【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。なお、2021年12月22日に行われた株式会社スタジオディテイルズとの企業結合について前第3四半期連結会計期間に暫定的な会計処理を行っておりましたが、前連結会計年度末に確定したため、前年同四半期連結累計期間との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。
(1) 業績の状況当第3四半期連結累計期間における世界経済は、ウクライナ及びロシアの情勢による国際情勢の緊迫化や、世界的なインフレの進行リスクに対応した政策金利の引き上げ等、経済環境の先行きは不透明な状況が続いております。日本経済においては、インバウンド需要の増加や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する感染拡大防止策等により、社会経済活動の正常化が進み、景気は緩やかに回復の兆しがみられておりますが、原材料・エネルギー価格の高騰による為替動向の懸念、物価の上昇等により、依然として先行き不透明な状況が続いております。加えて、日本企業は、グローバル化、戦略実現のスピードアップ、イノベーション創発、企業間連携の促進、生産性の向上、また、それらを実現するためのテクノロジーの活用といったテーマに直面し、激しく変化する市場環境における経営のあり方そのものの見直しを迫られております。特に大手企業を中心に、デジタルの力で新規事業やビジネスモデルの変革を行うことを余儀なくされており、「デジタルトランスフォーメーション(DX)(注1)」に強い関心が寄せられ、既存のビジネスモデルや業界構造を大きく変化させる新たなデジタル化の流れに注目が集まっております。企業はユーザーにより高い付加価値を提供するため、クラウド等のプラットフォーム、スマートフォンやIoT等の新たなデバイス、AIやブロックチェーン等の新たなテクノロジーを組み合わせたプロダクトやサービスの開発に取り組んでおります。そして、これらデジタル技術を活用した取り組みは、従来のビジネスモデルや業界構造を大きく変化させる可能性があります。このような事業環境の中で、当社グループは「ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる」というビジョンのもと、「デザインの力を証明する」というミッションを掲げて、「デザイン」を通じて人々の生活がより便利になり、より暮らしやすくなることを目指し事業活動を推進してきました。主要事業であるデザインパートナー事業においては、当社の強みである戦略デザインやUI/UXデザイン(注2)と、連結子会社である株式会社スタジオディテイルズの強みである質の高いクリエイティブとブランディングを融合し、顧客企業のさらなる期待に応えられるよう、デザイン支援の提供を行ってまいりました。加えて、2023年4月には、中長期的な成長のために、株式会社サイバーエージェントとの間で、業務提携及び第三者割当による新株式の発行を発表いたしました。当社グループの強みであるUI/UXデザインの品質並びに豊富なデザイン人材のリソース、そして株式会社サイバーエージェントの強みであるデジタルサービスの開発やグロースにおける豊富なナレッジ、幅広い顧客リーチを組み合わせることで、お互いの強みを活かしながら、ユーザー起点で顧客企業のDXを大きく前進させることが可能であり、両社の事業拡大と企業価値向上に資するものであります。また、自社サービスである「ReDesigner」、「Strap」、「Prott」などのプロダクトで構成されるデザインプラットフォーム事業においては、デザインパートナー事業で培ったノウハウやブランドを有効活用することに注力しながら推進してまいりました。以上の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は2,869,937千円(前年同期比2.2%増)、営業利益は264,202千円(前年同期比30.9%減)、経常利益は262,535千円(前年同期比31.2%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は186,770千円(前年同期比17.7%減)となりました。
報告セグメント別の業績の状況は以下のとおりであります。なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比較は、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表注記事項(セグメント情報等) セグメント情報」の「2.報告セグメントの変更等に関する事項」に記載のとおりであります。
① デザインパートナー事業デザインパートナー事業は、顧客企業の持つ本質的な価値を発見し、その要素を紐解きながら、顧客企業のユーザーが持つ価値観に則して、その価値が適切に伝わるように顧客企業の戦略やブランディング、ビジネスプロセス等も踏まえてデザインを実装していきます。その際に、当社のUXデザイナー及びUIデザイナーが中心となり、顧客企業のプロジェクトチームと一体となり、デザインプロジェクトをリードします。主にWebサイトやアプリケーション等のデジタルプロダクトのデザイン開発を進めたい顧客企業に対しては、顧客企業が必要とするUI/UXデザインの実現を支援します。さらにそのようなデジタルプロダクトの実装や開発まで希望する顧客企業に対しては、当社のエンジニアによりアプリケーション開発を行います。そのような過程において、顧客企業は既存ビジネスプロセスをデジタル化し、イノベーションの創出を図ることが可能です。また、顧客起点の新たな価値創出のための変革を図りたい顧客企業に対しては新規事業の検証やアイデアを創出するための支援についても行っております。近年デジタルトランスフォーメーション(DX)が注目を集め、企業がデジタル領域において変革を求められる状況の中で、デザインの持つ役割の重要性は益々高まっております。そのような状況の中、デザインパートナー事業では、数多くのデジタルデザイン支援の知見を集約し、経験豊富なデザイナーを集め、育成することで、より多くの企業に対して、高品質なデザイン支援を行うことが可能になります。そのため、デザインパートナー事業はデザイナーの採用活動を積極的に行い、提供リソースであるデザイナー人員を拡大するとともに、より幅広い業種業態の顧客企業に対してデザイン支援を実施してまいりました。加えて、日本国内の正社員デザイン部門及び「Goodpatch Anywhere」における営業リードの共有に加え、プロジェクト獲得やデザイナーリソースの連携を行ってまいりました。なお、2023年8月期第1四半期連結会計期間より、従来、デザインプラットフォーム事業に含めていた「Goodpatch Anywhere」をデザインパートナー事業に変更しております。当第3四半期連結累計期間においては、プロジェクト獲得数が増加し、正社員デザイン部門(Goodpatch Anywhereを除く)によるプロジェクト提供を行った顧客社数(注3)は46.0社(前年同期は36.7社、前年同期比25.5%増)、月額平均顧客単価(注4)は5,024千円(前年同期は6,027千円、前年同期比16.6%減)となりました。また、当第3四半期連結会計期間末において、正社員デザイン部門(Goodpatch Anywhereを除く)のデザイナー数は146名(前年同期比9.9%減)、「Goodpatch Anywhere」の所属デザイナー数は506名(うち稼働デザイナー数は75名、前年同期比27.8%増)となりました。以上の結果、当第3四半期連結累計期間におけるデザインパートナー事業の外部顧客への売上高は2,647,873千円(前年同期比1.8%増)、営業利益は348,084千円(前年同期比28.1%減)となりました。
