【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の状況当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症抑制と経済活動の両立が進む一方で、海外では、世界的なインフレ圧力やそれを受けた各国中央銀行の利上げが続き、海外経済の減速、資源高や、円安の進行により、下押し圧力に晒されることとなりました。今後も、海外の経済・物価情勢と国際金融資本市場の動向、ロシア・ウクライナ情勢と資源・穀物価格の動向、いまだ収束しない新型コロナウイルス感染症が個人消費や企業生産活動に及ぼす影響など、不透明な要因は多く、経済が下振れとなるリスクについては注視の必要な状況が続くことが予想されます。このような環境下、新型コロナウイルス感染症対応後の反動減による個人用保護具の需給緩和や、中国のロックダウンに起因する資材調達の停滞による生産の一時的な減少など、前期に比べて厳しい経営環境となり、売上高は4,079,791千円(前年同四半期比9.2%減)、営業利益は105,866千円(前年同四半期比28.4%減)、経常利益は116,129千円(前年同四半期比23.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は96,893千円(前年同四半期比3.0%減)となり、減収減益となりました。セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。なお、ヘルスケア製品事業の立ち上げに伴い、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、当第2四半期連結累計期間の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。防護服・環境資機材事業におきましては、中期経営計画の重点施策の一つとして、化学物質対策、橋梁の老朽化工事対策、アスベストのばく露防止対策など、防護具(ハード)と安全・防護のノウハウ(ソフト)を組み合わせたソリューションビジネスや、安全環境設備分野の市場開拓を推進しながら、インフラ、環境分野や一般産業での継続的な需要や、家畜感染症対策の緊急的な需要に対応してまいりましたが、新型コロナウイルス感染症対応後の反動減による個人用保護具の全体的な需給緩和の影響は大きく、売上高は2,076,546千円(前年同四半期比18.3%減)、セグメント利益(営業利益)は240,594千円(前年同四半期比24.9%減)となり、減収減益となりました。今後は、ソリューションビジネスを切り口として、今期の重点施策である安全環境設備分野における営業活動を一層進めるほか、家畜感染症対策の緊急的な需要に対して、タイムリーな商品供給により当社の社会的責任を果たすとともに、メーカー機能強化を展望して、高機能防護服の開発に注力し、中長期的な収益力の向上を目指してまいります。今期より新たな事業セグメントとして独立したヘルスケア製品事業におきましては、アゼアスデザインセンター秋田で日本製マスクの生産を開始しましたが、中国のロックダウンに伴う資材調達の停滞を要因として、生産の一時的な減少を余儀なくされたほか、操業開始後、本格的な稼働に向けた取り組みを進めている段階で、生産の歩留まり率が改善の途上であることから、売上高は64,511千円(前年同四半期は1,782千円)、セグメント損失(営業損失)は57,373千円(前年同四半期はセグメント損失51,766千円)となり、増収減益となりました。今後は、これからピークを迎える秋以降のマスクの需要に対応できるよう、生産体制の整備を進め、設備の稼働率を上げていくほか、医療ガウンなど新たな商材の販売を推進することで、医療分野の市場開拓にも注力してまいります。これまでの機能性建材事業とアパレル資材事業を一元管理するライフマテリアル事業におきましては、一部の商材において調達が停滞し、販売が伸び悩んだものの、従来の畳には頼らない新たな建材による営業活動や、安定した需要が見込める作業服・ワーキング分野、学生服・スクールウェア分野におけるアパレル副資材の販売に注力した結果、売上高は1,705,974千円(前年同四半期比1.6%増)、セグメント利益(営業利益)は116,736千円(前年同四半期比41.7%増)となり、増収増益となりました。機能性建材、アパレル資材とも、安全、快適を実現する新たな分野の製品販売と新たな市場の開拓に注力し、引続きビジネスモデルの変革を推進してまいります。報告セグメントではありませんが、中国子会社について「その他」の区分で管理しております。売上高は232,759千円(前年同四半期比15.0%減)、セグメント損失(営業損失)は9,607千円(前年同四半期はセグメント損失24,077千円)となりました。中国市場では、ロックダウンにより一時的に営業活動が停滞した影響を大きく受けております。なお、報告セグメントに配分していない一般管理費等の全社費用は184,632千円であります。
(2) 財政状態の状況
(資産)流動資産は、前連結会計年度末に比べて1.9%増加し6,357,252千円となりました。これは、主として棚卸資産が331,415千円増加し、売上債権が152,885千円減少したためであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べて0.5%減少し2,401,930千円となりました。これは、主として有形固定資産が減価償却等で39,143千円減少したためであります。この結果、総資産は前連結会計年度末に比べて107,207千円増加し8,759,182千円となりました。
(負債)流動負債は、前連結会計年度末に比べて7.5%増加し1,973,450千円となりました。これは、主として仕入債務が203,391千円増加し、1年内返済予定の長期借入金が37,494千円減少、未払法人税等が28,943千円減少したためであります。固定負債は、前連結会計年度末に比べて8.9%減少し494,357千円となりました。これは、主として長期借入金が返済により55,992千円減少したためであります。この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べて88,873千円増加し2,467,807千円となりました。
(純資産)純資産合計は、前連結会計年度末に比べて0.3%増加し6,291,375千円となりました。これは、主としてその他の包括利益累計額が33,697千円増加し、利益剰余金が19,551千円減少したためであります。
(3) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて16,310千円増加し、当第2四半期連結会計期間末には1,884,663千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果獲得した資金は219,257千円(前年同四半期は541,090千円の支出)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前四半期純利益116,108千円、売上債権の減少187,031千円、仕入債務の増加184,726千円であります。支出の主な内訳は、棚卸資産の増加325,842千円、法人税等の支払い82,160千円であります。資金獲得の主な要因は、前連結会計年度末に増加した売上債権を当第2四半期連結累計期間に回収したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果支出した資金は5,518千円(前年同四半期は89,493千円の支出)となりました。支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出32,555千円であります。収入の主な内訳は、関係会社の清算による収入28,345千円であり、非連結子会社の丸幸国際貿易(上海)有限公司について、その機能を連結子会社の日里貿易(上海)有限公司に統合し清算したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果支出した資金は、209,441千円(前年同四半期は209,342千円の支出)となりました。支出の内訳は、配当金の支払い115,955千円、長期借入金の返済93,486千円であります。
(4) 研究開発活動当社は、防護服・環境資機材事業の研究開発活動として、「危険な環境下で作業する人々を防護服で守る」ことを使命に、日々変化する作業現場のニーズに応える製品の研究に取り組んでおります。研究開発体制は、東京本社と信州大学繊維学部ファイバーイノベーション・インキュベーター施設内に開設した「アゼアス防護服Labo」を拠点とし、各部署から横断的に組織したプロジェクトチームで活動する体制を取っております。なお、当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は2,308千円であります。今後更なる事業の展開には、各分野のニーズに合わせた技術、素材、製品の基礎から応用までの研究開発を進めていくことが重要な課題と認識しており、当第2四半期から信州大学と共同研究開発契約を締結し、防護服の新たな評価手法と設計アプローチについて共同研究を開始しております。