【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の状況当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症抑制と経済活動の両立が進み、緩やかに持ち直す一方で、海外では、世界的なインフレ圧力やそれを受けた各国中央銀行の利上げが続き、海外経済の減速、資源高により、下押し圧力に晒されることとなりました。リスク要因に着目すれば、今後も、海外の経済・物価情勢と国際金融資本市場の動向、ロシア・ウクライナ情勢と資源・穀物価格の動向、新型コロナウイルス感染症が個人消費や企業生産活動に及ぼす影響など、不透明な要因は多く、経済が下振れとなるリスクについては注視の必要な状況が続くことが予想されます。このような環境下、今シーズンは高病原性鳥インフルエンザによる鶏などの殺処分が過去最多を更新しており、第3四半期には、家畜感染症の防疫作業に使用される個人用保護具の円滑な供給に注力した結果、売上高は6,803,096千円(前年同四半期比1.5%減)、営業利益は374,457千円(前年同四半期比50.7%増)、経常利益は393,914千円(前年同四半期比54.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は278,742千円(前年同四半期比70.0%増)となり、減収ながら増益となりました。セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。なお、ヘルスケア製品事業の立ち上げに伴い、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、当第3四半期連結累計期間の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。防護服・環境資機材事業におきましては、中期経営計画の重点施策の一つとして、化学物質対策、橋梁の老朽化工事対策、アスベストのばく露防止対策など、防護具(ハード)と安全・防護のノウハウ(ソフト)を組み合わせたソリューションビジネスや、安全環境設備分野の市場開拓を推進しておりますが、第3四半期には、特に、高病原性鳥インフルエンザの防疫作業に使用される個人用保護具の円滑な供給に注力した結果、売上高は3,841,689千円(前年同四半期比0.6%増)、セグメント利益(営業利益)は587,653千円(前年同四半期比14.8%増)となり、売上横ばいながら増益となりました。今後も、ソリューションビジネスを切り口として、今期の重点施策である安全環境設備分野における営業活動を一層進めるほか、家畜感染症対策の需要に対しては、タイムリーな商品供給により当社の社会的な責任を果たすとともに、メーカー機能強化を展望して、高機能防護服の開発に注力し、中長期的な収益力の向上を目指してまいります。今期より新たな事業セグメントとして独立したヘルスケア製品事業におきましては、アゼアスデザインセンター秋田で日本製マスクの生産を開始しましたが、円安による輸入原材料費の上昇、労務費と経費の計画超過、中国のロックダウンに伴う資材調達停滞に起因する一時的な生産減少や歩留まりが改善途上にあることなど生産数の計画未達により、売上高は129,482千円(前年同四半期比660.3%増)、セグメント損失(営業損失)は72,556千円(前年同四半期はセグメント損失78,023千円)となり、増収ですが、セグメント損失の計上となりました。今後は、安定的な生産体制の整備を進めるとともに、一般産業、医療機関向けに日本製マスク、医療ガウンなどメディカル商品の販売を推進することで、早期黒字化に向けた取り組みを推進していきます。これまでの機能性建材事業とアパレル資材事業を一元管理するライフマテリアル事業におきましては、一部の商材において調達が停滞し、販売が伸び悩んだものの、従来の畳には頼らない新たな建材による営業活動や、安定した需要が見込める作業服・ワーキング分野、学生服・スクールウェア分野におけるアパレル副資材の販売に注力した結果、売上高は2,469,454千円(前年同四半期比1.3%減)、セグメント利益(営業利益)は161,877千円(前年同四半期比35.9%増)となり、減収増益となりました。機能性建材、アパレル資材とも、安全、快適を実現する新たな分野の製品販売と新たな市場の開拓に注力し、引続きビジネスモデルの変革を推進してまいります。報告セグメントではありませんが、中国子会社について「その他」の区分で管理しております。売上高は362,469千円(前年同四半期比35.8%減)、セグメント損失(営業損失)は11,358千円(前年同四半期はセグメント損失26,121千円)となりました。中国市場では、ロックダウンにより一時的に営業活動が停滞した影響を大きく受けております。なお、報告セグメントに配分していない一般管理費等の全社費用は291,621千円であります。
(2) 財政状態の状況
(資産)流動資産は、前連結会計年度末に比べて6.7%増加し6,655,991千円となりました。これは、主として棚卸資産が265,014千円増加、現金及び預金が124,280千円増加したためであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べて6.2%減少し2,264,396千円となりました。これは、主として有形固定資産が減価償却等で68,466千円減少、保険金受取による保険積立金の減少等で投資その他の資産が79,902千円減少したためであります。この結果、総資産は前連結会計年度末に比べて268,412千円増加し8,920,387千円となりました。
(負債)流動負債は、前連結会計年度末に比べて11.9%増加し2,053,795千円となりました。これは、主として仕入債務が317,619千円増加し、未払法人税等が49,957千円減少、1年内返済予定の長期借入金が43,791千円減少したためであります。固定負債は、前連結会計年度末に比べて31.0%減少し374,404千円となりました。これは、主として長期借入金が返済により83,988千円減少、役員退職慰労引当金が支給により83,010千円減少したためであります。この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べて49,265千円増加し2,428,199千円となりました。
(純資産)純資産合計は、前連結会計年度末に比べて3.5%増加し6,492,188千円となりました。これは、主として利益剰余金が162,297千円増加、その他の包括利益累計額が46,262千円増加したためであります。
(3) 研究開発活動当社は、防護服・環境資機材事業の研究開発活動として、「危険な環境下で作業する人々を防護服で守る」ことを使命に、日々変化する作業現場のニーズに応える製品の研究に取り組んでおります。研究開発体制は、東京本社と信州大学繊維学部ファイバーイノベーション・インキュベーター施設内に開設した「アゼアス防護服Labo」を拠点とし、各部署から横断的に組織したプロジェクトチームで活動する体制を取っております。なお、当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は4,000千円であります。今後更なる事業の展開には、各分野のニーズに合わせた技術、素材、製品の基礎から応用までの研究開発を進めていくことが重要な課題と認識しており、第2四半期から信州大学と共同研究開発契約を締結し、防護服の新たな評価手法と設計アプローチについて共同研究を開始しております。