【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の分析当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型ウイルス感染症拡大の第7波による感染再拡大の影響を受けながらも、各種行動制限の緩和により、人々の動きや社会経済活動が徐々に正常化へ向かう動きが見られました。しかし、一方で、ロシア・ウクライナ情勢の深刻化、急速な円安の進行等によって、原材料・エネルギー価格の高騰に起因する仕入れ価格・物流コストの上昇、これらによる商品価格の上昇に伴う個人消費停滞の懸念等、依然として先行き不透明な状況が続いております。
食品業界におきましては、昨今の生活スタイルの変化や消費者の購買行動の変化を背景として、家庭内で消費される食品に対する底堅い需要に支えられている反面、世界的な原材料・エネルギー価格の高騰を受けて各社で値上げ発表が相次ぎました。今後更なる物価上昇が懸念されているなかで、消費者の節約志向が高まるなど、引き続き厳しい経営環境となりました。
こうした環境変化を受けて、当社を取り巻く経営環境は「原材料価格の高騰」「新型ウイルス感染禍の継続」「それに伴う従業員の労働環境における安全の確保」「お客様への万全の供給体制の整備を最優先としたオペレーション」といった複合的な要因によって各種コストが上昇基調にあることもあり、今後も厳しい局面が続くものと予想しております。
このような状況のもと、当社グループは引き続き、安全・安心に重点をおいた包装米飯及び包装餅製品の安定供給、並びに適正価格での販売に努めることを基本に事業活動を推進してまいりました。具体的には、おいしさの追求はもちろんのこと、お客様の消費動向を捉えながら、多様化するニーズに対応可能な生産体制の整備を進めるとともに、新型ウイルスと“共生”する事を前提とした市場変化に対応すべく、「米食回帰・健康維持・多様化をキーワードとした新たな食の創造」を提案し、全社一体となった営業活動に取り組むことで業績の拡大を図ってまいりました。また、前年に引き続き包装米飯及び包装餅双方の通年需要の喚起を目的とした広告宣伝を実施する事で、喫食機会とブランド認知の拡大に努めて参りました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は、包装米飯及び包装餅製品ともに主力製品を中心に堅調に推移し、159億6百万円(前年同期比7.9%増)となりました。利益面につきましては、販売の増加と生産性向上による利益率の改善を要因として、営業利益は6億98百万円(前年同期比9.0%増)、経常利益は9億4百万円(前年同期比12.0%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は6億50百万円(前年同期比16.2%増)と、いずれも前年同期を上回る結果となりました。また、当社グループは主力製品である包装餅が季節商品(特に鏡餅)であり、その販売が年末に集中するため、第3四半期連結会計期間の売上高及び利益が他の四半期連結会計期間に比べ著しく増加する傾向があります。
製品分類別の販売動向
当社グループは、食品事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しておりますが、製品分類別における販売の動向は以下のとおりであります。
(包装米飯製品) 包装米飯製品は、近年の社会構造や生活様式の変化に伴い、パックごはん市場全体が拡大傾向にある中、新型ウイルス感染禍において「ストック」できることが、新たな食材選びの重要なポイントとされるなど、消費者の意識に変化が見られております。また、小麦を中心とした穀物の価格高騰を受け、価格が比較的安定しているコメの存在感が高まり、米食に回帰する動きが活発化しております。これらの消費動向の変化を背景に、まとめ買いニーズへの対応や食物繊維で始めるおいしい新健康生活の提案など様々な販売促進活動により、包装米飯製品の「家庭のご飯に代わる」日常食化に取り組んで参りました。また、通年需要の喚起を目的に、当社独自の厚釜炊き製法をアピールするテレビCM『サトウのごはん「ふっくら釜炊き編」』、「サトウのごはん8食パック」の発売に合わせたテレビCM『サトウのごはん「多幸(炊こう)感」』を引き続き全国放映いたしました。これらの取り組みとともに、1988年の発売当初より「炊きたてのおいしさ」を目指してきた「サトウのごはん」がより多くの食卓に受け入れられ、パックごはん市場で確固たるブランドを確立したこと、さらに、電子レンジ調理などの簡便、時短調理等、家庭内での調理ニーズが多様化する中で、パックごはんが備蓄食ではなく日常食というポジションに変わってきていることも、売上高が堅調に推移した要因として捉えております。その結果、包装米飯製品の売上高は115億47百万円(前年同期比9.7%増)となりました。なお、当社は、約45億円を投じて当社のパックごはん専用工場である聖籠ファクトリー(新潟県北蒲原郡聖籠町)に新たな生産ラインを増設し、2024年の稼働時には年間4億食の生産能力を確保することで、将来的な需要拡大に対応してまいります。
(包装餅製品)包装餅製品においても通年需要の喚起に積極的に取り組んでおります。まず、これまで「プレミアムライン」、「レギュラーライン」、「トライアルライン」の3つにセグメンテーションしていた切り餅の商品ラインナップに、普段の生活や行動の範囲内で手を出せる高級品、いわゆる “プチ贅沢”需要にお応えする「プライムライン」を追加し、「サトウの切り餅 特別栽培米新潟県産こがねもち」を2022年9月1日より全国にて販売開始いたしました。また、「サトウの切り餅/まる餅 乳酸菌プラス」において、人気アニメ「SPY×FAMILY」と合格祈願をテーマにコラボした特別企画商品「サトウの切り餅 乳酸菌プラス SPY×FAMILY デザインパッケージ全2種」の発売(2022年11月21日)を決定し、販売開始に向けて商品開発に取り組んでまいりました。さらに、女優の芦田愛菜さんが当社グループのみが個包装に使用している酸素を吸収する「ながモチフィルム」の特徴(鮮度保持剤なしでつきたての美味しさを24か月保持)を紹介するテレビCMや、切り餅「いっぽん」のスティック形状を活かした様々な召し上がり方を消費者の皆様に提案するテレビCMを継続的に放映することで、当社包装餅商品のブランド認知の深化に努めてまいりました。加えて、餅商品の喫食機会向上と新たな消費者層の獲得を目的として、人気動画クリエイターとタイアップした動画制作等も行ってまいりました。
