【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものです。
(1) 業績の状況当社の第3四半期(4~6月)は、3月に判明した入試結果を受けての4月新年度入会の時期から始まります。新年度の募集も堅調で、生徒数も伸長しています。2023年6月末時点での生徒数は前年同期比2.6%増、当第3四半期累計期間における期中平均生徒数でも3.3%増の32,157人となっています。特に小学校6年生の募集が好調でした。この要因としては、中学生や高校生で満席のスクール・校舎が増えており、そうしたエリアで「中学生になってからでは入会できないかもしれない」と判断されたご家庭が、小学生のうちから入会に動いていることが挙げられます。
今春も入試結果が好調で、生徒募集への後押しとなりました。高校入試では、神奈川県の公立トップ高校に2,499名(前年比104名増)が合格し、今春も神奈川県全塾中トップの実績を残しました。県内公立最難関校である横浜翠嵐高校・湘南高校をはじめ、県内公立トップ校19校のうち17校において、また現制度を特徴づける特色検査(筆記型)を実施した19校のうち17校において、塾別の合格者数で当社が第1位となり、今春も他塾を圧倒する結果となりました。神奈川県の学力向上進学重点校5校(横浜翠嵐・湘南・柏陽・川和・厚木)においても、すべての高校で全塾中トップとなっており、合計で949名(前年比49名増、合格者計1,756名の54.0%)が合格し、競合他塾の3倍以上の合格者数となっています。さらに合格率の面でも、この5校全体でステップ生は受験者の82.9%が合格しており、ステップ生以外の合格率60.4%を大きく上回りました(県教育委員会発表の資料から算出)。また、ステップ生の通学圏内で最難関の共学校である国立東京学芸大附属高校についても、合格者数は192名(帰国生と内部進学を除く。正規合格者132名は同総数266名のうち49.6%)に達し、15年連続で全塾中トップの合格者を出しています。大学入試では、東京大8名・京都大4名・一橋大11名・東京工業大22名の現役合格者(45名中42名が神奈川県の公立高校生)を出すことができました。国公立大学の医学部医学科にも5名が現役合格し、国公立大学全体の合格者は過去最高だった前年(307名)を上回る324名(前年比17名増)となりました。また、私立大学においては早稲田大・慶應義塾大・上智大は計459名(前年468名から9名減)、理大MARCH(東京理科大・明治大・青山学院大・立教大・中央大・法政大)は過去最高の計1,992名(前年1,958名から34名増)となっています。当社の大学合格実績の特長として、上記の実績のほとんどが神奈川県の公立高校生によるものである点が挙げられます。公立高校は、首都圏においては進学実績で私立高校に押されがちとされていますが、受験に向けた態勢をしっかりとれば、第一志望への現役合格に向け公立高校生を大いに伸ばせるということを、今春も数字として示せたことは大きな意義があると考えています。
学童部門は、横浜市初の校舎となるSTEPキッズ白楽教室(横浜市神奈川区)が3月下旬にオープンしました。豊富で多彩なコンテンツに磨きをかけながら、各教室で運営ノウハウの蓄積・共有をさらに進め、今後の県内各地への展開に向けた基盤づくりを進めてまいります。また、STEPキッズ湘南教室(藤沢市)の分教室(STEPキッズ湘南教室北口館)が3月末から開校しました。学童部門で最初に開校した湘南教室では、小1生の申し込みが早々に定員に達したため、分教室にて小1生を受け入れています。
当事業年度中の新規開校については、小中学生部門で4スクール、学童部門で1スクールを3月に開校いたしました。小中学生部門は、川崎市と横浜市にそれぞれ2スクールずつの開校です。川崎市は溝の口スクール(東急田園都市線溝の口駅、JR南武線武蔵溝ノ口駅)とHi-STEP武蔵小杉スクール(東急東横線・JR線武蔵小杉駅)の2校です。前期開校の武蔵新城スクール・武蔵中原スクールとあわせ、高津区・中原区のJR南武線沿線へのスクール網が拡大します。横浜市の鶴見スクール(JR京浜東北線鶴見駅)は横浜市鶴見区で初、井土ヶ谷スクール(京浜急行線井土ヶ谷駅)は横浜市南区で2校目(Hi-STEPを除くと初)の開校となります。上記4校ともこれからドミナント展開を進めていくエリアであり、「学習塾ステップ」のスタンスが地域に伝わり、教務力で評価されるトップブランドとして認知されるよう努力してまいります。また、川崎市内のスクールが増え、集まった生徒の学力向上に全力をあげることで、合格実績もそれにそって伸長していくものと予想しています。中でも、川崎地区で人気のトップ校である多摩高校の合格実績において、数年以内に当社がナンバー1となれるよう、努力を重ねてまいります。学童部門では、前述の通り、STEPキッズの4教室目となるSTEPキッズ白楽教室(東急東横線白楽駅)を開校しました。これまでの3教室のノウハウを活かし、初年度から小1~小4の4学年を募集しています。既存校においては、満員により入会をお受けできていない校舎を中心に、クラス増設、増床、移転等の検討を引き続き進めていく予定です。3月には高校受験ステップ白楽スクールをSTEPキッズ白楽教室(上述)の隣に移転、拡張しました。満員が常態化している大学受験横浜校についても、4月に2期連続の増床、大学受験戸塚校では7月に教室増設を行いました。さらに、生徒がより快適に過ごせるための環境整備にも継続的に取り組んでいます。3月にHi-STEP湘南スクール(藤沢市)をこれまでの2倍の広さに増床した際は、教室を増設しただけでなく、自習室や生徒の休憩スペースを大幅に拡張しました。また5月にはHi-STEP二俣川スクール内の設備を増設しています。
