【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
「財政状態及び経営成績の状況」において使用する名称の正式名称及びその説明は、下記のとおりであります。
使用名称
正式名称
説 明
5G
5th Generation
第5世代移動通信システムの略称で、次世代通信規格の1つ
web3
web3(Web 3.0)
巨大プラットフォーマーを介さずに、ユーザー同士で直接データやコンテンツ等のやり取りができる分散型の次世代インターネットの概念
MVNO
Mobile Virtual Network Operator
仮想移動体通信事業者
クラウド
Cloud Computing
ソフトウェア等をネットワーク越しに利用者に提供する仕組みやそのデータが蓄積・運用されているデータセンターやサーバー群の総称
IoT
Internet of Things
モノに通信機能を持たせてモノ同士が相互通信することにより、ヒトが介在することなく自動認識や自動制御などが行える仕組み
DX
Digital Transformation
データとデジタル技術を活用して製品やサービス、ビジネスモデル等を変革すること
MVNE
Mobile Virtual Network Enabler
MVNOの支援事業者
メタバース
Metaverse
インターネットを介して利用する仮想空間
NFT
Non-Fungible Token
デジタルコンテンツが本物か否か、制作者は誰か、所有権は誰かといったことを明確にできる技術
AI
Artificial Intelligence
計算機(コンピュータ)を用いて、人間の知的行動を研究または行わせる技術
Blockchain
Blockchain
データ処理の記録やその追跡ができる改ざんが非常に困難な分散型台帳技術
経営成績の状況
当社グループは、2021年から2030年の10ヵ年計画を視野に入れた企業経営を推進しています。そして、それに沿って、現在、2024年4月期を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画『SiLK VISION 2024』の遂行を見据えた事業展開を行っています。
この『SiLK VISION 2024』では、「5G/web3時代のPlatform Maker」としてExponential Technology“指数関数的に成長する技術”による事業の拡大を目指しており、持続可能な社会の実現に貢献しつつ、当社グループが世界的な成長領域と考える、モバイル革命領域、生活革命領域、生産革命領域にフォーカスをあてて経営資源を集中的に投下することで、2024年4月期での売上高500億円、営業利益50億円の達成に向けて邁進しています。
なお、各報告セグメントの事業内容は下記のとおりです。
<5Gインフラ支援事業>
ISP向けの事業支援サービス、MVNO事業への参入支援サービスに加え、様々な事業法人がクラウドやIoT等の導入を行うための支援サービスを提供しています。また、5G時代に対応するための次世代ネットワークやデータセンターを構築し、5GやeSIM(組み込み型のSIM)を活用した新サービスも展開してまいります。
<5G生活様式支援事業>
個人をメインターゲットとするスマートフォン等を活用したモバイル通信サービスや固定回線によるインターネット関連サービスの提供に加え、5G Homestyle(集合住宅向けインターネットサービス)の提供を行っています。また、Maker’s Makerプラットフォームを利用した当社独自のスマートフォン端末の開発やこれからの5G時代の生活スタイルの変化を見据えた施策として、5G Workstyle、5G Healthstyle、5G Lifestyleといった分野における新サービスの開発も行ってまいります。
<企業・クリエイター5G DX支援事業>
インターネットマーケティングやアドテクノロジー関連事業を推進するとともに、YouTuberをはじめとしたクリエイター/インフルエンサーが自らの作品を拡散させることができるプラットフォームであるCreator Makerや新しいビジネスを始める企業が自らのプラットフォームを介してサービスが提供できる仕組みであるBizmodel Makerを展開してまいります。
当第2四半期連結累計期間においては、世界情勢に対する様々な懸念等から資源エネルギーの高騰や物価の上昇が続いており、また、国内では円安への憂慮や新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が再び増加している状況にあるため社会への不透明感のある状態が続いています。そのような環境の中、当社グループは、社会のDX化推進やテレワークをはじめとしたセキュアなネットワーク環境構築を図っていくといった試みに応えるため、様々な取り組みを行ってきました。また、前連結会計年度と同様、当連結会計年度も、2024年4月期での『SiLK VISION 2024』の達成と将来的に我々がいち早く「5G/web3時代のPlatform Maker」としての地位を確立していくための戦略投資を実行しつつ事業拡大を推し進めています。
各報告セグメントの経営成績は、次のとおりです。
なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を一部変更しており、以下の前年同四半期比較については、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
① 5Gインフラ支援事業
固定回線網においては、働き方や生活スタイルの変化に伴い、自宅でのオンライン動画の視聴やゲームをはじめとしたリッチコンテンツ及びSNSの利用等の増加、テレワークや在宅学習の普及などに伴うオンライン形式の会議や授業の一般化により、インターネットを介した多くのサービスの利用増加が継続し、固定回線網を中心にネットワーク原価は高止まり基調にあります。
モバイル回線網においては、大手モバイル通信キャリアによる格安プランの提供やサブブランドでの展開が独自型MVNOサービス事業者の成長に影響を与える傾向が続いていますが、モバイル市場全体としての成長は続いており、今後も拡大していく見込みです。このような状況のもと、当社グループにおいては、MVNEとしてのMVNO向け支援事業の規模拡大に加え、ISP向け支援事業の原価抑制が奏功し堅調に推移しました。
その結果、当セグメントにおける売上高については、4,732,570千円(前年同四半期比5.8%増)、セグメント利益については733,471千円(前年同四半期比34.7%増)となりました。
② 5G生活様式支援事業
「5Gインフラ支援事業」で説明したとおり、固定回線網サービス市場においては、ネットワーク原価は上昇しているものの、当社グループの主要サービスの一つである5G Homestyle(集合住宅向けインターネットサービス)においては、建物の資産価値及び入居率の向上を目的とした高速ブロードバンド環境の導入が進んでおり、また、テレワークやオンライン授業、動画コンテンツ視聴等の利用がスタンダードなものとして認識されたことから、その市場規模は今後も着実に拡大していくものと考えられます。そして、「スマートタウン(都市インフラ等の利便性をデジタル技術の活用により高めていく街)」実現への取り組みも行っています。
5G Lifestyle(個人向けのモバイル通信サービスやインターネット関連サービス)では、当社グループが提供する独自のテクノロジーを活用したスマートフォンサービス「トーンモバイル」において、5G/web3/メタバース時代の到来を見据えた端末の提供を開始しています。そして、その更なる利便性の向上を目的に、8月には月額基本料金がそのままで毎月1ギガバイト分の「動画チケット」を利用できるバージョンアップを行い、9月には60歳以上かつ月間通信量が300MB未満のご利用者の月額基本料金を最大1年間0円とする「シニア割」を開始しました。また、株式会社NTTドコモの店舗網での契約数増加につなげるべく、成果報酬型広告を中心にマーケティング戦略を実行するとともに各店舗の販促強化を目的としたフィールドマーケティングにリソースを投じるなどの施策を講じました。
その結果、当セグメントにおける売上高については、11,156,960千円(前年同四半期比4.4%増)、セグメント利益については979,947千円(前年同四半期比17.5%減)となりました。
③ 企業・クリエイター5G DX支援事業
当社の連結子会社である株式会社フルスピード(以下、フルスピード)が展開するインターネットマーケティング、アドテクノロジーサービスにおいては、新型コロナウイルス感染症の影響による広告需要の停滞から緩やかな復調にはあるものの、コロナ禍以前の状況には戻っていない状況にあります。そのような環境の中、既存事業においては、アドテクノロジー関連サービスの拡大に注力するとともに、インターネットマーケティング関連サービスであるDSP広告や動画広告市場向けの商材を中心としたインターネット広告サービスの提供に努めました。
また、中期的な成長のための新規事業への取り組みも進めており、クリエイターが大手プラットフォーマーを介さず自ら情報発信し、その価値を最大化するクリエイター向けプラットフォ―ム「StandAlone」によるクリエイターエコノミー(クリエイターが自らのスキルによって収益化をおこなう経済圏)の拡大支援やクリエイターのためのNFT発行支援サービスの提供を強化しました。
その結果、当セグメントにおける売上高については、8,075,885千円(前年同四半期比5.0%増)、セグメント利益については255,608千円(前年同四半期比22.5%減)となりました。
なお、フルスピードは2022年11月1日付で当社の完全子会社となっています。
以上の結果、売上高は22,581,915千円(前年同四半期比5.7%増)、営業利益は1,962,337千円(前年同四半期比4.5%減)となり、フルスピードの完全子会社化に伴う費用の発生等により、経常利益は1,805,160千円(前年同四半期比9.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は843,731千円(前年同四半期比24.7%減)となりました。
なお、当社グループでは、戦略投資として、販売拡大のためのマーケティングに加えて、5G/web3/メタバース時代の多様化する生活スタイルに合わせた新たな需要に応えていくべく、AIやIoT、Blockchainをはじめとしたテクノロジーを活用した新サービス開発等にリソースを投下しています。
