【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、国内外において新型コロナウイルス感染症の影響を受け、依然として厳しい状況が続きました。足元ではワクチン接種の促進等、感染拡大の抑制に向けた政策の効果により、極めて厳しい状況から持ち直しの動きが続くことが期待されるものの、国内景気や企業収益に与える影響については先行き不透明な状況が続くものと予想されます。
当社グループが主にサービスを提供する情報産業分野においては、景気の回復とともにデジタル化に向けた投資は加速していくものと見られ、事業基盤強化のための基幹システム構築や次期システム開発など、IT投資需要は堅調に推移いたしました。
引き続き、クラウドコンピューティング、AI、IoT、ビッグデータ、RPAなどの先端技術を活用した「デジタルトランスフォーメーション(DX)」推進の動きが活発化し、システムの再構築需要等、事業拡大に向けたIT投資への意欲は継続して広がりを見せております。最適なITインフラが企業の経営戦略を支える重要な役割を担い、これら企業の需要に対応する質の高いITエンジニアの採用・育成の必要性が加速度的に高まっております。
このような環境の下、当社グループは積極的な人材の採用及び良質なエンジニアの育成によるサービスの価値向上に取り組むとともに、一次産業の「デジタルトランスフォーメーション(DX)」化の実現を目指す「みどりクラウド」による農業IT分野でのシェア拡大にも引き続き注力してまいりました。一方、今後の企業の投資動向につきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響によるIT投資計画の見直し・抑制などについて十分に注視していく必要があります。
(a)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べ1,388,309千円増加し8,730,681千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ201,751千円増加し4,114,392千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,186,557千円増加し4,616,288千円となりました。
(b)経営成績
当連結会計年度の業績について、当社グループの売上高は15,263,442千円(前連結会計年度比10.8%増)、営業利益は1,356,213千円(前連結会計年度比19.5%増)、経常利益は1,836,704千円(前連結会計年度比57.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,240,783千円(前連結会計年度比89.7%増)となりました。
事業分野別のセグメント概況は、次のとおりであります。
(システムインテグレーション事業)
システムインテグレーション事業においては、既存技術領域でのIT技術支援を推進し、長期安定的な分野であるITインフラ・クラウドテクノロジーや、デジタルクリエイティブ・WEB運営、WEBシステム開発などのサービスを提供しております。
当連結会計年度においては、前連結会計年度における公共案件獲得および人材のDXシフトにより、減収減益となったものの引き続き、「システムの開発および運用」「ITインフラの設計構築」「プロジェクトマネジメント」等の成長領域における人材拡充に取り組んでまいりました。当第3四半期より未経験エンジニア採用の急速な拡大及び、育成に注力するとともに、ビジネスパートナー各社との連携強化による外部リソース活用の拡大に積極的に取り組みました。
さらに未経験エンジニアの即戦力化を可能とする「実機研修プロジェクトルーム」を開設し運用を実施しており、若手社員から中堅社員、リーダー層まで幅広い先端技術の習得にも活用しております。
これらの結果、当セグメントの売上高は10,799,029千円(前連結会計年度比1.1%減)、セグメント利益は891,101千円(前連結会計年度比12.7%減)となりました。
(デジタルトランスフォーメーション事業)
デジタルトランスフォーメーション事業においては、Salesforceの定着化支援を軸としたカスタマーサクセスソリューション事業、企業の情報資産を保護するクラウド&ソリューション事業、RPAによる業務の効率化、ITの活用で儲かる農業を実現する「みどりクラウド」等の先端技術を用いたサービスを提供しております。
当連結会計年度においては、それぞれの技術領域におけるニーズの継続的な拡大により、売上は堅調に推移いたしました。
カスタマーサクセスソリューション事業では、これまで以上の積極的な人材採用や社内技術者のDXシフトを強化することにより、Salesforce技術者の育成・創出に取り組みました。また、新規顧客開拓にも注力しておりますが、NTTデータ社およびネットイヤーグループ社とのアライアンス(営業の共創)により、更なる新規顧客拡大を加速させてまいります。
農業向けサービスにおいては、農業・畜産関連事業者、自治体などに対して「みどりクラウド」「ファームクラウド」を用いた農業・畜産のDX化を積極的に提案することで受注の積み上げを図るとともに、農業水産畜産分野のDXコンサルティングサービスの提供を開始いたしました。
また、データ活用を含めたこれまでよりも強固なパートナーシップを実現する新たな代理店制度を設け2社と契約を締結するなど、みどりクラウドが有する資産の価値拡大に取り組んでおります。
これらの結果、当セグメントの売上高は4,000,058千円(前連結会計年度比65.2%増)、セグメント利益は418,708千円(前連結会計年度比161.4%増)となりました。
(機械設計エンジニアリング事業)
