【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度より、連結財務諸表を作成しております。このため、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
Ⅰ 経営成績等の状況の概要
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済状況は、新型コロナウイルスの収束に向けた動きが加速され景気が緩やかに持ち直しの動きを見せた一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、国内外におけるインフレや世界的な金融引締めの傾向が見られる等、先行きが不透明な状況が続きました。
このような環境の中で、当社は「驚きを心に」をコンセプトとして、人々の生活が便利に楽しくなるように、AIを活用したサービスをBtoCおよびBtoB領域で展開してまいりました。そして、第2四半期連結会計期間において、「より安定的な収益基盤の構築」「社内に蓄積されたAI技術・データの利活用」「様々な業界へのAI・SaaSの更なる展開」等を目的とし、バリオセキュア株式会社(以下、「バリオセキュア」という。)及び株式会社ストラテジット(以下、「ストラテジット」という。)の株式を取得し連結子会社化いたしました。
AI市場は、ディープラーニング等の機械学習関連アルゴリズムの高度化に加えて、機械学習に利用可能な計算機の能力向上やデータの増加により更なる成長が続いております。また、SaaS市場においても、導入の需要のみならず、「ニーズの多様化に伴うSaaS間連携」「統合管理の複雑化によるセキュリティ要件の高度化」等に関する需要拡大も見込まれると認識しております。特にAI市場においては、OpenAI社(以下、「OpenAI」という。)が「ChatGPT-3.5」「ChatGPT-4.0」をリリースし、各産業において同モデルを含むAIトランスフォーメーション(以下、「AIX」という。)に関する投資の動きが急速に高まるなど、新技術への対応は急激なスピードで重要性を増しております。なお当社グループでは、AIXとは、AIを社会に浸透させることにより、その力を通じて既存の業務プロセスやビジネスモデル等を含めて社会全体に抜本的な変革を起こすこと、ととらえております。
このように、国内外においてより急激に技術革新やAIXを含むIT関連投資が進む中で、当社グループとしては、グループ内に蓄積されたAI関連技術をフルに利活用することにより、各産業に革新的なソリューションを提供し世界を驚かせるAI革命を目指したいと考えております。具体的には、「AI/DX事業」「AI Security事業」の各セグメントにおいて、各企業・業界のAI/DX化推進やグループシナジーの強化に努めていきたいと考えているほか、LLM(Large Language Model:大規模言語モデル)を含むAI・SaaS・セキュリティ関連分野において積極的に研究開発を進め、よりスピード感をもって「AI SaaS」戦略としてグループ全体の事業拡大を目指してまいります。その取り組みの一環として、2023年4月に、企業の実業務に適した形で活用できるCustomized ChatGPTをSaaS型で提供する「HEROZ Knowledge System built with ChatGPT」をリリースしたほか、2023年5月にGenerative AIの応用を目的とした専門チーム「LLM Group」を発足し、「AI SaaS」戦略の中核を担うGenerative AI技術の追求に注力しております。
なお、セグメント別の経営成績の概況は以下のとおりです。
(ⅰ)AI/DX事業
当連結会計年度において、当社グループのAI/DX事業については、BtoC領域におけるイベント開催やBtoB領域における大型案件の受注等の効果により安定した収益を上げました。
BtoC領域については、主力である「将棋ウォーズ」の安定成長に加え、「棋神アナリティクス」について、2022年5月のリリースに続いて2022年12月にライトプランをリリースしており、プロ棋士・アマチュア強豪を中心にサービスの提供を拡大しております。そのほか、2023年5月に開催された「第33回世界コンピュータ将棋選手権」にて、当社AIエンジニアメンバーで構成されたチーム「dlshogi with HEROZ」が2年連続となる優勝を果たしました。また、BtoB領域についても、2022年5月にセールスマーケティング組織の立ち上げを行い、顧客獲得活動を強化した結果、当連結会計年度の後半にかけてAI/DX支援に関する大型案件が発生するなど、収益が拡大しております。
(ⅱ)AI Security事業
当社グループのAI Security事業については、サイバーセキュリティの脅威が高度化・巧妙化し企業におけるセキュリティ対策が必要不可欠となっていく中で、エンドポイントセキュリティ対策としてサイバー攻撃の兆候を検知するVarioマネージドEDRの売上が堅調に推移しました。増加するランサムウェア被害(身代金要求型ウイルス)から企業・各種機関の情報資産を守るデータバックアップサービス(VDaP)については、医療機関へサービスの訴求を行い、増大する脅威に対して安心、安全な環境の構築を支援して参りました。また、自社開発のネットワークセキュリティ機器VSR(Vario Secure Router)の後継機として、他社サービスとの連携を視野に入れた拡張性のあるモデル「VSR nシリーズ」をリリースしました。
当事業では、部材の調達に関連して、世界的な半導体供給不足の影響を受ける可能性があります。現時点において、当期における影響については軽微であるものと見込んでいるものの、来期以降の業績に与える影響については、合理的に算定することは困難であり、引き続き状況を注視してまいります。
