【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の分析当第3四半期連結累計期間(2022年5月16日~2023年2月15日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、行動制限の緩和等により社会経済活動に回復の兆しが見受けられたものの、エネルギー価格や原材料価格の上昇が個人消費に与える影響など、依然として先行き不透明な状況が続いております。 当社グループが主に事業を行うドラッグストア業界においては、業界の垣根を越えた競争の激化や既存企業間の出店競争、M&Aによる寡占化など、当社グループを取り巻く経営環境は厳しい状況が続いております。 このような状況のもと、当社グループは2026年5月期を最終年度とする中期経営計画において「地域の生活総合グループへの進化」をテーマに、「店舗の生活総合化戦略」「地域プラットフォーム戦略」「コラボレーション戦略」の3つの成長戦略と、組織戦略に取り組んでおり、中核事業であるリテール事業の収益基盤を強化しつつ、事業領域を「モノを売る」だけの小売から「モノ×サービス」を提供する生活サービスの領域に拡大することにより、競合他社との違いをつくりながらグループ全体の成長を目指しております。 店舗の生活総合化戦略としては、商品カテゴリーの拡大に向けたラインロビングの一環として、生鮮食品の取り扱い店舗の拡大を目指し、今期は11店舗に導入いたしました。このほか、調剤併設店舗の拡大や管理栄養士による店頭での栄養相談会の継続的な開催など、生活サービスの提供にも総合的に取り組むことにより、地域住民から支持される店舗づくりに取り組んでおります。 地域プラットフォーム戦略としては、2023年1月末現在、北海道共通ポイントカード「EZOCA」会員数が210万人を突破し、提携店も214社、894店舗にまで拡大するなど、EZOCA経済圏は成長を続けております。また、江差町との包括連携協定に基づく取り組みの一環として運用を開始した「江差EZOCA」には、買い物金額の一部を町に還元する仕組みが導入されており、地域経済の活性化に寄与することを目指しております。同町においては、移動の利便性向上を目指したMaaSの実証実験にも取り組んでおり、江差EZOCAから取得したデータなどを活用・検証することで、「収益循環モデル」の社会実装を目指しております。 コラボレーション戦略としては、新たに学校法人札幌慈恵学園札幌新陽高校、北海道文教大学、上川町、小清水町、当別町、株式会社十勝毎日新聞社及び株式会社ニセコまちと各種協定を締結し、地域の持続的な発展や社会的課題の解決などに資することを目指しております。2023年2月現在、自治体や企業等と40件以上の各種協定を締結しております。さらに、これらの戦略の効果的かつ継続的な推進には、当社グループのみならず国内外の様々な企業との連携や新たな知見・技術の獲得を通じた、より一層のスピード感が必要であることから、当社既存事業とのシナジーや新規事業創出を目的に、2022年10月に国内外のアーリー・ミドルステージのスタートアップ企業への出資を行うコーポレート・ベンチャー・キャピタル(株式会社 S Ventures)を設立しております。 組織戦略としては、D&I委員会を設置し、多様な人材が活躍できる環境整備を進めるとともに、CHO(Chief Health Officer)の設置や、サツドラグループ健康経営宣言の制定など、健康経営の推進にも積極的に取り組んでおります。また、ガバナンス体制を強化し、コーポレート・ガバナンスコード全原則の適用を実施しております。 以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は655億57百万円(前年同期比 4.9%増、30億37百万円増)、営業利益は3億40百万円(同 16.9%減、69百万円減)、経常利益は3億61百万円(同 21.1%減、96百万円減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2億3百万円(同 24.0%減、64百万円減)となりました。
セグメント業績などの概要は、次のとおりであります。 なお、第1四半期連結会計期間より報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比較につきましては、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。詳細につきましては、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載しております。
