【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度の経営成績
2023年4月期の業績は、売上高108億46百万円(前年同期比131.5%)、営業利益は6億14百万円(前期は営業損失7億51百万円)、経常利益は6億56百万円(前年同期比53.3%)となり、当期純利益は4億25百万円(前年同期比60.9%)となりました。
24期は年初来の新型コロナウイルス感染拡大、世界的インフレによる物価の上昇や労働力不足に起因する人件費の高騰などの影響を受けたものの、感染対策の徹底や国外からの入国規制緩和などで経済活動を正常化する動きの中で、当社は業務効率化と営業施策の推進に努めた結果、すべての月で売上高、客数、客単価ともに前年を上回ることができました。
中期経営計画のもとに新規事業としてスタートさせた食物販事業におきましては、催事運営チームを発足し、催事出店の決定から運営オペレーション、人材確保、検証までの仕組みを確立した上で、67ヶ所574日間の催事出店を展開いたしました。開催日数は前年と比べ21ヶ所176日増(前年比144.2%)となりました。
また、椿屋オンラインショップと実店舗の両方でご利用金額に応じてポイントを貯めて利用ができる「椿屋珈琲グループアプリ」の開発に着手し、2023年4月に稼働をスタートさせました。このアプリでは、各業態のフェアメニューのご紹介や椿屋オンラインショップでのお得な情報や近隣店の検索などに加え、アプリ会員限定の特別クーポンの配布なども行っており、利便性を高めるツールとしてご活用いただいております。
新規創店につきましては「ケーキ・焙煎珈琲 椿屋珈琲」を東急ストアアトレ大森店、五反田東急スクエア店と物販専門店を2店舗出店いたしました。五反田東急スクエア店におきましては、シュークリーム生地の焼成設備を導入して新たに販売した「焼きたてシュークリーム」が大変好評であり、物販事業拡充のための新たな柱として育成を進めてまいります。
営業施策面では店舗での生産性向上を図るため、自動釣銭機能つきのレジ導入と入店待ちのお客様に対応するための自動順番受付機の導入やインバウンド需要に対応するためのメニューの多言語対応が概ね完了しております。現在はキッチン業務の効率化に向けたキッチンディスプレイ導入やデジタルメニューによるセルフオーダーシステムなどの試験導入も行い、生産年齢人口の減少に伴う人手不足に対する生産性向上策を引き続き進めてまいります。
部門別の概況につきましては、以下のとおりです。
『椿屋珈琲グループ』(期末店舗数52店舗 2店舗増加)
椿屋珈琲グループの売上高は45億50百万円(前期比133.1%)となりました。
主に都心部でのビジネスマンとインバウンド需要取り込みにより、大幅に回復しております。「ゆとりとくつろぎの60分」をコンセプトとして、ブランド力をさらに高められるようサービスの向上に努めました。
昨年4月に増床リニューアルを実施した「椿屋珈琲新宿茶寮」、抹茶をテーマとし新たなモデルで改装オープンした「茶寮SIKI TSUBAKIYA コレットマーレ店」がオープンから1年が経過し収益モデルも確立出来ました。
『ダッキーダックグループ』(期末店舗数20店舗 増減なし)
ダッキーダックグループの売上高は21億61百万円(前期比117.5%)となりました。
CheeseEggGarden調布店および松戸店において、店内にケーキ製造設備を設置、改装を行いました。ケーキの製造設備を併設する店舗は計10店舗となり、作り立て・スタジオ限定という付加価値の提供を行うと同時に、物販専門店への出荷も可能とする体制構築を進めております。
定番のストロベリーショートケーキをはじめとするケーキ、ズコット、ゼリー等、旬のフルーツを使用したスイーツ開発に力を入れ、テイクアウト販売も伸ばしております。
『イタリアンダイニングドナグループ』(期末店舗数22店舗 増減なし)
イタリアンダイニングドナグループの売上高は18億31百万円(前期比131.7%)となりました。
自社製にこだわった生麺、パスタソース、ドレッシングを使用し、前菜にピッツァ、ディナータイムではお酒と共に一品料理をお楽しみいただけます。セントラルキッチンで調理された本格的なグラタンやシチューなど、内製化比率が高い事も特徴です。
『こてがえし・ぱすたかんグループ』(期末店舗数13店舗 増減なし)
こてがえし・ぱすたかんグループの売上高は12億6百万円(前期比150.7%)となりました。
2022年11月より「築地もんじゃ」を看板商品として打ち出し、店舗で仕込んだ自家製明太子もんじゃをメニューの中心に据え、店舗外装におきましてももんじゃ焼きを前面に打ち出した外観へ変更したことにより、新たな客層の掘り起しとリピーターの獲得によって業績が大幅に回復しております。人で行うべき調理・サービスが多いこともあり、DX化による生産性向上にも積極的に取り組んでおります。
『プロント』(期末店舗数5店舗 増減なし)
プロントの売上高は5億39百万円(前期比138.1%)となりました。
弊社がフランチャイジーとして運営するプロントでは、朝から昼はカフェとしてコーヒー・トースト・マフィンやランチパスタを、夜は一人からグループ客までお酒の需要回復にあわせて、「キッサカバ」として気軽にお酒を楽しめるシーンを提供しております。
『生産部門/EC事業/物販催事事業』
生産部門の売上高は2億73百万円(前期比127.3%)となりました。
外食需要の回復により、カミサリーで製造するパスタソース・ドレッシングの外部販売が生産部門全体を押し上げております。
EC事業の売上高は1億73百万円(前期比134.6%)となりました。