機械設計エンジニアリング事業においては、連結子会社である株式会社ピーズエンジニアリングでの3DCAD分野の技術提供、機械・金型などの受託設計サービス、実験や性能検査などの品質管理に関わる技術を提供しておりますが、新たな技術提供の領域として、通信建設や情報通信のサービスも拡大いたしました。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う市況の影響はあるものの、徐々にニーズの回復がみられ、稼働率が向上したことと、新しい技術領域での案件獲得が図れたことにより、売上は堅調に推移いたしました。引き続き、各領域での案件獲得が期待されることから、企業規模拡大に向け積極的に採用及び育成に取り組んでまいります。
これらの結果、当セグメントの売上高は472,619千円(前連結会計年度比8.4%増)、セグメント利益は48,276千円(前連結会計年度はセグメント損失32,780千円)となりました。
(その他事業)
その他事業においては、連結子会社である株式会社セラクECAでの有料職業紹介・人材派遣・IT技術教育講座等のサービスを提供しております。
当連結会計年度においても、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う市況の悪化が続いていることから、当社グループにおける今後の方針について、検討を進めております。
これらの結果、当セグメントの売上高は2,835千円(前連結会計年度比89.8%減)、セグメント損失は1,872千円(前連結会計年度はセグメント損失13,926千円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、資金という)の残高は、5,409,507千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、1,467,861千円(前連結会計年度は995,530千円の収入)となりました。
主な要因は、法人税等の支払額565,587千円、未払消費税等の減少額189,220千円、たな卸資産の増加額39,500千円、前払費用の増加額33,645千円等の資金の減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益1,820,624千円、減価償却費31,545千円、投資有価証券評価損15,669千円を計上したこと、未払金の増加額258,570千円、賞与引当金の増加額117,854千円、仕入債務の増加額53,753千円等の資金の増加要因が生じたことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、186,333千円(前連結会計年度は160,453千円の使用)となりました。
主な要因は、保険積立金の積立による支出83,602千円、有形固定資産の取得による支出70,627千円、敷金及び保証金の差入による支出40,171千円等の資金の減少要因が生じたことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、154,674千円(前連結会計年度は724,561千円の収入)となりました。
主な要因は、新株予約権の行使による株式発行による収入12,222千円等の増加要因が生じたものの、長期借入金の返済による支出106,660千円、配当金の支払額59,648千円等の資金の減少要因が生じたことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
(a)生産実績
当社グループは受注生産を一部行っておりますが、事業内容が多岐にわたっており、受注生産の重要性が乏しいことから、記載を省略しております。
(b)受注実績
当社グループは受注開発を一部行っておりますが、事業内容が多岐にわたっており、受注開発の重要性が乏しいことから、記載を省略しております。
(c)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2020年9月1日
至 2021年8月31日)
前連結会計年度比(%)
システムインテグレーション事業(千円)
10,799,029
△1.1
デジタルトランスフォーメーション事業(千円)
4,000,058
65.2
機械設計エンジニアリング事業(千円)
472,619
8.4
その他事業(千円)
2,835
△89.8
調整額(千円)
△11,101
-
合計
15,263,442
10.8
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり必要となる見積りに関しては、過去の実績等を勘案し合理的と判断される基準に基づいて行っております。なお、連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況、1連結財務諸表等、(1) 連結財務諸表、注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による会計上の見積りへの影響については、「第5 経理の状況、1連結財務諸表等、(1) 連結財務諸表、注記事項(追加情報)」に記載しております。
② 財政状態の分析
(a)資産
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比べ1,388,309千円増加し8,730,681千円となりました。これは主に、現金及び預金が1,128,656千円、投資その他が139,227千円増加したことなどによるものであります。
(b)負債
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ201,751千円増加し4,114,392千円となりました。これは主に、長期借入金が255,570千円、未払消費税等が189,220千円減少したものの、未払金が277,633千円、1年内返済予定の長期借入金が148,910千円、賞与引当金が117,854千円、買掛金が53,753千円、未払法人税等が27,963千円増加したことなどによるものであります。
