【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症対策と経済活動の両立が進むなど、持ち直しの兆しが見られるものの、ウクライナ情勢の混迷長期化に伴うエネルギー価格や原材料価格の高騰もあり、依然として厳しい状況で推移いたしました。
当社グループの事業領域に影響を及ぼす郵便及びメール便の取扱数量は前期比微減で推移しており、需要回復の兆しは確認されておりません。ダイレクトメール市場においては、「折込・DM郵便料(経済産業省公表)」が僅かながら増加するものの、郵便通数を増加させるまでには至っておらず、当社グループを取り巻く環境は先行き不透明な状況で推移いたしました。
このような情勢のもと、当社グループは、「潤創(じゅんそう)~社会と人生に潤いを創造する~」を、新たな経営理念である「IMURA PHILOSOPHY STRUCTURE」の起点に掲げ、「変革とイノベーション(革新)により新たな成長軌道を実現し、企業価値の更なる向上を図ることにより全てのステークホルダーに最高の付加価値を提供する。」を基本方針とする3か年の中期経営計画「IMURA VISION 2030 StageⅠ」を2021年度よりスタートさせ、新生イムラの基盤づくりを、全社を挙げて進めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、コロナ禍による需要回復の遅れはあるものの、ワクチン接種券やマイナンバーカード発送に関連した官需もあり、217億36百万円(前期比7.4%増)となりました。損益面につきましては、子会社取得に伴うのれん償却費等を計上するものの、増収効果や付加価値の高い製品・サービスの提案等、収益性を重視した各種販売施策が奏功し、営業利益は14億21百万円(前期比29.5%増)、経常利益は15億60百万円(前期比23.1%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、社宅跡地の売却による特別利益を計上する一方で、基幹システムの開発計画見直しによる減損損失の計上もあり、10億16百万円(前期比2.2%増)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用により、当連結会計年度の売上高及び売上原価は、それぞれ37百万円増加しております。また、利益剰余金の当期首残高への影響はありません。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
(パッケージソリューション事業)
コロナ禍による需要回復の遅れはあるものの、官需によるスポット案件もあり、売上高は159億62百万円(前期比5.7%増)となりました。損益面では、原材料価格の上昇や前述ののれん償却費等の計上による販売費及び一般管理費の増加があったものの、増収効果により、営業利益は8億80百万円(前期比15.6%増)となりました。
(メーリングサービス事業)
コロナ禍におけるお客さまの企画見直し等により、既存案件の売上は減少するものの、ワクチン接種券発送等の官需の取込が奏功し、売上高は41億17百万円(前期比9.7%増)となりました。損益面では、加工売上高の増加により売上総利益率が上昇したほか、増収効果も加わって、営業利益は5億32百万円(前期比69.9%増)となりました。
(その他)
封入機の製造販売を手がける子会社の業績回復を主因に、売上高は16億56百万円(前期比20.4%増)となりました。損益面では、医療機関向け印刷物を手がける子会社において、生産機能の移管や本社移転等、グループ内での構造改革による一時的な費用が発生したことから、営業利益は4百万円(前期比85.0%減)となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ3億25百万円増加して196億71百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ6億96百万円減少して86億37百万円となりました。これは主に、現金及び預金が12億17百万円減少し、電子記録債権が3億74百万円増加したことによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ10億21百万円増加して110億33百万円となりました。これは主に、有形固定資産が11億41百万円増加し、無形固定資産が87百万円、投資その他の資産が32百万円減少したことによるものです。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ2億10百万円減少して43億35百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ2億53百万円減少して38億26百万円となりました。これは主に、電子記録債務が1億66百万円、及び賞与引当金が39百万円減少したことによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ42百万円増加して5億8百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ5億35百万円増加して153億35百万円となりました。これは主に、利益剰余金が7億15百万円増加したことによるものです。
なお、自己資本比率は同1.5ポイント上昇して77.7%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ12億24百万円減少して26億36百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の収入は8億7百万円となりました。これは主に、資金の増加要因として税金等調整前当期純利益14億90百万円、減価償却費6億13百万円、資金の減少要因として法人税等の支払額4億16百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の支出は13億38百万円となりました。これは主に、資金の増加要因として有形固定資産の売却による収入81百万円、資金の減少要因として有形固定資産の取得による支出13億16百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の支出は6億94百万円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出3億54百万円、配当金の支払額3億円によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(百万円)
前期比(%)
パッケージソリューション事業
16,609
10.3
メーリングサービス事業
4,140
10.3
その他
1,064
10.5
合計
21,814
10.3
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 「パッケージソリューション事業」については、株式会社ハシモトコーポレーション(2023年2月1日付で株式会社イムラプリンティングへ社名変更)を子会社化したことによる影響を含んでおります。
(b) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(百万円)
前期比(%)
受注残高(百万円)
前期比(%)
パッケージソリューション事業
15,493
5.7
542
△6.7
メーリングサービス事業
4,157
11.3
156
34.6
合計
19,650
6.9
698
0.2
(注)その他の事業については、子会社が主として見込生産であるため、「受注高」及び「受注残高」の記載を省略しております。
(c) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(百万円)
前期比(%)
パッケージソリューション事業
15,962
5.7
メーリングサービス事業
4,117
9.7
その他
1,656
20.4
合計
21,736
7.4
(注)セグメント間取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本文の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。これらの見積りは当社グループにおける過去の実績や将来計画を考慮して合理的と考えられる事項に基づき判断しておりますが、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。なお、会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、特に重要なものは以下のとおりであります。
(a) 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の判断においては、将来の課税所得を合理的に見積もっており、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対しては評価性引当額を計上しております。また、回収可能性の判断の前提とした諸条件に変化があり、繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断した場合、繰延税金資産の減額を行い、税金費用が計上される可能性があります。
(b) 固定資産の減損
当社グループは、報告セグメントを基本に資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損処理を実施することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては、慎重に検討を行っておりますが、事業計画や市場環境の変化により、投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損処理が必要となる可能性があります。
(c) 有価証券の減損
当社グループは、取引先との安定的かつ長期的な取引関係の維持・強化を目的として株式を保有しております。投資有価証券のうち市場価格のない様式等以外のものについては、これらの時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には減損処理を行い、30%以上50%未満下落した場合には、当該金額の重要性、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。また、市場価格のない有価証券については、1株当たり純資産額と取得価額を比較し、1株当たり純資産額が取得価額の50%を下回っている場合に減損処理の要否を検討しております。将来の時価の下落、投資先の業績不振や財政状態の悪化により評価損の計上が必要となる可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績の分析は次のとおりであります。
(a) 自己資本比率
当連結会計年度末の自己資本比率は、前期比1.5ポイント上昇し、77.7%となりました。
(b) 売上高営業利益率
当連結会計年度末の売上高営業利益率は前期比1.1ポイント上昇し、6.5%となりました。これは主に、増収効果に加え、付加価値の高い製品・サービスの提案等、収益性を重視した各種販売施策が奏功したことによるものです。
(c) 自己資本利益率(ROE)
当連結会計年度末の自己資本利益率は、前期比0.1ポイント低下し、6.8%となりました。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2事業等のリスク」をご参照ください。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの資金需要のうち主なものは、原材料費、外注費及び人件費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに設備投資等によるものであります。これらの資金につきましては、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。