このような環境のもと、当事業においては、マネージドセキュリティサービスによるストック型の収益と、その低解約率(0.70%)(注)により、マネージドセキュリティサービスに係る売上収益が安定的に推移した一方、インテグレーションサービスにおける中小企業向け統合セキュリティ機器(UTM)であるVCR(Vario Communicate Router)の販売が想定外の競合環境の激化により低迷し、新たなサービスを付加した新モデルを投入して対策を講じてまいりましたが、当連結会計年度末時点において、販売の回復に至っておりません。これらの状況を受けて、連結決算上、VCRの棚卸資産評価損64,963千円を売上原価として、仕入先との契約に関する最低購入保証に係る引当金の繰入額101,395千円を特別損失として、それぞれ計上いたしました。
(注)解約率(金額ベース)=年間解約金額÷(各年度の期初ベース月次売上収益×12)
そのほか、採用方法の見直し等に伴う採用教育費の減少等、適切なコストコントロールを進めましたが、一方で、上記に記載したVCRの棚卸資産評価損や、新株予約権に関する株式報酬費用を新たに計上したこと等により、売上原価・販売費及び一般管理費は増加しております。また、グループ会社における第三者割当増資の実施による株式交付費21,013千円の発生等により、営業外費用が増加しております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は2,980,673千円となり、EBITDA(営業利益+減価償却費+敷金償却+のれん償却額+株式報酬費用+棚卸資産評価損)609,689千円、営業利益257,894千円、経常利益216,186千円となりましたが、特別損失として段階取得に係る差損541,091千円及びグループ会社における契約損失引当金繰入額101,395千円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は574,334千円となりました。また、上述のAI Security事業における契約損失引当金繰入額101,395千円及び棚卸資産評価損64,963千円に関して、繰延税金資産を計上したこと等により、法人税等調整額が第3四半期連結累計期間の金額より48,095千円減少し△59,690千円となっております。
なお、当社グループの当連結会計年度におけるセグメント別の損益状況については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
当連結会計年度末の資産につきましては、8,673,048千円となりました。主な内訳は、現金及び預金が3,798,391千円、売掛金が634,171千円、のれんが2,311,872千円であります。なお、のれんはバリオセキュア及びストラテジットの株式を取得し連結子会社化したことに伴い発生したものであります。
負債につきましては、2,592,719千円となりました。主な内訳は、1年内返済予定の長期借入金が200,780千円、流動負債の契約負債が252,665千円、長期借入金が1,301,560千円であります。なお、1年内返済予定の長期借入金及び長期借入金は、主にバリオセキュアに係るものとなります。
純資産につきましては、6,080,329千円となりました。主な内訳は、資本剰余金が5,303,446千円、利益剰余金が516,421千円であります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、期首より138,121千円増加し、3,798,391千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、483,382千円であります。
この主な要因は、税金等調整前当期純損失426,300千円、減価償却費163,984千円、のれん償却費88,033千円、段階取得に係る差損541,091千円、契約損失引当金の増加額101,395千円、法人税等の支払額82,170千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、144,475千円であります。
この主な要因は、有形固定資産の取得による支出22,970千円、無形固定資産の取得による支出73,299千円、投資有価証券の取得による支出58,010千円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、200,785千円であります。
この主な要因は、短期借入金の返済による支出100,325千円、長期借入金の返済による支出100,000千円があったこと等によります。
(3)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
② 受注実績
提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年5月1日
至 2023年4月30日)
金額(千円)
前年同期比(%)
AI/DX事業
1,683,993
-
AI Security事業
1,296,679
-
合計
2,980,673
-
(注)1、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度より、連結財務諸表を作成しているため、前年同期比は記載しておりません。
3.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
当連結会計年度
(自 2022年5月1日
至 2023年4月30日)
金額(千円)
割合(%)
Apple Inc.