(c)純資産
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,186,557千円増加し4,616,288千円となりました。これは主に、利益剰余金が1,177,458千円増加したことによるものであります。
③ 経営成績の分析
(a)売上高
売上高については15,263,442千円(前連結会計年度比10.8%増)となりました。これは主に、引き続き堅調な市況感での技術者並びに受注案件の増加によるものであります。
(b)売上原価
売上原価については11,596,130千円(前連結会計年度比10.6%増)となりました。これは主に、売上高の増加によるものであります。
この結果、売上総利益は3,667,311千円(前連結会計年度比11.6%増)となりました。
(c)販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費については2,311,097千円(前連結会計年度比7.5%増)となりました。これは主に、販売費や人件費の増加によるものであります。
この結果、販売費及び一般管理費は増加した一方、採用効率化やキャリア支援が一定の成果を上げたため、営業利益は1,356,213千円(前連結会計年度比19.5%増)となりました。
(d)営業外損益
営業外損益については、営業外収益が484,531千円(前連結会計年度比1,301.5%増)、営業外費用が4,041千円(前連結会計年度比6.3%増)となりました。
この結果、経常利益は1,836,704千円(前連結会計年度比57.6%増)となりました。
(e)特別損益
特別損益については、特別損失が16,241千円となりました。これは主に、当連結会計年度においては投資有価証券評価損15,669千円が発生したことによるものであります。
この結果、税金等調整前当期純利益は1,820,624千円(前連結会計年度比71.2%増)となりました。
(f)親会社株主に帰属する当期純利益
法人税等合計は、法人税、住民税及び事業税を591,993千円、法人税等調整額を△12,153千円計上し579,840千円となりました。
この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は1,240,783千円(前連結会計年度比89.7%増)となりました。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、資金という)の残高は、5,409,507千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、1,467,861千円(前連結会計年度は995,530千円の収入)となりました。
主な要因は、法人税等の支払額565,587千円、未払消費税等の減少額189,220千円、たな卸資産の増加額39,500千円、前払費用の増加額33,645千円等の資金の減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益1,820,624千円、減価償却費31,545千円、投資有価証券評価損15,669千円を計上したこと、未払金の増加額258,570千円、賞与引当金の増加額117,854千円、仕入債務の増加額53,753千円等の資金の増加要因が生じたことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、186,333千円(前連結会計年度は160,453千円の使用)となりました。
主な要因は、保険積立金の積立による支出83,602千円、有形固定資産の取得による支出70,627千円、敷金及び保証金の差入による支出40,171千円等の資金の減少要因が生じたことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、154,674千円(前連結会計年度は724,561千円の収入)となりました。
主な要因は、新株予約権の行使による株式発行による収入12,222千円等の増加要因が生じたものの、長期借入金の返済による支出106,660千円、配当金の支払額59,648千円等の資金の減少要因が生じたことによるものであります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、今後も更なる収益基盤の安定化及び持続的な成長を図るためには、収益源の多様化を実現する必要があると考えており、自社による新規事業の創出及び拡大のみならず、業務提携、M&A等の新たな事業・サービスへの提携・投資を積極的に取り組んでいく方針であります。当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループのサービスを効果的に拡大していくための採用費、開発に係る人件費及び研究開発費であります。投資を目的とした資金需要は、主にM&A及び設備投資等によるものであります。これらの資金需要は自己資金により充当することを基本的な方針としておりますが、多額なM&A等の戦略的投資については、必要に応じて金融機関からの借入を実施いたします。
⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが参入している業界において、技術革新のスピードが速く、常に最先端に向けた研究開発や成長のための投資を積極的かつ継続的に行う必要があるため、事業の収益力を示す売上高経常利益率を中長期的な経営指標として重視しております。
⑦ 経営者の問題認識と今後の方針
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
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