【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され経済活動の正常化が進む中、世界的な金利の上昇や円安、ウクライナ情勢の長期化に起因する原油・原材料の高騰等、依然として景気の先行きが見通せない状況が続いております。
不動産業界におきましては、戸建住宅に対する需要は底堅い面がある一方で、土地価格や建築資材の高騰により、販売価格が上昇していることもあり、販売面では厳しい状況が続いております。また、ウッドショックによる木材価格の上昇は落ち着きつつあるものの、各種資材価格の上昇による建築コストや人件費の増加に加え、工期などへの影響も払拭されず、事業環境は厳しさが増す状況となっております。
このような経営環境の中、当社グループでは、企業理念「1.住宅作りにおいて、社会へ貢献する。2.より良いものを、より安く、より早く、より安全に提供することで社会へ貢献する。3.人を育て、健全経営を行い、社会へ貢献する。」の下、お客様に心から喜んで頂ける魅力的な住宅を、比較的安価で、且つ適切な価格で供給することにこだわり、当社グループ一丸となり、業績の向上と企業価値の向上に取り組んでおります。
戸建事業におきまして、主力の戸建分譲では、販売棟数の着実な拡大と収益性の維持に向けて、分譲用地仕入の厳選と安定的な確保、仕入から完成までの工程管理の強化やバリューエンジニアリングの継続による建築コストの適切なコントロールに注力するとともに、販売価格が35百万円以上の戸建住宅には原則として住宅性能評価を標準化するなど商品力強化に向けた各種の取組を進めてまいりました。また、令和5年2月に原支店(名古屋市天白区)の新設や生活応援キャンペーンを実施するなど、事業エリアの拡大と販売促進にも努めております。当第3四半期連結累計期間には、住宅を含め全体的な物価上昇に伴い消費者マインドが低下傾向にあり、販売面では苦戦が強いられる状況となりましたが、販売棟数は882棟(前年同期比 5.5%増)と、前年同期に比べて販売用不動産在庫を確保していたことや、各種取組の強化により増加いたしました。一方、収益面では、前年同期においては比較的利益率の高い物件が多かったのに対し、当第3四半期連結累計期間においては、戸建住宅価格の上昇により購買マインドが低下したこともあり、値下げして販売する物件が増加した結果、前年同期よりも利益率が低下する状況となっております。請負工事につきましては、建築コストの上昇により厳しい環境が続いており、当第3四半期連結累計期間の引渡棟数は20棟(同 52.4%減)にとどまりましたが、顧客ニーズも多様化している中、新しいコンセプトのモデルハウスを設置するなど、受注獲得に向けた動きを進めております。
マンション事業では、賃貸による安定的な収益を着実に拡大するべく、賃貸用不動産の新規取得を進めており、また区分所有単位で取得した中古マンションのリノベーション販売では、当第3四半期連結累計期間の販売実績は12戸(同 29.4%減)となりました。特建事業につきましては、前連結会計年度に受注した3物件が完成し引渡しを行いました。
なお、当社は令和5年4月1日施行の株式会社東京証券取引所の規則改正に伴い、スタンダード市場への上場の再選択の機会が得られたことから、令和5年9月4日開催の取締役会でスタンダード市場への選択申請をすることを決議するとともに、申請いたしました。本件の詳細につきましては、令和5年9月4日付で公表いたしました「プライム市場の上場維持基準への適合に向けた計画に基づく進捗状況(変更)及びスタンダード市場への選択申請及び適合状況について」をご参照ください。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間における経営成績は、売上高297億83百万円(前年同期比 6.8%増)、営業利益20億10百万円(同 7.3%減)、経常利益19億64百万円(同 7.2%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益12億78百万円(同 6.8%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(戸建事業)