セグメント業績などの概要は、次のとおりであります。<リテール事業>主に北海道内でのドミナント化を目指したドラッグストアフォーマット店舗と調剤薬局店舗のチェーン展開に加え、訪日外国人が多く訪れる観光地などでのインバウンドフォーマット店舗の運営を行っております。営業面では、エブリデー・セイム・ロープライス(ESLP)を中心とする低価格戦略を推進することで、お客さまから支持される店舗づくりや、作業平準化による業務効率の改善を目指すとともに、生鮮食品を含めたラインロビングの強化により、商品カテゴリーの拡大を図っております。また、公式アプリを活用したデジタルマーケティングの推進にも取り組んでおります。調剤薬局においては、門前薬局の運営に加え、ドラッグストアフォーマット店舗での併設調剤も行っております。このほか、フィットネス事業や管理栄養士による栄養相談会といった生活サービスの提供にも取り組んでおります。 当第3四半期連結累計期間は、売上高につきましては、物価上昇による生活防衛意識の高まりを受け、お客さまの来店頻度の減少に伴い客数は減少したものの、ワクチン・検査パッケージの実施や医療用抗原検査キット販売の増収効果に加えて、訪日外客数の回復にあわせて、休業していたインバウンドフォーマット店舗を順次営業再開したことにより、前年同期を上回りました。しかしながら、利益につきましては、一部商品評価損の計上により、前年同期を下回りました。 店舗の出退店の状況につきましては、下表の通りとなりました。
(出店状況)
店舗区分
フォーマット区分
2022年5月度末
増加
減少
2023年2月度末
ドラッグストア店舗
ドラッグストアフォーマット
175店舗
7店舗
5店舗
177店舗
インバウンドフォーマット
14店舗
-店舗
1店舗
13店舗
調剤薬局店舗
門前薬局
10店舗
-店舗
-店舗
10店舗
その他の店舗
北海道くらし百貨店
2店舗
1店舗
-店舗
3店舗
合計
201店舗
8店舗
6店舗
203店舗
以上の結果、リテール事業の売上高は647億37百万円(前年同期比4.6%増、28億29百万円増)、セグメント利益は3億15百万円(同 2.5%減、8百万円減)となりました。
<その他事業> 北海道共通ポイントカード「EZOCA」を活用した地域マーケティング事業や決済サービス事業、ユーザー目線での課題解決を目指したPOSアプリケーションなどの開発・販売、小中学生向けのプログラミングスクールの運営、小売と地域をテーマに課題解決を目指す国内外の法人向け情報提供サービス、当社既存事業とのシナジーや新規事業創出を目指すCVC事業などを行っております。当社グループの強みである北海道共通ポイントカード「EZOCA」の会員数は、2023年1月末現在、210万人を超えております。決済サービス事業においては、非接触型決済への需要が高まるなか、国内キャッシュレス決済は堅調に推移したものの、POSシステム開発事業において、前期の大型案件受注の反動減の結果、その他事業の売上高は11億17百万円(前年同期比 25.1%増、2億24百万円増)、セグメント利益は2百万円(同 94.8%減、43百万円減)となりました。
(2) 財政状態の分析 当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ14億28百万円増加し428億27百万円となりました。これは主に、前連結会計年度の末日が金融機関の休日であったことにより、売掛金が5億93百万円減少したものの、商品が6億30百万円、有形固定資産が12億15百万円増加したことなどによるものであります。 負債合計は、前連結会計年度末に比べ13億38百万円増加し338億48百万円となりました。これは主に、前連結会計年度の末日が金融機関の休日であったことにより、短期借入金が57億円増加、買掛金が37億円減少したことに加え、流動負債その他が3億円増加、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が7億65百万円減少したことなどによるものであります。 純資産合計は、前連結会計年度末に比べ90百万円増加し89億79百万円となりました。これは主に、利益剰余金が配当金の支払いにより1億28百万円減少したものの、親会社株主に帰属する四半期純利益により2億3百万円増加したことなどによるものであります。
(3) 経営方針・経営戦略等 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動 該当事項はありません。