【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症抑制と経済活動の両立が進み、緩やかに持ち直す一方で、海外では、世界的なインフレ圧力やそれを受けた各国中央銀行の利上げが続き、海外経済の減速や資源高により下押し圧力に晒されるとともに、消費活動は物価上昇の影響を強く受けることとなりました。リスク要因に着目すれば、今後も、海外の経済・物価情勢と国際金融資本市場の動向、ロシア・ウクライナ情勢と資源・穀物動向などを背景に、インフレ率の高止まり、タイトなグローバル金融環境、輸入コスト増加を通じた経済への下押しの影響など、経済環境の先行きは、依然として不確実性が高く、不透明な状況が続くことが予想されます。このような環境下、当社においては、過去最多を更新した鳥インフルエンザに対して、防疫作業への個人用保護具を円滑に供給するなど、主力事業であります防護服・環境資機材事業が、比較的堅調に推移して業績を牽引した結果、売上高は9,081,039千円(前年同期比4.9%減)、営業利益は531,761千円(前年同期比37.2%増)、経常利益は562,901千円(前年同期比35.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は406,512千円(前年同期比52.7%増)となり、減収ながら増益となりました。セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。なお、ヘルスケア製品事業の立ち上げに伴い、当連結会計年度より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。防護服・環境資機材事業におきましては、中期経営計画の重点施策の一つとして、化学物質対策、橋梁の老朽化工事対策、アスベストのばく露防止対策など、防護具(ハード)と安全・防護のノウハウ(ソフト)を組み合わせたソリューションビジネスや、安全環境設備分野の市場開拓を推進したほか、第3四半期以降は、鳥インフルエンザの防疫作業に使用される個人用保護具の円滑な供給継続に尽力した一方で、一部の業界では新型コロナウイルス感染症対応後の反動減による販売数量減少も見られ、売上高は5,148,683千円(前年同期比3.8%減)、セグメント利益(営業利益)は804,203千円(前年同期比5.4%増)となり、減収ながら増益となりました。今後も、防護服市場における事業領域の拡大、ソリューションビジネスを切り口とした安全環境設備分野における営業活動の一層の推進のほか、メーカー機能強化を展望して、高機能防護服の開発に注力し、中長期的な収益力の向上を目指してまいります。今期より新たな事業セグメントとして独立したヘルスケア製品事業におきましては、アゼアスデザインセンター秋田で日本製マスクの生産を開始しましたが、中国のロックダウンに伴う資材調達停滞を起因とした一時的な生産減少や、円安による輸入原材料費の上昇、改善途上にある歩留まり率などが要因となって、当初の計画に対しては生産数、利益率とも未達となり、売上高は184,202千円(前年同期比524.3%増)、セグメント損失(営業損失)は74,782千円(前年同期はセグメント損失114,885千円)となり、増収ですが、セグメント損失の計上となりました。今後は、人員配置の見直し等を通じて安定的な生産体制の整備に努めるとともに、一般産業、医療機関向けに日本製マスク、医療ガウンなどメディカル商品の販売を推進することで、早期黒字化に向けた取り組みを推進していきます。これまでの機能性建材事業とアパレル資材事業を一元管理するライフマテリアル事業におきましては、一部の商材において調達が停滞し、販売が伸び悩んだものの、従来の畳には頼らない新たな建材による営業活動や、安定した需要が見込める作業服・ワーキング分野、学生服・スクールウェア分野におけるアパレル副資材の販売に注力した結果、売上高は3,273,365千円(前年同期比1.5%減)、セグメント利益(営業利益)は206,480千円(前年同期比40.6%増)となり、減収ながら増益となりました。機能性建材、アパレル資材とも、安全、快適を実現する新たな分野の製品販売と新たな市場の開拓に注力し、引続きビジネスモデルの変革を推進してまいります。報告セグメントではありませんが、中国子会社について「その他」の区分で管理しております。売上高は474,788千円(前年同期比43.6%減)、セグメント損失(営業損失)は17,185千円(前年同期はセグメント損失30,900千円)となりました。中国市場では、ロックダウンにより一時的に営業活動が停滞した影響を大きく受けております。なお、報告セグメントに配分していない一般管理費等の全社費用は387,476千円であります。生産、仕入、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。(単位:千円)
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年5月1日至 2023年4月30日)
前年同期比(%)
防護服・環境資機材
562,983
112.0
ヘルスケア製品
237,020
224.6
ライフマテリアル
146,726
111.3
合計
946,730
128.0
(注) 1
金額は、製造原価によっております。2
当連結会計年度において、ヘルスケア製品事業の生産実績に著しい変動がありました。これは、アゼアスデザインセンター秋田で日本製マスクの生産を開始したことによるものであります。
②
仕入実績当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。(単位:千円)
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年5月1日至 2023年4月30日)
前年同期比(%)
防護服・環境資機材
3,597,263
94.2
ヘルスケア製品
134,760
649.8
ライフマテリアル
2,758,315
100.9
その他
406,647
51.6
合計
6,896,987
93.7
(注) 1