戸建事業のうち主力の戸建分譲について、当第3四半期連結累計期間における販売棟数は882棟(うち、戸建分譲 822棟、土地分譲 60区画)(前年同期比 5.5%増)となり、売上高は281億93百万円(同 8.2%増)となりました。前年同期には完成在庫棟数が少なく販売棟数が伸び悩んだものの、比較的利益率の高い物件が多かったのに対し、当第3四半期連結累計期間においては、分譲用地仕入と工程管理の強化に取り組み、供給棟数の増加に取り組んだ結果、完成在庫棟数を確保した結果、売上高は伸長いたしましたが、収益性については、土地価格や建築資材価格の高騰に加え、消費者マインドが冷え込む中、値下げを行って販売する物件が増加したことにより、利益率が前年同期に比べて低下いたしました。請負工事におきまして、引渡棟数は20棟(同 52.4%減)、売上高は5億27百万円(同 37.0%減)となりました。戸建事業に関するその他の売上高は92百万円(同 17.2%減)となりました。
これらの結果、戸建事業全体の売上高は288億12百万円(同 6.7%増)となり、セグメント利益は24億68百万円(同 8.6%減)となりました。
(その他)
その他の事業セグメントのうち、マンション事業について、賃貸収益による売上高は5億円(前年同期比 5.3%増)となりました。マンション分譲についてはリノベーションマンション12戸(同 29.4%減)を販売し、売上高は2億99百万円(同 18.8%減)となりました。特建事業については、前年同期には木造集合住宅1棟の請負工事が完成・引渡となったのに対し、当第3四半期連結累計期間においては木造集合住宅3棟の請負工事が完成・引渡となり、売上高は1億65百万円(同 288.5%増)となりました。
これらにマンション事業に関するその他の売上高を加え、その他の事業セグメント全体の売上高は9億65百万円(同 8.8%増)となり、セグメント利益は2億71百万円(同 13.8%増)となりました。
② 財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末における総資産は531億45百万円(前連結会計年度末比 0.3%増)となり、前連結会計年度末に比べて1億45百万円増加いたしました。主な増加要因は、棚卸資産の増加34億71百万円及び有形固定資産の増加9億6百万円であり、主な減少要因は、現金及び預金の減少40億93百万円であります。当第3四半期連結累計期間におきましては、主力である戸建事業において販売棟数の拡大に向けた完成棟数の増加と今後の収益性の改善に向けた分譲用地仕入の厳選に取り組み、その結果、前連結会計年度末に比べて、販売用不動産は47億23百万円増加した一方、仕掛販売用不動産は13億12百万円減少いたしました。また、有形固定資産の増加につきましては、主にマンション事業における賃貸用不動産の取得によるものであります。
負債合計は145億76百万円(同 4.1%減)となり、前連結会計年度末に比べて6億16百万円減少いたしました。主な増加要因は、短期有利子負債の増加1億98百万円であり、主な減少要因は、支払手形・工事未払金並びに電子記録債務を合計した仕入債務の減少4億39百万円及び未払法人税等の減少3億26百万円であります。仕入債務の減少は、主に仕掛販売用不動産の減少に伴うものであります。
また、純資産は385億68百万円(同 2.0%増)となり、前連結会計年度末に比べて7億61百万円増加しております。主な増減の要因は、当第3四半期連結累計期間における親会社株主に帰属する四半期純利益12億78百万円に対して、配当金を5億97百万円支払ったこと等により、利益剰余金が6億81百万円増加したことであります。
これらの結果、自己資本比率は70.2%となり、前連結会計年度末に比べて1.1ポイント上昇いたしました。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第3四半期連結累計期間において、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
(3)経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第3四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。
(7)経営成績に重要な影響を与える要因
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した内容から重要な変更はありません。
(8)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した内容から重要な変更はありません。なお、当第3四半期連結会計期間末における現金及び預金の残高は150億79百万円となり、前連結会計年度末に比べて40億93百万円減少いたしました。また、借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は84億62百万円となり、前連結会計年度末に比べて1億5百万円増加いたしました。