【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(業績等の概要)
(1)業績当連結会計年度におけるわが国経済は、ウィズコロナの下で、政府による各種政策の効果もあり、個人消費や雇用・所得環境に改善の動きがみられるなど、緩やかな回復基調で推移しました。一方で、世界的な金融引締め等を背景とした海外経済の下振れ、物価上昇による家計や企業への影響や金融資本市場の変動等に十分注意する必要があるなど、景気の先行きについては依然として不透明な状況が続いております。建設業界におきましては、住宅ローン金利が上昇傾向にあることに加え、建築資材価格の高騰により住宅価格が上昇基調にあることから、新設住宅着工戸数は85万1千戸(前期比1.8%減)となり前期を下回りました。また、新設貸家着工戸数は34万6千戸(前期比4.6%増)となりました。このような状況のなか、当社グループの連結業績は、売上高につきましては3,168億4千9百万円(前期比1.7%増)となり前期を上回りました。利益面につきましては、営業利益97億3千8百万円(前期比35.2%減)、経常利益100億9千1百万円(前期比34.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益52億3千9百万円(前期比49.0%減)となりました。セグメントの業績は以下のとおりであります。
① 建設事業建設事業におきましては、前連結会計年度の受注高が増加し、期初の受注残高は前期を上回っていたものの、工期延長の傾向がみられたことなどから、当連結会計年度の完成工事高は前期と比較して減少しております。利益面におきましては、建設資材や住宅設備機器の高騰により完成工事総利益率は低下しました。ナスラック㈱につきましては、水周り製品を中心とした外販売上高が前期と比較して減少しております。この結果、建設事業における売上高は1,127億7千3百万円(前期比0.6%減)、営業利益は17億4千4百万円(前期比79.4%減)となりました。また、当連結会計年度の当社単体における総受注高につきましては、1,474億2千7百万円(前期比8.0%増)となりました。② 不動産賃貸事業不動産賃貸事業におきましては、管理物件数の増加に伴うサブリース経営代行システム(一括借り上げ制度)による入居者様からの家賃収入及び管理料収入等の増加により、売上高は前期を上回ることができました。当社では、お部屋探し情報サイト「ホームメイト」の改修や高級賃貸物件検索サイト「ホームメイトONE(東京都版)」のリリース、駅前などの集客が見込める場所への仲介専門店の出店・移設を行うなど、入居者募集活動の充実を図ってまいりました。また、これらの施策のほか管理事業拡大のために物件仕入及び管理受託の促進に努める一方で、「ホームメイトFC店」や「ホームメイト倶楽部(ネット会員)」を積極的に開拓し、全国不動産会社情報ネットワークを構築することで、仲介競争力の強化を図ることができました。それらの効果により、賃貸建物の当連結会計年度末の入居率は98.8%となり、高い入居率を維持しております。この結果、不動産賃貸事業における売上高は2,017億6千4百万円(前期比3.0%増)、営業利益は144億9千5百万円(前期比4.4%増)となりました。③ その他総合広告代理店業、旅行代理店業及びゴルフ場・ホテル施設の運営に関する事業で構成されるその他の事業における売上高は23億1千1百万円(前期比0.4%増)、営業損失は9百万円(前期は5千3百万円の営業利益)となりました。
(2)財政状態の概況当連結会計年度末の資産の部につきましては、1,984億4千9百万円(前期比2.2%増)となり、42億9千6百万円の増加となりました。資産の部が増加した主な要因は、長期預金が100億円増加したことであります。負債の部につきましては、831億5千8百万円(前期比3.0%増)となり、24億3千万円の増加となりました。負債の部が増加した主な要因は、預り金が8億1千5百万円増加したこと及び未成工事受入金が6億5千7百万円増加したことであります。純資産の部につきましては、1,152億9千万円(前期比1.6%増)となり、18億6千6百万円の増加となりました。純資産の部が増加した主な要因は、利益剰余金が1,105億1千9百万円(前期比1.7%増)となり18億7千8百万円増加したことであります。
(3)キャッシュ・フローの状況当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、「現金及び現金同等物の期首残高」1,031億7千3百万円から、営業活動により89億5千万円の収入、投資活動により2億4千1百万円の支出、財務活動により34億3百万円の支出があったことから、「現金及び現金同等物の期末残高」は、期首残高より53億6百万円増加して、1,084億7千9百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー営業活動によるキャッシュ・フローは、主に「税金等調整前当期純利益」85億4千7百万円、「減価償却費」22億2千1百万円によるものであり、89億5千万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フロー投資活動によるキャッシュ・フローは、主に「有形固定資産の取得による支出」8億1千9百万円、「無形固定資産の取得による支出」6億4千1百万円によるものであり、2億4千1百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロー財務活動によるキャッシュ・フローは、主に「配当金の支払額」の支出によるものであり、34億3百万円の支出となりました。