この戦略投資の実行は、会計年度末に集中させた前連結会計年度とは異なり、当連結会計年度は期初より実行しています。そのため、当第2四半期連結累計期間の営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する四半期純利益は、前第2四半期連結累計期間と比べて減少していますが、事業展開及び業績は計画を上回り進捗しています。
(参考)
当社グループの業績を適切に理解して頂くことを目的に「戦略投資(一時的な投資)」を除いた営業利益比較表を参考情報として掲載します。
(単位:千円)
セグメント名
(参考)
2022年4月期
第2四半期
(参考)
2023年4月期
第2四半期
増減
増減率(%)
5Gインフラ支援事業
591,640
866,204
274,564
+46.4%
5G生活様式支援事業
1,353,195
1,253,324
△99,871
△7.4%
企業・クリエイター5G DX支援事業
340,220
326,211
△14,008
△4.1%
その他
△7,836
△7,791
44
―
調整額
△262
1,102
1,365
―
合計
2,276,957
2,439,051
162,094
+7.1%
(注)2022年4月期第2四半期、2023年4月期第2四半期とも未監査の参考値になります。
セグメント別売上高及びセグメント損益 (単位:千円)
区分
売上高
セグメント利益
又は損失(△)
5Gインフラ支援事業
4,732,570
733,471
5G生活様式支援事業
11,156,960
979,947
企業・クリエイター5G DX支援事業
8,075,885
255,608
その他
-
△7,791
調整額
△1,383,499
1,102
合計
22,581,915
1,962,337
連結財政状態
当第2四半期連結会計期間末の資産合計は33,533,079千円となり、前連結会計年度末と比べて1,517,073千円減少しました。これは主として、現金及び預金が658,209千円、受取手形、売掛金及び契約資産が170,048千円、その他に含まれている前払金が437,271千円及び立替金が179,775千円減少したことによるものです。
負債合計は24,123,528千円となり、前連結会計年度末と比べて112,583千円増加しました。これは主として、1年内返済予定の長期借入金が570,198千円、未払金が979,896千円、長期借入金が972,291千円及びリース債務が249,737千円減少したものの、短期借入金が3,617,570千円増加したことによるものです。
純資産合計は、利益剰余金が702,731千円増加したものの、連結子会社である株式会社フルスピードの普通株式の公開買付けを実施し追加取得したこと等により資本剰余金が1,293,136千円及び非支配株主持分が1,046,166千円減少し、前連結会計年度末と比べて1,629,656千円減少の9,409,550千円となり、この結果、自己資本比率は18.8%となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」)の残高は17,083,046千円となり、前連結会計年度末と比較して658,209千円減少しました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
営業活動による資金は932,867千円の増加(前年同四半期は928,232千円の増加)となりました。これは主に、未払金の減少が883,800千円及び法人税等の支払額が647,132千円あったものの、税金等調整前四半期純利益が1,772,218千円及び減価償却費が454,631千円あったことによるものです。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
投資活動による資金は267,214千円の減少(前年同四半期は133,207千円の増加)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が194,544千円及び無形固定資産の取得による支出が50,187千円あったことによるものです。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
財務活動による資金は1,334,789千円の減少(前年同四半期は3,771,732千円の減少)となりました。これは主に、短期借入金の純増額が3,617,570千円あったものの、長期借入金の返済による支出が1,942,489千円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出が2,659,377千円及びリース債務の返済による支出が447,969千円あったことによるものです。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、32,413千円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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