556,238
18.7
株式会社USEN ICT Solutions
373,153
12.5
Google Inc.
331,523
11.1
Ⅱ 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(1)重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
① のれん
のれんについては、2022年8月にストラテジットを、2022年9月にバリオセキュアを連結子会社化した際に発生したものであり、いずれも取得時点での対象会社の将来の事業計画等に基づいて超過収益力を検討し、計上しております。
のれんの減損判定については、グループ会社における継続した営業損失の発生、経営環境の著しい悪化、事業計画からの大幅な乖離等の有無をもとに減損の兆候の有無を検討しています。減損の兆候を識別した場合には、のれんの残存償却期間に対応する期間における割引前将来キャッシュ・フローを事業計画に基づいて算定し、帳簿価額と比較して減損損失の認識の要否を判定しています。減損損失の認識が必要と判定された場合、当該のれんについては、回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として認識しています。
当連結会計年度においては、のれんについて減損の兆候は識別されていません。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討していますが、グループ会社の事業計画や経営環境の変化等によって影響を受ける可能性があり、実際の業績が見積りと異なる場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において重要な影響を与える可能性があります。
② 繰延税金資産
繰延税金資産については、将来事業年度の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断した上で繰延税金資産を計上しています。今後の経営環境の変化等によっては、翌事業年度において、当該将来事業年度の課税所得の見積り及び繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。
③ グループ会社における契約損失引当金の評価
当社のグループ会社であるバリオセキュアにおきまして、仕入先との間で締結した契約の最低購入保証条項に基づき、最低購入保証の未達に備えるため、将来発生する損失見込みに基づき契約損失引当金を計上しております。
当該引当金は、バリオセキュアが仕入先との間で締結した契約の最低購入保証条項に基づき、最低購入保証の未達に備えるため、将来発生する損失見込額を計上しております。将来発生する損失見込額は、合理的な仕入計画に基づき、将来に発生が見込まれる金額を見積もっております。また、合理的な仕入計画の策定にあたっては、予測販売数量を主要な仮定として用いており、予測販売数量については、過去の実績等を基礎として見積りを行っております。
上記見積りの予測販売数量及び当該数量に基づく合理的な仕入計画には不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化等により結果として、契約損失引当金の追加計上または戻入が必要となる可能性があります。
④ 関係会社株式
市場価格のある株式等は、その時価が著しく下落した時は、回復する見込みがあると認められる場合を除き、当該時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額を当事業年度の損失として認識しております。
また非上場の関係会社に対する投資等、市場価格のない株式等は取得価額をもって貸借対照表価額としていますが、当該株式の発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した時には、回復可能性が十分な論拠によって裏付けられている場合を除いて、相当の減額を行い、評価差額を当事業年度の損失として認識しております。
株式の評価については慎重に検討を行っておりますが、今後の経営環境の変化等によって発行体の業績・事業状況が悪化した場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において重要な影響を与える可能性があります。
⑤ 固定資産の減損について
固定資産の減損については、減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たって慎重に検討しております。将来の市況や業績等が悪化した場合には、減損損失が発生する可能性があります。
