【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績当第2四半期連結累計期間における我が国の経済は、それまでの新型コロナウイルス感染症の流行、世界的エネルギー価格の上昇、電力需給の逼迫、国内のエネルギー事情の混乱、更には世界的なインフレに起因する急激な円安等が一段落し、国内需要を中心に景気は緩やかな持ち直しの兆しをみせつつあります。一方で事業環境は、2020年10月の菅政権による、我が国が2050年までにカーボンニュートラルを目指す宣言、及び2030年度に温室効果ガス排出量を2013年度比46%削減する目標設定を契機とする、環境意識の大幅な高まりが一層加速しつつあり、自社消費電力の再生可能エネルギー調達へのシフトはRE100参加企業等の一部の大企業のみならず、サプライチェーンに関連する多くの企業にとっても、既に最重要課題と位置付けられております。2012年のFIT制度開始に伴い、安定投資対象として拡大してきた太陽光発電所をはじめとする再生可能エネルギー発電所は、環境問題の解決に向けた脱炭素化のための設備へと、大きくその位置付けを変え、再エネ発電所の取得ニーズ、グリーン電力の利用ニーズは日に日に膨らんでいる状況にあります。このような状況の中、当社グループは2022年10月に新規3か年計画を発表し、再生可能エネルギーをとりまく環境変化に迅速に対応するため、事業構造の大幅な転換に舵をきりました。2022年8月期に233億円と売上高の35%を占めた電力小売事業からの撤退、220億円と売上高の32%を占めたメガソーラー事業の縮小に対し、自家消費型産業用太陽光発電所請負事業と非FIT発電所開発販売事業を二本柱として経営資源を集中し、非FIT関連事業を大きく伸ばしていく内容となります。それぞれ、産業用太陽光発電所請負事業は売上高約94億円と前年同期比で6割増の実績を計上し、非FIT発電所開発事業は後述の再生可能エネルギー普及に伴う各種規制の強化、新設により工事着工に至るまでのリードタイムが増加し、計画進捗に遅れが生じているものの、系統接続連系回答取得済の案件ストックは着実に積みあがっております。更に、11月には大阪ガス株式会社との共同新規事業として、系統蓄電池(蓄電所)の開発事業への参入も果たしました。いずれも増大する需要に対し、如何に供給を増やしていけるかがポイントであり、十分な安全性を確保しつつ施工能力の拡大に全力を注いでまいります。この結果、当第2四半期連結累計期間においては、売上高は14,801百万円(前年同四半期比57.2%減)、営業利益は1,510百万円(前年同四半期比44.4%減)、経常利益1,219百万円(前年同四半期比50.3%減)及び親会社株主に帰属する四半期純利益1,052百万円(前年同四半期比37.6%減)を計上いたしました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。なお、セグメント別の金額については、売上高はセグメント間の取引を含んでおり、営業利益は固定資産の未実現利益消去等調整前の金額であります。①
再生可能エネルギー事業産業用太陽光発電所請負事業におきましては、環境意識の大幅な高まりを背景にいち早くFIT制度への依存から脱却し、自家消費型に特化した効果が表れつつあり、好調な受注状況に加え、昨年度からのずれ込み案件も順調に完成引渡が完了し、前年同期比で6割増の約94億円の売上を計上しました。また、施工能力の増強と収益性の安定化を目的とした産業用太陽光発電所のパッケージ化(ウエストサステナブルスタンダード)を導入し、当初想定を上回る実績を示しつつあります。非FIT発電所の開発販売事業におきましては、前年度まで大きなボトルネックとなっていた電力会社との接続連系回答の遅延は概ね改善しているものの、建設用地の開発にかかる各種許認可の取得に想定以上の時間を要する状況となっていることに加え、小規模事業用電気工作物の新制度が施行され、2023年3月20日より50kW未満の低圧発電所についても、基礎情報と使用前自己確認の届出が義務付けられたことから、接続連系に至るまでの工程が更に増加することとなりました。いずれも今後の再生可能エネルギー普及に向け必要な社会的要請であると捉えており、新たに発生する課題に対しても丁寧に対応を進めている状況です。系統接続連系回答取得済の案件ストックはほぼ計画通りに積みあがっているものの、工事着工件数は計画ペースを下回っており、完成引渡に相応のずれ込みが生じることが見込まれます。また、大企業を中心に、PPA事業も堅調に受注を伸ばしております。特にタイ国においては既にこのPPA事業が主力事業として大きく成長しつつあります。いずれも需要が大きく高まっている一方で、地政学リスクの増加、インフレ加速懸念、為替相場動向等、供給面でのリスクを踏まえつつ、施工能力を引き上げていく必要性が高まっており、今後も最優先課題として取り組んでまいります。