【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(2022年10月1日~2022年12月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染抑制と経済活動の両立が進み景気は緩やかに持ち直し傾向にありますが、為替レートの不確実性の高まりや、海外経済の減速もあり、景気の動向は依然として不透明な状況が続いております。
保険業界においては、ITや医療技術の進歩を背景として、引き続き保険商品の多様化と高度化が進むと同時に、真にお客さまの役に立つ情報の提供並びにコンサルティングの実施等、お客さま本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)の実現が求められております。
このような状況下、当社グループは「人とテクノロジーを深化させ進化する会社」を標榜し、あらゆる保険ニーズに対応できる「保険業界のプラットフォーム」と、OMO(Online Merges with Offline.=オンラインとオフラインの融合)時代に相応しいエコシステム(ビジネス生態系)を構築すべく、日々新たな挑戦を行っております。
具体的には、自社開発のビデオ通話システム「Dynamic OMO」により、対面と非対面の垣根をなくし、オフラインと同等のオンライン保険相談を実現してまいります。2022年7月には、大阪大学の石黒浩教授が代表を務めるスタートアップ企業「AVITA」と提携し、同社が開発したアバターを活用して、お客さまのご相談にアバターコンサルタントがお答えするサービスを開始いたしました。「Dynamic OMO」とアバターを組み合わせ、メタバース時代の到来を見据えた新しい保険募集のあり方を実現した結果、直近ではアバターによる問い合わせからの保険相談アポイント獲得率は電話に比べて2倍超になり、オンライン保険相談におけるコンサルタント指名予約においてはアバターが最も支持されております。アバターをはじめ多様なコミュニケーションツールの活用によるオペレーターの生産性向上を行うことに加え、前期よりコールセンター部門に先行投資として大幅増員した結果、アポイント獲得数は前年同月比で20%以上増加いたしました。
お客さまに来店いただきますコンサルティングプラザでは、2022年に名古屋、梅田阪急、仙台、東京、福岡の各拠点をリニューアルし、より多くのお客さまに、より快適に保険相談いただける体制を構築いたしました。これらのコンサルティングプラザを有効活用し、さらなる保険代理店事業の拡大を目指します。
また、前期より、自動車保険をはじめとする損害保険分野についても取り組みを強化しており、自動車保険の新規申込件数が急増するなど、確実に成果が出ています。
一方で、コールセンター部門への先行投資に対する収益回収が第2四半期以降となること、円安により外貨建て保険の解約が増加(売上戻入)したこと、新型コロナウイルス感染症の影響による再保険事業の収益悪化等の影響を受けて、第1四半期では営業損失を計上しております。アポイント獲得数はやや遅行していたものの想定通りの伸びを示していること、円安の影響による保険解約が一巡したと思われること、新型コロナウイルス感染症の再保険事業への影響が収まる見込みであることから、第2四半期中には第1四半期での損失を回復出来る見込みであり、連結業績予想について変更はございません。引き続き、生命保険に限らず、多様な収益チャネルを確立することで、安定的な経営基盤の構築を目指してまいります。
保険業界の共通プラットフォームシステム「Advance Create Cloud Platform」(以下「ACP」という。)の開発についても、引き続き推進してまいります。ACPは保険会社と乗合保険代理店、お客さまの情報を相互に連携し、保険商品の検討からお申し込み、保全手続きまでを一括して管理・運用できるシステムです。ACPの普及により、ペーパーレス化と事務負担の大幅な軽減が期待できます。ACPの主要機能である顧客管理システム「御用聞き」、申込共通プラットフォームシステム「丁稚(DECHI)」、保険証券管理アプリ「folder」、ビデオ通話システム「Dynamic OMO」は、いずれも導入したお客さまからご好評をいただいており、さらなる機能拡充を進めております。特に「Dynamic OMO」については、保険会社や保険代理店をはじめ、クレジットカード会社など他業種のお客さまにも導入いただいております。これらのシステムの販売により、サブスクリプションモデルとしてのストック収入の確保及び協業事業の拡大を目指します。
さらに、当社はSNS、SMS等のテキストコミュニケーションツールの活用により、お客さまとのよりスムーズなコンタクトを実現しております。このようなノウハウを、他の保険会社や保険代理店の顧客に対する保全業務を請け負うBPO事業にも活用し、業容の拡大、及び保険業界の課題であるCRMの継続・改善にも取り組んでいきたいと考えております。これらの施策を拡充するとともに、ガバナンス体制及びコンプライアンス体制の一層の充実や、情報セキュリティ体制の強化を継続し、保険業法や個人情報保護法等の関係法令に適応した保険募集管理体制の強化に全社的に取り組み、管理体制面において積極的に経営資源を投下してまいります。
前期の福岡証券取引所本則市場に続き、2022年12月6日に札幌証券取引所本則市場へ上場をいたしました。各地での知名度を高め、コンサルティングプラザでの営業活動を強化するとともに、採用活動を積極的に実施し、地域経済に貢献してまいります。
以上により、当第1四半期連結累計期間の売上高は2,733百万円(前年同期比0.8%増)、営業損失は391百万円(前年同期は340百万円の利益)、経常損失は421百万円(前年同期は310百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失は355百万円(前年同期は173百万円の利益)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(保険代理店事業)
円安により外貨建て保険の解約が増加(売上戻入)したこと等により、やや軟調に推移したことに加え、コールセンター部門への先行投資により固定費が増加したことで、減収減益となりました。
この結果、保険代理店事業におきましては、当第1四半期連結累計期間の売上高は2,122百万円(前年同期比2.2%減)、営業損失は453百万円(前年同期は176百万円の利益)となりました。