そのほか、貸倒引当金、賞与引当金の計上基準については、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおり計上を行っております。いずれも過去の実績に基づき算定しており、会計上の見積りの重要性は低く、当社の経営成績等に与える影響は軽微であると判断しております。
(2)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
①財政状態の分析
財政状態に関する分析は、「Ⅰ 経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
②経営成績の分析
a 売上高
当連結会計年度の売上高は、2,980,673千円となりました。セグメント別の分析は以下のとおりです。
・AI/DX事業
AI/DX事業については、BtoC領域におけるイベント開催やBtoB領域における大型案件の受注等の効果により安定した収益を上げ、売上高は1,683,993千円となりました。
BtoC領域については、まず主力である「将棋ウォーズ」において、藤井聡太七冠の活躍に伴う将棋への注目度向上や機能追加などの効果により、引き続き安定成長を達成しました。また、将棋AIを用いた解析サービスである「棋神アナリティクス」について、2022年5月のリリースに続いて2022年12月にライトプランをリリースしており、プロ棋士・アマチュア強豪を中心にサービスの提供を拡大しております。そのほか、2023年5月に開催された「第33回世界コンピュータ将棋選手権」にて、当社AIエンジニアメンバーで構成されたチーム「dlshogi with HEROZ」が2年連続となる優勝を果たしました。
また、BtoB領域についても、2022年5月にセールスマーケティング組織の立ち上げを行い、顧客獲得活動を強化した結果、当連結会計年度の後半にかけてAI/DX支援に関する大型案件が発生するなど、収益が拡大しております。同領域に関しては、ChatGPTのリリースに端を発する大規模言語モデルに関する注目度向上に伴い、専門チームとも連携し大規模言語モデルに関する営業活動も強化しております。
・AI Security事業
AI Security事業については、主にマネージドセキュリティサービスでの堅調な成長達成により、売上高は1,296,679千円となりました。なお、売上高については連結内部の取引消去後の金額となります。
マネージドセキュリティサービスでは、VSRを利用した統合型インターネットセキュリティサービスにおいて、主に上位機種へのアップセルや大型案件に係る一時金等により売上高が増加し、またVDaPも、前期及び当期の新規契約に係る上位機種の月額課金の積み上がりにより成長を達成しました。Vario EDRについても、前期より主要代理店でのエンドポイントセキュリティサービスの協業を開始し、大型案件の獲得等によるラインセス数が増加したことにより、売上高が増加しております。
また、インテグレーションサービスについては、ネットワーク構築も含めたセキュリティ導入を行うネットワークインテグレーションサービス(以下、IS)においては、半導体の供給不足も緩和し顧客への納品件数が増加したことにより成長を達成しましたが、VCRにおいては、競合環境の激化により販売数が低迷したことで売上高は減少となりました。
b 売上原価、売上総利益、販売費及び一般管理費、営業利益
当社グループの売上原価、販売費及び一般管理費については、人材関連費用、機械学習用サーバ等設備の減価償却費・通信費、BtoCサービスに係る課金決済手数料、支払手数料及び技術研究・自社プロダクト開発のための研究開発費が主な内容となります。
当連結会計年度は、採用方法の見直し等に伴う採用教育費の減少等、適切なコストコントロールを進めましたが、一方で、VCRの棚卸資産評価損を計上したことや、新株予約権に関する株式報酬費用を新たに計上したこと等により、売上原価・販売費及び一般管理費は増加しております。
これらの結果、当連結会計年度における売上原価は1,634,282千円となり、当連結会計年度の売上総利益は1,346,390千円となりました。また、当連結会計年度における販売費及び一般管理費は1,088,496千円となり、当連結会計年度の営業利益は257,894千円となりました。
c 営業外収益、営業外費用、経常利益、特別損益
営業外収益及び費用については、当社が出資する投資事業組合に関する運用損益や、グループ会社における支払利息等が主な内容となります。そのほか、当連結会計年度はグループ会社における第三者割当増資の実施による株式交付費21,013千円の発生があり、営業外費用が増加しているほか、特別損失として段階取得に係る差損541,091千円及びグループ会社における契約損失引当金繰入額101,395千円を計上しております。