年末商材である鏡餅については、引き続きダウンサイジング化が全体的に進んでいることから、「どこでも簡単に飾れる手頃なサイズの鏡餅!」をコンセプトとし、お客様の様々なニーズにお応えするため、化粧箱入りの「サッと鏡餅」と、置き場所を選ばない「小飾り」タイプの品揃え拡充を進めてまいりました。こうした商品コンセプトをベースに、幅広い層から支持を得ているアニメ「鬼滅の刃」のキャラクターを、昨年発売の「小飾りシリーズ」に加え、本年は化粧箱入りの「サッと鏡餅シリーズ」にも追加(2022年11月1日発売)し、年末の販売増加に向けての取り組みを実施してまいりました。また、流通における取り組みとして、鏡餅を店舗で陳列する際の開封作業の軽減を目的として開発した、段ボールを開封するとそのまま商品の陳列ができる「簡単!楽ちん段ボール」を引き続き採用し、取扱店の拡大に努めてまいりました。包装餅の販売は、昨年末から続く様々な食料品の値上げに対して、当社餅商品は従来通りの価格で販売提案を行った結果、小売店各社の売上対策と当社提案が合致したことで、例年以上に販促機会が増加し、売上高は堅調に推移いたしました。その結果、包装餅製品の売上高は43億48百万円(前年同期比3.4%増)となりました。
(2) 財政状態の分析(資産)当第2四半期連結会計期間末における流動資産は215億42百万円となり、前連結会計年度末に比べ53億47百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が3億69百万円、仕掛品が2億82百万円減少したものの、商品及び製品が47億23百万円、売掛金が11億62百万円増加したことによるものであります。固定資産は197億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億42百万円減少いたしました。これは主に投資有価証券の新規取得および保有する投資有価証券の時価総額の増加により、投資有価証券が3億2百万円増加したものの、減価償却の進行に伴い有形固定資産が8億38百万円減少したことによるものであります。この結果、総資産は412億49百万円となり、前連結会計年度末に比べ49億4百万円増加いたしました。
(負債)当第2四半期連結会計期間末における流動負債は179億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ57億36百万円増加いたしました。これは主に未払金が11億20百万円、1年内返済予定の長期借入金が2億33百万円、未払法人税等が1億75百万円減少したものの、運転資金としての短期借入金が58億50百万円、買掛金が13億66百万円増加したことによるものであります。固定負債は64億24百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億75百万円減少いたしました。これは主に長期借入金の減少によるものであります。この結果、負債合計は243億32百万円となり、前連結会計年度末に比べ44億61百万円増加いたしました。
(純資産)当第2四半期連結会計期間末における純資産合計は169億17百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億42百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益の計上及び剰余金の配当があったことによるものであります。この結果、自己資本比率は41.0%(前連結会計年度末は45.3%)となりました。
(3) キャッシュフローの状況当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末(16億65百万円)に比べ3億69百万円減少し、12億96百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果支出した資金は26億15百万円(前年同期比21億70百万円の支出減少)となりました。これは主に、減価償却費、税金等調整前当期純利益及び仕入債務の増加により資金が増加した一方で、売上債権、棚卸資産の増加及び法人税等の支払により資金が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果支出した資金は18億86百万円(前年同期比6億35百万円の支出増加)となりました。これは主に、有形固定資産、無形固定資産及び投資有価証券の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果得られた資金は41億33百万円(前年同期比26億20百万円の収入減少)となりました。これは主に、長期借入れの返済及び配当金の支払いにより資金が減少したものの、短期借入れによる収入により資金が増加したことによるものであります。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループが事業上及び財務上の対処すべき課題について重要な変更及び新たに生じたものはありません。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は67百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 主要な設備当第2四半期連結累計期間末日において、確定している重要な設備計画は、次の通りであります。
会社名
事業所名(所在地)
設備の内容
投資予定額
資金調達方法
着手年月
完了予定年月
完成後の増加能力
総額(百万円)
既支払額(百万円)
提出会社
聖籠ファクトリー(新潟県北蒲原郡)
無菌化包装米飯製造設備(生産ラインの増設)
約4,500
449
借入金及び自己資金の予定
2023年3月
2024年2月
包装米飯生産能力約20%増