自社サイト「椿屋オンラインショップ」ではアプリポイントとの連携を2023年4月よりスタートしております。今後も新商品の御案内やお得な商品の御案内を行ってまいります。
物販催事事業の売上高は深川工場直販もあわせて1億10百万円(前期比177.3%)となりました。
『サステナビリティの取組み』SDGs ゴール3.12.14
現在、鳥インフルエンザの流行により多くの鶏の殺処分が行われ、卵の入荷に関して不安定な状況が続いております。鳥インフルエンザに関しては毎年同様のリスクを伴うこともありますが、飼育環境に配慮され飼育密度の低い平飼い鶏が産卵した卵の入荷を試験的に開始いたしました。今後安定的な仕入れを目標としております。
食品リサイクルの分野において取り組んでいる生麺端材の有効活用について、今期の総量は7.1トンとなりました。企業努力により昨年よりも15%削減が出来ましたが、処分が必要な部分につきましては、引き続き「横濱ビーフ」(株式会社小野ファーム様)の飼料として提供しており、あわせて廃棄物処理で発生するCO2削減とコスト削減にもつながっております。この取り組みは日本SDGs協会からの事業認定を受けております。
その他、売上の一部を小児がん治療のために寄付する社会貢献活動、環境に配慮した副資材の使用も全店で徹底しております。今後もSDGsの取組みを推進してまいります。
(2)生産・仕入・販売実績・店舗数等の状況
① 生産実績
当社は、フードサービス事業の単一セグメントであるため、生産実績は製品別、仕入実績は品目別、販売実績は部門別に記載しております。
当事業年度における生産実績を製品別に示すと、次のとおりであります。
製品名
当事業年度
(自 2022年5月1日
至 2023年4月30日)
生産金額(千円)
前年同期比(%)
自社製フレッシュケーキ
514,906
108.5
スパゲッティ生麺、ソース、ドレッシング
610,192
120.1
コーヒー豆
142,943
134.4
合計
1,268,042
116.4
(注)金額は、製造原価によっております。
② 仕入実績
当事業年度における仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目
当事業年度
(自 2022年5月1日
至 2023年4月30日)
仕入金額(千円)
前年同期比(%)
飲料・食材類
2,326,347
124.9
その他
191,022
122.6
合計
2,517,370
124.7
(注)金額は、仕入価格によっております。
③ 販売実績
当事業年度における販売実績を部門別に示すと、次のとおりであります。
当事業年度
(自 2022年5月1日
至 2023年4月30日)
売上金額(千円)
前年同期比(%)
椿屋珈琲
東京都
3,208,291
138.4
神奈川県
762,921
126.6
埼玉県
207,561
113.0
千葉県
371,506
118.1
小計
4,550,279
133.1
ダッキーダック
東京都
885,408
122.7
神奈川県
612,637
111.7
埼玉県
218,723
116.2
千葉県
444,776
116.3
小計
2,161,545
117.5
ドナ
東京都
1,129,619
134.2
神奈川県
313,036
122.9
埼玉県
306,312
133.6
千葉県
82,683
127.7
小計
1,831,652
131.7
ぱすたかん・こてがえし
東京都
799,893
163.1
神奈川県
233,337
133.1
埼玉県
89,661
138.9
千葉県
83,716
118.8
小計
1,206,608
150.7
その他
東京都
991,742
141.7
神奈川県
104,757
137.7
埼玉県
-
-
千葉県
-
-
小計
1,096,500
137.7
合計
東京都
7,014,955
138.3
神奈川県
2,026,689
122.3
埼玉県
822,259
121.1
千葉県
982,681
117.1
総合計
10,846,585
131.5
(注)ダッキーダックには、EggEggキッチン・Cheese Egg Garden・ダッキーダックカフェ・ダッキーダックキッチン
およびダッキーダックケーキショップを含んでおります。
④ 地域別店舗数及び客席数の状況
当事業年度
(2023年4月30日現在)
期末店舗数(店)
前期末比増減
客席数(席)
椿屋珈琲
東京都
35
2
2,332
神奈川県
9
-
752
埼玉県
3
-
212
千葉県
5
-
369
小計
52
2
3,665
ダッキーダック
東京都
9
-
564
神奈川県
5
-
452
埼玉県
2
-
177
千葉県
4
-
302
小計
20
-
1,495
ドナ
東京都
12
-
626
神奈川県
5
-
257
埼玉県
4
-
201
千葉県
1
-
66
小計
22
-
1,150
ぱすたかん・こてがえし
東京都
8
-
481
神奈川県
3
-
163
埼玉県
1
-
52
千葉県
1
-
54
小計
13
-
750
その他
東京都
3
-
327
神奈川県
2
-
114
小計
5
-
441
合計
東京都
67
2
4,330
神奈川県
24
-
1,738
埼玉県
10
-
642
千葉県
11
-
791
総合計
112
2
7,501
(注)1 ダッキーダックには、EggEggキッチン・Cheese Egg Garden・ダッキーダックカフェ・ダッキーダックキッ
チンおよびダッキーダックケーキショップを含んでおります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、16億21百万円で前事業年度末に比較して、2億78百万円減少しました。