(受注及び売上の状況)
(1)受注実績
セグメントの名称
前連結会計年度(自 2021年5月1日至 2022年4月30日)(百万円)
当連結会計年度(自 2022年5月1日至 2023年4月30日)(百万円)
建設事業
133,018
144,764( 8.8%)
(注) 前連結会計年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額に変更のあるものについては、当連結会計年度受注工事高にその増減を含めております。したがって、当連結会計年度完成工事高には請負金額の変更に係る増減額が含まれております。また、各連結会計年度において既受注分の見直しを行い、前連結会計年度9,460百万円、当連結会計年度8,446百万円を当該受注分よりそれぞれ控除しております。
(2) 売上実績
セグメントの名称
前連結会計年度(自 2021年5月1日至 2022年4月30日)(百万円)
当連結会計年度(自 2022年5月1日至 2023年4月30日)(百万円)
建設事業
113,404
112,773( 35.6%)
不動産賃貸事業
195,879
201,764( 63.7%)
その他
2,302
2,311( 0.7%)
合計
311,586
316,849(100.0%)
(注)1 当社グループでは、建設事業以外は受注生産を行っておりません。
2 当社グループでは、生産実績を定義することが困難であるため、「生産の状況」は記載しておりません。
3 建設事業における売上実績には、一定の期間にわたり収益を認識する方法による売上高(完成した工事を含む)が、前連結会計年度には107,211百万円、当連結会計年度には106,762百万円が、それぞれ含まれております。
なお、参考のため提出会社単独の事業の状況は次のとおりとなります。① 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
期別
工事別
前期繰越工事高(百万円)
当期受注工事高(百万円)
計(百万円)
当期完成工事高(百万円)
次期繰越工事高(百万円)
第46期(自 2021年5月1日至 2022年4月30日)
建築
129,215
127,065
256,281
107,497(107,292)
148,989
第47期(自 2022年5月1日至 2023年4月30日)
建築
148,989
139,000
287,989
106,987(106,800)
181,189
(注)1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額に変更のあるものについては、当期受注工事高にその増減を含めております。したがって、当期完成工事高には請負金額の変更に係る増減額が含まれております。また、各期において既受注分の見直しを行い、第46期9,406百万円、第47期8,426百万円を当該受注分よりそれぞれ控除しております。
2 当期完成工事高の( )内の数値は、受取設計料を除いた場合の金額を示しております。
② 完成工事高及び次期繰越工事高建物種別の完成工事高及び次期繰越工事高は、次のとおりであります。
項目
完成工事高
次期繰越工事高
第46期(自 2021年5月1日至 2022年4月30日)
第47期(自 2022年5月1日至 2023年4月30日)
第46期(2022年4月30日)
第47期(2023年4月30日)
金額(百万円)
比率(%)
金額(百万円)
比率(%)
金額(百万円)
比率(%)
金額(百万円)
比率(%)
賃貸マンション
23,954
22.3
22,313
20.8
38,147
25.6
43,595
24.1
アパート
74,852
69.6
76,236
71.3
93,788
62.9
119,433
65.9
個人住宅
329
0.3
214
0.2
273
0.2
362
0.2
店舗マンション
6,883
6.4
7,110
6.6
15,029
10.1
16,033
8.8
貸店舗
1,171
1.1
829
0.8
1,208
0.8
1,361
0.8
その他
306
0.3
283
0.3
541
0.4
403
0.2
計
107,497
100.0
106,987
100.0
148,989
100.0
181,189
100.0
(注)1 工事は、官公庁に対するものはなく全て民間に対するものであります。入札工事はなく全て特命工事であります。
2 第46期、第47期の完成工事総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
3 完成工事高には、一定の期間にわたり収益を認識する方法による売上高(完成した工事を含む)が、第46期には107,211百万円、第47期には106,762百万円が、それぞれ含まれております。
③ 兼業事業売上高
項目
第46期(自 2021年5月1日至 2022年4月30日)
第47期(自 2022年5月1日至 2023年4月30日)