以上の結果、売上高は11,557百万円(前年同四半期比19.2%減)、営業利益722百万円(前年同四半期比72.1%減)となりました。② 省エネルギー事業提携金融機関とのアライアンスによる情報を活用し、商業施設や工場・病院などのエネルギーを大量に消費する施設に対し省エネのトータルサービスを提供、特にお客様に初期費用の負担が生じないウエストエスコ事業の受注拡大に努めてまいりました。このウエストエスコ事業については、施工実績が増加することにより、LED照明は5年から7年、空調設備は10年から12年にわたり、将来の安定収入に繋がるストック事業となります。以上の結果、売上高は921百万円(前年同四半期比8.8%減)、営業利益250百万円(前年同四半期比16.3%減)となりました。③ 電力事業電力小売事業は2022年6月末日をもって電力供給を終了しております。グリーン電力卸売事業は立ち上げ期にあたりますが、今後グリーン電力調達源の非FIT発電所の開発件数が増加するに従い、取扱高も増加していく見込みです。自社売電事業におきましては、従来保有していた約58MWの発電所に加え、2022年8月より石川県穴水の60MWメガソーラー(36円FIT)が発電開始しており、安定収益の底上げが実現しております。以上の結果、売上高は1,608百万円(前年同四半期比91.4%減)、営業利益259百万円(前年同四半期は営業損失762百万円)となりました。④ メンテナンス事業当社グループにて企画・設計・施工を行ったメガソーラー発電所を中心に、安定した売電収入を得られることを目的として施設の継続的なメンテナンスを行い、太陽光発電所のオーナー様へ安全・安心・感動を提供し、受注実績を積み上げてまいりました。契約総容量は前期末824MWより当期末967MWと、着実に増加しております。当社グループの施工件数の増加に伴い、契約件数の一層の拡大が期待できます。以上の結果、売上高は866百万円(前年同四半期比6.0%増)、営業利益208百万円(前年同四半期比27.0%減)となりました。⑤ その他その他の売上高は0百万円(前年同四半期比21.0%増)、営業利益0百万円(前年同四半期比21.0%増)となりました。
(2) 財政状態当第2四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末比3,886百万円増加し105,304百万円となりました。また、負債につきましては、前連結会計年度末比5,033百万円増加し78,898百万円、純資産につきましては、前連結会計年度末比1,146百万円減少し26,406百万円となりました。主な内容は以下のとおりであります。 資産の増加の主な要因は、完成工事未収入金7,175百万円及び未収入金1,370百万円がそれぞれ減少した一方、現金及び預金の増加9,608百万円と未成工事支出金1,200百万円の増加によるものであります。 負債の増加の主な要因は、支払手形及び買掛金1,184百万円及び工事未払金が451百万円減少した一方、借入金が6,891百万円増加したことによるものであります。 純資産の減少は、親会社株主に帰属する四半期純利益を1,052百万円計上した一方、配当金の支払2,236百万円によるものであります。
(3)
キャッシュ・フローの状況 当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ9,609百万円増加し、37,318百万円となりました。 当第2四半期連結累計期間に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動による資金の増加は、7,092百万円(前年同四半期は4,603百万円の減少)となりました。主な要因は、税金等調整前四半期純利益1,468百万円の計上、売上債権の減少7,603百万円、仕入債務の減少1,673百万円、未収入金の減少1,856百万円によるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動による資金の減少は、1,763百万円(前年同四半期は482百万円の増加)となりました。主な要因は、投資有価証券の取得による支出280百万円、有形固定資産の取得による支出1,268百万円によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動による資金の増加は4,264百万円(前年同四半期は1,232百万円の増加)となりました。主な要因は、借入金及び社債が純額で6,517百万円の増加、配当金の支払額2,234百万円によるものであります。
(4)
事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)
研究開発活動特に記載すべき事項はありません。