これらの結果、当連結会計年度の経常利益は216,186千円、税金等調整前当期純損失は426,300千円となりました。
上記a~cの結果を受け、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は574,334千円となりました。なお、法人税等調整額を含む法人税等合計は91,375千円であり、上述のAI Security事業における契約損失引当金繰入額101,395千円及び棚卸資産評価損64,963千円に関して、繰延税金資産を計上したこと等により、法人税等調整額は第3四半期連結累計期間の金額より48,095千円減少し△59,690千円となっております。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
キャッシュ・フローの分析・検討内容については、「Ⅰ 経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載の通りです。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
「3 事業等のリスク」に記載した通り、事業内容、事業運営・組織体制等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社グループは常に市場動向や業界動向を注視しつつ、優秀な人材の確保と適切な教育を実施するとともに、事業運営体制の強化と整備を進めることで、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に適切な対応を図ってまいります。
(5)経営戦略の現状と見通し
当連結会計年度における我が国の経済状況は、新型コロナウイルスの収束に向けた動きが加速され景気が緩やかに持ち直しの動きを見せた一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、国内外におけるインフレや世界的な金融引締めの傾向が見られる等、先行きが不透明な状況が続きました。
その一方で情報サービス業界においては、経済産業省が推進するデジタルトランスフォーメーション(DX)に関連するシステム投資がより一層重要性を増しており、特にAI市場においては、OpenAIにより発表された大規模言語モデル「ChatGPT-3.5」「ChatGPT-4.0」が大きな注目を集めるなど、各産業においてAIX投資の動きが急速に拡大しております。
このような環境の中で、当社は第2四半期連結会計期間にバリオセキュア及びストラテジットの株式を取得し、連結子会社化したことに伴い、新たな戦略として「AI SaaS」戦略を掲げております。急速に技術革新が進みAIXに関する投資が加速する中で、当社グループとしましては、AI・SaaS関連技術に関する最先端の知見を有するメンバーのもと、AI市場・SaaS市場拡大のトレンドにおける中心的な存在となれるよう努めてまいりたいと考えており、今後もよりスピード感をもって積極的に研究開発や事業拡大に向けた投資等を進めてまいります。
具体的には、下記の点に注力することで競争優位性を保ち、持続的な成長を目指します。
①AIを活用したBtoC領域で引き続き安定的な収益を伸ばす
②AI・SaaS・セキュリティ関連サービスをBtoB領域で伸ばす
③大規模言語モデルを含む、最新技術に関する積極的な研究開発投資
④M&A・パートナーシップ戦略
⑤知財戦略
⑥人材採用
(6)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金や自社サーバ購入等を目的とした資金需要は自己資金によることを基本としておりますが、必要に応じて多様な調達手段を検討してまいります。このような方針の元、当社が2019年12月24日に公募増資により調達した資金について、新規人材の採用関連費用、機械学習用サーバ等への設備投資、同サーバ費用等の通信費、オフィス増床の為の敷金及び費用、当社事業に応用可能な周辺技術を有する企業等への投融資、運転資金等にその一部を充当しております。その一環として、2023年8月にストラテジット株式を、2023年9月にバリオセキュア株式を取得しいずれも連結子会社化いたしました。
残額については、2022年6月10日に開示しております「資金使途の変更に関するお知らせ」にて記載の通り、引き続き当社グループの事業に応用可能な周辺技術を有する企業等への投融資資金に充当し、当社グループの中長期的な成長戦略の実現を目指してまいります。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,798,391千円、有利子負債の残高は1,502,340千円となっております。
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