(ASP事業)
乗合保険代理店等へのACPの新規販売が堅調に推移し、増収増益となりました。
この結果、ASP事業におきましては、当第1四半期連結累計期間の売上高は64百万円(前年同期比40.7%増)、営業利益は27百万円(前年同期比288.6%増)となりました。
(メディア事業)
保険選びサイト「保険市場(ほけんいちば)」への広告出稿が堅調に推移し、増収増益となりました。
この結果、メディア事業におきましては、当第1四半期連結累計期間の売上高は505百万円(前年同期比79.9%増)、営業利益は117百万円(前年同期比93.3%増)となりました。
(メディアレップ事業)
保険選びサイト「保険市場(ほけんいちば)」の運営を通じて蓄積したWEBマーケティングのノウハウをベースに、保険専業の広告代理店としてさまざまなサービスを提供する一方で、新たな顧客、手法への取り組みに努めたことによりコストが増加し、増収減益となりました。
この結果、メディアレップ事業におきましては、当第1四半期連結累計期間の売上高は346百万円(前年同期比10.3%増)、営業利益は46百万円(前年同期比35.2%減)となりました。
(再保険事業)
売上高が引き続き堅調に推移した一方、新型コロナウイルス感染症の影響で再保険金の支払いが増加したことから、増収減益となりました。
この結果、再保険事業におきましては、当第1四半期連結累計期間の売上高は269百万円(前年同期比8.0%増)、営業損失は129百万円(前年同期は23百万円の利益)となりました。
①財政状態
(資産合計)
当第1四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ416百万円減少し12,074百万円(前連結会計年度末は12,491百万円)となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ572百万円減少しましたが、これは主に、未収入金が156百万円増加した一方で、現金及び預金が882百万円減少したこと等によるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ157百万円増加しましたが、これは主に、繰延税金資産の増加107百万円等によるものです。
(負債合計)
当第1四半期連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ307百万円増加し5,653百万円(前連結会計年度末は5,345百万円)となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ549百万円増加しましたが、これは主に、未払金527百万円、借入金500百万円がそれぞれ増加した一方で、未払法人税等の減少293百万円があったこと等によるものです。
(純資産合計)
純資産は前連結会計年度末に比べ724百万円減少しましたが、これは主に、親会社株主に帰属する四半期純損失355百万円の計上及び剰余金の配当による減少394百万円があったこと等によるものです。
②経営成績
(売上高)
当第1四半期連結累計期間の売上高は2,733百万円(前年同期比0.8%増)となりました。これは主に、メディア事業・メディアレップ事業において、保険専業の広告代理店としてさまざまなサービスの提供に努めた結果、前年同期比で増収となったことによるものであります。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
当第1四半期連結累計期間の売上原価は、842百万円(前年同期比38.3%増)となりました。主な増加要因としましては、積極的なWEBプロモーションの実施によるものであります。
当第1四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費は、2,282百万円(前年同期比29.5%増)となりました。主な増加要因としましては、コールセンター部門の増員に伴う人件費の増加によるものであります。
(営業損益)
当第1四半期連結累計期間の営業損失は、391百万円(前年同期は340百万円の利益)となりました。主な要因としましては、売上原価及び人件費の増加によるものであります。
(経常損益)
当第1四半期連結累計期間の経常損失は、421百万円(前年同期は310百万円の利益)となりました。主な要因としましては、売上原価及び人件費の増加によるものであります。
(親会社株主に帰属する四半期純損益)
当第1四半期連結累計期間の親会社株主に帰属する四半期純損失は、355百万円(前年同期は173百万円の利益)となりました。主な要因としましては、売上原価及び人件費の増加によるものであります。
(2)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に、重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因
当第1四半期連結累計期間において、経営成績に重要な影響を与える要因に変更はありません。
(6)資本の財源及び資金の流動性
当第1四半期連結累計期間において、資本の財源及び資金の流動性の重要な変更はありません。
(7)保険代理店事業に係る売上計上について
保険代理店事業の主たる収入は保険代理店手数料収入であります。当社は、保険契約の媒介及び代理行為に伴い、各保険会社との契約及び手数料規程に基づき保険代理店手数料を受領しております。
保険代理店手数料の受領形態は、保険商品の種類(生命保険・損害保険、契約期間(1年・複数年)、保険料支払方法(年払い・月払い)、その他)、保険会社毎の契約及び規程によりさまざまな形態があり、保険契約成立時に受領するもの(初回手数料)及び保険契約継続に応じて受領するもの(2回目以降手数料)等、これらについて一括又は分割ならびにその受領割合等が異なるものが存在しております。
当社は、初回手数料については保険契約成立時に受領する手数料額を売上計上しているほか、2回目以降手数料の一部については、複数年にわたる期間を対象とする保険契約のうち保険会社より計算結果確認書面の受領が可能である等の条件の下、顧客との契約における履行義務が充足した額を収益として認識しております(一方で、将来発生する解約相当額を収益額の算定において控除しております)。
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