【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a. 経営成績の概要当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され、経済活動の正常化が進むなど明るい兆しも出てまいりました。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化や原材料価格及びエネルギー価格の高騰、円安の進行、国内においては急激な物価上昇等もあり、先行き不透明な状況が続いております。当社グループ主力ユーザーの水産業界におきましては、海洋環境や気象状況の変動による漁獲高の減少や燃油価格の高騰、資材や物流コストの上昇等により、事業収益は圧迫されております。しかし、ばらつきはあるものの、一部の魚種では漁獲高や魚価の回復が見られ、外食産業向けの魚や水産物の需要も増加してきており、コストの上昇に対応できる経営環境に近づいてきている状況です。このような状況のもと、当社グループの売上高は、定置網部門の受注が低迷したなどの影響はありましたが、新型コロナウイルス感染症拡大による渡航制限が緩和されたことに伴い、海外の商談が進展し、海外旋網や養殖網資材等の売上高が増加したこと及び獣害防止ネットや陸上ネットの施工工事の受注が堅調であったこと等から、前期と比べ増加しました。営業利益は、受注量の増減に応じて、適正な在庫を確保し、お客様のニーズにあった製商品の短納期化を推進しましたが、海外の生産拠点を含め、原材料や物流コストが上昇したことに加え、新事業所関連の減価償却費が増加したこと等により前期と比べ減少しました。また、営業外損益では当社のチリ現地法人において米ドル高の影響により、売上債権の為替評価益が発生しました。一方、前期より継続している新事業所の建設に伴い、解体撤去費用及び固定資産の減損損失を特別損失として計上しました。この結果、当連結会計年度の売上高は、19,300百万円(前期比5.0%増)、営業利益は275百万円(前期比25.5%減)、経常利益は496百万円(前期比8.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益50百万円(前期比73.3%減)となりました。セグメント別の経営成績は次のとおりであります。[漁業関連事業]売上高は15,528百万円(前期比5.7%増)となりました。主な要因は、新型コロナウイルス感染症拡大による渡航制限が緩和され、旋網部門や養殖網部門の海外での商談が進展したことによるものです。利益面は、定置網部門の売上高が伸び悩んだことに加え、受注の増減幅が大きく生産量の平準化が図れなかったことや原材料費等のコスト上昇などにより、セグメント利益は143百万円(前期比38.3%減)となりました。[陸上関連事業]売上高は3,767百万円(前期比3.5%増)となりました。主な要因は、獣害防止ネットや防鳥ネット、防球ネット等の施工工事の受注が好調によるものです。利益面は、資源価格の上昇による資材の値上げなどがありましたが、販売価格への転嫁が比較的に順調に進み、セグメント利益は133百万円(前期比3.3%減)と微減にとどまりました。[その他]前期に引き続き、機械の部品加工等の受注は低調に推移し、売上高は4百万円(前期比90.3%減)となりました。利益面は材料費等の増加が影響し、セグメント損失は0百万円(前期は0百万円の損失)となりました。
b. 財政状態の概要
[資産]流動資産は、前連結会計年度末と比べ61百万円増加し15,103百万円となりました。これはその他の流動資産は減少しましたが、棚卸資産が増加したこと等によるものです。
固定資産は、前連結会計年度末と比べ588百万円増加し、13,119百万円となりました。これは、主に新事業所の工事進行に伴い、建設仮勘定が減少し、建物及び構築物等の有形固定資産が増加したこと等によるものです。
[負債]流動負債は、前連結会計年度末と比べ81百万円増加し、13,141百万円となりました。これは、短期借入金が増加したこと等によるものです。固定負債は、前連結会計年度末と比べ454百万円増加し、8,620百万円となりました。これは、主に新事業所建設に伴い、長期借入金が増加したこと等によるものです。
[純資産]純資産は、前連結会計年度末と比べ114百万円増加し、6,461百万円となりました。これは、配当金の支払いにより利益剰余金は減少しましたが、為替変動に伴い為替換算調整勘定のマイナスが減少したこと等によるものです。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度の現金及び現金同等物につきましては、営業活動により1,089百万円増加し、投資活動により1,673百万円減少し、財務活動により545百万円増加した結果、当連結会計年度末残高は809百万円となり、前連結会計年度と比べ0百万円の減少となりました。 (単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
前年度比増減額
営業活動によるキャッシュ・フロー
989
1,089
99
投資活動によるキャッシュ・フロー
△3,795
△1,673
2,122
財務活動によるキャッシュ・フロー
2,975
545
△2,430
現金及び現金同等物の期末残高
809
809
△0
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益は100百万円となり、減少要因としては、棚卸資産の増加498百万円、仕入債務の減少79百万円等ありましたが、増加要因として減価償却費977百万円、未払消費税等の増加584百万円などにより1,089百万円となりました。 この結果、営業キャッシュ・フローは前連結会計年度と比べ99百万円の増加となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出1,560百万円等により△1,673百万円となりました。 この結果、投資キャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ2,122百万円の支出の減少となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、長短借入金の借入・返済による純増額570百万円、配当金の支払額128百万円等により545百万円となりました。 この結果、財務キャッシュ・フローは前連結会計年度と比べ2,430百万円の減少となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(千円)
