【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の分析当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型ウイルス感染症の5類移行を受け、社会・経済活動の活性化が進み、個人消費に持ち直しの動きがみられました。一方で、不安定な国際情勢による地政学リスクの影響、エネルギー価格の高止まり、人件費や物流費の上昇、金融情勢の変化や原材料価格等の高騰など、先行き不透明な状況が続いております。食品業界においてもこうした事業環境の影響を受け、商品の値上げの波は収まらず、消費者の節約志向・低価格志向が強まり、依然として厳しい経営環境が続くものと推測されます。
このような状況のもと、当社グループは引き続き、安全・安心に重点をおいた包装米飯及び包装餅製品の安定供給、並びに適正価格での販売に努めることを基本に事業活動を推進してまいりました。具体的には、おいしさの追求はもちろんのこと、消費者の消費動向を捉えながら、拡大する商品需要に対応可能な生産体制の整備を進めるとともに、生活スタイルの変化や消費者ニーズの多様化といった市場変化に対応すべく、「米食回帰・健康維持・多様化をキーワードとした新たな食の創造」を引き続き提案し、全社一体となった営業活動に取り組むことで業績の拡大を図ってまいりました。また、包装米飯及び包装餅の通年需要の喚起を目的とした広告宣伝を継続的に実施することで、喫食機会とブランド認知の拡大に努めてまいります。今後も、「プチ贅沢」、「健康・機能性」、「タイムパフォーマンス(タイパ)志向」などの多様な消費者ニーズに応える商品価値を提案してまいります。以上の結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は、包装米飯及び包装餅製品ともに主力製品を中心に堅調に推移し、69億19百万円(前年同期比2.8%増)となりました。利益面につきましては、販売の増加と生産性向上により収益性の改善に努めましたが、各種調達価格等の高騰を要因として、営業利益は1億92百万円(前年同期比27.1%減)、経常利益は2億98百万円(前年同期比17.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2億27百万円(前年同期比20.2%減)と、いずれも前年を下回る結果となりました。
製品分類別の販売動向当社グループは、食品事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しておりますが、製品分類別における販売の動向は以下のとおりであります。
(包装米飯製品)包装米飯製品は、近年の働き方や暮らし方の価値観の多様化による生活スタイルの変化に伴い、「タイムパフォーマンス志向」のニーズが高まったことで、家庭内での需要が拡大し、ストック及びレンジ調理が可能なパックごはんの販売は堅調に推移しております。また、世界的な穀物の価格高騰を受け、価格が比較的安定しているコメの存在感が高まり、米食に回帰する動きが活発化しております。これらの消費動向の変化を背景に、まとめ買いニーズへの対応や食物繊維で始めるおいしい新健康生活の提案など様々な販売促進活動により、包装米飯製品の「家庭のご飯に代わる」日常食化に引き続き取り組んでまいりました。また、さらなる需要喚起を目的に、2023年5月から人気お笑いコンビ「オードリー」を起用し「“ふっくら釜炊き”ごはんのおいしさ」を表現した新テレビCM『「釜炊き圧トゥー的」篇』を全国放映しております。これらの取り組みとともに、1988年の発売当初より「炊きたてのおいしさ」を目指してきた「サトウのごはん」がより多くの食卓に受け入れられ、パックごはん市場で確固たるブランドを確立したこと、さらに、電子レンジ調理などの簡便、時短調理等、家庭内での調理ニーズが多様化する中で、パックごはんが備蓄食ではなく日常食というポジションに変わってきていることも、売上高が堅調に推移した要因として捉えております。なお、昨今のエネルギー・資材価格の急激な高騰および物流費・人件費等の上昇を受けて、2023年7月1日出荷分より商品価格の改定を行っております。その結果、包装米飯製品の売上高は58億84百万円(前年同期比3.5%増)となりました。なお、当社は、約45億円を投じて当社のパックごはん専用工場である聖籠ファクトリー(新潟県北蒲原郡聖籠町)に新たな生産ラインを増設し、2024年の稼働時には年間4億食の生産能力を確保することで、将来的な需要拡大に対応してまいります。
(包装餅製品)包装餅製品では、引き続き通年需要の喚起に向けたテレビCMや企画商品の販売に積極的に取り組んでおります。まず、「プレミアムライン」、「レギュラーライン」、「トライアルライン」と、普段の生活や行動の範囲内で手を出せる高級品、いわゆる“プチ贅沢”需要にお応えする「プライムライン」の4つにセグメンテーションされた切り餅の商品ラインナップを、引き続き全国にて販売しております。次に、「サトウの切り餅/まる餅乳酸菌プラス」において、人気アニメ「SPY×FAMILY」とコラボした特別企画商品「サトウの切り餅乳酸菌プラスSPY×FAMILYデザインパッケージ全2種」を販売し、新たな顧客層の獲得に取り組んでまいりました。さらに、女優の芦田愛菜さんが当社グループのみが個包装に使用している酸素を吸収する「ながモチフィルム」の特徴(鮮度保持剤なしでつきたての美味しさを24か月保持)を紹介するテレビCMや、切り餅「いっぽん」のスティック形状を活かした様々な召し上がり方を消費者の皆様に提案するテレビCMを継続的に放映することで、当社包装餅商品のブランド認知の向上に努めてまいりました。