、世界と共に、あるべき未来を問い続け、社会課題を解決し、社会の変革を先駆ける」を掲げ、事業に取り組んでいます。
当連結会計年度は「中期経営計画2023」(中計2023)の最終年(3年目)です。中計2023の財務目標は前連結会計年度に前倒して達成しましたが、過去2年間の成果と課題を踏まえ、さらなる成長に向け取り組んでいます。具体的には、当社グループの基盤事業であるリサーチ・コンサルティング事業、金融ソリューション事業の価値提供力に磨きを掛けるとともに、シンクタンクとしての政策提言機能の強化、成長領域であるDX事業、ストック型事業、海外事業などへの先行投資を進めています。また、人財、都市・モビリティ、エネルギー、ヘルスケア、情報通信、循環、食農、レジリエンスなどの分野で、研究・提言から社会実装に至るバリューチェーン(価値創造プロセス:VCP(*2))を一貫して手掛けるVCP経営を展開、新たな事業の柱や収益源の獲得に注力しています。
国内では新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5月8日から5類感染症に移行することに伴い、社会・経済活動がポストコロナの「新常態」の流れへと加速する動きがみられます。当社では、かねてより「新常態」を見据えた取り組みを進めており、社会・経済活動の回復や企業の設備投資強化の動きなどを事業機会として着実に捉えるべく、活動しております。
成長事業の牽引役と位置づけたDX事業では、民間、公共、金融の3つの分野を設定して展開を図っています。また、当社及びITサービスセグメントの中核を担っている三菱総研DCSとの連携を一層強化し、営業・コンサルティング活動面でも双方の組織を結び付け、一体的に取り組んでいます。民間向けには、DXコンサルティングとクラウド移行を組み合わせた支援や、ビッグデータ分析を採り入れたデジタルマーケティング、公共向けには行政DXの推進、金融向けには事業領域や顧客層拡大などを積極的に展開しています。
また、AI等先端技術活用については、生成AIの動向をいち早く捉え研究開発を進めています。2023年4月には、ウェブからの情報収集・レポーティングを自動化するAIツールに、生成された文章に含まれる誤情報を検知・削除する機能を実装したAIサービスの提供を開始しました。
こうした取り組みの成果は、当第2四半期連結累計期間では、政府関係のクラウドや5G関連事業等、民間企業のDX推進支援やスマートモビリティ関連事業等の受注実績として顕在化しました。
このような結果、当社グループの当第2四半期連結累計期間における業績は、売上高は73,325百万円(前年同期は7.4%増)、営業利益は9,291百万円(同0.2%減)、経常利益は9,836百万円(同1.8%減)となりました。前年同期に投資有価証券売却益を計上していたこと等により、親会社株主に帰属する四半期純利益は6,533百万円(同16.1%減)となりました。
(*1)GX :グリーン・トランスフォーメーションの略。化石燃料中心の経済・社会、産業構造を再生可能エネルギー中心に移行させ、経済社会システム全体を変革すること。
(*2)VCP:価値創造プロセス(Value Creation Process)の略。社会課題を起点に、その解決と未来社会の実現をゴールとして、お客様や社会への提供価値の向上と持続的成長を目指す、当社グループの価値連鎖の展開過程を意味する。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
(シンクタンク・コンサルティングサービス)
当第2四半期連結累計期間は、官公庁の5G・クラウド関連事業やエネルギー・運輸・IT関連企業のシステム、事業戦略支援関連業務等が売上に貢献し、売上高(外部売上高)は36,236百万円(前年同期比5.9%増)となりました。一方、大型実証事業による外注費や将来成長のための先行投資(人財)コストが増加し、経常利益は6,102百万円(同11.6%減)となりました。
(ITサービス)
当第2四半期連結累計期間は、金融・カード分野の一層の拡大などに伴い売上案件が伸長し、売上高(外部売上高)が37,088百万円(前年同期比8.9%増)、経常利益は3,728百万円(同19.8%増)となりました。
(2)財政状態の状況
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比べて14,769百万円増加し、129,422百万円(前年度末比12.9%増)となりました。内訳としては、流動資産が86,865百万円(同17.5%増)、固定資産が42,556百万円(同4.5%増)となりました。流動資産の増加は、季節要因により、現金及び預金が14,213百万円減少したものの、受取手形、売掛金及び契約資産が32,180百万円増加したことによるものであります。固定資産の増加は、建設仮勘定の計上等によるものであります。
負債は、季節要因により買掛金が11,679百万円増加したこと等により、前連結会計年度末と比べて10,706百万円増加し、54,207百万円(同24.6%増)となりました。
純資産は、利益剰余金や自己株式の増加等により、前連結会計年度末と比べて4,062百万円増加し、75,214百万円(同5.7%増)となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ14,213百万円減少し、13,643百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、13,059百万円の支出(前年同四半期は4,819百万円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益9,766百万円、売上・受注の増加及び季節要因による売上債権及び契約資産の増加32,180百万円、仕入債務の増加11,679百万円等によるものであります。なお、当社グループは3月から4月にかけて完了するプロジェクトが多いことから、第2四半期連結累計期間までは支出が先行し営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスになる傾向があります。
前第2四半期連結累計期間との比較においては、売上債権及び契約資産が3,529百万円増加、仕入債務が527百万円減少し、大型実証事業の影響により支出が先行したことに加え、法人税等の支払額が3,006百万円増加したこと等により、8,240百万円の支出増となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、2,920百万円の収入(前年同四半期は462百万円の収入)となりました。これは主に、有価証券の償還による収入5,000百万円、有形固定資産の取得による支出1,148百万円、無形固定資産の取得による支出966百万円等によるものであります。
前第2四半期連結累計期間との比較においては、有価証券の償還による収入が5,000百万円増加、有形固定資産の取得による支出が830百万円増加、投資有価証券の売却による収入が781百万円減少したこと等により、2,458百万円の収入増となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、4,061百万円の支出(前年同四半期は1,913百万円の支出)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出1,884百万円及び配当金の支払額1,315百万円等によるものであります。
前第2四半期連結累計期間との比較においては、自己株式の取得による支出が1,884百万円増加、配当金の支払額が328百万円増加したこと等により、2,147百万円の支出増となりました。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における研究開発費は814百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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