前期比(%)
漁業関連事業
7,093,073
104.2
陸上関連事業
1,798,218
109.8
報告セグメント計
8,891,292
105.3
その他
1,413
3.3
合計
8,892,705
104.8
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。2 金額は、販売価格によっております。
b. 受注実績当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前期比(%)
受注残高(千円)
前期比(%)
漁業関連事業
15,652,368
107.7
1,263,369
110.9
陸上関連事業
3,819,017
105.3
487,687
111.8
報告セグメント計
19,471,386
107.3
1,751,057
111.1
その他
2,615
6.7
1,451
58.4
合計
19,474,002
107.0
1,752,508
111.0
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。2 金額は、販売価格によっております。
c. 販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前期比(%)
漁業関連事業
15,528,667
105.7
陸上関連事業
3,767,676
103.5
報告セグメント計
19,296,344
105.3
その他
4,067
9.7
合計
19,300,411
105.0
(注) セグメント間取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容(経営成績)当連結会計年度の経営成績は、売上高については19,300百万円(前期比5.0%増)となりました。これは、漁業関連事業では、定置網部門の受注が低迷したなどの影響はありましたが、新型コロナウイルス感染症拡大による渡航制限が緩和されたことに伴い、海外の商談が進展し、海外旋網や養殖網資材等の売上高が増加したことによるものです。また、陸上関連事業では、獣害防止ネットや陸上ネットの施工工事の受注が堅調であったこと等から、前期と比べ売上高は増加しました。売上総利益は、原油価格の高騰や円安の影響による原材料費のコストの上昇等ありましたが、計画的な生産を行い、製造経費の圧縮等の経理削減に努めた結果、3,654百万円(前期比1.1%増)となりました。営業利益は、受注量の増減に応じて、適正な在庫を確保し、お客様のニーズにあった製商品の短納期化を推進しましたが、海外の生産拠点を含め、原材料や物流コストが上昇したことに加え、新事業所関連の減価償却費が増加したこと等により275百万円(前期比25.5%減)となりました。経常利益は、為替差益及び受取保険金等の計上があり、支払利息及び減価償却費の計上もありましたが、496百万円(前期比8.7%減)となりました。また、前期より継続している新事業所建設に伴い解体撤去費用と減損損失を計上したこと、及び法人税等の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益は50百万円(前期比73.3%減)となりました。当社グループは、独自性のある付加価値の高い製品の開発や販売を行い、他社との差別化を図り、売上高、収益の確保に努めてまいります。また、漁業関連事業部門においては、他社との競合に対応し、シェアを拡大するため、各分野の専門性を重視した体制を構築し、お客様のニーズに合った提案、製商品の提供のスピード化を図っております。(財政状態) 当連結会計年度末の財政状態は、総資産については、前連結会計年度末と比べ649百万円の増加となり28,223百万円となりました。これは、新事業所の工事進行に伴い、建物及び構築物等の有形固定資産が増加したこと等によるものです。在庫については前期並みの水準を維持できていると認識しており、当社グループは在庫管理を徹底することで、適正在庫を揃え、競争力強化を目指しており、引き続き在庫水準の管理に努めてまいります。 負債は、前連結会計年度末と比べ535百万円の増加となり21,761百万円となりました。これは主に新事業所建設のため、長期借入金が増加したこと等によるものです。(キャッシュ・フロー)連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、1,089百万円の収入(前連結会計年度は989百万円の収入)となりました。税金等調整前当期純利益は100百万円となり、減少要因として、棚卸資産の増加498百万円及び仕入債務の減少79百万円あり、増加要因として、減価償却費977百万円、未払消費税等の増加584百万円等によるものです。当社グループは継続的に安定した営業キャッシュ・フローを確保できるよう、売上債権の管理に努めてまいります。(資本の財源及び資金の流動性)当社グループの運転資金及び設備資金につきましては、自己資金及び銀行等の金融機関からの借入により充当しております。借入金による資金調達は、運転資金は短期借入金、設備投資等は長期借入金、割賦契約に基づく長期未払金及びリース契約により調達しております。なお、当連結会計年度末における借入金、長期未払金(割賦)及びリース債務を含む有利子負債の残高は15,454百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は809百万円となっております。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、会計基準の範囲内で行われている部分があります。これらの見積りにつきましては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果とは異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。なお、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は不確定要素が多く、将来の影響を客観的に見積ることは困難でありますが、期末時点で入手可能な情報をもとに会計上の見積りを行っております。