当社では2023年5月17日に「今後の経営方針に関するお知らせ」を発表いたしました。この新経営方針の骨格は、以下の3本の柱で構成されています。1. 「学習塾は人材産業であり、魅力ある教師陣とそれを支えるスタッフの充実こそ前進の原動力である」という認識のもと、日本経済のインフレ傾向の中で、処遇の改善に取り組んでいくこと。具体的には、まず積極的な給与の引き上げを進めています。当期も2023年4月分給与より、定期昇給とは別にベースアップを含む給与水準の引き上げ(教師職:月額2万円、事務職:月額1万~1万5千円)を実施しました。これにより、教師職の初任給は27.5万円となりました。給与水準の引き上げは前年に続くもので、2024年までの3年計画の2年目にあたります。 また、3年を超えるコロナ禍の厳しい状況の中で授業や運営を支えてくれた教師、スタッフへの感謝の気持ちを込めて、7月には総額3億円の特別賞与を支給(第3四半期会計期間で計上済み)いたしました。2. 生徒にとって、魅力的な学習塾であり続けるため、学習環境の整備に積極的に投資をしていくこと。当期においては既に、授業用プロジェクターの最新機器への更新、パソコン・IT環境の整備、自習室の拡充、スクール什器や生徒用備え付け図書の拡充、経年校舎のリフォーム等に新たに2億円強の予算を投入する計画で、現在順次実行に移しています。3. 神奈川県ではこれから30年間のうちに大型地震が到来する可能性が高いというデータ(政府地震調査研究推進本部「全国地震動予測地図」2020年版によると、2020年から30年以内に震度6弱以上の地震が起こる確率は、最も高い「26%以上」に分類され、また相模トラフ周辺でマグニチュード7程度の地震が起きる確率は70%程度とされています)のもと、当社では危機管理資金として約100億円の内部蓄積を目標としてきましたが、当期にはそれがほぼ達成できる見込みですので、これを機に株主還元を強化し、配当性向を従来の「30%を目安」から「50%を目安」に引き上げます。これにより1株当たり配当予想は通期で70円(期末配当は当初予定していた24円から46円に増配)となります。この配当性向も今後しばらくは継続していく予定です。以上の3点が、上記の新経営方針の柱となっています。これらの施策により今期の営業利益率は21%程度となる見込みで、この傾向は今後もしばらくは継続する見込みです。
当第3四半期累計期間の売上高は10,706百万円(前年同四半期比7.0%増)、営業利益は2,321百万円(前年同四半期比9.4%減)、経常利益は2,333百万円(前年同四半期比10.8%減)、四半期純利益は1,627百万円(前年同四半期比9.6%減)となりました。なお、前事業年度より収益認識に関する会計基準等を適用した影響により、当第3四半期累計期間の売上高は312百万円増加し、営業利益、経常利益及び税引前四半期純利益においても、それぞれ同額の312百万円増加しています。
(2) 財政状態の分析
① 資産当第3四半期会計期間末における総資産は、前事業年度末比139百万円増の27,712百万円となりました。流動資産は、売掛金の増加等により前事業年度末比11百万円増の9,736百万円となりました。固定資産は、土地の減少等はありましたが、投資有価証券の増加等により前事業年度末比128百万円増の17,976百万円となりました。
② 負債当第3四半期会計期間末における負債は、前事業年度末比217百万円減の2,557百万円となりました。流動負債は、未払金の増加等はありましたが、未払法人税等やその他の減少等により前事業年度末比168百万円減の1,873百万円となりました。固定負債は、長期借入金の減少等により前事業年度末比49百万円減の683百万円となりました。
③ 純資産当第3四半期会計期間末における純資産は、配当金の支払がありましたが、四半期純利益の計上等により、前事業年度末比357百万円増の25,155百万円となりました。これにより、自己資本比率は前事業年度末に比べ、0.9ポイントアップの90.8%となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期累計期間において、当社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動該当事項はありません。
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