金額(百万円)
比率(%)
金額(百万円)
比率(%)
賃貸物件の仲介料収入
3,783
14.0
3,805
13.7
賃貸物件の管理料収入
464
1.7
463
1.7
退去補修工事売上
4,924
18.2
5,208
18.7
リフォーム工事売上
5,805
21.5
6,184
22.2
業務受託料収入
6,217
23.0
6,354
22.8
その他
5,848
21.6
5,807
20.9
計
27,043
100.0
27,823
100.0
(注) 賃貸物件の管理料収入のうち各保証システムに係る管理手数料収入は、次のとおりであります。
第46期
128百万円
第47期
125百万円
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
① 完成工事高及び完成工事原価の計上財又はサービスを顧客に移転する履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識する方法により完成工事高を計上しております。履行義務の充足に係る進捗度の測定にあたり、工事収益総額、工事原価総額、決算日における工事進捗度のそれぞれについて、個別の工事契約ごとに信頼性をもった見積りを行うことが前提となっております。このため、見積りにあたって仮定した個別の工事契約ごとの諸条件と異なる事象が発生した場合、当社グループの業績を変動させる可能性があります。② 固定資産の減損収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった資産又は資産グループについては、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで切り下げ、当該切り下げ額を減損損失として計上しております。事業計画、市場環境、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件をもとに減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定を実施しておりますので、これらの前提条件に変化が生じた場合、減損処理が必要となり、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
(2)経営成績の分析① 売上高建設事業におきましては、建築資材の高騰等により工期延長の傾向がみられたことからなどから完成工事高は1,127億7千3百万円となり、前期比0.6%の減少となりました。また、不動産賃貸事業におけるサブリース経営代行システム(一括借り上げ制度)は、管理物件数の増加に伴い入居者様からの家賃収入等が増加しました。新型コロナウイルス感染症の影響により減少していたゴルフ場来場者数は回復基調になったことで、その他の事業における売上高も増加し、兼業事業売上高は2,040億7千6百万円となり、前期比3.0%の増加となりました。② 売上総利益建設事業では棟連結会計年度の上半期にはウッドショックや下半期にはウクライナ情勢等の影響により建設資材や住宅設備機器の高騰により完成工事総利益率が低下しました。また、サプライチェーンの混乱により工期が延長傾向にあること等から、完成工事高が減少したこともあり完成工事総利益は284億9千3百万円(前期比17.5%減)となりました。一方、不動産賃貸事業ではサブリース経営代行システムによる管理物件の入居率が高位で推移したことから、兼業事業総利益は161億7千9百万円(前期比5.2%増)となりました。③ 販売費及び一般管理費販売費及び一般管理費は、新型コロナウイルス感染症の影響により縮小していた広告宣伝活動や募集採用活動を再開したことで経費削減に努めたものの349億3千4百万円(前期比0.2%増)となりました。④ 営業利益上記のとおり、売上総利益が減少したことで販売費及び一般管理費の抑制に努めたものの、営業利益は97億3千8百万円(前期比35.2%減)となりました。⑤ 経常利益営業利益に営業外損益3億5千2百万円が加わったものの、経常利益は100億9千1百万円(前期比34.3%減)となりました。⑥ 親会社株主に帰属する当期純利益当連結会計年度には当社が保有する賃貸建物3棟が地価の下落に伴い減損損失15億5千4百万円を計上したことにより、税金等調整前当期純利益は85億4千7百万円(前期比44.3%減)となりました。これにより法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額の合計額は33億8百万円となった結果、親会社株主に帰属する当期純利益は52億3千9百万円(前期比49.0%減)となりました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について2「事業等のリスク」をご参照下さい。
(4)戦略的現状と見通し1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。
(5)資本財源及び資金の流動性について当社グループにおきましては、営業活動によるキャッシュ・フローにより得た資金を当社グループの運転資金、設備投資及び配当財源に充当しております。
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