【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
なお、連結子会社である株式会社ギガプライズ(以下、「ギガプライズ」)及びその子会社は、決算日を3月31日から当社の連結決算日と同じ4月30日に変更しました。そのため、当連結会計年度における当該連結子会社は、2023年4月1日から2024年4月30日までの13ヶ月を連結対象期間とした変則的な決算となっており、当第1四半期連結累計期間においては、2023年4月1日から2023年7月31日の4ヶ月を連結決算に取り込んでいます。
決算期変更の詳細につきましては、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(連結の範囲又は持分法適用の範囲の変更)」に記載のとおりであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
「財政状態及び経営成績の状況」において使用する名称の正式名称及びその説明は、下記のとおりであります。
使用名称
正式名称
説 明
5G
5th Generation
第5世代移動通信システムの略称で、次世代通信規格の1つ
web3
web3(Web 3.0)
巨大プラットフォーマーを介さずに、ユーザー同士で直接データやコンテンツ等のやり取りができる分散型の次世代インターネットの概念
MVNO
Mobile Virtual Network Operator
仮想移動体通信事業者
クラウド
Cloud Computing
ソフトウェア等をネットワーク越しに利用者に提供する仕組みやそのデータが蓄積・運用されているデータセンターやサーバー群の総称
IoT
Internet of Things
モノに通信機能を持たせてモノ同士が相互通信することにより、ヒトが介在することなく自動認識や自動制御などが行える仕組み
MVNE
Mobile Virtual Network Enabler
MVNOの支援事業者
メタバース
Metaverse
インターネットを介して利用する仮想空間
AI
Artificial Intelligence
計算機(コンピュータ)を用いて、人間の知的行動を研究または行わせる技術
TONE Care
TONE Care
TONE Laboによる実証実験プロジェクトの一つ
健康不安に関する相談、子どものスマホ使いすぎ相談など、迅速にリモートで様々な健康相談を行えるオンラインサービス
DX
Digital Transformation
データとデジタル技術を活用して製品やサービス、ビジネスモデル等を変革すること
NFT
Non-Fungible Token
デジタルコンテンツが本物か否か、制作者は誰か、所有権は誰かといったことを明確にできる技術
経営成績の状況
当社グループは、2021年から2030年の10ヵ年計画を視野に入れた企業経営を推進しています。そして、それに沿って、現在、当連結会計年度を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画『SiLK VISION 2024』での売上高500億円、営業利益50億円の達成に向けた経営を推し進めています。
また、次期中期経営計画『SiLK VISION 2027』も見据え、持続可能な社会の実現に貢献しつつ、当社グループが世界的な成長領域と考える、モバイル革命領域、生活革命領域、生産革命領域にフォーカスをあてて経営資源を投下していくことで、「5G/web3時代のPlatform Maker」としてExponential Technology“指数関数的に成長する技術”による事業の拡大を目指していきます。
なお、各報告セグメントの事業内容は下記のとおりです。
<5Gインフラ支援事業>
MVNO事業への参入支援サービス、ISP向けの事業支援サービスに加え、様々な事業法人がクラウドやIoT等の導入を行うための支援サービスを推進しています。また、5G時代に対応するための次世代ネットワークやデータセンターを構築し、クラウド基盤を活かしたサービス提供の強化や5G、eSIM(組み込み型のSIM)を活用したサービスも展開するとともに、それらをはじめとした事業リソースを組み合わせたサービスも拡大していきます。
<5G生活様式支援事業>
個人をメインターゲットとしたスマートフォン等を利用したモバイル通信サービスや固定回線によるインターネット関連サービスの提供に加え、5G Homestyle(集合住宅向けインターネットサービス)の提供を推進しています。そして、5G Homestyleにおいては、集合住宅向けインターネットサービス以外の新規サービスの確立にも注力しています。
また、Maker’s Makerプラットフォームによる当社独自のスマートフォンである「TONE」端末を活用したこれからの5G/web3時代の生活スタイルの変化を見据えたサービスの開発・提供を行うとともに、既存事業だけに止まらず、5G Workstyleや5G Healthstyle、5G Lifestyle、5G Carlifestyleといった分野においても、「TONE」が当社グループの有する技術のShowroomとしての位置づけを担いつつ、新サービスの開発や拡大も行っていきます。
<企業・クリエイター5G DX支援事業>