加えて、餅商品の喫食機会向上と新たな消費者層の獲得を目的として、人気動画クリエイターとタイアップした動画制作等も行ってまいりました。年末商材である鏡餅については、市場全体でダウンサイジング化傾向が進んでいることから、「どこでも簡単に飾れる手頃なサイズの鏡餅!」をコンセプトとし、お客様の様々なニーズにお応えするため、化粧箱入りの「サッと鏡餅」と、置き場所を選ばない「小飾り」タイプの品揃え拡充を進めてまいりました。また、流通における取り組みとして、鏡餅を店舗で陳列する際の開封作業の軽減を目的として開発した段ボールを開封するとそのまま商品の陳列ができる「簡単!楽ちん段ボール」を引き続き採用し、取扱店の拡大に努めてまいりました。なお、年末年始に需要が集中する鏡餅については、様々なロスの削減に対する社会的な問題意識の高まりを考慮し、受注締日をこれまでより早期に設定することで、環境配慮、フードロス・資材廃棄削減という流通業界全体の課題解決に取り組むとともに、鏡餅の伝統文化継承を持続的に展開できるよう努めてまいります。
新型ウイルス禍を背景とした内食需要の拡大も落ち着きを見せ始めたことで、包装餅市場全体は縮小傾向にありますが、当社餅商品に関しては通年需要の喚起や、「ながモチフィルム」に代表される当社独自の強みを活かした販売提案などを積極的に行うことで、新型ウイルス禍以降も同水準の売上高を維持しており、特に様々な召し上がり方をご提案している「サトウの切り餅いっぽん」は、売上が拡大しております。その結果、包装餅製品の売上高は10億31百万円(前年同期比0.6%減)となりました。なお、昨今のエネルギー・資材費等の各種コストの上昇を受けて、2023年9月1日以降出荷する包装餅製品の価格改定を予定しております。
(2) 財政状態の分析 (資産)当第1四半期連結会計期間末における流動資産は207億40百万円となり、前連結会計年度末に比べ19億66百万円増加いたしました。これは主に原材料及び貯蔵品が9億69百万円、売掛金が7億81百万円減少したものの、商品及び製品が32億3百万円、現金及び預金が4億78百万円増加したことによるものであります。固定資産は204億13百万円となり、前連結会計年度末に比べ84百万円減少いたしました。これは主に投資有価証券の新規取得および保有する投資有価証券の時価総額の増加により、投資有価証券が1億76百万円増加したものの、減価償却の進行に伴い有形固定資産が1億78百万円、無形固定資産が44百万円減少したことによるものであります。この結果、総資産は411億53百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億81百万円増加いたしました。
(負債)当第1四半期連結会計期間末における流動負債は118億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ24億62百万円増加いたしました。これは主に未払金が13億92百万円、未払法人税等が2億33百万円減少したものの、運転資金としての短期借入金が40億円、買掛金が3億37百万円増加したことによるものであります。固定負債は110億37百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億31百万円減少いたしました。これは主に長期借入金の減少によるものであります。この結果、負債合計は228億42百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億31百万円増加いたしました。
(純資産)当第1四半期連結会計期間末における株主資本は175億68百万円となり、前連結会計年度末に比べ49百万円減少いたしました。増加要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益2億27百万円であり、減少要因は、剰余金の配当2億77百万円であります。その他の包括利益累計額は7億42百万円となり、前連結会計年度末に比べ99百万円増加いたしました。これは主に、その他有価証券評価差額金が、保有する投資有価証券の時価総額の増加により前連結会計年度末に比べ95百万円増加したことによるものであります。この結果、純資産合計は183億10百万円となり、前連結会計年度末に比べ50百万円増加いたしました。なお、自己資本比率は44.5%(前連結会計年度末は46.5%)となりました。
(3)
事業上及び財務上の対処すべき課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループが事業上及び財務上の対処すべき課題について重要な変更及び新たに生じたものはありません。
(4) 研究開発活動当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は32百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 主要な設備①主要な設備の状況当第1四半期連結累計期間において、主要な設備の新設、休止、大規模改修、除却、売却等により著しい変動はありません。
②設備の新設、除却等の計画当第1四半期連結累計期間において、前連結会計年度末に計画中であった新設、休止、大規模改修、除却、売却等について重要な変更はありません。