セグメント間取引については、相殺消去しております。2
金額は、仕入価格によっております。3
当連結会計年度において、ヘルスケア製品事業の仕入実績に著しい変動がありました。これは、アゼアスデザインセンター秋田で日本製マスクの生産を開始したことによるものであります。
③ 受注実績受注から売上計上までの期間が短いため、記載は省略しております。
④ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。(単位:千円)
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年5月1日至 2023年4月30日)
前年同期比(%)
防護服・環境資機材
5,148,683
96.2
ヘルスケア製品
184,202
624.3
ライフマテリアル
3,273,365
98.5
その他
474,788
56.4
合計
9,081,039
95.1
(注) 1
セグメント間取引については相殺消去しております。2
当連結会計年度において、ヘルスケア製品事業の販売実績に著しい変動がありました。これは、アゼアスデザインセンター秋田で日本製マスクの生産を開始したことによるものであります。
(2) 財政状態の概要及び分析
① 財政状態
(資産)流動資産は前連結会計年度末に比べて12.1%増加し6,990,225千円となりました。これは、主として現金及び預金が934,855千円増加、棚卸資産が137,259千円増加し、売上債権が248,357千円減少したためであります。 固定資産は前連結会計年度末に比べて14.7%減少し2,058,446千円となりました。これは主として、前連結会計年度に取得した衛生マスク等生産設備に対する補助金を当連結会計年度に受け取り圧縮記帳したことなどにより有形固定資産が306,080千円減少、保険金受取による保険積立金の減少等で投資その他の資産が52,939千円減少したためであります。この結果、総資産は前連結会計年度末に比べて396,696千円増加し9,048,672千円となりました。
(負債)流動負債は前連結会計年度末に比べて14.1%増加し2,094,935千円となりました。これは、主として仕入債務が204,040千円増加、未払消費税等が79,234千円増加し、1年内返済予定の長期借入金が43,791千円減少したためであります。固定負債は前連結会計年度末に比べて35.7%減少し349,300千円となりました。これは、主として長期借入金が返済により111,984千円減少、役員退職慰労引当金が支給により83,010千円減少したためであります。この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べて65,301千円増加し2,444,235千円となりました。
(純資産)純資産合計は前連結会計年度末に比べて5.3%増加し6,604,436千円となりました。これは、主として利益剰余金が290,067千円増加、その他の包括利益累計額が30,742千円増加したためであります。
② セグメントごとの財政状態の分析
(防護服・環境資機材事業)当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて278,612千円減少し2,909,898千円となりました。これは主に売上債権が187,616千円減少、有形固定資産が圧縮記帳や減価償却等で118,914千円減少したためであります。
(ヘルスケア製品事業)当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて103,990千円減少し407,119千円となりました。これは主に有形固定資産が圧縮記帳や減価償却等で172,344千円減少したためであります。
(ライフマテリアル事業)当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて160,831千円増加し1,894,574千円となりました。これは主に現金及び預金が120,023千円増加、棚卸資産が61,133千円増加したためであります。
(3) キャッシュ・フロー当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて934,855千円増加し、当連結会計年度末には2,803,209千円となりました。
① 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果獲得した資金は896,769千円(前連結会計年度は51,532千円の支出)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益569,693千円、売上債権の減少271,758千円、仕入債務の増加190,523千円、減価償却費108,389千円であります。支出の主な内訳は、棚卸資産の増加133,897千円、法人税等の支払い142,024千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果獲得した資金は295,418千円(前連結会計年度は654,871千円の支出)となりました。収入の主な内訳は、補助金の受取り253,462千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果支出した資金は264,946千円(前連結会計年度は184,130千円の獲得)となりました。支出の主な内訳は、長期借入金の返済155,775千円、配当金の支払い116,118千円であります。
② 資本の財源及び資金の流動性の分析資金需要及び財政政策について、当社グループは、運転資金及び投資等の資金需要に対して、自己資金を充当することを基本方針とし、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、一部資金を銀行借入等により調達しております。銀行借入等については、新規投資案件が発生した時点で、調達を検討する方針であります。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。