5Gマーケティングを意識したサービスの拡充やインフルエンサーズマーケティングの拡大を図るとともに、web3を視野に入れたインターネットマーケティングやアドテクノロジー関連事業の推進に加え、YouTuberをはじめとしたクリエイター/インフルエンサーが自らの作品を拡散させることができるプラットフォームであるCreator Makerや新しいビジネスを始める企業が自らのプラットフォームを介してサービスが提供できる仕組みであるBizmodel Makerを展開しています。
当第1四半期連結累計期間においては、海外景気の減速や物価高の影響で成長ペースの一時的な鈍化が懸念されていますが、国内のIT市場環境については堅調な成長が見込まれています。しかし、5Gやweb3の浸透が期待されている一方で、まだその普及は途上の状況にあります。また、当社グループにおいては、全ての事業領域で破壊的な技術の出現や市場環境の変化の影響を受ける可能性が高いと捉えています。
そのような環境下の中、当連結会計年度を再び『Transformation Term』と位置づけ、急速な技術革新などの変化に対応するとともに、事業戦略や組織戦略、人事戦略の再点検を実施しつつ、グループの経営資源を有効活用した効果的な戦略投資を実行していくことで、いち早く当社グループの「5G/web3時代のPlatform Maker」としての地位の確立を図っていきます。
各報告セグメントの経営成績は、次のとおりです。
① 5Gインフラ支援事業
固定回線網においては、働き方や生活スタイルの変化に伴い、自宅でのオンライン動画の視聴やゲームをはじめとしたリッチコンテンツ及びSNSの利用等の増加、テレワークや在宅学習の普及といったオンライン形式の会議や授業の一般化により、インターネットを介した多くのサービスの利用増加が継続しており、ネットワーク原価につきましては高止まり基調が続いています。
モバイル回線網においては、大手モバイル通信キャリアによる格安プランの提供やサブブランドでの展開が独自型MVNOサービス事業者の成長に影響を与える傾向が続いていますが、IoT向けの利用が増加する見込みであるなど、モバイル市場全体としての成長は継続しており、今後も拡大していく見込みです。
このような状況のもと、当社グループにおいては、MVNEとしてのMVNO向け支援事業の規模拡大により、堅調に推移しました。
その結果、当セグメントにおける売上高については、2,427,533千円(前年同四半期比4.3%増)、セグメント利益については438,451千円(前年同四半期比11.5%増)となりました。
② 5G生活様式支援事業
「5Gインフラ支援事業」で説明したとおり、固定回線網サービス市場においては、ネットワーク原価は上昇しているものの、当社グループの主要サービスの一つである5G Homestyle(集合住宅向けインターネットサービス)につきましては、建物の資産価値及び入居率の向上を目的とした高速ブロードバンド環境が標準化しつつあることに加え、テレワークやオンライン授業、動画コンテンツ視聴等の利用がスタンダードなものとして認識されたことから、その市場規模は今後も着実に拡大していくものと考えられます。そして、通信速度の高速化に対する要望の高まりに応えるため、より高速な集合住宅向けISPサービスの提供も開始しました。また、「スマートタウン(都市インフラ等の利便性をデジタル技術の活用により高めていく街)」の実現に向けた取り組みの一環として、コミュニティタウン「LIVING TOWN みなとみらい」において、様々な先進テクノロジーを活用した5G/web3時代の新たな住まいや暮らし方を提案していきます。
5G Lifestyle(個人向けのモバイル通信サービスやインターネット関連サービス)では、当社グループが提供する独自のテクノロジーを活用したスマートフォンサービス「トーンモバイル」において、5G/web3/メタバース時代の到来を見据えたスマートフォン端末の提供を行っています。そして、そのスマートフォンによる独自サービスとして、AIで家族を見守る「TONEあんしんAI」を搭載した家族向け見守りサービス「TONEファミリー」を展開するなど、様々な社会問題の解決にも取り組んでおり、世界的に危惧されているネット依存という社会問題の解決を視野に入れた次世代オンライン健康相談サービス「TONE Care」において“スマホ使いすぎ”に関する専門相談も行っています。また、「トーンモバイル」の契約数増加につなげるべく、費用対効果を鑑みた成果報酬型広告を中心にマーケティング施策を実行しました。
なお、5G Homestyleを担うギガプライズ及びその子会社が当連結会計年度において決算期変更を行ったため、当第1四半期連結累計期間においては、2023年4月1日から2023年7月31日の4ヶ月を連結決算に取り込んでいます。
その結果、当セグメントにおける売上高については、7,600,326千円(前年同四半期比38.8%増)、セグメント利益については1,034,418千円(前年同四半期比174.4%増)となりました。
また、当第1四半期連結累計期間を前第1四半期連結累計期間と同じ3ヶ月間で試算した比較においても、事業自体の順調な推移により、売上高、セグメント利益とも前連結累計期間比増となりました。
③ 企業・クリエイター5G DX支援事業