(デザインパートナー事業のKPI推移)
2022年8月期
2023年8月期
第1四半期
第2四半期
第3四半期
第4四半期
第1四半期
第2四半期
第3四半期
実績
実績
実績
実績
実績
実績
実績
前年同期比
顧客社数(社)
26.7
29.3
36.7
35.0
29.3
42.7
46.0
25.5%
月額平均顧客単価(千円)
7,816
6,383
6,027
5,685
6,329
5,154
5,024
△16.6%
※2022年8月期第3四半期連結会計期間より、顧客社数及び月額平均顧客単価は、連結子会社の株式会社スタジオディテイルズの数値を含めております。※Goodpatch Anywhereの数値は含めておりません。
② デザインプラットフォーム事業デザインプラットフォーム事業は、デザインパートナー事業によって行われるUI/UXデザイン支援を様々な側面からサポートするサービスを提供しております。具体的には、自社で構築したデザイン人材プールを活用したデザイナー採用支援サービス「ReDesigner」、SaaS型のオンラインホワイトボードツール「Strap」及びデザインパートナー事業で培ったナレッジの蓄積をもとにしたプロトタイピングツール(注5)「Prott」で構成され、それぞれのシナジーを創出し、デザインに関連したビジネスの拡大を行うものとなります。当第3四半期連結会計期間においては、「ReDesigner」は、内定者数が増加し、採用支援実績を積み上げております。「Strap」並びに「Prott」においては、「Prott」のリソースを有効に活用し、「Strap」の機能開発を推進しております。以上の結果、当第3四半期連結累計期間におけるデザインプラットフォーム事業の外部顧客への売上高は222,363千円(前年同期比7.4%増)、営業損失は83,581千円(前年同期は101,746千円の営業損失)となりました。
(注)1.デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、Digital Transformationの略語で、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること、を意味します。2.UI(User Interface/ユーザーインターフェース)とは、「ユーザーがPCやスマートフォン等のデバイスとやり取りをする際の入力や表示方法などの仕組み」を意味します。また、UX(User Experience/ユーザーエクスペリエンス)は「サービスなどによって得られるユーザー体験」のことを指します。3.顧客社数とは、デザインパートナー事業において、当社グループとデザインプロジェクトを進めるために契約した顧客企業の社数を指しており、1か月にデザイン支援を提供した顧客社数の3か月の平均値を示しています。4.月額平均顧客単価とは、(1か月にデザイン支援を提供した顧客社数の売上総額 / 1か月にデザイン支援を提供した顧客社数)の3か月の平均値を示しています。5.プロトタイピングとは、最終成果物の試作品を早い段階から作り、改善を繰り返す手法のことを意味します。
(2) 財政状態に関する分析(資産)当第3四半期連結会計期間末における流動資産は、前連結会計年度末に比べて369,086千円増加し、3,681,158千円となりました。主な要因は、現金及び預金の増加233,085千円、売上高が伸長したこと等による売掛金及び契約資産の増加126,905千円があったこと等によるものであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べて7,130千円減少し、850,739千円となりました。主な要因は、のれん償却に伴うのれんの減少47,600千円、減価償却による工具、器具及び備品の減少6,403千円、顧客関連資産の減少6,166千円等があった一方で、デザインパートナー投資の実行等による投資有価証券の増加69,030千円があったこと等によるものであります。以上の結果、当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べて361,956千円増加し、4,531,898千円となりました。
(負債)当第3四半期連結会計期間末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ228,073千円減少し、481,198千円となりました。主な要因は、未払法人税等の減少74,380千円、未払金の減少71,066千円及び未払消費税等の減少47,234千円等があった一方で、賞与引当金の増加9,388千円があったこと等によるものであります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ108,363千円減少し、142,956千円となりました。主な要因は、借入金の返済による長期借入金の減少86,072千円及び連結子会社Goodpatch GmbHにおけるリース債務の減少22,686千円があったこと等によるものであります。以上の結果、当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて336,437千円減少し、624,154千円となりました。
(純資産)当第3四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末と比べ698,393千円増加し、3,907,743千円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益計上に伴う利益剰余金の増加186,770千円、第三者割当による新株式の発行等による資本金の増加253,306千円及び資本剰余金の増加253,306千円であります。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4) 経営方針・経営戦略等当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動該当事項はありません。
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