当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果、得られた資金は6億45百万円で、前事業年度と比較して12億17百万円減少しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果、使用した資金は8億32百万円で、前事業年度と比較して6億41百万円減少しました。これは主に定期預金の払戻による収入が13億円増加したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果、使用した資金は91百万円で、前事業年度と比較して25百万円増加しました。これは主に配当金等の支払額が28百万円増加したことによるものです。
(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。
当社の財務諸表作成において、損益または資産の評価等に影響を与える見積り、判断は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で行なっておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績について
当社は「味覚とサービスを通して都会生活に安全で楽しい食の場を提供する」という経営理念のもと、「あったら楽しい食の場・手の届く贅沢」という脱日常と付加価値を提供することに注力しております。今期は「ゆとりとくつろぎの60分」を体験していただくための高付加価値の提供を掲げて、日々の営業施策を進めてまいりました。「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、24期は年初来の新型コロナウイルス感染拡大、その後の入国規制緩和やあらゆるコロナ制限の緩和など、経済を正常化させる動きもありました。世界的インフレによる物価の上昇や労働力不足に起因する人件費の高騰などのさまざまな影響を受けたものの、業務効率化と営業施策の推進に努めた結果、すべての月で売上高、客数、客単価ともに前年を上回ることができました
売上高は108億46百万円(前期比131.5%)、営業利益は6億14百万円(前期は営業損失7億51百万円)、経常利益は6億56百万円(前年同期比53.3%)となり、当期純利益は4億25百万円(前年同期比60.9%)となりました。期末店舗数は2店舗増加し、計112店です。
③ 財政状態について
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ75百万円減少し84億43百万円となりました。流動資産は前事業年度末に比べ40百万円増加し47億円となりました。これは現金及び預金が1億21百万円増加したことが主な要因です。固定資産は前事業年度末に比べ1億16百万円減少し37億43百万円となりました。これは有形固定資産の建物(純額)が1億5百万円減少したことが主な要因です。
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ4億16百万円減少し24億27百万円となりました。流動負債は前事業年度末に比べ1億12百万円増加し17億30百万円となりました。これは1年内返済予定の長期借入金が6億円増加したことが主な要因です。固定負債は前事業年度末に比べ5億28百万円減少し6億97百万円となりました。これは長期借入金が6億円減少したことが主な要因です。
当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べ3億40百万円増加し60億16百万円となりました。これは利益剰余金が3億37百万円増加したことが主な要因です。
(単位:千円)
勘定科目
前事業年度
2022年4月期
構成比
当事業年度
2023年4月期
構成比
増減額
現金及び預金
3,699,254
43.4%
3,821,193
45.3%
121,938
有形固定資産
1,570,659
18.4%
1,462,709
17.3%
△107,949
土地
530,000
530,000
-
投資その他の資産
2,269,730
26.6%
2,226,922
26.4%
△42,807
差入保証金
417,402
417,402
-
敷金
1,425,865
1,443,902
18,036
長期借入金
600,000
7.0%
600,000
7.1%
-
1年内
-
600,000
600,000
1年超
600,000
-
△600,000
資本金
50,000
0.6%
50,000
0.6%
-
資本剰余金
1,306,350
15.3%
1,306,350
15.5%
-
利益剰余金
4,411,327
51.8%
4,748,347
56.2%
337,019
④ 資金の財源及び資金の流動性についてと財政状態の改善に向けた取り組みについて
当事業年度末におけるキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
従来、当社の資金需要はそのほとんどが新規出店と既存店改装のための設備投資資金であります。
今後についても、通常ベースの新規出店と既存店改装は、営業活動によって得られる資金によって賄う方針に変更はございません。また、生産性向上のための製造設備の拡充や、計画外で大型出店を実施するとの判断に至った場合には、金融機関等からの借入または資本市場からの直接資金の調達によって、必要資金の確保を進めていきたいと考えております。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
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