株式会社フルスピード(以下、「フルスピード」)が展開するインターネットマーケティング、アドテクノロジーサービスにおいては、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行に伴い行動制限が緩和されたことで経済活動が正常化へと向かい始め、広告需要も緩やかな復調基調となりました。そのような環境の中、これまで培ってきたインターネットマーケティングのノウハウを活かし、インターネットマーケティング関連事業のDX推進に努めました。そして、中期的な成長のための新規事業への取り組みも進めており、クリエイターが大手プラットフォーマーを介さず自ら情報発信し、その価値を最大化するクリエイター向けプラットフォ―ム「StandAlone」によるクリエイターエコノミー(クリエイターが自らのスキルによって収益化をおこなう経済圏)の拡大やクリエイターのためのNFT発行支援サービスの提供を強化しました。また、フルスピードの完全子会社化後のPMI実行による業務効率の向上やコスト抑制にも努めました。
その結果、当セグメントにおける売上高については、4,668,227千円(前年同四半期比15.6%増)、セグメント利益については197,427千円(前年同四半期比104.7%増)となりました。
また、当第1四半期連結累計期間において、ギガプライズ及びその子会社の2023年4月1日から2023年7月31日の4ヶ月を連結決算に取り込んだ結果、売上高は14,040,063千円、営業利益は1,664,687千円、経常利益は1,623,744千円、親会社株主に帰属する四半期純利益は863,491千円となりました。
(参考1)
前第1四半期連結累計期間と決算期変更に伴う影響額を除いた3ヶ月間で比較した売上高
(単位:千円)
セグメント名
2023年4月期
第1四半期
(参考)
2024年4月期
第1四半期
増減
増減率(%)
5Gインフラ支援事業
2,328,232
2,427,533
99,301
4.3
5G生活様式支援事業
5,477,492
5,868,896
391,404
7.1
企業・クリエイター5G DX支援事業
4,039,096
4,668,227
629,130
15.6
調整額
△702,676
△656,024
46,652
-
合計
11,142,144
12,308,633
1,166,488
10.5
(注)2024年4月期第1四半期については、売上高比較を行うため算出した未監査の参考値になります。
(参考2)
前第1四半期連結累計期間と決算期変更に伴う影響額を除いた3ヶ月間で比較した営業利益(戦略投資(一時的な投資)を除く)
(単位:千円)
セグメント名
(参考)
2023年4月期
第1四半期
(参考)
2024年4月期
第1四半期
増減
増減率(%)
5Gインフラ支援事業
453,487
512,989
59,501
13.1
5G生活様式支援事業
527,397
761,964
234,566
44.5
企業・クリエイター5G DX支援事業
127,429
210,260
82,830
65.0
その他
△3,966
△5,381
△1,414
-
調整額
1,963
△228
△2,191
-
合計
1,106,310
1,479,603
373,292
33.7
(注)2023年4月期第1四半期、2024年4月期第1四半期とも、営業利益比較を行うため算出した未監査の参考値になります。
セグメント別売上高及びセグメント損益 (単位:千円)
区分
売上高
セグメント利益
又は損失(△)
5Gインフラ支援事業
2,427,533
438,451
5G生活様式支援事業
7,600,326
1,034,418
企業・クリエイター5G DX支援事業
4,668,227
197,427
その他
-
△5,381
調整額
△656,024
△228
合計
14,040,063
1,664,687
連結財政状態
当第1四半期連結会計期間末の総資産は35,102,907千円となり、前連結会計年度末と比べて823,579千円減少しました。これは主として、受取手形、売掛金及び契約資産が192,728千円、流動資産のその他に含まれている未収入金が349,709千円及び流動資産のその他に含まれているリース債権(有形)が209,176千円増加したものの、現金及び預金が1,471,445千円減少したことによるものです。
負債は23,210,268千円となり、前連結会計年度末と比べて1,683,865千円減少しました。これは主として、未払金が357,229千円、未払法人税等が280,343千円、長期借入金が799,085千円及びリース債務(固定)が143,447千円減少したことによるものです。
純資産は、利益剰余金が増加したことと等により、前連結会計年度末と比べて860,285千円増加の11,892,638千円となり、この結果、自己資本比率は25.4%となりました。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、26,864千円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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